ナイトガンダム物語 円卓の騎士伝説 異聞編   星命樹マナ探索行   作:にしかわ

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新年あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。




フロニャルドヘ

愛知県紀乃川市鴇野町

 

 

一地方都市の緑の豊な土地であり特にこれといって普通の町である。

 

冬の町の所処に落ち葉が散見され日中とはいえどこか年が暮れていく寂しさみたいなものが感じられる中そんな空気等吹き飛ばすような快活な空気を纏った少年と少女が話をしながら歩いていた。

 

一人は金髪碧眼の少年シンク・イズミと茶色の髪と緑眼の少女レベッカ・アンダーソンである彼等は異世界フロニャルドで紆余曲折あって勇者をしている者達である。

 

「本当シンクは冬でも元気よね」

 

「もちろんだよベッキーいやむしろ冬だからこそ目一杯体を動かさないとね病気にならないように!!」

 

「シンク・・・それ夏の時も同じような事言ってなかった」

 

「えっ?!そうだっけ」

 

どんな時もどこか天然な空気が抜けないシンクに若干呆れたようにレベッカは返すと話題を変える

 

 

「ねえそれよりそろそろ冬休みよね、またフロニャルドのみんなに会えるわね」

 

「うんっプレゼントとか色々考えないと」

 

「そうだね、どんなのにしようかな、・・・・」

 

フロニャルドの事で盛り上がって話しこんでいる二人に冬の冷たい風が吹き付けベッキーは身震いをする。

 

「ううっ寒っ・・フロニャルドって冬でもここまで寒くないそうだし、あーーークー様と一緒にお昼寝したいな・・・あの尻尾とっても温かいんだよね」

 

「僕は姫様とフリスビーで遊びたいな」

 

「ほ・本人が喜んでいるからいいけど、どうなんだろう、あれ」

 

一国の姫相手にフリスビー遊びをするのはどうなんだろうかとレベッカは内心冷や汗を流すただ投げ合うだけならともかくシンクが投げたフリスビーを姫に取ってこさせるのである、しかも姫は犬の尻尾と耳がある為か傍でみればもう事案でしかないという有様である、しかしその姫本人が喜んでいるのでは文句も言えないのだがもっともベッキーも人の事は言えないが。

 

一際強い風が吹き二人の歩いている道路を駆け抜けていき二人は身じろぐと,むかいから歩いてきた幼稚園児の黄色い帽子が飛んで行ってしまい幼稚園児が手を伸ばした時には遅くどんどん風に乗って飛んでいく。

 

「あっ帽子がってシンク!?」

 

「ベッキー鞄をお願い」

 

シンクは鞄をベッキーに渡し帽子を取ろうと駆け出そうとした時二人の後ろから来た自転車が急に止まり乗っていた青年が一瞬で自転車の座席を蹴って跳躍し宙に浮かんでいた帽子を取り道路に綺麗に着地をする、着地の瞬間屈む事で衝撃を大地に逃がしたのか特に何事もなく立ち上がると帽子を幼稚園児に渡す。

 

「これ君の帽子?」

 

「うんありがとうお兄ちゃん!!!」

 

「どういたしまして、これから気を付けるんだよ」

 

「うんっ!」

 

幼稚園児はお礼を言い幼稚園に向かっていったそれを見て青年は穏やかに微笑むと自転車に向かう。

 

「うわあ凄いね」

 

「うんっそれに気づいたベッキー」

 

「えっ何を?」

 

「あの人の自転車が倒れていない事」

 

「えっどういう事」

 

「ほら良く見てよベッキーあの人の自転車支えを下ろしていない」

 

「あっ!!本当だっ!!でもじゃあなんで倒れてないの」

 

「うーんよくわからないけど、相当なバランス感覚で自転車が倒れないように足に力を入れたんじゃないかな」

 

「いや、良くわからいけれどとにかく凄い事はわかったわ」

 

 

青年が跳躍した時自転車の座席を蹴って跳躍したのであるしかも支えもしていないのだ普通は自転車が倒れるだろうしかし自転車は倒れていないという事はどれ程の身ごなしなのかベッキーには見当もつかなかった。

 

「あの人、もしかしたら何か武術とかやっているのかも」

 

「武術って、七海みたいに?」

 

「うんっそれも本格的にやっている人かもしれない」

 

青年は驚いている二人に苦笑すると声を掛ける。

 

「ごめん、驚かせちゃったかな」

 

「いえ、気にしてないですよ、それにしても凄い跳躍力とバランス感覚ですね」

 

「いやそれほどでもないよ」

 

興奮するシンク達に苦笑しながら青年・・・武は謙遜すると遠くで学校のチャイムが鳴る音が響てきた。

 

「あっシンク早くしないと遅刻しちゃう」

 

「そうだったそれでは失礼します!!

 

「失礼します!」

 

「気を付けてね慌てて怪我しないように」

 

「「はいっありがとうございます」」

 

 二人はお辞儀をすると慌てて学校への道を急ぐべく走り出す、その二人の姿を微笑ましく思いながら武は自転車に乗り込むと走り出すのであった。

 

 

自転車を走らせながら武はふと数日前に見た夢を思い返していた、世界樹としか言いようのない大樹に女神と黄金の竜神とそこから生まれた黄金と白銀の騎士そして世界の運命をかけた戦いその後に起きた女神の死と再生。

 

まるで神話の一幕をリアルタイムで見たようであった、しかも夢なのに今でも鮮明に思い出せる、唯の夢ではない事は明確だった。

 

あの後姉に相談するも姉でもまったく見当がつかなかった唯何かの予兆ではないかと言ってはいたがそれだけであった。

 

(予知夢の類だろうかでも自分にはそういう素養はなかったはずなだけどな)

 

 強大な力を持つ者が稀に夢で未来や過去の光景を見たりすることがあるという話はかなり聞くがだからといって強大な力を持っているからといって必ずしも予知夢等をみるとは限らず全く見ない人もいるまたふとした事から普通の人が正確な予知夢を見たという事もあるので素養というのも微妙なものが予知夢の類である。

 

(そういえば、香港から高名な道士の一族の後継者が来ているって聞いたけどたしかあの一族は予知夢とかにも詳しいそうだし父さんと相談してみるかな)

 

と色々考えながら武は自転車を漕ぎどんどん山を越え谷間を越えた山間にある窪地の深い森までやって来た。

 

 深い森の前には小さなトラックや農機具や納屋等がある農家のような一軒家があった、そこから生木を斧で割る音が規則的な間隔で聞こえてくる。

 

「相変わらず元気そうだな」

 

とそんな事をつぶやくとごめんくださいと家の裏に向けて声を掛けると音が止み一人の初老の男性がやってくる一見すると普通の初老の男性のように見えるがその歩みにスキはなく相応の人物ならかなりの使い手だと気づくだろう。

 

「よお、武坊ちゃん久しぶりだな今年も修行に来たのかい」

 

「もう坊ちゃんて言われる年じゃないですよ・・・お久しぶりです進藤さん 今年もお世話になります」

 

「毎年来てくれるのは嬉しいけど星華さんや梓乃ちゃんに心配かけちゃだめだぞ」

 

「はい今年は両親も家に帰ってくるので少し早めに帰るつもりです」

 

「そうかい、それしても本当に真面目だねおまえさんは最近の若い奴はてんで真面目に修行しなくて困るよ」

 

「僕以外いないんですか」

 

「ああ、数か月前に数人来たけど直ぐに帰りやがったよまったく」

 

苦々しく愚痴をこぼす進藤に武は苦笑する彼はこの地の管理人をしている人物である、この地は霊的な力が他所よりも高く修行場として退魔士や武術家等に開放している場所であるが近年は利用するものが段々と減ってきているのであった。

 

「それじゃあ、森の小屋をお借りしますね」

 

「おう、今年も好きに使ってくれ、ほれ鍵だ」

 

「ありがとうございます」

 

「そういやいい味噌が手に入ったんでよとっておきの豚汁を作るから今夜食べに来な」

 

「本当ですか、あれ凄く好きなんですよ、それじゃ今夜ご馳走になります」

 

「ああ、楽しみにしてな」

 

武は嬉しそうにお礼を言うと毎年使っている森の小屋へと向かっていくのであった、その後ろ姿を見つめながら進藤は遠い目になり呟く。

 

「あれから8年か月日が流れるのも早いねえ益々親父さん達に似てきているな、しかし・・・無茶する所まで似なくてもいいのにね・・・・」

 

 

武は毎年寝泊まりに使っている小屋に向かう途中不意に不思議な気配を感じ、そっちの方向に顔を向けた。

 

「なんだ、この気は?」

 

毎年使っている修行場だがいままでこんな気を感じた事がなかった為違和感となって武の気を引くには充分だった

 

「邪気は感じられないな、でも少し調べてみるか、万が一常世にでも繋がっていたら大変だ」

 

霊質が高い場所は常世といったこの世ならざる幽明と繋がる事がありそこから怪異が侵入する場合もあり最悪の場合大惨事になる事もある為見つけ次第閉ざす必要があった。

 

そして武は違和感のする所へ向かうとそこには洞窟があったその洞窟をみて武は益々訝しんだ、この近くにこんな洞窟はなかったはずである直ぐに管理者である進藤に伝えてみても良かったがその前に軽く調べて見ようと思い洞窟の中に入って行く。

 

「随分深い洞窟のようだなどこまで続いているんだろう?・・・・んっ?」

 

そろそろ引き返そうと思った時武の耳に微かな水音が聞こえてきた、無視して引き返そうと思ったが何故か嫌な感じがせずむしろ自分を呼んでいるように聞こえその音のほうへと足を運ぶとそこには半径10メートルくらいの空間がありその真ん中には1メートルくらいの澄んだ水が称えられた泉があった。

 

「ここは?・・・」

 

武は泉に近づき覗きこむと澄んでいるのに底が全くみえずそれなのに水そのものが光を放っているのかただ澄んだ青色が限りなく広がっているのであった。

 

「な・なんだこれ!?・・・・はっ!?」

 

武が慌てて周囲を見回すといつの間にか当たり一体が澄んだ水で覆われていたそして彼がいままで来た道は消えていたそして水は突然澄んだ瑠璃色の光を発すると辺りが光に包まれる。

 

「しまった罠だったか・・・・うん?」

 

当たりを見渡し突破口を開こうと自身の霊気を開放しようとした時足元に何かの気配を感じるとそこから美しい女性の手が伸びていたまるで切実なまでに彼を誘うように、そして武は水面を見るとそこにはこの世とは思えない美しい女性がいた

壮麗な衣に包まれたその姿は女神としかいいようがないそしてその姿に武は見覚えがあった。

それは夢で見た光剣を携えた女神にそっくりだったからである。

 

「あなたはまさか???」

 

その女神の表情は悲しみと申し訳なさで一杯であったその深い憂いの表情と切実なまでに伸ばされた手を思わず武は掴んだ。

 

すると女神は悲しげに微笑み武の手を引くと武の体は水に沈んでいく慌てて息を吸うが不思議な事に水の中に完全に浸かってもまったく息苦しくなかったまるで自分が魚にでもなったかのようだ。

 

そして女神に手を引かれながら、武の体はどんどん深く深く沈んでいく、しばらくすると水の奥深くに光が見える

 

 

「なんだあの光は???」

 

光はどんどん大きくなり視界一帯が完全に光に包まれるといつの間にか女神はいなくなっていた。

 

 

「あの人は?ってええええええ!!!????」

 

光が消えると武はいつの間にか遥か空の上にいた、周囲を見渡すと雲しか見えない。

 

 

「お、落ちるってこれは??」

 

慌てる武だったが自分がいつの間にか水球に包まれている事に気づくそして武を包んだ水球はゆっくりと雲を抜けると眼下の光景が明らかになる。

 

「これは日本じゃない?」

 

 眼下の光景は明らかに日本ではなかったいやそもそも地球ですらなかった、遠くには島が浮かび明らかに地球ではいないであろう巨大な鳥が空を飛んでおりまた空の色は紫であった。

 明らかに地球とは違う光景が広がっていた。

 

「これは??!!!僕は一体どこに来たというんだ」

 

 混乱する武であったがとにかく自分の置かれた状況を把握しようとしたその時自分を覆い守っている水球が少しづつ小さくなっている事に気づく、そして小さくなるにつれ地上が近くなってくるどうやら森におりるようであった

 

「この様子なら大丈夫そうだな・・・って!!??」

 

武は体制を整え気を高め落下の衝撃に備えようとするとふと下に人がいる事に気づく

 

「なっひ・人がこのままじゃ激突する」

 

そして危険を知らせようと思いっきり声を張り上げる

 

「危ない!!早く逃げて!!!!!」

 

眼下の人いや少女は不思議そうに辺りを見渡し上を見ると驚愕し目を見開く。

 

「くっ」

 

水球が消え体が自由になった武は身をを捩り近くの木を蹴りなんとか少女に衝突するのは回避したが近くの岩にぶつかってしまう

 

「がっ!!!」

 

衝撃のあまり視界がどんどん暗くなってくる彼の前には血相を変えて駆け寄る少女の姿があった

 

(無事で良かった・・・しまった意識が・・・・)

 

「大丈夫ですかっ!!??しっかりしてください」

 

武の身を案じる少女の声が聞こえた所で武の意識は途切れるのであった。

 

 

 

 

 

 

 流星の騎士団達三人はシルバーディスクの光を便りに山へと分け入り深い森をかき分けるとシルバーディスクが一際輝く場所で足を止めた。

 

彼等の目の前には人ひとりが入れるくらいの横穴があった中はかなり奥まであるのか明かりを灯しても奥までみえなかった。

 

「どうやら、ここのようだな」

 

「なんかあっさり見つかったな」

 

「そうだな、シルバーディスクがあったとはいえこれは早すぎるな」

 

(むしろ急がせているようにも思える、何かが起きようとしているのかそれとも)

 

麗紅騎士は内心で疑問を感じる、あまりにも順調すぎたからである、こういう探索であるならもっとてこずったとしてもおかしくはない、しかしそんな疑問を胸にしまいこむ。

 

「まあとにかく早速調べようぜ」

 

「ああ、行こう麗紅騎士」

 

「わかった」

 

彼等は洞窟へと入って行くと中は途中までは自然の洞窟だったが1時間程歩くとと岩肌の壁にたどり着くここで洞窟は終わりのようであった。

 

「ここで行き止まりか?」

 

「いやどうやら違うようだ」

 

嵐騎士がシルバーディスクを掲げると岩肌の壁が消えその先には明らかに人工物と言える石畳で出来た回廊があらわれた。

 

「なるほどな、どうりで誰もしらないわけだ」

 

「ああ、シルバーディスクがなければ唯の洞窟にしか見えないしな」

 

剛騎士が感心したようにぼやき、嵐騎士が納得したように頷くと彼等は回廊へと足を進める。

 

最初は石畳の回廊の壁には三人が見知らぬ文字が書かれており神殿のような印象を受けるそのまま彼等は進むと大きく開けた場所へとたどり着くその空間は壁や天井が淡い光を放っており柱が真っすぐ並びその柱は表面は見慣れない刻印が刻まれておりどこか浮いた印象を受けるそして並んだ柱の先には階段がありその先に白い光を放つ物があった。

 

「これが・・・ゲートなのか?」

 

「恐らくはな・・・想像と随分違うが」

 

「なんだこのガラスと輪っか?扉にゃとてもみえねえぞ」

 

彼等の視線の先には透明なガラスのような材質の直径10mくらい円盤がありその上には一部が欠けた白い輪っかが5本重なるようにして浮かんでいる。

 

「とにかく軽く調べてみよう」

 

「そうだな・・・・・だが」

 

嵐騎士の言葉に麗紅騎士は頷きつつも意味あり気に二人に目くばせをする二人は軽く頷くと瞬時に武器を取り出し構えると柱の影にむけて鋭い視線を向ける。

 

「ああ・・そこにいんのは誰だ」

 

「もしやザビロニアの残党か」

 

「いや・・・この気配は」

 

すると柱の影からフードを被った男が両手を上げながら現れた。

 

「はいはい、降参、降参だからそんなかっかしなさんなって」

 

「その声はまさか」

 

「イヤー久しぶりだねぇ騎士様方」

 

飄々とした声と共にフードが下ろされるとそこには全員が見知った顔があった、どこか掴みどころのない軽薄そうな空気を纏った男、盗賊カイである。

 

「カイじゃないか久しぶりだな」

 

「おう、キングガンダムⅡ世の戴冠式いらいだな」

 

「それにしても何故ここにいる?」

 

「いやーお宝の情報集めている時おたくらを街で見かけてねもしかしたらなんかあると思ってついてきたのさ」

 

「なんだおまえ相変わらず盗賊やっているのか」

 

呆れたようにぼやく剛騎士にカイはムッとした顔になる

 

「オイオイ人聞きの悪い事いうなよ今の俺はトレジャーハンターなんだぜ」

 

「トレジャーハンター??」

 

「そうよ遺跡という遺跡を渡り歩き狡猾な罠や凶悪な魔物を切り抜けお宝を手にする夢追い人の事さ」

 

「おおっすげーかっこいいなそれ!!」

 

「だろう」

 

歌うようにトレジャハンターの素晴らしさを喧伝するカイに感銘を受ける剛騎士だったが麗紅騎士は冷めた表情になり嵐騎士は苦笑いをする。

 

「つまり遺跡荒しという事だろ結局盗賊と変わらないじゃないか」

 

「うっそ・そりゃあまあ・・・アハハハハハ」

 

「あっててめー騙したな」

 

「いやいやこれは言葉の綾っていうやつで!!」

 

言い争いをする剛騎士とカイに嵐騎士は苦笑し後真顔になるとカイに問いかける。

 

「やれやれ相変わらずだな・・・しかしカイよ、本当に良かったのか」

 

「うん、何がだ??」

 

「戴冠式の折、キングガンダムⅡ世から正式にブリティス王国に仕官しないかと誘われただろ」

 

「そうだな、キングガンダムⅡ世もそうだがアントニオ殿も気にしていたぞ無茶やっていないかとな」

 

「オイオイ勘弁してくれよ俺が誰かに仕えるように見えるかよ」

 

「でもよお盗賊するよりかはいいんじゃないか」

 

「それともキングガンダムⅡ世に不満でもあるのか」

 

「いや別にキングガンダムⅡ世に不満があるわけじゃねえよ唯俺は自由が信条でねどうも王宮勤めは肌に合わないのさ」

 

「そうか・・・だが何かあったら相談して欲しいおまえには随分助られたからな」

 

「そうだなキングガンダムⅡ世もカイにあったらそう伝えてくれといっていたからな」

 

「ヘイヘイわかりやした、たく相変わらずのお人よしだな」

 

「そこがあの方の良いところだぜなあ」

 

「フッそうだな」

 

「ああっ」

 

旧交を温めるようにかつての事を思い出しふと和やかな空気が流れるがその時流星の騎士団は何者かの集団がこの場に近づいて来るのに気づいた。

 

「なんだ、この気配は??」

 

「この様子だと6人くらいか??」

 

「オイオイ今度は誰だよ???」

 

「ウーンこの足音からだとどうやら探検しにきた子供って感じじゃないな」

 

カイの言葉に流星の騎士団は武器を油断なく構えるとそこに深いフードを被った武装した集団がやってくる。

 

「フッようやく会えたな円卓の騎士共」

 

「何者だ?!」

 

集団の一人が進みでフードと外套を脱ぎ捨てる。

 

「俺の顔を忘れたか・・・なあ・・・・」

 

「お・おまえは!!!」

 

「オイオイ冗談じゃねえぞ」

 

「ザクエスロードかしかしその姿は!!」

 

嵐騎士と麗紅騎士とカイが驚愕に目を見開く、相手はかつて倒したザビロニアの騎士だったからであるしかしその姿は継ぎ接ぎだらけになり、その瞳は昏く淀んでいた。

 

「フハハハハハ俺はザビロニアの魔術で息を吹き返したのだ貴様らに復讐するためになもっとも動けるようになった時にはザビロニアは滅ぼされた後だったのだがな!!!」

 

「何っ??!!」

 

「まさか他のやつも??」

 

「息を吹き返したのは俺だけさ他は皆朽ちていったがな、まあそんな事はどうでもいい貴様らを地獄に送れればなぁぁぁ」

 

怨念にも似た言葉をはくとザクエスロードは固まっている剛騎士に目を向ける。

 

「フッ俺が生きているのが恐ろしいか剛騎士よ」

 

「いや・・そのよう・・・」

 

剛騎士は言いにくそうかつ首を傾げ悩みなが絞り出すように口を開いた。

 

「おまえ・・・・誰?」

 

その場が一瞬固まりなんとも微妙な空気が流れた、嵐騎士と麗紅騎士がジト目になりザクエスロードは目を見開きワナワナと震え出しカイが呆れた表情になる。

 

「おまえなあ、相手を忘れてどうする」

 

「まったくだ」

 

「そうだぜ剛騎士さんよお・・・・少しは空気読もうぜ前あった事あるだろ・・・・ってどこだっけ??」

 

剛騎士に注意しようとしたカイだったが彼はザクエスロードと会った場所を忘れていたのであった。

 

「貴様等そろいもそろって俺を愚弄しおってまあいいここで貴様等を葬りキングガンダムの奴に苦しみを味わせてやる」

 

「ならば相手になろうザクエスロード、その怨念ここで断ち切らせてもらう」

 

嵐騎士の言葉にザクエスロードは不適に笑うと背後いる仲間の兵士ハイザックに目配せすると彼等らは腕に抱えているのを騎士団に見せた。

 

「フンこれを見て戦えるかな騎士共」

 

「なっ・・き・・貴様」

 

腕に抱えられていたのは幼い少年と少女だった皆怯えた表情でこちらを見ている。

 

「これでわかっただろうこいつらの命が惜しかったら武器を捨てろ」

 

「くっ・・・・わかった」

 

嵐騎士と麗紅騎士は悔し気に答え武器を捨てるそして剛騎士も武器を捨てるが今度は荷物袋を漁り出す。

 

「なんだ貴様武器を捨てろと言ったのがわからんのか」

 

「いやちょっとまて今武器をだすから」

 

「うん??・・・・」

 

剛騎士は荷物袋から武器を取り出し始めるとまあ出るは出るは。

 

バトルアックス5本、ハンドアックス10本、大型ナイフ30本、バトルハンマー15本、ブロードソードにロングソードにバスタードソードにモーニングスターにユニコーンスピアとどんだけ集めているのか敵、味方共々唖然とした表情になる明らかに道具袋の容量を大幅にこえているとしか言えなかった。

 

「んでこれが俺のとっておきのハルバードっとふう・・・・こんなもんか」

 

彼等の前には武器の山が出来上がっていたしかも全部金属製の武器である重量については見当もつかない。

 

「貴様どんだけ持っているんだ!!!!」

 

「まあいい、さあ次は貴様だ盗賊!!」

 

 

ザクエスロードは盗賊カイに声を掛けるがカイは微動だにしなかった。

 

「盗賊???」

 

「なんのようだい?」

 

「なっ!!!??」

 

突然盗賊カイの姿が消えて近くからカイの声が聞こえてくると突然幾条の銀光が奔り子供達を捉えていた兵士ハイザックの手に当たりハイザック達はたまらず手を離してしまい子供達はその隙に逃げ出す。

 

「クソッ逃がすか!!」

 

「そうはいかないってね!!」

 

「何!!!?」

 

するとカイは両手を突き出し呪文を唱える

 

「大気に遍く満ちる精霊よ疾く駆けよ汝ら阻む者はなし・・・・レイウィンド」

 

するとカイの両手から強烈な烈風がザクエスロード達に襲いかかりあまりの風の強さに足を止めるしかなく身動きが出来なくなるハイザックの一人が持っている槍を子供達に向けて投げようとすると。

 

「おらよ」

 

カイが懐から取り出した袋を投げつけるとレイウィンドの風に乗り彼等に炸裂すると中に入っていた砂が目に入り悶える。

 

「しまったガキ共が!!!」

 

子供達を捉えようとするも既に円卓の騎士達が子供達を保護し後ろに庇うと彼等は捨てた武器を拾いあげていた。

 

「助かったぞカイ」

 

「どういたしましてっとそんじゃ後はまかせるぜ」

 

「おう、まかされたぜ」

 

「形勢逆転だな・・・」

 

「クッ貴様等アァァァァァァ」

 

 

ザクエスロードは怒りの声を上げて襲いかかってくるそれに続くようにハイザックも襲いかかってくる。

 

「フッ」

 

麗紅騎士のレイピアとブロードソードが閃光の如くは奔るとハイザックの一人は受ける事も敵わず切り裂かれ倒れ伏し一人はレイピアの怒涛の連続突きに蜂の巣にされ絶命する。

 

「オリャアアア」

 

剛騎士の大剣が地面に叩くと大剣に込められた闘気が炸裂し周囲を吹き飛ばし巻き込まれたハイザック達を粉砕するこれぞガンダム流剛闘法・・・フォースバーストである。

 

仲間が死んだ事を意にも介さずザクエスロードは嵐騎士にバスタードソードで切りつけると嵐騎士は槍の刃でいなすと槍の石突でザクエスロードの腹を突きザクエスロードを後退させる

 

「グックソッ」

 

「どうやら前より力が増しているようだな」

 

「当然だ!!!ザビロニアの魔力を甘くみるな!!!」

 

するとザクエスロードは鋭い剣捌きで嵐騎士に切りつけるその斬撃は嵐の如く荒ぶり闘気の刃が周囲をくだい砕いていく。

 

「ハハハどうした嵐騎士よ我が力の前に怖気づいたか」

 

嵐騎士は斬撃を紙一重で冷静に捌いていくも攻撃できずにいるようだった。

 

「確かに前より力は増したがそれでは俺は倒せん」

 

「何っ??!!!」

 

すると嵐騎士は攻勢に転じ神速の槍捌きで今度は攻め立てていく

 

「くう何故だ何故押されるんだ」

 

「貴様は力は増したがそれに振り回されているだけだおまえは自分の持つ力に負けている!!!」

 

「なんだとオオオオオォォォォ」

 

「ザクエスロードよその悪しき怨念ここで絶つ」

 

嵐騎士は槍に闘気を集中させ神速の踏み込みと共に槍を繰り出しザクエスロードは慌てて受けるもバスタードソードは砕け散ってしまいさらに強烈な衝撃により動きが一瞬止まる。

 

「し、しまっ」

 

「受けてみよこれぞガンダム流槍法 流星槍!!!」

 

嵐騎士の槍が神速を越え無数の残像を虚空に描きながら繰り出されるそれはさながら無数の流星が奔るようであった。

 

「グアアアアアアアァァァァァーーーーー」

 

無数の突きを無防備に受けたザクエスロードは悲鳴を上げながら吹き飛ばされ動かなくなるのであった。

 

戦いが終わり怯えている子供達を落ち着かせ話を聞くと彼等はランスローの街で暮らしている子供達でこの洞窟を秘密基地にしていたらしく森で遊んでいるとき捉えられたらしい。

 

 

「とにかく子供達を街に帰そうその後で改めて調べよう」

 

「そうだな、それに腹が減って来たしな街でなんか食おうぜ」

 

「ヤレヤレまた食事かでもまあ少し休んだ方がいいだろう」

 

「へえー前よりちょっと丸くなったんじゃない」

 

麗紅騎士の言葉をカイが茶化すように言うと、麗紅騎士は鼻を鳴らして照れたようにそっぽを向く。

 

「それにしても腕を上げたなカイ」

 

「そうだよな、呪文とかナイフとか前とは段違いだぜ」

 

「まあ俺も寝てたわけじゃないんでね遺跡とか潜るんにゃこれくらいは出来ないとな」

 

「遺跡荒しの為でなければ、いう事なしなんだがな」

 

嵐騎士と剛騎士の賞賛に照れたように笑うカイに呆れたように麗紅騎士はぼやきふとザクエスロードが倒れている所を見るとそこには呻きながら体を震わせるザクエスロードの姿があった。

 

「なっまだこいつ息があるぞ」

 

「何っ??!」

 

「円卓の騎士共せめて貴様等だけでも道連れにしてくれる!!!!」

 

そうザクエスロードは叫ぶと全身に魔力を漲らせると全身が赤くなっていく。

 

「自爆するつもりか」

 

「やべえぞみんな俺の後ろに来い」

 

剛騎士が全員の前に出ると大楯を構え闘気を収束し完全な防御態勢になりその後ろを嵐騎士と麗紅騎士が固めカイと子供達がさらに後ろに回ると同時にザクエスロードは凄まじい爆発を起こした赤い爆光が周囲を容赦なく吹き飛し衝撃破が辺りを激震させる。

 

爆発が終わり辺りが静かになるとカイは身を起こし辺りを見渡すと無傷の子供達がいたが衝撃を受け止めた流星の騎士団はゲートの所まで飛ばされていた。

 

「おいおまえら大丈夫か」

 

「だ・大丈夫だ特に怪我はないそっちはどうだ子供達は無事か!!?」

 

「ああおたくらのおかげで全員無事だ」

 

とにかく全員無事な事に安堵したその時異変が起こった。

 

「んっこれはシルバーディスクが!!!!」

 

「な・ゲートが動いてんのか」

 

 シルバーディスクが強烈な光を発すると宙に浮かび上がり激しく回転するとそれに合わせてゲートが光だし回転しだす。

 

    ・・・・・MS・・・・確・・・・

 

            ・・・・・座・・・・定

 

まったく知らない無機質な音声が響きわたると最後にある言葉が響き渡る。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・フロニャルドへの転移を開始します。

 

「何フロニャルドだと!!!!」

 

するとカイの動揺し慌てた声が響く

 

 

「おい一体全体どうなってんだ何が起こってんだ」

 

「カイ!!!キングガンダムⅡ世に伝えてくれ我らはフロニャルドへの道を発見したとそして子供達を頼む」

 

その言葉が終わった後ゲートが一際強い光を放つと流星の騎士団の姿はなく辺りを静寂がつつみそしてあまりの事態に呆然としているカイと子供達だけがいたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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