ダンジョンに夢と希望を求めるのはまちがっているのだろうか。 作:しろくまお
これから目標を見つけようと意気込んでいると、ヴァーユ様がこちららを見ているのに気付き、僕は少し気恥ずかしい気持ちに苛まれながらもステイタスを刻むためにヴァーユ様に近づいた。
「ねぇ、ハク さっきは話がそれちゃったからまだ聞けてなかったんだけど君の持ってるやつホントに何か分からない?」
そうい言ったヴァーユ様の言葉に僕はそういえばと思い出し右手に握っていた注射器のようなものを見た。別に何も変なところは造形以外は無い。弓矢の構造の矢尻の部分が空のシリンジになっているというだけだ。
待てよ、空のシリンジだって?中身がない?ということは?身体中から嫌な汗が流れた。これ、元々何か薬品が入ってたんじゃないか?もしかしてその薬品は今、僕の体内に?僕は震えそうになっている体を無理やり押さえ込みヴァーユ様に聞いた。
「ヴァーユ様、こ、これ、シリンジの中身が空なんですけど、僕の体内に入ってるんじゃないですか?」
すると、ヴァーユ様は特段慌てた様子もなく
「まあ、そうだろうな」と言った。
「そんな軽く反応されても、もし劇薬だったらどうするんですか?」
「大丈夫、大丈夫、そうだったらとっくに君には症状が出てるよ。」
「まぁ、そうですけど。」
「今、それについて分かっていることは何も無いんだね?そしたら話は簡単だ。私たちはなにも分からない。確かにその形は見たことがない。そこから誰が撃ったのかを特定出来るかもしれない。でも、今の私たちにはそんな余裕はない。なにしろ私たちはとてつもなく貧乏だからね。そもそも君を狙ったのかさえ分からない。もしかしたら狙いが外れてたまたま君に当たったのかもしれない。」
「だから、その弓矢だか注射器だか分からないやつについては私たちはなにも出来ないのさ。」
「いいね、じゃあ、今度こそステイタス刻もう。」
完全に納得とはいかないものの確かに今、僕たちに何が出来るわけでもないので僕はおとなしく神様の指示通りに即席で用意したベッドに上着を脱いでうつぶせになった。
「じゃあ、始めるよ。」
そうヴァーユ様がいうと背中が何だか温かくなったような気がした。少し、その気持ちよさに身を委ねていると、スタイタスが刻み終わったらしく、ヴァーユ様が紙にステイタスをサラサラと書き写したものを見せてくれた。
「これが君のステイタスだ。珍しいことにもうスキルが発現している。」
「何ですかこれ?目標願望《オブジェクティブ・フレーゼ》?」
「まぁ、レアスキルだろうねぇ、聞いたこと無い。詳しいことはまだ書ききれてないからちょっと待っててね。」
ステイタスの詳細まで記された紙にはごく一般的な数字が刻まれていた。ただ一点を除いて。
ハク・トリトン
Lv.1
力: I 10
耐久: I 10
器用: I 10
敏捷: I 10
魔力: I 10
《魔法》
《スキル》
目標願望《オブジェクティブ・フレーゼ》
・目標達成時までのみ早熟する。
・目標への意欲により効果向上