このお話にはエラッタ前の効果など、現在の環境とは異なるカードが登場します。
薄暗い路地裏。人が近づかないような場所に、先ほど遊大のデュエルを監視していた人影が居た。誰かに連絡しているようだ。
『首尾はどうだ?』
「は。やはり貴方のおっしゃる通り……エレメント召喚の際に未知のエネルギーが発生しているようです」
『上々だな。引き続き監視を続けろ。上手くいけば、そのエネルギーを利用して……くくく』
「承知しました。刺客を放ち、さらなる調査を行います」
『ぬかるなよ』
「もちろんでございます」
通信を切る人影。そして闇に紛れて姿を消した。
エリナとのデュエルを終え、遊大は一人帰路についていた。奏とエリナは、買い物に行ってしまったためこの場には居ない。
辺りは日も落ち、すっかり暗くなってしまっている。
遊大はバイクでの帰宅だ。Dホイールと呼ばれるこのバイクは、デュエルシステム内蔵の大型二輪である。
デュエルモードにすると、走行中でも通常と同じようにデュエルできる。オートパイロット付きのハイテクマシンだ。
遊大の年齢は17歳。まだ少年と言っても差し支えない年齢だが、Dホイールを乗り回す事ができた。
「さぁてと、今日の飯は何かなあ~」
遊大は鼻歌混じりにDホイールを走らせる。その時、背後から一台のDホイールが近づいてくる。そのDホイールはかなり厳つい見た目をしており、遊大に対して盛大にパッシングをしてきた。デュエルの誘いだ。
「神代遊大。この俺様とデュエルしろ! まさか逃げねえよな?」
「何故俺の名を知っている? お前、一体何者だ!?」
「俺様が何者かなんてどうでも良いだろう。受けるのか受けねえのか、今すぐ決めやがれ。受けねえってんなら、テメェは腰抜けデュエリストだ。いや、デュエリストを気取ってるただの腰抜けだなぁ!」
明らかな挑発。だが、遊大はその挑発に乗ってしまった。
「何だと!? 俺を腰抜け呼ばわりは許せねー! そのデュエル……受けて立つぜ!」
遊大はDホイールのスイッチを押してデュエルモードを起動する。これでDホイールはデュエルモードとなった。その旨のアナウンスがディスプレイから流れる。
「おい。癪だがこうしてデュエルに乗ったんだ。名前くらい名乗れ!」
「ふん、まあ良いだろう。俺様の名は
(権藤…高圧的で傲慢な奴だな。まあ良い今は──)
Dホイールは公道を離れ、専用のデュエルレーンに侵入して行った。
「デュエル!」「デュエル!」
●権藤
●神代遊大【LP:4000】
「神代遊大、テメェを軽く捻ってやる。俺様のターン!」
手札を確認し権藤はニヤリと笑った。
「俺様は手札から
「何!? 『強欲な壺』だと!?」
「自分のデッキからカードを2枚ドローする!」
「く…バカな。『強欲な壺』は禁止指定されているカードのハズ…」
「はあ? 何寝ぼけた事ぬかしてやがる。これは公式のデュエルじゃないんだぜ? 禁止カードもクソもねえよ!!」
確かに、公式戦でなければ禁止カードを使用する事はできる。しかしそれはあくまでも両者の合意があってこそ成立するものだ。
「俺様は手札の魔法カード、『天使の施し』を発動ぉ!」
「く…また禁止カードか」
「デッキから3枚ドローし、その後手札2枚を墓地に捨てる!」
また禁止指定のカードを使用し、デッキから3枚ドローする権藤。
「俺は、手札の『レベル・スティーラー』と『処刑人─マキュラ』を墓地に捨てる!」
「くそ、また禁止カード…!」
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『処刑人─マキュラ』闇・☆4
〔戦士族/効果〕(エラッタ前)
①:このカードが墓地へ送られたターン、このカードの持ち主は手札から
ATK 1600 DEF 1200
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「『処刑人─マキュラ』が墓地に送られた事により、俺様はこのターン、手札から罠カードを発動できる!」
「く……」
「俺様は手札から罠カード『刻の封印』を発動する!」
「また禁止……(こいつ、禁止カードでデッキを構成してやがるのか?)」
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『刻の封印』罠カード
①:次の相手ターンのドローフェイズをスキップする。
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「『刻の封印』……(これで次の俺のドローフェイズはスキップされる)」
「俺様は『サモン・ストッパー』を守備表示で召喚してターンエンド!」
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『サモン・ストッパー』地・☆4
〔戦士族/効果〕
①:このカードが表側守備表示で存在する限り、相手は特殊召喚できない。
ATK 0 DEF 2000
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「俺の特殊召喚も封じたか……俺のターン!」
「『刻の封印』の効果で、テメェはドローフェイズを行えない!」
「俺は『盾の勇者 シルドラン』を守備表示で召喚し、カードを2枚伏せてターンエンド!」
遊大は守備モンスターを召喚し、カードを2枚伏せてターンを終了した。守備力2000の相手モンスターは、そう簡単には突破できない。
「俺様のターン!」
そして再び権藤のターンがやってくる。
「俺様は手札から魔法カード『苦渋の選択』発動!」
「何!?」
『苦渋の選択』は、自分のデッキから5枚のカードを選択して相手に見せ、相手がその中から1枚選び、選ばれたカードを自分の手札に加えられる効果を持つ魔法だ。選ばれなかったカードは墓地に送られるが、墓地肥やしとカードサーチができるぶっ壊れ効果を持っている。
「俺様はこの5枚を選択する。さあ、テメェがこの中から1枚選べ!」
遊大のDホイールのディスプレイに権藤が選んだ5枚のカードが表示される。
『いたずら好きな双子悪魔』、『強引な番兵』、『早すぎた埋葬』、『心変わり』、『悪夢の蜃気楼』の5枚を権藤は選んだ。遊大はこの中から1枚を選ぶことになる。全て禁止の魔法カードである。
「くそ…(この中で一番マシなのは『早すぎた埋葬』か…)」
『双子悪魔』と『強引な番兵』は手札を捨てさせる、またはデッキに戻す効果を持っている。『悪魔の蜃気楼』は強力なドロー補助カード。『心変わり』は自分のモンスターをパクられてしまう。ならば…と遊大は結論を出した。
「俺は『早すぎた埋葬』を選ぶ」
「なら『早すぎた埋葬』を俺様の手札に加え、残りは墓地だ。俺様はカードを2枚伏せてターンエンド!」
「(奴の手札は3枚。その中の1枚は『早すぎた埋葬』…)……俺のターン!」
遊大はドローしたカードを確認し、一瞬だけ目を見開く。そしてその後、微かに口角を上げた。
「俺は手札から、『魔法の勇者 マジョルカ』を召喚!
『マジョルカ』のモンスター効果を発動! 1ターンに1度、このカード以外の「勇者」カードを1枚除外し、相手の墓地に存在する魔法カードの効果を使用できる!」
「何!?」
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『魔法の勇者 マジョルカ』地・☆4
〔魔法使い族/効果〕
このカード名の①②の効果は、それぞれ1ターンに1度しか使用できず、②の効果は相手ターンでも発動できる。
①:自分の手札・フィールドのこのカード以外の「勇者」カード1枚を除外し、相手の墓地に存在する魔法カード1枚を選択して発動できる。自分は発動ターンのメインフェイズに1度だけ、選択した魔法カードの効果を使用する事ができる。
②:墓地に存在するこのカードを除外し、相手の墓地または除外状態の魔法カード1枚を選択して発動できる。選択したカードをデッキに戻す。その後、発動ターンに1度だけそのカードの効果を使用できる。
ATK 1000 DEF 300
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「俺は、フィールドの『盾の勇者 シルドラン』を除外。そしてお前の墓地に存在する『心変わり』を発動し、エンドフェイズまで『サモン・ストッパー』のコントロールを得る!」
「貴様…この俺様のモンスターを…。ナメた真似しやがって!」
「これで俺の場には地属性モンスターが2体、そして特殊召喚封じもなくなった!
俺は地属性のエレメントを吸収! 現れろ『スピリットアイズ・エレメント・ドラゴン』!!」
この瞬間、遊大のエースモンスター『スピリットアイズ・エレメント・ドラゴン』がエレメント召喚された。
遊大の墓地には地属性モンスターが1体。よって『スピリットアイズ』は500ポイント攻撃力を上げ、3000になった。
「バトルだ! 『スピリットアイズ・エレメント・ドラゴン』でダイレクトアタック! 轟け、《ガイアフォース・インパクト》!!」
「させるかよぉ! 永続
「何!?」
「500ライフを払い、モンスター1体を通常召喚する。俺様は『マシュマロン』を守備表示で召喚!」
『マシュマロン』は戦闘破壊耐性を持つモンスターだ。
●権藤公司【LP:4000→3500】
「………ターンエンド」
「俺様のターン!」
権藤は終始余裕ぶっている。自分のデッキに絶対的な自信があるのだろう。
「俺様はフィールドの『マシュマロン』と墓地の『レベル・スティーラー』『サモン・ストッパー』『処刑人─マキュラ』を除外し、『禁術王─ヴィンレンディン』を特殊召喚する!」
権藤のフィールドに、きらびやかな椅子に腰かけた服装だけ豪華な骸骨が現れる。
「『禁術王─ヴィンレンディン』は、手札にこのカード以外のモンスターが居ない時、自分フィールドと墓地のモンスターを全てゲームから除外した場合のみ特殊召喚できる。そしてその攻撃力は、除外されている自分のモンスターの数×1000ポイントになるのだ!」
現在、除外されている権藤のモンスターは4体。つまり攻撃力は──
「攻撃力……4000……」
「はっはあ! 俺様は『禁術王─ヴィンレンディン』で『スピリットアイズ・エレメント・ドラゴン』を攻撃!」
「
このカードは「スピリットアイズ」モンスター1体の戦闘で発生する自分へのダメージを0にする!」
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『スピリット・バリア・フォース』罠カード
①:自分フィールドの「スピリットアイズ」モンスター1体の戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージを0にする。
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「ふん。だが、『スピリットアイズ・エレメント・ドラゴン』は破壊され、お前の場はガラ空きとなる! ターンエンドだ!」
「俺のターン!」
遊大の手札は3枚。フィールドには伏せカードが1枚しかない。対して権藤には攻撃力4000の『禁術王─ヴィンレンディン』と伏せカードが1枚ある。手札は2枚。状況は遊大が圧倒的に不利だ。
「この瞬間、『禁術王─ヴィンレンディン』の効果発動! 相手ターンのスタンバイフェイズに1度、自分のデッキのモンスター1体をランダムに除外する事ができる!」
「何!?」
「俺様はデッキから『八汰烏』を除外。これで『ヴィンレンディン』の攻撃力は5000。圧倒的な攻撃力だ!」
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『禁術王─ヴィンレンディン』闇・☆10
〔アンデッド族/特殊召喚/効果〕
このカードは通常召喚できない。手札にこのカード以外のモンスターが存在しない場合、自分フィールドと自分の墓地のモンスターを全て除外した場合のみ特殊召喚できる。
①:このカードの攻撃力・守備力は、ゲームから除外されている自分のモンスターの数×1000ポイントアップする。
②:相手ターンのスタンバイフェイズに1度、自分のデッキのモンスター1体をランダムでゲームから除外する事ができる。
ATK ? DEF ?
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「なら俺は、墓地の『魔法の勇者 マジョルカ』を除外して効果を発動! 相手の墓地の魔法カードをデッキに戻し、その効果を発動する。俺がコピーする効果は『強欲な壺』だ!」
「何!?」
「従って、俺はデッキからカードを2枚ドロー!」
これで遊大の手札は5枚。
「俺は手札から魔法カード『勇者交換』発動! このカードは、手札の「勇者」モンスター1体を墓地に送り、デッキから「勇者」カードを1枚手札に加える。俺は『影の勇者 シャードル』を墓地に送り、『閃光の勇者 キラボシ』を手札に加える!
さらに、『閃光の勇者 キラボシ』はドロー以外の方法で手札に加わった時、特殊召喚できる。来い!」
遊大のフィールドに『キラボシ』が特殊召喚される。
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『閃光の勇者 キラボシ』光・☆5
〔戦士族/効果〕
①:このカードがドローフェイズ以外で手札に加わった時に発動できる。このカードを特殊召喚する。
②:1ターンに1度、自分の除外状態の「勇者」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを効果を無効にして守備表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは光属性となる。
ATK 2000 DEF 1000
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「『閃光の勇者 キラボシ』の効果。除外されている「勇者」モンスターを効果を無効にして守備表示で特殊召喚できる。俺は除外されている『盾の勇者 シルドラン』を守備表示で特殊召喚!」
遊大のフィールドには『閃光の勇者 キラボシ』と『盾の勇者 シルドラン』の2体と伏せカード1枚、手札が3枚。
権藤のフィールドには『禁術王─ヴィンレンディン』1体と永続罠の『血の代償』。そして伏せカード1枚、手札が2枚。
しかし『ヴィンレンディン』の攻撃力は5000。簡単に越えられるものではない。
だが、遊大の表情に絶望はなかった。むしろ、不敵な笑みさえ浮かべている。
「…この効果で特殊召喚した『シルドラン』は光属性となる」
「……光属性だと? ということは、奴のフィールドに光属性モンスターが2体…まさか!?」
「そのまさかだ! 俺は
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『エレメント・リ・バース』罠カード
①:自分の墓地に
②:①の効果で特殊召喚したEモンスターは、フィールドから離れた場合に除外される。
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「『閃光の勇者 キラボシ』と光属性となった『盾の勇者 シルドラン』をデッキに戻し、墓地の『クリアアイズ・エレメント・ドラゴン』をその属性で特殊召喚する。蘇れ、『スピリットアイズ・エレメント・ドラゴン』!!」
「…チッ! 性懲りもなく戻って来やがったか。だが、そのヘナチョコの攻撃力じゃア俺の『ヴィンレンディン』は倒せねぇ!」
「…それはどうかな?」
「何──?」
「俺はこのターン、まだ通常召喚を行っちゃいない。俺は手札から『一番槍の勇者 イナオマ』を召喚!」
大きな槍を掲げた赤い甲冑のモンスターが現れる。
「さらに手札から速攻魔法『勇者特攻』を発動! その効果により、俺の場の「勇者」モンスター1体の攻撃力を2倍にする!」
「何だと!?」
「ただし、この効果を受けたモンスターは相手を直接攻撃できず、効果は無効化され、エンドフェイズに破壊される」
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『勇者特攻』速攻魔法カード
①:自分フィールドの「勇者」モンスター1体を対象として発動できる。対象のモンスターの攻撃力を倍にする。このターン、選択したモンスターは相手を直接攻撃できず、エンドフェイズに破壊される。
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「そして『一番槍の勇者 イナオマ』は攻撃した場合、ダメージステップ終了時に破壊され、俺は3000ポイントのダメージを受ける!」
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『一番槍の勇者 イナオマ』地・☆4
〔戦士族/効果〕
このカードは特殊召喚できない。
①:このカードは攻撃した場合、ダメージステップ終了時に破壊される。
②:このカードが破壊された時、自分は3000ポイントのダメージを受ける。
ATK 3000 DEF 0
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「はっ、自分で3000ダメージ受けるなんて笑っちまうな!」
「だが、『イナオマ』の攻撃力は6000。お前の『禁術王』の攻撃力を上回る。行け『イナオマ』、『禁術王』に攻撃! 《
「ぐおおォォォォ!?」
●権藤公司【LP:3500→2500】
「だが、『一番槍』は破壊され、お前には3000のダメージを受けてもらう!」
「く……」
●神代遊大【LP:4000→1000】
「だが俺の攻撃はまだ残っている! 『スピリットアイズ・エレメント・ドラゴン』でダイレクトアタック! これで終わりだ、権藤!!」
「ナメんじゃねぇ! 『聖なるバリア─ミラーフォース─』だ! これでテメェのいけ好かねえドラゴンは破壊される!」
「…く、『エレメント・リ・バース』効果により特殊召喚されたエレメントモンスターは、フィールドから離れた場合に除外される」
自身の攻撃が反射され、粉々に砕かれ破壊される『スピリットアイズ・エレメント・ドラゴン』。
これでお互いのフィールドにモンスターは居らず、伏せカードもなし。手札は両者とも2枚。
盤面は互角となった。
To Be Continued...