ダンジョンに夢と希望を求めるのはまちがっているのだろうか。 作:しろくまお
「冒険」
それは、全ての男のロマンである。あるものは富、あるものは名声、あるものは力、はたまた出会いを求めて冒険する。これは、そんなどこにでもいる冒険者に憧れる少年の物語。
ある夏の日、巨大な都市であるオラリオの中心にそびえ立つバベルの塔、ギルドのある所から小柄な少年が1人
とぼとぼと南のメインストリートに向かって歩いていた。彼の名は、ハク・トリトン。名前の通り真っ白な髪をもつ人間《ヒューマン》だ。オラリオから遠く離れた田舎から冒険者というものに憧れこの地に来たはいいが冒険者になるにはどこかのファミリア(神が親の家族みたいなものだ。)に入っていなければなれないということを知らされ、絶賛落ち込み中だった。しかし、別に焦ることはない。聞けばこのオラリオには神が多くいるということではないか。きっと自分を拾ってくれる神がいる、ハクはそう信じて止まなかった。そう楽観的に考えながら街を少し散策していると何か腹部に冷たい感触があったった。見てみると服に赤いしみができじわじわと広がっていった。みるみるうちに服は赤く染まり周りの人も異変に気付いたようにこちらにた駆け寄ってきた。
「ひっ、ひぅ、はっ」
怖くて痛くて声にならない声を上げた。このまま自分は死ぬのか、まだ冒険者になってすらいないのに。その思いがハクを頭をよぎった。死ねない、死んでたまるか。僕は、、、。僕の意識はそこで途絶えた。
人の声が聞こえた。なんでだ?僕は死んだんじゃないのか?ガバッと体を起こすとそこはベッドの上だった。体を見ると傷も無くなっている。
周りを見渡す、全体的に木でできた部屋でありお世辞にも綺麗とはいえないほどあらゆる所が埃を被っていた。
そんな埃まみれの場所にぽっかりと穴が空いたように埃が舞い散っていない場所があり、そこには1人の女性が本を読んでいた。いた。緑のショートヘアーで全身ダボダボの白い布を一枚羽織っているだけの僕はその芸術品のような均整のとれた顔立ちに思わず
「綺麗だなぁ」と声を出してしまった。
するとその女性は、こちらに顔を向けると一言、笑いながら
「ありがとう」
といった。
そのときの気持ちを僕は一生忘れないだろう。それほどに綺麗だった。
「ねぇ、君、もし良かったら僕のファミリアに来ない?」
そう聞かれた。この人は神だったのか。そうと分かれば僕は自分でも驚くほどのスピードでくびを縦に振り全力で肯定の意思を示した。
「でも、本当に良いんですか?見たところ助けて頂いたみたいだしその上ファミリアに入っても。」
「良いよ、だって私のファミリア今0人だもん。」
「私だって1人で寂しかったんだよ。だから、これはwin-winの関係」
そう言われてしまうとこちらとしても是非よろしくしたい。
「こんな僕ですがこれからもよろしくお願いします。」
「うん、よろしい。じゃあ今日から君は私の家族だ。えーっと、君の名前は?」
「ハクです。ハク・トリトン」
「よし、じゃあハク、ようこそ、ヴァーユファミリアへ。」
ヴァーユ様が僕に手を差しのべてくる。
これが僕の長い冒険の始まり