ダンジョンに夢と希望を求めるのはまちがっているのだろうか。 作:しろくまお
そんな言葉をかけてもらえるような小説を書きたいです。
ヒカルの碁とルパン三世が面白くて面白くて。
決して華々しいスタートとは言えない初のダンジョン探索を終えた日から数日、僕は今、なぜか豊穣の女主人という店のモップ掛けをしています。はて?なぜこうなった?僕は今朝の事を思い返した。
よく晴れた気持ちの良い朝だった。ダンジョンに向かうメインストリートを人波に逆らわず進んでいた。そしたら急に隣で一緒に流されていた人が持っていた花瓶を、手を滑らせたのかなんなのか宙に飛ばした。そのまま花瓶は僕の所まで来るとそのまま勢いに任せて僕を人波から突き飛ばした。まるで投げたんじゃないのかといわんばかりの力で飛んできた花瓶と僕は一つの店に派手な音を立てて転がり込んだ。それがこの豊穣の女主人だ。
その結果、店内はびしょびしょになりミアさんという物凄く怖い主人にどやされ今、ここで掃除をしているというわけだ。
なんというとばっちり、花瓶の持ち主も掃除させるべきだろう。と思ったがいつの間にかその姿は消えていた。
それは店で働いている店員さんも分かってくれているようで、時々、こちらに近寄ってきて労いの言葉をかけてくれる。特に声をかけてくれるのは薄鈍色の髪の毛をしたシルさんという店員さんだ。彼女は僕と話すとき必ずと言って良いほど、男性が喜びそうな仕草をする。あざとい、本当にあざとい。自分の魅せ方を理解し最大限に発揮している。強かな女性は良い。好感が持てる。
店の掃除も終わり、少し椅子に座らせてもらっていると1人のエルフが近づいてきた。確か、リューさんといった、エルフ特有の尖った耳と整った顔立ち、さぞモテることだろう。でも、エルフは他の種族との接触はおろかエルフ同士でも仲の良い者としかはだの触れ合いを許さない種族と聞く、恋愛出来るのだろうか?そんなどうでもいいことを考えているとリューさんは口を開いた。
「私は、シルをとても尊敬している。そんなシルがあなたにはとても話しかけている。私は知っている。彼女はただの客や相手にはそんなことはしない。嫉妬とかではなく純粋にあなたの事が知りたい。」
ともすれば、告白ともとれるその言葉。そう思ったのは僕だけではないらしく、近くにいた店員さんが目を大きく見開き、どうしたものかと所在なさげに視線をうろうろさせていた。その姿に若干の申し訳なさを感じながら僕はリューさんにはっきり言った。
「僕は、ハク・トリトン。見たまんまの駆け出しの冒険者です。」
自分の事をハッキリと伝えた。自分は未熟な冒険者、そう伝えなければいけない気がした。自分で自分の在りかたを再確認したようだった。
彼女は、納得はしていないようなものの一言、「ありがとうございました。」というと店の奥に戻っていった。
全てを終えミアさんから許しを得た僕はもうすでに昼になって賑わっているメインストリートをバベルの方へと駆け出した。強い冒険者になるために。
その翌日、豊穣の女主人のエルフの店員が駆け出し冒険者に告白したという噂が流れたのはまた、後のお話。