ダンジョンに夢と希望を求めるのはまちがっているのだろうか。 作:しろくまお
ある空気が乾いた日のことだった。僕は何回もダンジョンに潜るも納得のいく成果が得られないため、武器が問題なんじゃないかと思い、バベルの塔の上、ヘファイストスファミリアの店があるところに赴いた。
あまり高いのは当然のごとく変えないので、エイナさんに教えてもらったヘファイストスファミリアの中でも新米の鍛冶師が打った武器が買える店へと入った。
古びた店内は至るところに武器が置いてある。短刀、長刀、鎧や籠手 面白いほどにそれらの武器が雑多に置かれている。
「うーん、来たはいいもの僕はこれから何を見つければ良いのだろう?武器っていっても自分に合っているのがどんなのかも分からないからなー。」
「なんか、探してんのか?」
突然掛けられた声に振り向くと、そこには茶髪の快活そうな印象を受ける青年が立っていた。
「えぇ、まぁ、はい、探してはいますけど。」
僕は警戒混じりにそう答えた。するとそれを感じとったのか彼はニカッと笑い手を頭のうしろに回した。
「いきなり呼び止めて悪かった。俺の名はイリス、ヘファイストスファミリア所属の下っ端鍛冶師さ。なんかさっきから見てると色々まよってそうだったからよ」
「ありがとうございます。僕はハク・トリトンと言います。確かに僕は武器を探していますが人に頼るつもりはありません。己の武器は己で決めると決めているので。」
「まぁそういうな。お前なんも分かってないだろ。自分が何を得物とするかも。」
痛い所を突かれ僕は黙ってしまう。確かに鍛冶師に選んでもらった方が良いのはそうなんだろう。でもそれで自分は納得出来るだろうか、いざダンジョンで失敗したときに武器のせいにしてしまいそうだ。
そんな僕の心情を知らずか彼は、適当な所からいくつも武器を取っては僕に渡してきた。
「とりあえず使ってみろ。それで分かる。」
勢いに流されるまま次々と僕は武器を試す。さっき、威勢よく断っていた自分が恥ずかしい。
何種類も試すうちに、僕が唯一、今までダンジョンで使っていたナイフが回ってきた。いつものイメージを崩さず丁寧に振りかぶる。あまり幅が広くないため小振りにはなったがイリスさんには分かったのか、首を振り最後の武器、弓を渡してきた。
手に持つ。ふむ、あり得ないほどしっくりくる。まさか僕の得物は弓なのか?
それを感じとったのは僕だけではなく、イリスさんも思案した顔をすると、店の店員さんに近づいた。
「これを試し射ちしたいんですけど少し修練場をお借りしても?」
店員さんは頷くと、イリスさんを連れて歩き始めた。
なるほどこういう店には試す場所が必要なのか、確かに試しは大切だよね、ほんと。
少し歩き着いたのは広いドーム型の所だった。バベルの中にこれが入るのがびっくりな程広い。
「よし、射ってみろ」
イリスさんは僕に先ほどの弓と何本かの矢を渡してきた。弓の大きさは僕の身の丈程、かなり大きな弓だ。
矢をつがい、僕は30メートル程離れた的を狙う。
思い切り矢を引き絞り視線を合わせ射る。
その一連の動作が驚くほどスムーズにできた。放たれた矢は、寸分の狂いなく的の中心に突き刺さった。
「やはりな、それがお前の得物だよ。」
そう語るイリスさんを尻目に僕は初めての感覚に感動を覚えていた。