ダンジョンに夢と希望を求めるのはまちがっているのだろうか。   作:しろくまお

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探偵ナイトスクープの新局長が松ちゃんに決まりましたね。なんかスタジオの雰囲気変わりそうです。


猫人と過去

ダンジョン15階層、中層とよばれる場所で一人の猫人《キャットピープル》の女性がモンスターと戦っていた。得物の長剣を振るい、次々とモンスターを屠ってくる。一通りモンスターを狩り終わると魔石を集めバックパックに入れると帰るために上層を目指し出した。

 

彼女はモンスターを殺す時、決まってあることを思い出す。

 

昔、人を殺したときの事だ。小さい頃だった。まだ、自分がうまく行かないことがあれば癇癪を起こしていた。そんな何も分かっていないガキ時だった。

 

その日は、どしゃ降りの雨でひどく足元が悪い日だった。その日、彼女は1人雨の中何も持たずに必死に薬草を探していた。彼女の両親の病気を治す薬草を。急に容態が悪化したのだ。薬が必要になったが医者が来るのはまだまだ先、今のままでは先に両親が死んでしまう。幸いどんな薬草をとってくればいいかは医者に聞いており、その薬草が採れるのもそんなに遠くではないということで、彼女は両親の制止も聞かずに飛び出した。目的地を目指して走る、走る、走る、何者にも止められないような剣幕とスピードをもって走り続けた。しかし目的地についても薬草は見つからない。周りを見渡すとちょうど目当ての薬を持った人がこちらに向かって走ってくるのが見えた。おそらくそれが最後の薬草だったのだろう。

 

取らなきゃ、そんな思いが芽生えた。しかし、まだ純粋な少女であった彼女にはそんなことはしてはいけないことだと分かっていた。しかし、このままでは両親が。そんな思いがぐるぐると頭の中をかき乱す。ふと、彼女が目線を下げるとそこなには大きな石があった。ちょうど人を殺せそうな尖った石。それを見た瞬間、彼女の中でプツリと何かの糸が切れた。

 

気がつくと、人が彼女の足元に倒れていた。頭からは血が大量に流れている。きっともう死んでいるのだろう。幼心にそれを悟った彼女は覚束無い足取りで薬草を奪い家に帰った。

 

家に帰るといつもは小さいながらも聞こえてくる「おかえり」の声が聞こえてこない。嫌な予感がした。両親が寝ているベッドに向かう足が自然と速くなる。顔にはもう、涙を浮かべていた。彼女は分かっていた。でも、信じたくなかった。今日はいつもよりぐっすり寝てるだけだって自分に言い聞かせた。寝室につくとノックもせずに扉を開ける。ベッドに寝ている両親の顔は驚くほど綺麗だった。呼吸もせず、心臓も動かず、ただの人形のようだった。

 

彼女の両親はもう、亡くなっていた。

 

彼女には、夢があった。薬屋を開くという夢が。しかし、その夢を諦めさせるのに今回の出来事は充分過ぎるほどの影響を与えた。自分は人を殺した、それだけでも人を生かす職業である薬屋からは遠く離れているのに、その上両親までも死なしてしまった。どんな顔をして薬剤師になりたいと言えるのか。

 

彼女は懺悔した。ひたすらに毎日毎日。

 

時が経ち彼女はオラリオにいる。薬剤師にはなれなくていい、でも役にはたちたい。その一心で素材を集めては、医療関係大手のディアンケヒトファミリアに匿名で送っている。誰にも知られることなく。誰にも感謝されることなく。

 

その頑張りを見てくれる、知ってくれる、誉めてくれる、そして、過去のしがらみを解いてくれる。そんな人に彼女が出会うのはもう少し後の話だ。

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