ダンジョンに夢と希望を求めるのはまちがっているのだろうか。 作:しろくまお
ステイタスも刻まれたことだしさあ、リベンジだ。待ってろよ。ギルド、と意気込んでいると。ヴァーユ様から一部ステイタスの秘匿を命じられた。
「君のスキルは、珍しいからね。他の神々に知られると。厄介なんだ。ちょっかいかけられるかもしれない。」
「まぁ、それさえ気を付けてくれれば、あとは問題ない。さぁ、ギルドに行って君の輝かしい冒険者ライフを始めようじゃないか。」
「はい、ヴァーユ様」
僕はそういうと、ギルドに行く準備をしだした。だが、いかんせん故郷から何も持ってきていないので準備はすぐに終わり僕は太陽の下に繰り出した。先ほどはファミリアに入ってないからという理由で冒険者になることを断られたが今の僕はヴァーユファミリアの団員だ。なにも恐れることはない。さぁ、行くぞと意気揚々とギルドへの道を急ぎ足で歩いた。ギルドに入ると、そこは先ほども見た冒険者たちの姿があった。さすがに朝来たときよりも人は減っている。きっとみんなダンジョンに潜っているのだろう。自分も今からその一員なんだと期待に胸を踊らせながら受付に足を運んだ。
「あのー、すいません。」
「はい、何でしょう?」
その声と共に出てきたのは、眼鏡をかけたとても綺麗な女性だった。今朝の人とは違う。耳がとがっているからエルフの血が混ざっているのだろう。彼女は僕を見て少し微笑ましそうにこう言った。
「もしかして、冒険者になりたくてきたんですか?」
「はい!そうなんです。でも、何でわかったんですか?」
「だって、君すごい冒険者を見ては顔をかがやかせていたから。」
自分の行動が周りにどう見られているのか分かって、恥ずかしい。多分、顔も赤くなっていると思う。
「でも、冒険者というのはいつ、命を落とすかも分からない職業なんですよ。君みたいな子にはまだ早いと思うけど。」
彼女は心配そうに、それでいてまた諭すように僕に言った。でも、僕はもう決めたんだ。冒険者になるって。今までだったら夢はそこで終わってた、でも今は違う。ヴァーユ様に教えて貰った。常に先を見ること、目標がなければ人はダメになる。僕はなって、さらに次のやりたいことも見つける。それが、今の僕の夢。
「いえ、僕は冒険者になります。」
確かな覚悟を込めて僕は彼女の目を見て言った。その意志が通じたのか、彼女は浅くため息をつくと一枚の紙を僕の前に出してきた。
「これが冒険者登録に必要な紙です。ここに必要事項を書いてください。」
「では、いいんですか。冒険者になっても」
「ほんとはOKしたくはないんですか君の情熱は分かりました。でも、くれぐれも危ない目には会わないでね。」
「でも、冒険は危ない目にあってこそじゃないですか。」
そう言いながらスキルの欄だけごまかして書いた紙を渡すと、彼女は再びため息をついた。
「これで、君はもうは冒険者です。今後、君のアドバイザーを勤めることになりました。エイナ・チュールです。よろしくね、ハク君。」
急にフレンドリーになったことに少しドギマギしながらも早速ダンジョンへの入り口へと向かおうとすると、首根っこをぐいっと捕まれた。ぐぇっと変な声がでてしまい恨めしそうに彼女を見るとさっそく何か僕はやってしまったみたいで彼女は額に青筋をたてて笑っていた。
わぁ、器用。なんて言えるわけもなく僕もひきつった笑みを返すと彼女は僕にものすごい勢いで喋りだした。
「普通、なにも装備せずにダンジョンに潜ろうとする?まず、死ぬよ。ギルドには貸し出し用の装備もあるからまずはそれを使ってそして一番の問題はその危機意識のなさ、ダンジョンは危険がいっぱいなんだよ。今日はこれから私がダンジョンの恐ろしさと対策をしっかり教えてあげる。さあ、ついてきて。」
これだけをエイナさんは息継ぎなしで言いきると僕の手を引っ張ってギルドの一室へと連行した。その勉強会はとてもしんどかったとだけ言っておこう。