「うぉぇぇぇぇ………」
「だ、大丈夫ですか!?」
「え、もしかしてシン、酔ったの?」
『こいつ、船とか車はダメでしゅ』
俺は海の上にいた。
前はカイオーガの上だが、今は船の上だ。
リーリエやミズキも一緒にいる。
シェイミの言う通り、俺はポケモンに乗るのは
いいのだが、船とか車、飛行機もダメだ。
酔う。そりゃあ酔う。
俺は船の端で洗濯物のように上半身を
海へ向けていた。
「うぉぉぉぇぇぇ」
「シンさーん!?」
『あーあー、だから辞めとけって言ったでしゅ』
「なんか意外。
シン、完璧ってイメージだったし」
「同感です………こんな弱点があったとは」
そんなことないよ、俺だって多分人間だし。
酔うと世界が回り続ける。
『こいつ、意外と弱点多いでしゅよ?』
「え、何?教えて!」
「私も聞きたいです!」
辞めて、色々あったんだから。
だからお願い、俺の思い、届いてくれ。
『まずは辛いものがダメでしゅ』
「無慈悲ぃ………」
「へぇー、知らなかった!」
「私もですけど………シンさんもだったんですね」
もういいや………俺は辛いものがダメだ。
『昔、ナゾの実食べて死にかけてるんでしゅ。
あの時は湖に顔から突っ込んだでしゅね』
「辞めてくれよぉ………」
「えぇ!?いついつ?」
『もう何年前でしゅかねぇ……』
「10年前だよ……もういいだろ」
「………見たかった自分がいます」
『今度寝たとき口に入れて写真撮っとくでしゅ』
「私も欲しいからお願いね!」
………10年前、顔を突っ込んだのはシンオウの
シンジ湖だったな。
確か、その後にギャラドスに頭から
食われたんだったか。死ぬかと思った。
『次は……あれでしゅね。泳げない』
「それはマジで駄目だ」
「あ、復活した」
『今いいとこなんだから寝てるでしゅ』
「ぐへぁ!?」
頭突きで海に突き落とされる。
ちょっ、海!?
「ヤバいヤバい!助けてー!」
『このように、泳げないでしゅ。
正確には、急な水がダメでしゅ』
「シンさぁーん!?」
「リーリエ面白いから見てようよ」
『あ、紐で縛ったから船に
置いてかれることはないでしゅ』
「いつの間に!?」
『酔ってるときでしゅ』
「こ、この恩知らずめぇぇぇ…………!」
「あわわわわ………」
「あははははははっ!」
「はぁっ、はぁっ、リ、リーリエ。
助かった………ありがとう。天使か、君は」
「て、天使!?///」
「てゆーか、港についたんだけどね」
『あー、また久々に笑ったでしゅ』
天使の後ろの2人は悪魔か。
こいつら、俺が海を漂ってるところを
笑ってたし。助けてくれよ。
「で……ポニ島についたね」
『そうでしゅね』
「話を逸らしたみたいだが、忘れねえからな」
「あはは………でも、懐かしいですね」
海に浮かぶ、海の民の村。
俺たちはそこに、やって来ていた。
目的はというと。
「アローラナッシーを見るのでしたら、
確かまた船に乗るんですよね…………」
「ふっwww」
「おいこら、ミズキてめぇ」
『ナッシーアイランド、道中から楽しみでしゅね』
「もう俺はぜってぇ船には乗らねぇ」