ナイトガンダム物語 円卓の騎士伝説 異聞編   星命樹マナ探索行   作:にしかわ

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遅れてすいません仕事等でモチベーションが上がらずなかなか書けませんでした。


邂逅は予兆と共に 箱庭の少女

ビスコッティ共和国

 

フロニャルドにある国の一つで住民は犬の耳と尻尾を持つ人が多い、穏やかな国である、この国を治める姫ミルヒオーレは国民からとても慕われておりその歌声は国の内外に関わらず大変な人気があるという、今この国ではその姫がコンサートを行っていた。

 

一人の姫が舞台で歌い踊る人々の為に今だ見ぬ数多の命の為に、ならばこれは一つの神楽舞だろうかしかし、ここまで無垢なる祈りと共に歌う女性は果たしてどれ程いるだろうか。

 

その歌声は祝福となって観客達にそして幾多の生命に降り注ぐこの姫の優しさと思いやりの心こそがこの力の源泉であるという事は疑いようがない、正に神に愛された歌姫と言えるであろう。

 

「みんな今日は来てくれてありがとう」

 

歌い終わったミルヒオーレ姫は観客達にお礼を言いそれに答えるように観客達は大歓声を上げる。

 

「さて実はみんなに重大な発表があります」

 

重大な発表という言葉に観客達はどよめき声をあげるそれは一体なんなのか。

 

「なんとこの年末に勇者様達をおまねきして年末の大イクサ興行を行おうと思います!!!」

 

ミルヒオーレ姫のこの発言に観客達から大歓声があがり皆一様に興奮し場の空気が盛り上がる。

 

「色んなイベント等が沢山ありますからみんなで目一杯楽しみましょうさらに勇者様だけではなく遠くからお客様をお迎えしようと思います!!みんな笑顔でお迎えしましょうねどんな方々なのかは当日までの秘密です楽しみにしていてくださいね」

 

観客の歓声が高くなるみんなまだ見ぬお客様を楽しみにしているようだった基本フロニャルドの人々は来訪者には寛容なのである。

 

「そういう事なのでみんな頑張って参加して楽しいイクサ興行にしましょうね!!!」

 

観客達の大歓声を背に浴びながらミルヒオーレ姫は楽屋へと戻ると控えの侍女達と一緒に一人の女性が待っていた

 

「おお、ミルヒよ今回も中々であったぞ」

 

それは隣国のガレット獅子団領の領主であるレオンミシェリ・ガレット・デ・ロワであった。

 

「まあレオ様、ありがとうございます」

 

「うむ相変わらずでなによりじゃそういえば年末の興行で相談あるそうじゃな」

 

「はい、実は空鯨の方々をお招きしようと考えてましてレオ様に相談しようと思っていたんです」

 

「おお、それは丁度良かった」

 

「丁度良かった・・・という事は」

 

「うむ、ガウルの奴も地上の祭りを見せてあげたいと言うておってのただ何分前例がないのでそちらに何か良い考えがないかと思っていたのじゃ」

 

「そうだったのですか、実はリコが空鯨の民の為の客席を考えていてちょっと見て欲しかったのです」

 

「ほうそれはどんなものじゃ」

 

幼馴染の来訪にミルヒオーレ姫は喜ぶとレオ姫と軽く雑談や今後の興行の事で色々話たり等楽しく会話を弾ませるとそこへ険しい顔をした騎士が一人楽屋へと現れた。

 

緑のショートカットに少し鋭い雰囲気を持った騎士の女性ミルヒオーレ直属親衛隊の隊長エクレール・マルティノッジであった。

 

「姫様!!歓談の途中突然で申し訳ございません、辺境で魔物が現れました」

 

「エッそれは本当なんですかエクレール」

 

「なんと、よりにもよってこんな時にか」

 

突然の魔物の出現に二人は驚くも直ぐに居住まいを正し王族としての顔になると気を引き締める。

 

「はい、辺境警備の騎士の所に商人が血相を変えて駆け込んできて、大型の魔物を見たと」

 

「大型の魔物?どのような姿をしているのですか」

 

「それが、その姿を聞いたリコが調べたら恐らく太古の昔に封じられた伝説の魔物・・・山砕きの魔爪ではないかと」

 

「なんですって」

 

「なんと」

 

「まことに勝手と思いますが火急の事態故に姫様に了承を取らず各国に連絡しています」

 

「いえ、良くやって下さいましたエクレ・・・レオ様」

 

「うむ、わしらガレット獅子団領も力を貸そう」

 

レオ姫の力強い言葉にミルヒオーレ姫は表情を嬉しそうにすると侍女達に戦闘準備をするように命じるのであった。

 

 

 

鏡面の如く磨き上げられた床に壁には幾本かの木刀が掛けられているそれ以外は特に飾り気のない普通の道場だが

そこに流れる空気は清冽だった。

 

武は幼子心にその空気が好きだった、穏やかな気性なれどやはり剣士の性を持って生まれたからだろうか、そんな道場に二人の剣士が木刀を持って稽古していた、一人は自分の父、清悟で一人は叔父の和輝だった。

 

互いが切磋琢磨している姿を幼い自分がじっと見ていたやがて稽古も終わり二人は自分達をじっと見つめている武に気づき笑顔になると武の頭をなでる大きくごつい手なれど優しく力強い手が好きだった。

 

武は気づくああまたこの夢かと、もう二度と見る事叶わぬ光景だった。

 

 

武は夢から醒めると自分が簡素なベッドの上で横になっている事に気付いたふと頭に布が巻かれている事に気付くどうやら治療がされているらしく痛みはなかった。

 

「ここは?・・・・・」

 

身体を起こし周囲を見渡すと、椅子やテーブル等簡素な木製の家具に蔦で編まれた籠等があり穏やかな雰囲気がする、そして部屋の奥から布で仕切られた場所がありそこは台所なのだろうか火が燃える音と何かを煮ている音が聞こえ薬草の匂いが漂ってくる。

 

「ピィー!!?」

 

可愛い鳴き声が聞こえた時武の目の前に薄い紫の4枚羽の生えた白い髪の妖精が現れた、表情から武を気遣う様子がうかがえる。

 

「よ・・妖精!!!」

 

現世ではほとんど目にすることができない妖精が目の前に現れた事に武は驚く常世等に関わりのある事を仕事にしている彼でも木霊等の小精霊をみた事があるくらいである。

 

妖精は武が気が付いた事に気付くと台所に向かって飛んでいったするとなにやら話し声が聞こえてくる。

 

「リィズどうしたのもしかしてあの人が起きたの?」

 

「ピィー!!」

 

「本当!!それじゃ今行くわね」

 

鈴を鳴らすような美声と温厚な声音がすると布をかきわけ一人の娘が武の前に歩いてくる。

 

「よかった、気が付いたんですね、どこか痛む所ありますか」

 

「えっ・・・ああ大丈夫・・・・・・・痛みはないよ」

 

「そうですか頭を打っていたから心配したけど」

 

「治療は君がしてくれたの」

 

「はいっ!!何事もなくて本当に良かった」

 

目の前の娘は輝くような表情でうれしそうに微笑んだその美しい笑みはまるで辺りが輝かせるかのようだその表情見た武は照れた表情になる。

 

「あ・ありがとう本当に」

 

「?」

 

 キョトンと不思議そうに首を傾げる娘に武は思わず赤面してしまったそれ程目の前の娘は美しかった。

 

 年の頃は武と同じくらいだろうか光沢のある茶色の長髪は背中の下まで伸び微かに波打ち光を放っている。

 肌は上等な白絹のように白いが病的な白さではなく命の息吹に満ち溢れている。

 一見ほっそりしているようでいても出るところは出ておりその体線は女性らしい肉付きと共に優美な曲線を描き足はカモシカのように細かった、白いゆったりとした衣服の胸の部分を押し上る豊かな胸の膨らみは異性の目を否応にもなく引いてしまうだろう、その胸元には蔓がからまった金色の十字架のようなネックレスをかけていた。

 

 その容貌は一度見れば異性はおろか同姓すら見とれてしまうだろうという程に美しく整っており顔のラインは滑らかなカーブを描きすっとした鼻筋も同様であった、薄く上品な唇は上質な口紅を引いたかのような鮮やかなピンク色で可憐かつ優美な曲線を描いている。

 

 そしてなかでも目を引くのはパッチリとした二重瞼の中にある深緑に輝くエメラルドグリーンの鮮やかな瞳であろうかその瞳には穏やかな優しさに溢れていた。

 

 

 

最も驚くべきなのは化粧の類を一切していない事であろうか素でここまでの容貌を持つ女性が果たしてどれ程いるだろうか。

 

 

 

ただ容姿が美しいだけではない魂の美しさが容貌をより引き立てているのだと理屈を越えて理解できてしまうそんな絶世の美を持つ娘に10代の青年がドギマギするのもいたしかたないであろう。

 

「顔が赤いですねもしかして熱があるのかもちょっといいですか」

 

「ね・熱はないよ大丈夫・・・起きても大丈夫だよ」

 

と武の額に手をあてよとしたので武は慌てながらもやんわりとその手を止めた。

 

「そうですか・・・もし辛かったら遠慮せず言って下さいね我慢は体に毒ですよ」

 

「ありがとう・・・・そういえば君は一体それにここは何処」

 

「そういえばまだ名前を言っていませんでしたね、私の名前はアンジェそしてこの子はリィズと言いますここは私達の家で倒れたあなたをここまで運んだんです、あなたは」

 

そう優しい声で自分と妖精の紹介をするアンジュその瞳には好奇心が溢れていた。

 

「僕の名前は鞘八斗 武」

 

「サヤト タケル??」

 

「ああっと性と名前が逆なのかな名前は武で鞘八斗は苗字なんだ」

 

「そうなんですかでは武さんと呼べばいいんでしょうか」

 

「それでいいよ・・・ええとアンジェさん」

 

初対面の娘を名前で呼ぶのに気恥ずかしさを感じるのかややためらいがちに名前で呼ぶとアンジュは嬉しそうに微笑むを浮かべる。

 

「アンジュでいいですよ武さん」

 

「えっ・・・いいの?じゃあ・・・アンジェ」

 

「はいっ!!」

 

「ピィーーー!!!!」

 

そんな二人の様子にリィズが怒ったような声を上げるアンジェははっとした顔になり申し訳なさそうな表情でリィズの方に顔を向ける。

 

「ご・ごめんねリィズ放っておいちゃって」

 

「ピィッ!!」

 

まったくだと言うようにむくれるリィズに苦笑するアンジェの微笑ましい姿に思わず武は笑みがこぼれてしまう。

 

「それにしても驚きました突然空から人が降って来るなんて思っていなかったから」

 

「ピィッ」

 

アンジュの言葉にリィズは相槌を打つ何故か表情には驚きよりも喜びが強いようにも見えた。

 

「驚かせてごめん」

 

「そんな謝らないで下さい、でもどうして空から??」

 

「それは・・・・・・」

 

武はいままでの事をアンジェに説明したアンジェは真剣な表情で説明を聞きホウっと息をついた。

 

「それじゃタケルさんはその人に連れられてここに来られたんですね」

 

「うん、それに、どうやら自分のいた世界とは違うみたいなんだ」

 

「えっ違う世界??」

 

どういう事かわからず困惑するアンジェに武は内心苦笑する突然異世界なんて言われてもわからないだろと。

 

「アンジェ、地球という言葉に心当たりってある?」

 

「チキュウですか、いえ全く知らないです・・・ごめんなさいお力になれなくて」

 

「いやいいんだ、気にしなくていいよ」

 

「ありがとう・・・・では武さんはそのチキュウという所からきたんですか」

 

「うんそうなんだ正直信じられないと思うけど・・・・そういえばここはなんて言う所なのかな」

 

「ここはフロニャルドという所ですよ」

 

「フロニャルド??」

 

「はい、心当たりないですか」

 

「うん、どうやら僕は本当に異世界にきちゃったみたいだね」

 

武は驚くもなんとも言えない気持ちであったまさか小説などでよくある異世界に転移するとは思ってもみなかったからだしかも自身が当事者になるとは。

 

(昂矢が聞いたらうらやましがるだろうな・・・・・異世界転移だああああって興奮するんだろうか)

 

学校の友人にして同じ退魔士の顔が思い浮かんだがすぐに消し、いまは自分の状況とこの世界の事を調べる必要があるだろう家族もみんな心配しているだろうし早く戻る為にもこの世界事を調べるのは急務といえた。

 

(それに僕をここに誘ったあの人の事も気になるな、・・・あの表情あれは)

 

「ピィッ!!」

 

リィズの心配そうな声が聞こえ思わず武は顔を上げてしまったどうやら考え込んでいたようだ。

 

「タケルさん少し思いつめた顔していますよ」

 

「えっ・・・・そう見えた」

 

「ええでも無理はないと思います突然こんな事がおきたら誰だってそうなりますよ」

 

「ピィッ」

 

「でもだからこそあまり思いつめるのも良くないですよ悪い考えばかり浮かんじゃいますから力を抜く事も必要だと思うわ」

 

「そうだね・・・ありがとうアンジェ」

 

武はふっと息をつき肩の力を抜いた確かに思いつめるのは良くないなと思い直し顔に笑みを浮かべお礼を言う、確かに突然こんな場所に飛ばされたが親切で優しい人に出会えたというだけでも最悪ではないだろう。

 

「フフッ、気にしないで下さいあっそういえば武さんお腹すいていませんか今シチューができたんですが」

 

「んっそういえば・・・・・」

 

軽く微笑んだ後にアンジェはそう提案してきた、そういえば朝食を食べてから何も食べてない事を思い出した途端武のお腹が急になりだした。

 

「あっ、お腹がお返事していますね」

 

「ハハッ、そうだね、それじゃご馳走になろうかな」

 

「わかりました今用意するので待ってて下さいね」

 

思わずプッと吹き出したアンジェの姿に思わず武も釣られて笑ってしまう優しくも暖かな空気が流れる不思議と武の中にあった不安感が消えていた。

 

 

 

簡素でもどこか温かみのある円形のテーブルの上に並んだ料理は質素なれど食欲をそそる香りがする、シチューはしっかりと煮込まれており野菜や芋にシチューやハーブの味がしっかりとしみこんでいるようだ。

 

蒸かされた芋に焼いた茸等にはハーブやチーズ等が掛けられておりシンプルながらすごくおいしそうである。

 

「ごめんなさい急だったので簡単な物になってしまって」

 

「そんな事ないよ凄くおいしそうだしなによりご馳走になっているのは僕のほうだし」

 

「そんな、気にしないで下さい武さん、それじゃいただきましょう」

 

「うん、頂きます」

 

「ピィーーー」

 

そう言うと武達は料理に手を伸ばした。

 

食事も終わり武は食後のお茶を飲み一息を吐いた料理は素朴なれどどれもとても美味しくあっという間に平らげてしまった。

 そして片付けを済ませた後まだやる事があるという事でアンジェは台所で薬湯をかき混ぜているどこか嬉し気な調子の鼻歌が聞こえてくる、居間にいる間に武は手持ち無沙汰になったので外の空気を吸おうと家の外に出ると辺りはすっかり日が落ちていた。

 

「もう夜か・・・今日一日色々な事があってあっという間だったな・・・」

 

ふとそう疲れたように呟きながら空を見上げるとそこには絶景が広がっていた。

 

「これは・・・・すごいな、家も結構綺麗だと思っていたけどここはそれ以上だ・・・」

 

 そこには幾多もの色とりどりの星々が宝石の如き輝きを放っていたここまでくるともう明かり等必要ないのではないかと錯覚しそうになる遠くに見える天の川の如く星々の無数の連なりは煌めく星光が重なりカレイドスコープのように様々な色彩を映し出すかのようだったまず武の生きる地球ではありえない光景だった。

 

美し絶景に圧倒され声も出ず武は夜空を見上げる口から洩れる息が冬の冷たい空気に触れ白く煙る。

 

しばし陶然と夜空を見上げているとそこにアンジェが落ち着いた足取りで武の傍にやってきた。

 

「武さん」

 

「アンジェ・・・」

 

「随分熱心に夜空を見上げていますけど星を見るのが好きなんですか」

 

「うん、夜に満天の星々を眺めるのは好きだよ、それにしてもここまで美しい星空を見るのは生まれて初めてかな」

 

「そうなんですか私も星を見るの好きなんです」

 

「そっか君も好きなんだそれじゃ、どんな所が好きなの」

 

「そうですねいつも変わらずそこにいてずっと見守ってくれているようで寂しい時や悲しくなりそうな時夜空の星を見ているとほっとして慰めらたような気持ちになるんです」

 

「そうなんだ・・・・」

 

武はふとある事に気付きアンジュに顔を向けたアンジュはキョトンした表情になる。

 

「アンジュ君はここでリィズと二人だけで暮らしているのかい」

 

「・・・・はい・・・・」

 

その武の質問にアンジェは表情を一瞬表情を強張らせた後少しうつむき寂しげに軽く頷いた

 

「ごめん嫌な事聞いて」

 

「ううん、気にしないで下さい・・・それにみんながいますから」

 

「みんな?」

 

「はい大切な友達達でみんな気の良い子達ですよ明日武さんに紹介しますね」

 

そう楽しそうに言うともう夜も更けてきたという事で二人は家に戻るとそこでアンジェはある事に気付いて赤面してしまった。

 

「あっあのタケルさん・・・・今夜の寝床ですけど・・・その/////」

 

「えっ・・・・あっ/////」

 

そう言われて武は気づくこの家にはベッドが一つしかないのだ17歳の青年がうら若き乙女と一緒のベッドで寝るわけにはいかないだろう。

 

「じゃじゃあ僕は床で寝るよ」

 

「そ・そんな悪いですよ、ちょっと大きめの椅子がありますから私がそこで寝れば」

 

「女の子に無理させるわけにはいかないよ、それにちゃんと寝袋を持ってきているし心配いらないよ」

 

「・・・・わかりましたでもせめて毛布だけでも使って下さい後藁を床に敷きますね夜は大分冷えますけどこれで暖かくなるはずです」

 

「わかったありがとうアンジェ」

 

そうして二人は寝床につくが武は中々寝付けなかったやはり色々あったせいなのだろうか目がさえてしまい寝付けなかったふと隣のベッドで寝ているアンジェに目を向けると偶然アンジェもこちらに目向けておりお互い目があってしまいお互い気恥ずかしさからか視線をそらし天井に目を向ける。

 

「タケルさん眠れませんか」

 

「うんちょっと目が冴えてさ」

 

「そうですよね・・・こういう時何か数を数えると良いですよ」

 

「へえこっちにもそういうのあるんだ」

 

「タケルさんの所にもあるんですか」

 

「うん例えば羊の数を数えたりとか」

 

「わあ・・・なんかとっても可愛い言い伝えですね」

 

「そうだね・・・・・それとアンジェ」

 

「なんですかタケルさん??」

 

「今日は色々ありがとう本当に見ず知らずの僕にここまでしてくれて」

 

「そんなお礼を言いたいのは私の方です」

 

「えっ??」

 

「お客さんをもてなすのは初めてだったから武さんには不謹慎だと思いますけど楽しくて嬉しかったんですごめんなさい」

 

「・・・・・」

 

 アンジェのその言葉とそこに込められた寂しさと悲哀を感じ何とも言えない気持ちになり何か言おうとしたが気にしていないと返答するとそうですかと安堵したような返事が返ってきた。

 

 気を取り直し武は目を瞑ると段々睡魔が押し寄せてきて眠りえと落ちていくその間際にアンジェの穏やかな寝息が聞こへてくるそして武は眠りへと落ちるのであった。

 

 

 

 

「ウッここは・・・・・」

 

嵐騎士ガンダムマークⅡは呻くと体を起こした周囲を見渡すとすぐそばに剛騎士ヘヴィガンダムと麗紅騎士レッドウオーリアが倒れており慌てて二人を起こす。

 

「二人共大丈夫か起きれるか」

 

「ムウッ・・・嵐騎士か・・・大丈夫だ・・・」

 

「むにゃむにゃ・・・あ、おばちゃん肉大盛でお願い・・・・」

 

「こっちは・・・・大丈夫そうだな」

 

「そうだな・・・・・」

 

 寝ぼけながらも食堂で食事する夢でも見ているのか呑気に寝言を呟く剛騎士に二人は安堵とも呆れともつかない溜息を漏らすしかしこのままにしておくわけにもいくまい二人は剛騎士を揺り動かすしかし中々起きない。

 

「オイ早く起きろ剛騎士」

 

「仕方がないこうなれば」

 

「何か手があるのか麗紅騎士」

 

「ああ・・・・あまり気は進まんが・・・」

 

そして麗紅騎士は剛騎士の耳元でこう囁いた

 

「おばちゃんスペシャルグリーンサラダ大盛キノコのバターソテーを添えて三人前で頼む」

 

「ウオオオオオ俺は野菜は嫌いなんだ特にキノコは無理なんだヨオオオオオってハッ」

 

「起きたか剛騎士・・・・」

 

若干ゲンナリした様子で麗紅騎士が呟くが

 

「おう二人共どうしたんだってここ何処だあ食堂じゃないのか」

 

「まだ寝ぼけているのかおまえは・・・・」

 

「エッあーーーそうだ俺達にゲートに飛ばされてつうかここ何処だ」

 

慌てて立ち上がり周囲を見渡す剛騎士と共に二人は辺りを見ると前までいた場所とは違う場所であった神殿のような場所ではあるが辺りを植物の蔦が覆われている。

 

「どうやら目的の場所には着いたみたいだな」

 

「そのようだなムッあれは・・・・」

 

「どうした麗紅騎士??」

 

麗紅騎士は何かを見つけのか指を斜め上向けるその先には巨大な大樹のレリーフがあった。

 

「これはまさか星命樹マナの絵なのか・・・・」

 

「恐らくはな」

 

「なあ一番上にいる女性がいるけどありゃ誰だ」

 

剛騎士の言葉に二人は視線をさらに上に向けるとそこには女神のような女性が描かれておりその手には荘厳な剣が握られている。

 

「わからないなアントニオ殿も星命樹マナについては不明な所が多いと言われているからな」

 

 嵐騎士はそう言うと改めてレリーフを眺めるそこには大樹から光が地上に降り注ぎそこから木々や植物が生え始めその周りには人々が跪づき崇めている姿が描かれているそして木の周囲には妖精や精霊が嬉し気に飛んでいる姿があった。

 

「とにかくよおここにいてもしょうがないから外へ出ようぜ」

 

「そうだな・・・そういえば嵐騎士シルバーデイスクはどうだ」

 

「ああそういえばムッこれは・・・・」

 

嵐騎士はいつの間にか手元に戻っていたシルバーデイスクを改めて見ると今まで白銀に輝きがうそのようにくすんだ色になっており力を失っているようだった。

 

「シルバーデイスクが・・・・」

 

「まいったなこりゃこれじゃ戻れないぜ」

 

「いやユーサーガンダム様達は戻る事が出来たんだ何か他に方法があるかもしれない要は探し物が増えただけだ」

 

「それならなんとかなるだろう諦めない限り道は必ずあるってキングガンダムⅡ世も言っていたしな」

 

「ああっその通りだ」

 

「フッ今回ばかりは剛騎士に賛成だな」

 

剛騎士の力強い言葉に二人は力強く頷くそうこの俯仰不屈の精神こそ円卓の騎士の素養の一つなのかも知れないそれこそが如何なる邪悪にも立ち向かう力の源なのだから。

 

そう決意を新たにした三人は改めて遺跡の探索を始めた余り大きな遺跡ではなく特に何か落ちている訳でもなく直ぐに外への階段を見つけ階段を昇ると外の光が見え始めると三人は歩を早め遺跡の外へと出た。

 

「やっと外に出られたな・・・・んっ?」

 

嵐騎士が背後を見ると階段に石畳がせり出し蓋をしそこに植物の蔓が覆い完全に隠してしまった。

 

「ここまで厳重に隠すとは余程この世界を守りたかったのだろうな」

 

「そうだな・・・・・」

 

「オイ二人共向こうに丘がある行ってみようぜ」

 

「ああ、わかった」

 

剛騎士の言葉に二人は頷き丘の見晴らし良い場所に出ると彼等はそこで絶句するそこには今まで見た事もない神秘的にして美しい光景が広がっていたからであった。

空は紫色だが澄んだアメジストのようであり所々で光の加減か青になったりしており幻想的であった遥か空には幾つか島が浮かんでおりそこから美しい鳥達が飛び交っている遠くの山の稜線には雪が積もっているのが見られ日の光を受け輝きより神秘的に世界を彩っている。

 

「これはなんて美しい・・・これがフロニャルドか・・・」

 

「ああっ天上の楽園とはこのような所を言うのだろうな」

 

「すごすぎだぜこりゃあ・・・・うお空が紫だしかも島とか浮いてるぞ・・・」

 

 流星の騎士団の三人はしばし見とれていたそして確信するここには必ず星命樹マナがある事にここまで神秘的で自然豊かな世界ならば強大な恵の力が生まれても不思議ではないと思うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

朝になりタケルはアンジェの作った朝食を食べた後紹介したい子がいるというアンジェの話を聞き外に出るとアンジェは森に向かって声をかける。

 

 

「ホーーーールーーーーンおいでーーーー」

 

「ピィーーーーーー」

 

すると森から一匹の鹿のような姿をした動物が現れたその姿に武は驚愕する

 

(この気はまさか幻獣か!!!)

 

一見すると鹿のようだが角が銀色で毛皮は純白に輝き四肢の蹄は水晶であった。

 

「フォーン」

 

ホルンと呼ばれた幻獣はその名ように金管楽器のような美しい鳴き声を発すると甘えるようにアンジェにすりよる。

 

「おはよう、ホルン今日も元気一杯ね待っててね今ご飯持ってくるから、それと紹介したい人がいるの」

 

アンジェはホルンに抱きつき優しく抱擁するとホルンは気持ちよさそうにしながら穏やかな鳴き声をはっする。

 

「ほら昨日背中に乗せて運んだこの人よ」

 

アンジェはホルンから離れると武を紹介する。

 

「この方は武 鞘八斗さんというのよ優しい人だから仲良くしてね」

 

ホルンは武を見ると一際高い声を出す、特に嫌っているようではないようだ。

 

「君が僕をここまで運んでくれたんだねありがとう僕は武 鞘八斗よろしくホルン」

 

武の言葉に何かを感じたのかホルンはジッと武を見ると頬ずりをし始めた。

 

「この子随分人なつっこいね」

 

「ええ・・・怪我している所を助けたらなついてくれてそれからずっと一緒にいるんです」

 

「へえ、そういえば友人達って言っていたけど他にもいるの」

 

「はいっタケルさんもきっと仲良くなれますよ」

 

 その後世話になっているのに何もしないのも悪いというタケルの申し出にアンジュは快く頷くと二人でキノコや野草の収穫や薪を集めたりなどを行いその合間に友人達を紹介していくそれは精霊だったり手のひら大の小人のような種族だったり不思議な姿の動物だったり等様々であった。

 

皆一様に温厚にして善良な者達で武とも直ぐに仲良くなったのは言うまでもない。

(アンジェの優しい心がこの場を作っているんだろうな)

そう思い武はアンジュを見るそこにはリィズと一緒に精霊や動物達と戯れる姿があったその様はまるで天上の女神を彷彿させるかのようだった。

 その姿に見とれてしまい思わずじっとアンジェを見つめてしまうその視線に気づいたアンジェは武に向かって優しく微笑むその表情に思わず武は赤面してしまいバツの悪そうな顔になり視線を逸らすも心臓が聞こえてしまうのではないかと思う程高い心音を刻む。

そのな武をみたアンジェは照れているのかなと思い武に近づきその手を取ると友人達の元に赴くと全員が一斉に飛び込んできた。

 

「うわっっと!!」

 

「アッ!!ウフフフ」

 

もみくちゃされた二人はお互い顔をを見合わせるとお互い破顔する楽し気な笑い声が冬の寒さを暖めるかのように当たりに響き渡るのであった。

 

 

夜になりアンジェの家から少し離れた見晴らしのいい崖の所で美しい夜の景色をながめながら武は物憂げな表情になる。

 

(明日にでも出発しないとこのままずっといるのも申し訳ないしなでも・・・・)

 

 武はふとアンジェの事が気にかかった見ず知らずの自分をここまでもてなしてくれたその行動には自分の事を真摯に気遣う気持ちがありそこから、おおよそ裏表とは無縁な少女である事がわかる、しかし明るい言動の中に深い孤独が見え隠れしていた。

 その推測を後押しするように彼女以外に人を全く見かけておらず近くを散策しても他の民家等まったくなく人の気配がなかった。

 

(何故あの人は僕をここに誘ったんだろうかまさかアンジェが関わっているのか・・・・駄目だ情報が足りないか)

 

 色々考えが浮かぶもまとまらず気晴らしに武はジャケットの内ポケットから白色のオカリナを取り出し口に当て吹く素朴な音色が辺りに響き渡り気が落ち着いてくる。

 一心に一曲吹きおえると背後に気配を感じ振り向くとそこにはリィズを肩に乗せたアンジュが立っていた。

 

「オカリナとても上手なんですねタケルさん」

 

「ピィ」

 

「ああ、叔父さんが得意でさ昔せがんで良く聞かせて貰っていてその時見様見真似で吹いていたら自然にね」

 

「そうなんですか」

 

「そうだアンジェも何か楽器とか弾けるの」

 

「私ですか・・私は歌うのが得意ですね良くみんなに歌ってあげるんですよ」

 

「へえ、もし良かったら聞かせて貰ってもいいかな」

 

「いいですよタケルさん」

 

アンジェはにっこりと笑うと手を胸に当て歌い出した。

 

「ラ~~~♪~~~~~♪~~~♫~~~」

 

辺りに染み入るかのように響き渡る美声が歌声となり旋律となり心を震わせるここまで美しい歌を武は知らなかったそれは水晶のように透き通り慈母のように穏やかで包み込むかのようだった。

 

ひとしきり歌いあげると感動して興奮している武に向かってアンジェは少し照れたように微笑む。

 

「すごいな、こんなに美しい歌を聞いたの生まれて初めてだよ」

 

「そんなおおげさですよタケルさん」

 

「そんな事ないよ本当にすごいよアンジェは」

 

「フフッありがとうございますタケルさん」

 

 そうしてふと二人は会話が途切れてしまいお互い沈黙してしまう何か言いたい事があるのに切り出せない沈黙に武は意を決して切り出した。

 

「アンジェ、君に聞きたい事があるんだ」

 

「はい・・・なんでしょうかタケルさん」

 

なんとなく察しが付いていたのだろうかアンジェの表情は固かった。

 

「明日ここを出発しようと思うんだ何処か人里がある所を知らないかな」

 

「ごめんなさい私ここ以外の事全く知らないんです・・・・南の山の向こうに山道が見えたのでそこを通っていけば人里があるかもしれません・・・」

 

半ば予想していた答えだったがそれでも驚かずにはいられなかった。

 

「ここ以外知らないってじゃあ君ずっとここで??」

 

「はい多分そうだと思うんですが・・・・」

 

「多分??」

 

どういう事かと疑問に思う武だったが流石に踏み込みすぎたかと思い罪悪感が沸いてしまうがアンジェはなにか言いたげだった。

 

「アンジェ別に無理して言わなくていいんだ、でも言って楽になるなら言ってもかまわない相談に乗るよ」

 

「ありがとうタケルさん・・・・その・・・・私は三年くらい前から以前の記憶がないんです」

 

「えっそれってじゃあ家族は・・・・」

 

「わかりません気が付いたらあの家のベッドでリィズと横になっていて覚えていたのは自分の名前とここがフロニャルドという事くらいで後は薬草の知識とか身の回りの事くらいしか覚えていなくて」

 

あまりにも重い真実に武は絶句するまさか記憶喪失で三年間もの間過ごしていたとは思いもよらなかったからである。

 

「そんな・・・・・いや待てよリィズは何か知っているんじゃ・・・」

 

その武の言葉にリィズは申し訳なさそうな表情になり静かに首を振る。

 

「私もリィズに聞いたんですがあの子も何も知らなくて」

 

「そうだったんだ・・・・ごめん辛い事聞いて・・・」

 

「いえそんな先武さんも言った通り誰かにこの不安を聞いて欲しかったんだと思うから少し胸のつかえが取れたような気がします、本当にありがとうございます武さん」

 

「本当にそれだけ・・・・・」

 

「えっ・・・・・?」

 

武はとっくに分かっていた確かに今の言葉は本心でもあるだろうでもそれとは別に自分の事を知りたいという思いが強くなっているという事にも気づいていた。

 

「本当は自分の事が知りたいんじゃないのか・・・」

 

「それは・・・・勿論知りたいですでも・・・・・」

 

「でも?」

 

「何故かわかりませんでもここにいなければいけないと思ってしまって」

 

「もしかしたらここで待っていて欲しいのかもしれないとか、それとも本当はここに誰かが帰ってくるかもしれないと、もしそうなら今度はその人が一人なってしまう、そう思ったら外に行けなくなっていて・・・本当はわかっているんですこのままじゃいけないって・・・・・でも私・・・・」

 

俯いて辛く悲しそうな表情になり重苦しい口調になり絞り出すようにアンジュは自らの苦悩を口にする。

 

「ピィィ・・・・」

 

「アンジェ・・・・・・」

 

その言葉にリィズは悲し気に鳴き武は痛ましげにアンジェを見つめ歯噛みする彼女は本当に優しすぎる辛い時でさえまだ見ぬ誰かを思っているのだから。

 

「アンジェ、君が誰かを思って頑張るのは間違いじゃないでも自分の気持ちに正直になる事も大切だよ」

 

「タケルさん・・・・でも・・・・」

 

「君はとても優しい子だみんなの事を思っているのもわかるでも回りのみんなもそんな君を心配していると思うんだ、だから君は自分為に頑張ってもいいと思う」

 

「・・・・・・ごめんなさい・・・・」

いたたまれなくなったのか家に向かって走り出すアンジェを武はただ見つめる事しかできず拳を悔し気に握り締めた。

 

 

 

 

 

 

 

 その姿を見た者は一様に恐怖するであろうか深い峡谷の底の光届かぬ闇の中でそれは巨体をを揺らしながら歩いていた一見すればその姿は二足歩行する熊であろうかしかし所々が岩で覆われておりその目は赤紫色に禍々しく輝きその手は巨大な鉤爪になっていたその身から溢れる妖気は禍々しく全てを呪おうとしているかのようであった。

 

その魔物は何かに誘われるかのようにある場所を目指しているようであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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