「おーい、リーリエ、シェイミー」
「あ、シンさん」
『やっと終わったでしゅか』
「悪いな、時間かけた」
シェイミはリーリエに抱えられており、
2人は祭壇のような場所にいた。
そこには、笛のようなものがあった。
確か、伝承の中で伝説のポケモン、
ソルガレオとルナアーラを呼び寄せた
太陽と月の笛か。
「懐かしいな………」
「え、見たことあるんですか?」
『だからミーも見たことあるって言ったでしゅ』
「あぁ、あの2匹と
会ったのはもう何年前かな………」
懐かしい。
確か、アローラが暗くなった時だったか?
「………あの、シェイミさん」
『ん?なんでしゅ?』
「シンさん、幾つなんですか?」
『あー、そうでしゅねー…………
まぁ、色々事情とかあるんでしゅ。
ミーじゃなくてシンに聞くべきでしゅね。
多分、適当に受け流されるでしゅけど』
「?」
聞こえてるぞー。
まぁ、言う必要もないし、
知っても怠くなるだけだしな。
………ん?
「雨………」
「船に戻る……のは遠いですね、
どうしましょう…………?」
『確か、来る途中に小さい洞窟があった筈でしゅ』
無人島なんかは天気が変わりやすいからな……
グラードン呼べばいいんだが。
「よし、降りだす前に急ぐか」
「はい」
『急ぐでしゅ』
洞窟に逃げ込む。
雨脚が強くなってきたな。
ミズキは………まぁ船に
屋根があるから大丈夫だろ。多分。
連れてきてくれたおっさんもいるしな。
「降ってきましたね………」
『びしょ濡れになるところだったでしゅ』
「ほれ、タオル」
「あ、ありがとうございます」
『ミーのは?』
「俺と共同な」
『先に拭かせろでしゅ』
「へいへい」
髪切ろうかなー。長いと乾くのが遅いし。
そんなことを考えながらシェイミにタオルを渡す。
リーリエに渡したのは使ってない予備だ。
「………いい匂いしますね、
このタオル。ふかふかですし」
「あぁ、エルフーンの毛だしな」
「エルフーンの!?」
「いや、生え変わりの
時期に刈っただけだからね?」
モコモコのポケモンは大体が生え変わりがある。
エルフーンは特にモコモコなので
編んでタオルにした。
「びっくりしました………エルフーンの
タオルって、かなり高いんですよ?」
『え、これしか使ってないでしゅ』
「楽だしな。あげようか?」
「いいんですか!?」
「別にいいぞ、予備だし。また出来るだろうし」
「やった!」
なんやかんやあり、喋っている内に
雨は上がり、雲の隙間から光が指し始めた。
「晴れてきたな、行くか」
『そうでしゅね…………ん?』
「どうしたんですか?」
『………シン、ボールを構えるでしゅ』
後ろ、正確には上。
そこから、光線が降り注ぐ。
「きゃぁっ!?」
「何が……………あぁ、しつこい奴だなッ!!」
「リノ…………ッ!」
黒いポケモンが、襲いかかってきた。
「これは………ネクロズマ!?」
「ネクロズマ…………!?
リーリエ、下がれ!シェイミ!!」
『了解でしゅ、″シードフレア″ッ!!』
緑色の衝撃波が黒いポケモン、
ネクロズマを吹き飛ばす。
洞窟から出て逃げ場を確保することは出来た。
「リノ……ッ!!」
「ちょっと失礼!」
「きゃっ!?」
『危なっ!?』
レーザー連発とかマジで辞めてくれません?
危ないから、俺たち人間よ。
リーリエを抱えて、シェイミを頭に乗せて
船へと走る。
こんな場所で戦えば危険過ぎる。
特にナッシーたちが。的だよ、あんなの。
俺はボールを投げる。
「ガブ、時間稼ぎ頼むぞ!」
「ガブァ!!」
「リノ………!」
ガブリアスがドラゴンクローで
ネクロズマと打ち合う。
本来、トレーナーに捕まえられたポケモンは
指示がないと技を繰り出すことが出来ないが、
「ガブリアスさん、大丈夫なんですか!?」
「大丈夫だ、問題ない」
「それフラグですよ!?」
『ところがどっこい、マジでしゅ』
俺のポケモンは勝手に………もとい、
自由に技を出すことが可能だ。
それなりに絆を深めれば可能。
「リ………ノ………!!」
「っとぁ!危ねぇな!」
『このままじゃジリ貧でしゅ………!
シン、避難が終わったぽいからやるでしゅよ!』
シェイミの言う通り、
島のポケモンたちは奥地に避難したようだ。
ここで戦っても大丈夫そうだな。
「リーリエ、シェイミと船に戻ってろ」
「ですが………!」
「何の問題もねぇよ、ミズキと一緒の方が安全だ」
「………分かりました、気をつけて下さい……」
「万事、任せな。そら行け!」
リーリエがシェイミと走って行く。
当然、ネクロズマは無防備なそれを狙うが。
「ガブリアス、やるぞ」
「ガブァ!」
俺はネックレスのキーストーンに触れる。
ガブリアスが輝き、姿を変える。
「メガシンカ!!」
「ガァブァァッ!!!」
巨大な鎌のような爪を携えたガブリアスが、
ネクロズマのレーザーを弾き飛ばした。