とあるトレーナーとポケモンの放浪旅   作:青い灰

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Z定食、スペシャル

 

 

 

「うーん?どうするかなー」

 

『ミーはマラサダでしゅ』

 

 

現在、俺はアーカラ島のコニコシティ、

アイナ食堂に来ている。

 

今は夕方の4時。

夕食には少し早いので、店は俺1人だ。

シェイミもいるが。

 

定食が食べられる店だとミズキに紹介された。

2人は行かないのか聞いてみるが、

ミズキはニヤニヤと笑い、リーリエは

何故か申し訳なさそうな顔をして断った。

 

なんでもZ定食″スペシャル″というのがいいらしい。

 

 

「んじゃ、Z定食にするかな」

 

『なんか嫌な予感がするでしゅ』

 

 

俺はベルを鳴らす。

すると、店の奥から緑色の髪をした

褐色の肌の少女が走ってくる。

 

年齢は、ミズキたちと同じくらいだろうか。

それか少し上かな?

 

 

「はーいっ、ご注文ですか?」

 

「あぁ、マラサダを1つ、

  あとZ定食の、スペシャルを1つ」

 

「はーい!了解しました!」

 

 

少女は店の奥へ走っていく。

彼女が料理をするのだろうか。

 

と、店のドアが開き、

見覚えのある女性が入ってくる。

 

 

「こんにちはー、ってあれ?」

 

「ん、お前は………」

 

 

誰だったか。

店の少女と同じ褐色の女性。

 

 

「えっ、もしかしてシン!?」

 

「誰だっけ?」

 

「アタシだよアタシ!

  島キングのライチだよ!」

 

 

ライチ………確か………あぁ!島キングか!

 

 

「思い出した!

  大きくなったな!」

 

「でしょう!?待って、変わらなすぎ!?」

 

「懐かしいなー、25年ぶりか!?

  二年前に来た時は会えなかったもんな!」

 

「待ってぇぇぇぇ!?年齢バレるっ!」

 

 

確かあのときは15だったから……

そうか、もう40、ん?

 

 

「いやぁー、40にしては若いな!」

 

「いやぁぁぁぁぁ!!?」

 

『お前はデリカシーを知らないんでしゅか!?』

 

 

そうかー、時の流れは早いもんだ。

ディアルガがしっかりしてる証拠だ。

 

 

「うぅー、酷い………」

 

「あれ、ライチさん?いらっしゃい」

 

「マオぉぉぉ」

 

「うわっ!?」

 

 

俺は25年前にもアローラに来たのだが、

その時に丁度島キングの選定にあったのだ。

 

選ばれたのは同時15の彼女。

いやー、大きくなったものだ。

 

 

「シンが苛める………」

 

「苛めてないぞ?」

 

「あはは………あ、

 Z定食スペシャル、お待たせしました!」

 

「『…………』」

 

 

マオ、と呼ばれた少女から出されたのは、

料理とは、定食とは呼べない代物だった。

 

 

「美味しいのよ、それ」

 

「マジか?」

 

「ふっふーん、お客さん、

  きっとびっくりしますよ!」

 

 

俺はスプーンを手に取り、

料理に手を伸ばした。

 

み、見た目が悪くても美味しいものはある。うん。

多分、きっと、めいびー。

 

 

『え、食うんでしゅか』

 

「えぇい、どうとでもなれ!」

 

 

スープを口の中へ正体不明の具と共に入れる。

 

 

『あ』

 

「どう?どう?」

 

「美味しそう………」

 

 

あ、これヤバい。アカンやつや。

くっっっっっそ不味い。

 

スープは酸っぱく、土のようにざらついている。

具は魚だったようで、切り身は小骨が多い。

普通に味もヤバい。これは子供が食べれば死ぬ。

 

俺はマオを見る。

ニコニコとこちらを見ている。

 

これを不味いというのは罪悪感が………

 

 

「どう?美味しいでしょ!」

 

「くそ不味……ゲフンゲフン、

  トッテモオイシイデス、ハイ」

 

『顔が青いでしゅ………』

 

「いいなー、マオ、私も貰っていい?」

 

「ライチ、俺はさっきマラサダを食べてな、

  俺は一口で腹一杯なんだ、食べてくれ」

 

「え、いいの?」

 

「いいから食え」

 

 

ライチは定食………というか

食べ物とは呼べないそれを口へ運ぶ。

 

 

「うん、美味しい」

 

『「!!?」』

 

「でしょー!」

 

 

俺は黙って金を払い、店を出た。

…………怖い。あの店も、ライチも。

 

あの定食、スペシャルな理由が分かった。

味が。スペシャルすぎる。

 

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