ガンダムビルドダイバーズ Trident Side Stories 作:らとっさん
大丈夫かなぁ、今後こんなので
キャラ視点として美都パートがあるのだけど、キャラ視点が久々で書き方が覚束なかったり(汗
ちなみに今回、チラッとTwitterのガンダム界隈ではそれなりに有名な某巫女様が(本人承諾の上で)出演しております。今後も出す予定です←
夜
私は先程手にしたガンプラの事をPCで調べていた
「あった……これだ」
某画像投稿サイトの百科事典の項目が出てきて、それを開き、機体の詳細を見た
MSN-06S シナンジュ
OVA『機動戦士ガンダムUC』に登場するニュータイプ専用モビルスーツであり、ネオ・ジオン軍残党『袖付き』の実質的指導者、フル・フロンタル大佐の専用機
第二次ネオ・ジオン抗争が終結した後、地球連邦軍の宇宙軍再編計画『UC計画』の一環としてアナハイム・エレクトロニクス社が開発した試作モビルスーツであるシナンジュ・スタインを、袖付きが「フロンタル専用機」に相応しいカスタマイズを施した機体である
「ジオンって事は、この機体自体、敵の機体って事なんだ」
だとすれば彼は悪役でも演じているのだろうか
そうしてページを下っていくとバリエーション機に関する項目を確認する
先程のシナンジュ・スタインについては勿論だが、他にもネオ・ジオングやヴァイスシナンジュと、色々存在はしているらしい
だが、その中にもう1機、登録されているバリエーション機があった
MSN-06Fs シナンジュ・グレイスリィ
GBN(ガンプラバトル・ネクサス・オンライン)にてランカーダイバーのアーサーが使用するガンプラ
HGUCシナンジュのカラー変更、及びエングレービングを減らし、派手さを控え目にしている程度しか外見的な違いは無い
しかし関節部などの可動域に関しては改造を施しているらしく、肩関節はHGUCシナンジュ・スタインの物を加工して取り付けているとの事
また使用しているビームトマホークに改良を施しており、ライフル銃身下部に接続し、銃剣として使用できるようにしている
先程触った時は細部まで分からなかったが、ここまで拘って製作されていた。と言うのが、この記事で初めて理解した
とはいえ、ガンプラに触るのは後にも先にもこの一度っきりのはず
特別、アルトリウス先輩に魅かれているとかそういうのは決して無いから、この話はこれでおしまいにしよう
と思い、私がPCを閉じようとした時に、扉をノックする音が聞こえる
「美都―、入るよー」
入ってきたのは妹の
「どうしたの、海冬?」
「明日、暇? ちょっと付き合ってほしい所あって」
「予定は無いけど……何処いくの?」
「お台場、ダイバーシティの……ほら、ガンプラとか売ってる所」
「えっ」
「友達からGBN? ってゲームに誘われてさー。折角だから美都もどうかなって……あれ?」
海冬がPCの画面を覗き込む
そこにはまだブラウザを閉じていなかった為、未だに表示されていたシナンジュが居た
「ははーん?」
海冬がにやけ顔で私を見てくる
「や、これは違……」
「行こ?」
眩しい笑顔である
私は妹の笑顔に負ける情けない人間だ
実際、海冬とケンカは全くした事がなく、常に仲良し姉妹だ
というか、妹の可愛さのあまり甘いのである
こんな笑顔を見せられたら、肯定する他なかった
「ハイ」
◇
翌日、午前
海冬と共に目的地であるダイバーシティの入口前に到着して、およそ10分ほど待っている
相手は勿論、海冬をGBNに誘った友人であるが……話を聞いたところによれば、今年留学してきた女の子らしい
ガンプラが好きとは、物好きな女の子も世の中に居るんだと私も世間の広さを知った
今、私はダイバーシティの目の前で一際目立つ建造物を見上げている
言わずもがな、1/1のリアルサイズのガンダムだ
ニュースなどでこのガンダムが話題になった事は知っている。ここ最近になって、新しい機体に変わったというのも知っていた
ただ、それが件のシナンジュの相手をしたユニコーンガンダムという事は知らなかった
ダイバーシティに行くという話になってから、あの後もう少し調べてみた
ユニコーンとシナンジュ、この2機はある種の兄弟機であること
ユニコーンが主人公の乗る機体でシナンジュがライバルの乗る機体
お互い、何種類かバリエーションがあること
あとユニコーンは変身してガンダムになるが、お台場に設置されている物は構造上、完全再現は出来なかったが可能な部分に限り、一定時間ごとに変身させているとか
まぁ、そんな所だろう
ちなみに今、私の前に居るユニコーンは変身前の状態。ユニコーンモード、と言うのになっている状態だ
「美都―」
ボーッと純白のユニコーンを見上げていた私に海冬は声をかけてくる
「もうすぐ着くって」
「お友達?」
「うん、今駅から出たって」
「そかー。で、私にも秘密にして作っていたというガンプラさんはちゃんと持ってきた?」
「持ってきたよ。ほら、これ」
海冬は全身青っぽいガンダムの様な顔をしたガンプラを見せてくる
何と今回の話になったのにも訳があり、海冬はGBNをプレイする前にガンプラとプレイヤーデータが記録されている台座状の端末『ダイバーギア』を購入してアバターの作成など、今すぐにでもプレイ可能の状態まで準備していたのだ
「これ、何てガンプラ?」
「えーっとね、ペイルライダーっていう機体。これ、本当は通販限定みたいなんだけどね」
「え、じゃあどうやって買ったの?」
「秋葉原のリサイクルショップにポンと置いてあったの。他にも色んな機体あったけど、何となく『これだ!』って思って」
「へぇー」
「美都はどうするの?」
と、言われても正直気になっていないワケでは無い。昨日のシナンジュの戦う姿を間近で見たい気はしている
だが、それだけなら正直、動画サイトで見ておけば良いだけの話だし、無理してGBNを始める必要も無いと思っているのが現状、私の考えだ
「まぁ、今日体験プレイやってみて、検討かなぁ」
「そっかぁ」
「おーい、海冬―!」
「あ、来た来た! モルちゃーん!」
どうやら、お友達が来たようだ
「お待たせー、待った?」
「ううん、ついさっき来たばっかだよ」
「良かったぁ! いやぁ、実は違う方法のヤツ乗っちゃってさー、間に合わないかと思ったよ〜」
「大丈夫だよ、遅れたとしても待ってたから。あ、美都。紹介するね、同じクラスの留学生のモルドレットちゃん」
「初めまして、モルドレットです! よろしくお願いします、海冬のお姉さん!」
第一印象として、元気っ子。長髪の銀髪で赤い瞳をしている、女の子。気のせいだろうが、既視感がある気がするが、気のせいだろう
「御稜 美都です。いつも妹がお世話になってます。私の事は美都って呼んで大丈夫だよ、タメ口とかも気にしないから」
「良いんですか?」
「うん。喋りにくいかもしれないし、全然良いよ」
「分かった、じゃあよろしくね、美都!」
「うん、よろしくね」
人懐っこい雰囲気のお陰ですんなりと仲良くなれそうな感じだ
GBNの水先案内人としては申し分ないとは思う
「ちなみにモルちゃんのお兄さんと同じ大学だよー、学科違うけど」
「え?」
「へぇー、そうなんだー。ねぇ、美都。兄さんってやっぱり大学じゃ人気者なの?」
「いや、どうだろ……。というか、モルドレットちゃんのお兄さんって誰?」
「モルで良いよ。大学では有名人って聞いたから美都も分かると思うよ。『アルトリウス・レイレナード』って」
「…………」
「ん? おーい、美都―?」
私の頭がフリーズした。そして既視感の正体に気付いたワケだが……まさか身内の友達が彼の身内だと思わないだろう
私も思わなかった
◇
GBN内の
その中の1つのサーバー、ラプラスサーバーの宇宙空間にフォース『アルトゥール』の旗艦である青に塗装されたレウルーラが航行していた
「暗礁宙域、抜けました。ここまでレーダーに異常無し」
「やはり、そう簡単には見つからんか……。このまま本宙域のパトロールを継続だ」
「了解」
ブリッジの管制を行うフォースメンバーから、状況を通達され、艦長を務める『ジーク』の顔は曇る
アーサーの古くからの親友で、基本的にこのレウルーラの艦長を行なっている。時として自身のガンプラを持ちい、前線へ出ることもあるが滅多にない
基本的に戦場の後方支援、また部隊配置の指示をするのがメインだ
そして、ある人物の依頼によりこの暗礁宙域のパトロールをしていたのだが……
「いや、暗礁宙域は離脱だ。メインサーバーのシーサイドエリアの外れにある森林エリア、そこに向かうんだ」
「アーサー、来ていたのか」
フォースの実質的リーダーであるアーサーがブリッジに入り、指示を変更した
「地上に降りるのか?」
「あぁ。ついさっき、アヴァロンのリーダーから連絡が入ってな。新たなマスダイバーが初心者も多く居るサーバーで獲物を横取りしたりだとかするらしい」
アヴァロンのリーダー、即ちGBNのチャンピオン『クジョウ・キョウヤ』からだ。直接アーサー宛にメールが入っており、情報が記載されていた
また今回のパトロールに関しても彼から依頼を受けた物だった。昨今で目立っている不正行為を行うプレイヤーが居ないか、居た場合は『可能な限り、阻止』するようにも依頼されている
「それにモルが今日、友達を連れてGBNにログインするって言ってたろ? 今日が初プレイの子達らしいからな」
「だからモル達に奴らに接触させないように我々が先に始末しておく必要がある、か」
「ベテランも入る事が出来るエリアだ。心ないヤツが初心者狩りしてGBNから離れていくのは見過ごせないしな」
「……了解した」
多くのダイバーが居る分、不正行為はより目立つだろうがかと言って初心者狩りは良いことではない事はジークも理解していた
それも場数を踏んできたとしても、フォース内でまだ比較的始めたばかりのモルドレットが初心者を連れてくると言っても守ることが出来なくては意味がない
アーサーが危惧するのも納得である
ジークは艦内アナウンスをかける
「各員に通達。本艦はこれよりサーバーを移動。メインサーバーへ移り、地球へ降下する」
レウルーラはサーバー出入口へ向け、加速していく
一方で美都達は、ガンダムベース内にてGBNへとダイブしようとしていた
◇
モルちゃんに連れられてガンダムベースへと入った私達。初めて中に入ったけど、やはり専門店というべきか
ありとあらゆる種類のプラモデル、パーツ、道具など多く揃っている
プラモデル初心者でも、ここなら気軽に取り組むことが出来るかもしれない
「やっほー、ナナミさーん!」
「あ、モルちゃんいらっしゃーい! 今日もGBN?」
モルちゃんが店員さんの名前を呼び、それに答える女性店員さん。どうやら彼女は店内でも顔が広いらしい
「うん、受付お願いー」
「はーい、そちらのお友達も一緒かな?」
そう言い、私達を見てくる店員さん。私は少し焦り気味に名乗る
「あ、はい!御稜美都と言います。こちらは妹の海冬です」
「御稜海冬です、よろしくお願いします!」
「私はナナセ・ナナミ、よろしくね! 二人は今日が初めて?」
「はい! 私はダイバーギアとガンプラは用意出来てるんですけど、美都は何もない状態で……」
「じゃあ体験プレイだねー。今、ゲスト用のダイバーギアを用意するけど、ガンプラのレンタルはする?」
「え、そんな事出来るんですか?」
「出来るよ。レンタルのプラモは、そこにある棚から選んでもらうよー。お好みのガンプラがあるかは、保証出来ないけどね」
ナナミさんが苦笑いしながら言う
レンタル用棚に飾られているガンプラを見る……が、やはり何が何の機体なのかが分からない……
勿論、機体の名前は書いてはあるけど……
ガンダムとザクは分かるけど
えっと……
MSZ-006……ゼットガンダム?
RX-93の……ブイガンダム……いや、これギリシャ文字のνか
MBF-P03……ガンダムアストレイ、ぶ、ブルーフレームセカンド……いや長い、長すぎる
何これ……髪の毛ついてる……GN-004ガンダムナドレ……
あとは……いや何これでかっ!? で、デンドロビウム? 花の名前? いや花なんてレベルじゃなくないこれ?????
いや何でこんなに濃いの?
本当にレンタル用のガンプラ!?
メンツが濃すぎるわ!!
ガンダム知らない私でも突っ込むでしょ、この濃さ!
何なの? ガンダムってこんなに数あるの!?
すげぇなガンダム!
「あの……ナナミさん?」
「うん?」
「レンタルは、結構です。GBNへのダイブだけで、大丈夫です」
◇
という事でガンプラのレンタルは行わず、受付完了。プレイスペースに入り、ヘッドギアを装着する
「二人とも、準備できたー?」
モルちゃんが私達の様子を伺ってくる。答えは勿論
「準備出来てるよー」
「こっちもOK!」
海冬も応答。全員の準備が完了したところで……
「それじゃあ、GBNへレッツゴー!」
というモルちゃんの掛け声と共にGBNの世界へ、ダイブした
◇
目を開くと、そこには別の世界が広がっていた
しかし、視点が低く感じる。地面がすぐそこで、人の足元だけしか見えない
「あれ……何これ、バグ?」
初見ゆえに困惑していた私の所に2人分の足が目の前に広がる
その足を辿っていくと二人の人物が見えた
私はその二人の特徴から誰であるかは理解した
「海冬に、モルちゃん?」
「うん! 無事ログインできたみたいで何よりだよー」
「うわぁ、可愛いよ美都―♪」
そういって美都が私を抱えて、頬をスリスリしてきて……
……ん?
「ちょっと待って、何で今、私は海冬に抱えられてるの? どゆこと?」
「あー……それはね……」
モルちゃんがコンソールパネルを弄り、パシャっと音が鳴った
恐らく写真でも撮ったのだろうが……
「はいこれ」
モルちゃんからコンソールの画像を見せられる
「なんじゃこりゃああああああああああああ!!!!!?????」
その姿は球体、私の姿はサッカーボールの如く、白い球体になっていたのだ
「それはガンダム作品では有名なマスコットキャラ『ハロ』だよ。ゲストプレイになると、それになるんだー」
モルちゃん出来ればそれ早く言って欲しかったよ
「でも可愛いよ? 私ならその姿でも良かったかなー」
「動くときは跳ねて動くみたいだけど急に止まれなさそうだけどね……」
海冬に羨ましく思われたけど実際動きにくい事を伝える私であった
「それにしてもすごいねぇ。ここがロビー?」
「うん、そう。基本的にはここを中心として活動することになるかな。ミッションを選んだり、フォース結成の手続きをしたり……後はカフェスペースがあるからそこで情報共有とかするのもありかな」
このロビーに大勢の人間が出入りをしている。中には動物の姿をしたプレイヤーも居れば、私と同じハロの人達も居る
これだけ大勢居て、現状動作に何の問題のない。このゲームサーバーの動作能力にも驚かされる
中央のカウンターエリアには大型モニターが設置してあり、ゲーム情報や今行われているチーム戦などの中継が流れている
今は戦闘中の映像が流れており、私はそれを見つめていた
航空機形態から変形し、ガンダムの姿となったその機体は、各部装甲を展開し、頭と両足に付いた円形のアイテムを飛ばす
そしてそれに向け、大型のライフルで円形のアイテムを狙うとビームが直角に曲がり、相手の機体を破壊。そして、ガンダムは爆発する機体を背にライフルを横に構え、決めポーズをした
『勝負ありィ!! 勝者はフォース「MSを可愛がり隊」のリーダー、「ディープストライカーの巫女」と愛機の「Sガンダムシャード」だァ!!』
そう言って出てきた写真は、乗機のSガンダムとやらと同じ顔をした巫女姿のガンダム(?)だった
ああ言う人も世の中、居るんだな。とか思いながら見ていた
「じゃあ、そろそろ移動しよっか。取り敢えず、海冬にも感覚掴みやすいように、チュートリアルミッション受注してみたから、ハンガーに行こっか」
「はんがー?」
ハンガーって、洋服などかけるあのハンガーかと思っていた時期が私にもありました
◇
まぁハンガーと言えばハンガーではある。ガンプラの格納庫。洋服に置き換えて考えても違和感はない。ただ格納庫は英語で『
私のバカさのあまり恥ずかしくなった
そんな事はさておき、この格納庫を見ると2機のガンプラが鎮座している。一方は先程海冬から見せてもらった『ペイルライダー』
そしてもう1機は赤いザクみたいな機体。シャアザクっぽくも見えるが全体的にザクとはシルエットが違う気がした
左肩の方には身の丈に合わないくらいに大型の大剣が懸架されている
「モルちゃんのその機体、スゴいねー」
「でしょー! 私の自身作だよ、『ヅダ・クラレント』って言うんだー」
「ほぇー。これ、このまんま何かに出てるの?」
「ううん。これは、殆どオリジナルかな。左腕の大剣は自分で作ったし、背中のスラスターは別の機体から取ってきたんだー」
なるほど。クラレント、と言う事はアーサー王伝説でモードレット卿が使用していた剣にちなんでいるのだろう
名前が似ているとは言え、ある意味でモルちゃんとしては運命的なものを感じているのかもしれない
ただ、モルちゃんのヅダという機体を見てからペイルライダーを見てしまうと、どうも見劣りしてしまう感じがある
モルちゃんの機体がだいぶ改造されているからだろうけど
「海冬のペイルライダーは特別改造は施してないんだね」
「まぁ、勿論これからやっていこうとは思っているけど、プレイするならノーマルの状態で良いと思ったからねー」
まぁ、確かにそれもそうで、別にガチでやるつもりが無ければ、そのまま作って遊ぶだけでも問題はないかと思う
しようと思ったら、またその時機体を買ったりしてみて、本気で作って本気で挑む。そんなプレイスタイルでも問題はないかと思う
「それでも良いけど、機体の完成度が性能に比例するからねー。そのまんまの機体でも、それなりに作り込んでみるのも大事だと思うよー」
「そうなの?」
「まぁ、兄さんの受け売りだけどねー」
そうモルちゃんは笑って言った
さて、ここで長話してても始まらない
私達はそれぞれ機体に乗り込み、出撃をする
◇
「モルドレット、ヅダ・クラレント出るよ!」
「ミフユ、ペイルライダー行きます!」
二機のガンプラが打ち出され、探索フィールドへと入っていく
「所で海冬、今回が初めてなんだよね? ノリで出撃してるけど、操作方法とか大丈夫?」
「大丈夫だよ。説明書とか見たし、動画サイトで初心者向け動画とかも見たから、後は慣れや感覚かなー」
そう言って、操縦桿をグリグリと動かし、ペイルライダーをバレルロールさせてみたり急上昇したり急ブレーキを掛けてみたり、色々してみる
「おぉ! すごいすごい! ホントに動いている、このガンプラ!」
「ほぇー、すごい……」
コクピットに同乗していた私でも、その感覚が伝わった
視点の変化からその機動の感覚まで、全てがフィードバックされている感覚である
これを目のあたりにすれば、人気があるのも頷けた。自分の作ったものを自分で動かせる楽しみだけでなく、その乗っている感覚をも感じ取れるとなれば、ロボットゲームとしては最高得点を取れるのは間違い無いだろう
「二人とも、そろそろミッションエリアだよー」
モルちゃんが乗るヅダが横に着いて、通信をしてきた
水色のドームが目の前にある
「アレが今回のミッションエリア?」
「そう。今回はチュートリアルだから、味方の攻撃が当たってもダメージは入らないよ。とは言え、誤射はしないよう気をつけてねー。野良じゃ迷惑行為の一つだからねー」
まぁ、味方に攻撃を当てる事自体、問題であるのは違いないしね
ヅダとペイルライダー、二機はミッションエリアへと入り込む。するとシステムボイスがミッションスタートのアナウンス
同時にターゲットが3機出てくる
「アレが敵?」
「そう、NPDだよ。所謂NPCだね。機体はリーオーって言うんだけど、AIだから気にせずぶちかましてこう!」
モルちゃんのヅダはマシンガンを構え、リーオーNPDに攻撃をする
1機が被弾しつつもシールド防御し、射線を回避していく
「海冬! こっちに1機来てる!」
「分かってる武器は……これだ!」
ペイルライダーの腕が前に突き出され、ビームを撃つ
しかし、そんなにダメージが入っていない
「あれ……?」
「ほ、他に武器は!?」
「こ、これ!!」
焦りつつ海冬が取り出した武器はガンダムの代名詞とも言える『ビームサーベル』。この存在くらいはガンダム無知の私でも知っていたけど……
「も、モルちゃんみたいなマシンガンやガンダムのあのビームライフルとかはないの!?」
「な、ない!!」
「ウソぉ、何で!?」
「知らないよ!? 箱の中に入ってなかったんだもん!」
操縦している本人より焦っている私は何故ビームライフルが無いのか海冬に問いただすも、箱の中にそれが入っていなかったという
そんな状況にも構わず、NPDのリーオーは攻撃をしてくる
「痛い痛い痛い痛い!」
「私達にダメージが入っている訳じゃないけどね!」
海冬のペイルライダーのHPゲージが減っていくのを見て嘆く海冬に、すかさず突っ込みを入れる私であった
その中で、突如敵の攻撃が止む
「ミフユ! 大丈夫!?」
「モルちゃん!」
赤いヅダの援護射撃により、敵の接近を許さず、マシンガンに取り付けられた別の銃口から別の弾丸を撃ち出し、リーオーを1機撃破する
「おぉー」
「すごい……」
撃破するヅダを見て歓声をあげる私達姉妹
「せっかくだからこれ、使って!」
そう言って、ヅダからマシンガンが渡される
海冬は、渡された武器は『ザクマシンガン』。銃身下部にはグレネードランチャーが装備されている。海冬はマシンガンを選択し、その銃口をリーオーへと向けた
「当たれ!!」
リーオーにロックオン、マシンガンを掃射。敵機に当たり、爆発する
「倒した! 倒せたよ、美都!」
海冬が喜び、私の方を向いてくる
その顔は高揚感に溢れている顔だったのだけど……
「ちょっ、海冬!? 前!」
「へ?」
海冬が前を向くと、そこにはビームサーベルを持ったリーオーが迫っていた
「ひゃぁぁぁぁあああああ!!???」
ビームサーベルを振りかぶるリーオー
何も出来ず、ただただそのピンクに光る刀身を見て、身を守ろうとする私達姉妹
だが、それをさせんと来たのが1機
「させるかぁ!!」
当然、同行していたモルちゃんだった
ヅダはバスターソードを持ちかえる。そのオレンジに輝く刀身をリーオーの脳天から切り、そしてバスターソードに着いていたブースターで、自分の身ごと、地面へと叩きつける
落下地点に爆発、周辺には土煙が舞う
「「モルちゃん!?」」
二人して名前を叫ぶと、返事が返ってきた
「大丈夫大丈夫! このくらい大したこと無いよー」
「これでミッション完了?」
「まぁねー。一応、シーサイドエリアのミッションゲートまで行って、だけどねー」
ミッションのクリア方法について説明するモルちゃん。海冬は説明を聞きながら、ヅダの前に機体を着地させる
「なら早い所、戻らないとねー」
「そうだねー。ここで倒されちゃうと、貯めたポイントも全部リセットされちゃうからね。それに……」
何か言おうとしたモルちゃんが一瞬苦い顔をする。通信モニター越しにその顔を見た私は、彼女の様子を気にかけた
「……どうしたの?」
「ううん、何でもないよ! さぁ、早く戻ろ……」
突如、コクピット内で警告音が鳴る
「な、何!?」
「下がって!」
モルちゃんの指示で海冬は即座に機体を後退させる
その瞬間、先程まで立っていた場所にビームが飛んできた。それも地面にクレーターが出来るほどの威力
あと少しでも回避が遅かったら、ダメージを受けていたかもしれない
だが、砲撃は止まらない。あの高威力のビームは私たちに向け、降り注いてくる
ヅダとペイルライダーは森林地帯を後退しながら、その突然の出来事に海冬が叫んだ
「何、なんなの!?」
「敵性プレイヤーからの攻撃だよ!」
「敵性……!?」
「GBNは確かにガンプラを操縦して遊ぶ世界ではあるけど、それでもここはモビルスーツというロボットが戦いあう世界。プレイヤー同士との戦闘も視野に入っている。PK推奨のMMORPGと然程変わりはしないよ!」
「にしたって、あの攻撃力は!?」
プレイヤーとの情報共有は簡単に出来る。特にフィールド上に居るプレイヤーの名やレベルなどは見れば分かるはず
それにも関わらず突如あの威力の砲撃を初心者同然の私達に向けて撃ってきた
初心者狩りにしても、かなりえげつないプレイヤーであることには違いない
「あの威力のメガ粒子砲を撃つには、大型ランチャーか戦艦じゃないと出せないよ……!」
「じゃあ今私達に向けて撃ってきているのは戦艦って事!?」
「いや、上空にいるガンプラは1機だけ!」
「なら1機のガンプラが戦艦の主砲でも担いで来たの!?」
「いや……多分もっとタチの悪いヤツだよ……!」
後退をしていく内に着いたのが湖のある開けた場所だった
そこで漸く砲撃主を視界に捉えることができた。ブルーをメインカラーとして、大型のビームキャノンを3丁近く持ったザクっぽい機体。その機体は何故か、ドス黒いオーラを纏っていた
「あの機体が犯人!?」
「あの機体……YFX-200シグー・ディープアームズの……バルルス改装備!?」
「何それスゴいの?」
「威力はビームライフル程度の無駄にでかいだけの産廃装備だよ」
「えっ」
「だから、あれ単体で高火力を出せるはず……」
とかモルちゃんが言っていた所に、そのバルルス改が火を吹いた
当然その砲撃を回避したモルちゃんと海冬の機体
だが、着弾地点には先ほどと同じくらいの大きさのクレーターが作られていた
数秒前に聞かされていた話と全然違う威力に海冬と私は嘆いた
「えぇぇぇえええ!! 何で!?」
「モルちゃん! 話と違うみたいだけど!!」
「いや……私も正直驚いてる!」
モルちゃんが驚き、海冬も驚き、私も驚いた。いかにも高火力機体ですと言うのを身体で表した機体を目の前にしてしまっている現状。かなり厳しいというのは私でも分かった
「そうか……。その武器の威力とか撃てる回数が2〜3発程度にも関わらずバカみたいに連射できる辺り、そんでもってその不気味なオーラ……テメェ、『マスダイバー』か!!」
モルちゃんがそう言うと相手の機体のダイバーから通信が入る
『あぁ、その通りだとも。そう言う、お前らは初心者だな?』
男性の声。風貌は顔だけのイケメンといった具合だ
私達を狙ってきた男に対して、海冬が応える
「だったら何……? 私達、貴方に危害を加えるような真似はした覚えないのだけど」
『そうだなぁ。特別、何かされたことは確かにない』
「なら攻撃する意味、ないと思うのだけど」
『残念ながら……あるんだなぁ、これが!!』
そう言い、シグーという機体が再び銃口を向け、こちらに攻撃をしてくる
「ちょっと、人の話を聞いてた!?」
『聞いてた。が、聞き入れるとは言ってねぇ!』
そう言い、彼は左右肩部に懸架されていたビームキャノンをこちらに向け、バルルス改と同時に撃ち出してくる
その弾幕は厚く、私達に反撃の隙を与えてはくれなかった
「どうするの、モルちゃん!?」
「私が盾になる! このバスターヒートソードは、盾としても使えるからね。前から突っ込んでビームを受け止める! ミフユはその隙に後ろから1発入れて!」
「分かった……!」
モルちゃんのヅダがバスターソードを前に構え、前へ踏み込んでいく
「行くよ……ヅダ!」
バスターソードのブースター、そして背中に着いた大型のウィングスラスターで加速。シグーに向けて、その大剣を叩き込もうとするが……
「おっと危ない!」
シグーが容易く避ける
「所がギッチョン!!」
バスターソードに装備されていたもう一つのブースターが起動。進行方向とは逆側に取り付けられたブースターで減速、同時にその勢いで方向転換。再び、シグーに向け、バスターソード叩き込みに行くヅダ
「潰れろマスダイバー!!」
しかしその時、突如ヅダの脚がバラバラになり、墜落していく
「モルちゃん!?」
「今だ! 突っ込めェ!」
「ッ……」
想定外の出来事とは言え、だが今この瞬間、敵の背中はガラ空きだった
海冬はザクマシンガンを棄て、腰に取り付けられたビームサーベルを引き抜き、シグーに斬りかかる
「うぉぉぉおおおおお!!!!!」
ペイルライダーが一気に加速し、斬りかかる
しかし、光の刃はシグーのボディを斬ることはなかった
肩部のビームキャノンの砲口からビーム刃が展開されている
それは紛れもない、ビームサーベルだった
「ウソ……」
『当然だろ。お前らとは場数が違うからなぁ!!』
ガンプラの力も相まってビームサーベル同士のぶつかり合いには負け、そのまま私達を乗せたペイルライダーは地面に叩きつけられた
「きゃあっ!!」
泥まみれになるペイルライダー。機体は沈黙し、後は空に浮かぶシグーのみが見える
「海冬! 立って! あんなヤツに負けちゃ……」
「立てない……! 今ので片足もやられた……!」
「そんな……!」
私達は絶望した
ログインして早々、あんないい加減なプレイヤーに突然撃破されるという。何とも複雑な思いでこのゲームを始めなければならないのか
そんな考えすら私の脳裏には浮かんだ
『いやぁ、初心者をカモるのはやっぱ楽しいもんだわぁ』
「貴方……やっぱり初心者狩り……!?」
『あぁ、その通りさ。お前らみたいな初心者を狙うのが楽しくて楽しくて仕方なくてよぉ。そう言う奴らをカモっては、この『ブレイクデカール』の凄さを伝えるのが俺の役割って事さ』
その話を聞いたモルちゃんが怒鳴り散らす
「まさかテメェ……最近、この辺りでブレイクデカールを転売しているっていう商人か!?」
『Yes,I am! 大当たりだ、お嬢ちゃん! っと言う事で初心者嬢ちゃん達よォ、このブレイクデカールを使えば俺みたいに強くなれるぜ? 今なら格安で譲っても……』
「ふざけるな!!」
私は反射的に初心者狩りのシグーの男に怒鳴った。その事に、モルちゃんだけじゃなく、海冬も驚いていた
「別に私がプレイしていたり、このペイルライダーを操作していた訳じゃない。だけど、人をこんな手口で如何にもマナー違反っぽいツールを釣ろうとしていること自体が間違っている! あれだけ散々コケにされた。それを今更、『はい、そうですか』って言って受け入れる訳がないじゃない!!」
自分でも不思議なくらい、この時は怒鳴っていた。だけど、事実でもある
商売のついでに初心者狩りなんて、バカのやる事だと私は本心から答えた
それを聞いた男も、冷たい声で言う
『じゃあ倒してポイント頂くとしますかぁー。利益にならないヤツより、次に備えて利益になるヤツを捕まえるのが楽しいしな』
シグーがバルルス改の銃口を再びペイルライダーに向けられた
その時、空から一つの閃光が目の前に降りた
その閃光は、私達の乗る機体に向けられていた銃口を貫いており、バルルス改は爆発する
『何だ!? 上からか!』
シグーが上空を見上げ、私達も空を見る。そこにはつい昨日、私が見て、そして触れたあの機体が居た
蒼く輝く騎士を模した機体
「シナンジュ・グレイスリィ……!」
上位ランクフォース『アルトゥール』のリーダー、アーサーの乗機が突如私達の目の前に現れたのであった
ちなみに今後の話にもなるのですが、御稜姉妹のダイバーネームは本名プレイになります
美都→ミト
海冬→ミフユ
この作品の場合は、漢字は本名、カタカナはダイバーネームという分け方をしてみてます
所でリライズ、面白いですね。某三角印のVtuberが出たことは何気に嬉しかったし、この作品のネタにもなりました。追々何処かで書きたい←
12月のシナンジュ・スタインの発送が楽しみでなりません。ただCSMもあるのでお金が飛びます。やったぜ
次回は素組のHGシナンジュをファフナー見ながら作り終えたら出します()