ダンジョンに夢と希望を求めるのはまちがっているのだろうか。 作:しろくまお
ヴァーユとプチ感動な再会を喜ぶこと数分、落ち着いてきたハクはシェンと呼ばれた猫人をちらりと横目で見て自身の主神に尋ねた。
「あの、ヴァーユ様。彼女は、、、」
そう言うと、ヴァーユは目元の涙を手でぬぐうと思い出したかのように答えた。
「あぁ、彼女は名前はシェン・リン。レベル2の冒険者さ。君よりもずっと強いんだよ。今はちょと訳ありでここで面倒を見ているところなんだけどね。」
あらかじめその辺の話を聞いていたハクは、ヴァーユの説明を申し訳なさそうに遮ると今後のファミリアの方針と成長したであろうステイタスの更新をお願いした。
「良いのかい?拾ってきた私がいうのもなんだけど彼女はすごい狂暴だよ。」
心配そうにこちらを見つめるヴァーユ、それに対しハクは安心させるように笑顔を浮かべながら言った。
「良いんですよ、ヴァーユ様が問題ないと思ったんでしょ?なら大丈夫です。僕は全然反対しませんよ。」
自身の子の自分への全幅の信頼を感じ再び目に涙を浮かべるヴァーユを尻目にハクはもう一度シェンと呼ばれた猫人を見た。
自分よりも背が高く、髪は自分とは真反対の真っ黒。瞳の色は黄褐色で出るとこはでて引っ込むところは引っ込むスタイル。そして何より美人。つり目がちな目が一見きつい印象を与えるも、先ほどヴァーユ様と自分の熱い抱擁を見て少し目を細めたそのギャップ。
いわゆる、お姉さんタイプの人である。
先ほどは敵対者であるかもしれないという可能性があったため、警戒心バリバリで気にも止めなかったが、落ち着いて見てみると、とても魅力的な人だと分かった。
ハクもまだ少年とはいえ、立派な、男の子である。豊穣の女主人のシルやリューなどとは違う大人の女性の魅力に少しやられたのか顔が少しずつ赤くなってきた。
硬直したハクを不思議に思ったヴァーユがハクの顔と見て、その視線の先にいるシェンを見てニヤリと笑う。そこには自身の眷属との再会に喜ぶ純粋な笑顔ではなく、いたずら好きの神としての顔があった。
ヴァーユは今まで抱き合っていたハクの体を180度回転させシェンの方向に背を押しながら進んでいった。
「ちょ、ちょっとヴァーユ様、あの、、、」
抵抗するハクを無視しシェンの前に座らせると胸を張ってまるで自分はとても良いことをしたと言わんばかりの顔でハクの隣に座った。
「さぁ、今から改めてお互いに自己紹介をしよう。もしかしたら同じファミリアになるかもしれないんだ。今のうちに親睦を深めておくのも私は悪くない案だと思うんだよ。」
ニコニコと、しかしではどうハクをからかってやろうか画策しながらヴァーユは続ける。
「では、お互いにまず名前から。」
ハクにとっては恥ずかしい時間が始まった。