翌日、遊大は寝ぼけ眼をこすりながらDスクールへの道を歩いていた。実は昨日、色々デッキを弄っていたら寝不足になってしまったのである。
というのも、遊大は今日から新しく導入される最新デュエルシステムが楽しみすぎて、色々試行錯誤していたのだ。子供のような男である。
「おはよう遊大くん。……なんか眠そうだね?」
「おはよ遊大。どうせ最新のデュエルシステムが楽しみすぎて寝れなかったんでしょ? お子ちゃまだね〜」
「うっせ! お前らだって楽しみだろ?」
「否定はしないわ」
「私も、否定しないよ」
通学中の彼らに近づく人影がひとつ。その人影は遊大に軽い体当たりを喰らわす。
「おうおう、朝から女子を二人も侍らせて…相変わらず良い身分だな、遊大」
「
「ははは! また自覚がないのがお前らしいっちゃらしいが、そのうち刺されるぞ。背後には気を付けろよw」
「……忠告感謝するよ」
「
「薬師寺おはよ」
「おはようさん」
彼の名は薬師寺康太郎。遊大の親友だ。
「おう遊大、聞いたかよ? 今日新しいデュエルシステムが導入されるらしいぜ」
「ああ聞いたよ。なんか最新式なんだろ?」
「お? 流石にデュエルのことになると情報早いな親友。じゃ、これは知ってるか? なんとそのデュエルシステム、仮想空間で最新のAIとデュエルができるデュエルシミュレーションなんだってよ」
「マジかよ!?」
興奮し声を上げる遊大。その様子は本当に子供のようだ。
「今回はまだ試験導入って話だけど、俺も楽しみだぜ」
康太郎もまたキラキラした目でデュエルシステムについて熱く語りはじめた。この二人、似た者同士なのかも知れない。
遊大と康太郎が熱く語り合っているのを奏とエリナの二人は苦笑いを浮かべながら見ている。いつも通りの朝の風景だった。
教室に着いてもまだ語り合っていた遊大と康太郎だったが、ほどなくして担任の教師が入ってきたため中断を余儀なくされる。
「は〜い、じゃあ朝のHRを始めるわよ〜。みんなおはよう!」
挨拶しながら手に持った大量のプリントを配っていく先生。
「みんなも噂は聞いてると思うけど、我がスクールは今日から最新のデュエルシステムを導入しました。仮想空間を使ったデュエル学習ができる最新式のものよ。今配ったプリントは、そのデュエルシステムについての注意事項や説明が書いてあるわ」
先生はプリントについての説明を開始する。生徒たちはいつにも増して集中し、先生の話を聞いていた。
「まだ試験導入の段階だけど、稼働テストも兼ねてうちのクラスが一番最初に使えることになったから、くじ引きで勝った先生に感謝しなさい?」
先生の言葉に、周囲から「やった」だの「マジか!」だの、色々な声が上がる。
「装置は12台あります。他のクラスとは違って、みんな1度に使えるから、早速行きましょう!」
このクラスはそこまで大人数ではない。むしろ逆で、少人数の精鋭クラスなのだ。その数10人。特Aクラスである。
先生の誘導で生徒たちは教室を出て、システムが置かれている視聴覚室へと移動しはじめた。
視聴覚室。この部屋にデュエルシステムが設置されている。室内には、人一人軽く入れる卵型の装置が12台置かれていた。
「さあ、みんな好きなのに乗って、デッキをセットして電源を入れるのよ」
先生の号令で我先にと装置に殺到する生徒たち。遊大はそんな様子を見ながら、のんびりと欠伸をしていた。
(別に人数分以上あるんだから、焦る必要なんてないのに…)
至極当然の事を思いながら、遊大は一番左端の装置に乗り込んむ。
装置の中は意外と広く、ゆったりとしたソファでとてもリラックスできる空間だった。
ソファに腰掛けると、正面に説明版が設置されているのに気づく。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
①:ヘッドセットの装着
②:デッキの装填
③:電源オン
④:いざ、バーチャルデュエル!!
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
左側を見ると、なるほどデッキを装填するためと思われる窪みがあった。
遊大は自分のデッキを装填する。そして右下にある電源をオンにした。
装置から起動音が聞こえてくる。遊大は待っている間に、上部にあるヘッドセットを頭に装着した。
「おお…」
思わず感嘆の声を漏らす。ヘッドセットには画面がついており、そこに文字が表示されていた。
──────────────────────
プレイヤーの意識を装置内に転送します。よろしいですか?
▶︎はい
▷いいえ
──────────────────────
遊大は装置からの問いに「はい」を選択し、装置の中に意識を飛ばした。
数秒のホワイトアウトの後、遊大の意識は覚醒した。周りには誰もおらず、真っ白な空間が広がっている。
(俺の身体そのものだ。これがバーチャルの世界なのか? 現実と区別がつかない…)
そんな事を考えていると、目の前の空間に文字が浮かび上がった。
──────────────────────
デュエルモードを選択してください。
▶︎ノーマルデュエル
▷ライディングデュエル
──────────────────────
(デュエルモード…? 普通のデュエルかライディングデュエルかを選べるのか? ならば当然──)
遊大は迷う事なくライディングデュエルを選択する。あのスピードの中での高揚感はノーマルデュエルでは味わえない。
選択した瞬間、周囲の景色が一瞬で変わり、遊大はデュエルサーキット上に立っていた。
横を見ると、一台のDホイールが停まっている。
しばらく呆けていると、突然バーチャル的演出で男が一人出現した。
『私は自律型デュエル端末「アンドロイドNo.11」。貴方にデュエルを挑みます』
男は機械的な音声で遊大にそう告げた。
「望むところだ。受けて立つ!」
『では始めましょう』
遊大はDホイールにまたがるとサーキットを走り始める。対するデュエル端末は、あろう事か宙に浮かんで遊大と並走を始めた。
「デュエル!」『デュエル!』
●アンドロイドNo.11 【LP:4000】
●神代遊大 【LP:4000】
仮想現実デュエルシミュレーションシステム──VRDSS。今、そこでひとつのデュエルが開始されようとしていた。
先行はアンドロイドNo.11。後攻が遊大だ。
『まずは行かせて頂きます──私のターン。私は手札から
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『
①:自分のデッキからレベル4「
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
『私はデッキからレベル4の『
地面を割り、巨大な
『『
再び地面が割れ、そこからNo.04より一回り大きな
『私は、『
アンドロイドNo.11のフィールドに、地面を穿ち巨大な岩石巨人が現れる。
『『
「何っ!?」
『私は手札より
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『
〔岩石族/リンク/効果〕
岩石族モンスター2体
このカード名の①の効果は、1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードがリンク召喚に成功した時、手札の「
②:リンク状態のこのカードは戦闘・効果では破壊されない。
ATK 2000 LINK-2
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〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
『
①:このターン墓地に送られた自分の「
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
『そしてこの2体でエクシーズ召喚! 現れろ、『
漆黒の岩石巨人が出現し、その周囲を2つの光球が周る。
『カードを2枚伏せて、ターンエンドです』
●アンドロイドNo.11【LP:4000】 手札:0枚 伏せカード:2枚
「まさか…1ターンでリンクモンスターとエクシーズモンスターを一気に召喚するなんて…。やっぱすげーな、最新のデュエルAI!」
『お褒めに預かり光栄です』
「次は俺の番だぜ! 俺のターン、ドロー!
『なるほど…
「…俺はデッキから『盾の勇者 シルドラン』を特殊召喚してカードを1枚ドロー!」
引いたカードを確認し、遊大はそれを手札に加える。そして別のカードに手を伸ばした。
「俺は『盾の勇者 シルドラン』をリリースし、『大楯の勇者 シルドセルト』を特殊召喚!
『シルドセルト』は「勇者」モンスターをリリースして手札から特殊召喚できるのさ。さらにモンスター効果を発動! 『シルドセルト』が『シルドラン』をリリースして特殊召喚した時、自分フィールドに『シルドセルト』と同じ属性の『シルドセルト・トークン』を1体特殊召喚できる!
俺は、2体のモンスターから地属性のエレメントを吸収し───」
『───この瞬間、私は『
「何っ!? く…俺は『槍の勇者 ランスロー』を守備表示で召喚し、カードを2枚伏せてターンエンド…!」
●神代遊大【LP:4000】 手札:2枚 伏せカード:2枚
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『
〔岩石族/エクシーズ/効果〕
岩石族レベル4モンスター×2
①:自分・相手ターンにこのカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。このターン、お互いにEXデッキからモンスターを特殊召喚できない。
②:X素材を持つこのカードが破壊された時に発動できる。このカードのX素材モンスターを墓地から特殊召喚する。
ATK 2000 DEF 2000
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(…奴はあと1回EXデッキからの特殊召喚を封じてくる。
『私のターン…!』
●アンドロイドNo.11 手札:0枚→1枚
『私は手札から魔法カード『
「…さらに融合モンスターまで…!」
『まだです。
「何だって!?」
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
『秘められし駆動域』罠カード
このカードはルール上「
①:自分フィールドに「
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『現れろ、『
「…シンクロモンスターまで…これでこいつのフィールドにはリンクモンスター、エクシーズモンスター、融合モンスター、シンクロモンスターが勢揃いとは…なかなかどうして壮観だな…」
『これで私のフィールドは万全。バトルフェイズに移行します。私は4体の『
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『
〔岩石族/融合/効果〕
「
ATK 3000 DEF 2000
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〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
『
〔岩石族/シンクロ/効果〕
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
ATK 2500 DEF 1500
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「うわあぁぁぁぁぁぁ!!」
●神代遊大【LP:4000→1000】
『私はこれでターンエンドです』
ターンエンドを宣言するアンドロイドNo.11。彼のフィールドには4体の大型モンスターと伏せカード1枚。対する遊大は手札2枚に伏せカード2枚。ライフは1000。
「(ここから巻き返すには、『スピリットアイズ』を出すしか方法はない。つまり最優先で対処しなければならないのは
●神代遊大 手札:2枚→3枚
「…!? このカードは──!」
その瞬間、遊大の中でカードの連鎖が繋がった。逆転の一手。
「俺は、墓地の『勇者召喚の儀』を除外して第2の効果を発動!
レベルの合計が儀式モンスターのレベル以上になるように「勇者」モンスターを除外して、儀式召喚する! 俺は墓地の『盾の勇者 シルドラン』と『槍の勇者 ランスロー』除外し、手札から『轟雷の勇者 サリダン』を儀式召喚!」
激しい雷が降り注ぎ、その中から一人の青年が姿を表す。
「『轟雷の勇者 サリダン』が儀式召喚に成功した時、相手はそのターン中魔法・罠・モンスター効果を発動できない。さらに手札から速攻魔法『転生の羽根』を発動!
自分フィールドに「勇者」モンスターがいる時、「勇者」モンスター1体を対象に発動でき、対象のモンスターをリリースし、そのモンスターと同じレベルのモンスター1体をEXデッキから特殊召喚する。この時に特殊召喚したモンスターの属性は対象のモンスターと同じになる」
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『転生の羽根』速攻魔法カード
このカードは自分フィールドに「勇者」モンスターが表側で存在する場合のみ発動できる。
①:自分フィールドに表側で存在する「勇者」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターをリリースし、同じレベルのモンスター1体をEXデッキから特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの属性は、対象のモンスターと同じになる。
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「俺に力を貸せ! 来い! 『スピリットアイズ・エレメント・ドラゴン』!!」
美しいドラゴンがフィールドに舞い降りる。その瞬間、アンドロイドNo.11の瞳が妖しく煌めいた。
To Be Continued...
今日の1枚。
『勇者召喚の儀』魔法カード
①:自分フィールドにモンスターが存在しない場合に発動できる。デッキからレベル4以下の「勇者」モンスター1体を特殊召喚する。相手フィールドにモンスターが存在する場合、さらにカードを1枚ドローできる。
②:墓地のこのカードを除外して発動できる。レベルの合計が儀式召喚するモンスターのレベル以上になるようにフィールド・手札・墓地から「勇者」モンスターを除外し、自分の手札・墓地から「勇者」儀式モンスター1体を儀式召喚する。