『譎詭変幻』まさみゃ〜の二次創作設置所(*´ー`*) 作:まさみゃ〜(柾雅)
反省はしていない
「いい? 赤ずきん。
森には危ない狼が居るから寄り道せずに行くのよ?」
「はーい」
赤頭巾の母はそう言って彼女を見送りました。
今から彼女は葡萄酒とパイの入ったバスケットを病気の祖母の家に届けるのです。
しかし赤頭巾は、一旦立ち止まり後ろを振り返りました。
彼女の母はもう家に戻ったのか姿が見えません。
赤頭巾はすぐさま森にある、とある花畑に向かいました。
花畑に着いた赤頭巾は、辺りを見回しました。
辺りには可憐な花々とそこを踊るように飛び回る蝶の姿しかありません。
だから赤頭巾は、大きな声で誰かに呼びかけました。
「オオカミさーん、どこにいますかー?」
返事はありません。
しかし、彼女はとある木の陰に目を向けました。
そこには慌てて隠れたのか、尻尾の様なものがはみ出ています。
赤頭巾は思わず笑みを浮かべましたが、悪戯を思いついたようで、バスケットを置き、笑い声を我慢して何かが隠れ居ている木に近付きました。
そして辿り着いたと同時に、尻尾の持ち主に飛びつきました。
「うわっ!? なんでバレたんだ!?」
「もう、オオカミさんたら、尻尾を隠し忘れて……可愛いらしいわね?」
赤頭巾はオオカミの耳元で優しくそう囁くと、彼女の首に背後から腕を回しました。
オオカミはたまらず逃げようとしましたが、赤頭巾の少女らしかぬ力によって、彼女を引きはがすことが出来ません。
「は、はなせ――」
「ふー」
「ふひゃっ!?」
赤頭巾は暴れるオオカミの耳に息を優しく吹きかけました。
そして続けて囁きます。
「オオカミさんが下手に隠れるのが悪いのよ? こんな可愛い尻尾を出して……誘っているのかしら?」
「ないないないない!! お前が来たから慌てて隠れて隠し忘れただけだ!!」
「そうなの? でもまぁ、そんなおっちょこちょいなところも好き、よ?」
「オレはお前が嫌いだ!!」
オオカミは暴れますが、赤頭巾の拘束からはいまだ逃れられません。
しかも暴れれば暴れるほど、何故か彼女と密着する範囲が大きくなるのです。
終いには、密着状態から解放されたものの、オオカミは赤頭巾に押し倒されてしまいました。
「ふふっ、つっかまーえーたっ♪」
「は、はーなーせー!!」
両手首をそれぞれ掴まれ、地面に押し当てられてしまっている為、オオカミは赤頭巾を突き飛ばすことが出来ません。
また、赤頭巾は彼女に馬乗りになっている為、彼女に残された選択肢は赤頭巾と会話するしかありませんでした。
「本来のお話だと、赤頭巾の私はオオカミさんに食べられるのに……いつも私が食べる側ね」
「そ、それはお前が一方的に襲い掛かって来るからだろ……オレは平穏無事に暮らしていたいのに……」
「だってぇ……一目見た時から私、貴方が欲しいと思ったんだもの……あきらめて♡」
彼女はそう言いながら舌なめずりしました。
赤頭巾のその表情にオオカミは怯えましたが、それはさらに彼女の嗜虐心をくすぶります。
赤頭巾はオオカミに言い聞かせるように言いました。
「あらオオカミさん。そんなに怯えてどうかしたのかしら?」
「お、怯えてなんか――」
「口や頬、額と耳にはもうしたわよね?」
その言葉にオオカミは、何かを思い出したのか急に顔を赤くしました。
しかし腕は赤頭巾に抑えられてしまっていて、顔を隠すことが出来ません。
「ああそうそう、首筋や鎖骨辺りにもしたわね」
そう言いながら赤頭巾は、オオカミの桜色の唇を見つめました。
しかし見つめるだけで、まだ
「ねぇ、オオカミさん。
いったいいつになったら返事をくれるのかしら?」
「……」
オオカミは返事をしません。
「この前も、その前の前も、そのずーーーっと前も、貴方は私の告白の返事がのよ?」
「…………」
オオカミは頬を少し赤らめながら目を逸らしました。
その様子を見て赤頭巾は確信したのか、彼女の顔を掴み自身に向けました。
そして顔を近付けて興奮気味に言います。
「そ、それってOK……と言う意味ととらえて大丈夫なのよね? そうよね??」
「し、しし知らねぇって――」
オオカミが言い切る前に、彼女の口は赤頭巾の口によって塞がれました。
やっと、彼女の恋が実ったのです。
今までの悪戯ではない、彼女の本気を感じたオオカミは、彼女がお使いを思い出すまでされるがままになりました。
そして恋人関係になってからの時は早く流れ、彼女たちは幸せに結ばれたそうです。
――『赤頭巾と狼』Fin――