ガンダムビルドダイバーズ Trident Side Stories   作:らとっさん

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ファフナー見ながらシナンジュ作って完成したら次あげると言ったな

アレは嘘だ

ファフナーは全部見れたけどシナンジュ完成していないし、何なら年明けたタイミングになってしまった
滅茶苦茶後悔している

ってかリライズめちゃくちゃ話重ない?
いや、そういうの大好きだけど←

取り敢えずまたボロボロの文章だと思いますんで、修正すべき点やアドバイスなどあればドシドシ送っていただけたらと思います


3話『Welcome to GBN』

 数分前に遡る

 

 アルトゥール旗艦のレウルーラがシーサイドエリアへと降下。地上へと降り立った

 

「バリュートパージ、降下終了。地球の重力圏内です」

 

ブリッジクルーから伝達。ジークは指示を出す

 

「広域レーダーで周辺地域のスキャン」

「スキャン開始。 ……これは!」

「どうした?」

 

 クルーがレーダーの表示を見て驚きの声をあげ、アーサーがクルーの側に寄る

 

「近辺にモルさんのヅダ・クラレント他、2機のガンプラを確認。1機はシグー・ディープアームズ。もう1機はペイルライダーです!」

「光学カメラが3機を捕捉! モニターに出します!」

 

 ブリッジのメインモニターに映像が表示される。そこにはヅダとペイルライダーが共闘し、シグーに立ち向かう姿が見られた

 対する黒いオーラが立ち込めるシグーは、装備しているバルルス改から、その武器に合わない程の出力のビームを照射していた

 

「アレは……『黒』だな」

「違いない……『マスダイバー』。それもキョウヤからの情報通りのヤツだ」

 

 次第にヅダはバスターヒートソードのスラスター推力に追い付かなくなり、空中分解を始めた

 

「これはマズいな……」

「グレイスリィで出るぞ」

「護衛は付けるか?」

 

 ジークの提案を聞き、アーサーがモニターのシグーを見て、アーサーは言う

 

「それほどの相手でもないだろう。だが、モルとお友達の護衛として出して欲しい。出てくれるならで良いが」

「了解した」

 

 アーサーからブリッジから退出してすぐ、ジークは艦内アナウンスで戦闘態勢を伝える

 

「総員、第2種戦闘配備! グレイスリィが先行する。手の空いている機が居れば、モルドレッドとお客人の護衛で出てくれると助かる」

 

 MSデッキへと向かうアーサーはその通信を聞き、妙な胸騒ぎを感じていた

 

「何故かな、あのペイルライダーから何処かで感じた雰囲気が……。いや、考えすぎかな」

 

 その何処かで感じた雰囲気はこの後的中する事になろうとは、この時は当然思ってはなかっただろう

 

 

 白馬の王子。ではなく、蒼き甲冑を纏った騎士が私達の目の前に、太陽を背にして現れた

 私にとっては救世主って本当に居るんだなって改めて実感した瞬間だった

 

「シナンジュ・グレイスリィ……!」

「美都……あのガンプラ知ってるの?」

 

 海冬が驚いた顔をしながら私を見る

 いや、まぁ……ガンダム初心者の私があの機体の名前をスラリと言えている事を聞いたら誰でも驚くかもしれないけど……

 昨日、この手で触れたあのガンプラ。素人目で観ても分かるほどに丁寧に作り込まれた蒼いシナンジュ。その機体は確かに此処に存在していた

 

「アレは……モルちゃんのお兄さんの機体だよ」

「え……!?」

 

 

「お前が、最近この辺りで悪さしているマスダイバーか?」

 

 シナンジュがペイルライダーの前に着地し、パイロットに向けて通信を送る

 

『アルトゥールの王様かよ……。一体何のお話で? 俺はしがない一般プレイヤーだ』

「ほぉ。初心者狩りをしてはブレイクデカールを転売しておいてよく言う」

『証拠はあるのかい? 突然やってきて言いがかり付けてるだけじゃないのか?』

「やり取りは光学カメラで把握済みだ。録画された物は改竄出来ても、実際にしていた事を改竄はできないだろう?」

 

 そう言うとシグーのパイロットは舌打ちをし、両肩部のビーム砲をグレイスリィへと向ける

 

「その様子だと、図星のようだな」

 

 そう言い、アーサーは武器選択コンソールを展開し、『ビームトマホーク』を選択する

 シールドから1基だけ取り出し、右手で持つと長身の黄色い刃が展開される。その威力は地面を抉るほどの出力を持っていた

 シールドを前方に、そして剣を後方に構えを取る。接近戦の体勢だ

 

『遠距離で攻撃しようとしてる相手に、近接戦で戦おうとするバカだとは、な!!』

 

 シグーの指向性エネルギー砲が火を噴く、その威力は先程のバルルス改以上に相当する

 放たれたビームは間違いなくシナンジュに直撃するものであった

 

 しかし、シナンジュはビームが当たる直前の所でトマホークを振るい、大型のビームはビーム同士の相互干渉により掻き消される

 

「あのビームを……」

「斬った……!?」

 

 初心者でも分かる程に難易度の高い芸当を目の前で見せられ、美都と海冬は驚きの声を上げた

 

 間髪入れずにシグーの第2射が放たれる

 シナンジュはフレキシブルスラスターを展開し、シグーへ向け加速。敵の攻撃はシールドで受け止め、止まる事なくまっすぐ、一直線に進んでいく

 シグーの男は叫びながら、シナンジュ・グレイスリィへ砲撃をし続ける

 

『何だよお前! こっちは高出力で全部波長変えて撃ってるんだぜ!? どうして防げてるんだよォ!!』

 

 左右に移動しつつ、直撃するビームは左腕のシールド1枚だけで受け止めており、シナンジュに対して有効打を与えられずに居る

 痺れを切らしたシグーの男はビーム出力変更用のコンソールを展開

 

『だったらよぉ……」

 

 男はビームの出力を最大まで引き上げる

 

『これで当たらなかったらオメデトウってところだな……』

 

 そんなジョークを言いつつ、男は操縦桿のトリガーを長引きする

 突き出された肩部エネルギー砲が収束して、一つの巨大な光弾が出来上がっていく

 

『潰れろよ、シナンジュゥ!!』

 

 シグーはその光弾を放たれ、アーサーのグレイスリィへと向かっていく

 流石にこの巨大な光弾を避けきるのは不可能、切り裂くにしても恐らくビームトマホークのエネルギーが切れるのがオチである

 アーサーは加速を止め、脚部スラスターを前面に出し、急制動。地面に足を着けると同時にシールドを構え、光弾を受け止める

 

「意外と重いな……!」

 

 想像以上の火力にアーサーも一言溢す

 だがその言葉とは裏腹にシールドは音をたてつつも、その強大な光弾を平然と防ぐ

 

「だが、ブレイクデカールで強化しても所詮はこの程度か……!」

 

 その言葉と同時に全スラスターを作動。蒼いシナンジュは 光弾ごとその身を少しずつ前へと押しやっていく

 

「ボールのお返しだぁッ!!」

 

 アーサーは叫び、シールドで防いでいた光弾をシグーへ向けて弾き返す

 

『何だと……ォ……!?』

 

 避けるのも虚しく、シグーは自らの光弾を半身で受ける事になる。機体が大破、立っている事も出来ないほどのダメージを食らい、想定外の事態にダイバーは混乱する

 

『おい、じょ、冗談じゃあ……!!』

「冗談では無いさ」

『ッ!!』

 

 倒れたシグーを見下ろす蒼騎士の赤いモノアイが立ち込める黒煙の中で禍々しく光る

 その右腕には先程と同じく、ビームトマホークを持っている

 

「初心者狩り、そしてそれを利用したブレイクデカールの転売。運営にもこの事は届いている。彼らに絞られると良いだろう」

『お前は……何だ……!?』

「フォース『アルトゥール』のリーダー、アーサー。それ以上でも無ければ、それ以下でも無い。ここでは、ただの一人のプレイヤーだよ」

 

 こうして、初心者狩りマスダイバーをアーサーは撃退。その後、運営へ報告され、事情聴取される。この情報は、後にアヴァロン、第7機甲師団などの運営と関わりを持つフォースに情報が提供される事となる

 

 

 アレから数分後、私達は『アルトゥール』の戦艦に居た。フォースリーダーであるアーサーさんがペイルライダーの損傷具合を見て乗せてくれた

 モルちゃん曰く移動式フォースネスト……活動拠点らしく。このフォースネストでは、自分の機体が破損している際に格納庫で修理を受けることが出来たり、フォース戦などの作戦司令部になったり、戦艦タイプであればサーバー間の移動も戦艦ごと出来たりするらしい

 今は他のプレイヤーからの邪魔を受けない様に、人気の少ない宇宙へと上がってきたらしい

 

 しかし、その戦艦の中なのだけど、ハイテクなのはやっぱりと言うか当然と言うか、想定の範囲内なのだけど……管制室とは別、艦長の執務室とでも言うべきだろうか?

 外の機械的な見た目に反してこの部屋だけ中世ヨーロッパ的な雰囲気を醸し出している

 内装のカスタマイズも出来るのだろうけど、流石に様変わりしすぎなのでは無いかと思ったりした

 

「このレウルーラはフォースネストとしてはかなり高級な艦でね。別に狙った訳じゃないんだが、この執務室が少し豪華な造りになっているんだ」

 

 そう私達に伝えてきたのはこのフォースのリーダーで、モルちゃんのお兄さんであるアーサーさんだった

 彼は自身のデスクに座って、私達を待っていたようだった。そして彼の隣にはもう1人、男性が居る。副官とでも言うのかな? そんな感じの人だ

 

「挨拶が遅れてしまってすまないね。僕がこのアルトゥールのフォースリーダーをしている、アーサーだ」

 

 執務席から離れて私達の下に向かってきて、そして手を差し伸べてくる彼

 話し方が昨日話した彼とそっくりである。同一人物なのだから当然ではあるのだけど、改めて考えると、何と説明したらいいのか分からないけど、取り敢えずスゴい事が起きてる気がするという事だけだった

 

「……ぁ、す、すみません。私は、『ミト』と言います」

「ミト……? そうか、君が」

「え?」

「今はリアルの話は止そう。フォースネストでプライベートのエリアとは言え、此処はオンラインの電脳空間だ。いつ誰が、何を聞いているか。分からないからね」

 

 そう言うアーサーさん。その言動を考えると、噂は本当だったという事になるのかも

 

「あのペイルライダーは君が?」

「い、いえ、アレは私じゃなくて……」

「はい! 私のです!」

 

 そう言って名乗り出たのはさっきまで沈黙していた海冬だった

 

「君は?」

「私はミフユって言います! モルちゃんの同級生で親友です!」

「へぇー、アイツもこの国で親友が出来たのか。兄としても嬉しいよ、これからも仲良くしてあげてくれるかい?」

「は、はい! 勿論です!」

 

 海冬の顔はとても笑顔だ。一国の王子に妹任された訳だから当然と言えば当然かな

 何というか、ちょっと羨ましい

 

「変な事吹き込まないでよ、アーサー」

 

 そう言ってこの執務室に入ってきたのはモルちゃんだった

 アーサーさんを見て、少し膨れっ面してる

 

「吹き込んでないさ。だけどお前の友達なら、兄としても礼儀をだな……」

「そう言うのは良いからさぁ……。取り敢えず早く本題に移りなよ。ミフユ達も時間取らせちゃってるんだから」

「それもそうだな。まぁ2人とも、そこのソファーにでも座って。ちょっと話が長くなるかもしれないから」

 

 そう言われ、私達はお茶と洋菓子が置かれたテーブルの前に座る

 アーサーさんとそしてモルちゃんも向かい側のソファーへと座り、アーサーさんは真剣な面持ちで私達と向かい合う

 

「さて……今日初めてGBNを始めた君達2人にこの事を話してもあまり意味は無いのかもしれないけど、さっき君達とモルを襲ってきたプレイヤーについて、少し伝えておきたいと思うよ。これを聞いてGBNを今後プレイするかしないか、そこは2人の判断に任せるとして、ね」

「……分かり、ました」

 

 私達はそんな顔されては聞くしかあるまいと、彼の話に耳を傾ける。その話は想像以上に深刻な話だった

 

「君達を襲ったアレは『マスダイバー』。昨今、GBNで問題となっているプレイヤーの総称だ」

「マスダイバー……?」

「所謂チーターと呼ばれる者達です。日本におけるネットスラングでは『チート』とカタカナで書いて縮める事で『升』の漢字とも読める事から名付けられています」

 

 そう説明してきたのは、先程までアーサーの隣に居た副官の男性だった

 黒縁のメガネを掛けており、一切顔を変えない。正直怖いとすら思える雰囲気

 

「申し遅れました。自分はアルトゥールの副隊長を行っております、ジークと申します。以後、お見知り置きを」

「あ、いえ……こちらこそよろしくお願いします」

「お願いしまーす!」

 

 私と海冬はジークさんに向けて挨拶をした所でアーサーさんは続けた

 

「話を戻すけど、マスダイバーにも種類はたくさんある。今回君達2人とモルを襲った初心者狩りに限らずにね。ただ一つだけ、どのマスダイバーにおいても絶対的な共通点がある。それが『ブレイクデカール』というチートツールを使っているという事だ」

 

『ブレイクデカール』

 

 その単語だけなら、夏海から嫌と言うほど聞かされた覚えがあった。最近GBNで出回っている不正ツールらしく、自身のガンプラ接着させるだけで、GBN内での機体が強化されるとか

 実際、その性能は間近で見たことになるけど……、確かにアレは流石に卑怯だ。そしてああやって初心者を狙ってお金儲けをしていると考えると、タチが悪い。そして使っている人間も初心者に限らず、ああやって初心者狩りなどマナー違反をして楽しむ輩も居るとなると、夏海が憤慨するのも無理はない

 

「どんなに初心者であって、強くなりたい気持ちがあっても、不正行為は容認は出来ない物だ。それに今、ブレイクデカールの影響でこのGBNも所々で異常を起こしているんだ」

「異常?」

「今はまだ小規模ですが、着実に増えつつあります」

 

 そういってジークさんが私達に資料を提示してきた。『ブレイクデカールによる不正行為関連のお問い合わせ・報告等』として、GBNのインターネット公式サイトのお問い合わせフォームより送信されたユーザーの声がそこには記載されていた

 

『開始10秒経たずにマスダイバーらしきプレイヤーにレイドボスが倒された。1回しか出撃出来ないのに、これではゲームを楽しむ事が出来ない』

『前からずっと問い合わせているのにいつになったらマスダイバーが消えるんだ? 運営仕事雑すぎ』

『友達にGBNを勧められて今日初めてプレイしましたが最悪でした。チーターが大勢いて尚且つ対策も一切されてないようなので、二度とプレイしません』

 

 っとまぁ、他にも内容は様々だが、上記と似た内容がコメントの殆どを占めており、そしてどのコメントにも見捨てられない文言があった

 

『ずっと前から』とか『対策がされていない』とか。そこから行き着く疑問点を、私はアーサーさんにぶつける

 

「もしかして……マスダイバーに対しての、所謂アカウントの停止とか何もされていないんですか?」

「その通り。本来であれば、こう言うチーターは適切な調査の上、アカウント停止などの手続きを行うのが通常の対応なんだ。だけど、それが出来ない理由がある」

「出来ない理由?」

「証拠が無いんだよ。不正行為を行なっていたというログその物が『存在しない』んだ」

 

 その答えを出したのはモルちゃんだった

 

「どうして? ネット上の出来事なら、普通履歴って見れるんじゃ」

「勿論履歴自体は存在しているよ。でも、不正行為を示す値やコマンドなどの処理が記載されていないんだ」

「そんな……」

「スクショや録画はどうなの?」

 

海冬がモルちゃんに食い下がって聞く。でも答えは同じだった

 

「同じ。元のデータが正常なら映像や画像も正常。運営が取り締まれるのは、確実にログと行為が認められた時だけ」

「だから、僕達のような『マスダイバーハンター』が居るんだ」

「マスダイバーハンター……?」

「言葉通りさ。マスダイバーを狩るダイバーの事。ただ、僕達は名義上、オールラウンダー向けのフォースだから、他のメンバーが動きにくくなったりしないように表立って行動する事はあまりないんだ。ただ、同じ志を持つ他のメンバーやフォースの人達と協力して各サーバーをパトロールしたりしているよ」

「でも、そんな事をして何の意味が……?」

「単純に、皆の遊ぶ場所を守る為、かな……」

 

 私の質問に、彼は少し儚げな顔をしていた。とても哀れみが含まれる面持ち

 少なからず私にはそう見えた

 

「……ここからが本番だよ。僕達が運営に変わって、マスダイバーを狩る理由。それは……」

 

 真実を言いかけた瞬間、執務室全体が突如揺れ、直後に警報が鳴る

 

『ジーク副長!』

「何があった!?」

『マスダイバーと思わしき機体より攻撃を受けました! 航行中、出会い頭に突然攻撃を受けまして、対空防御を張り巡らせて居ますが、攻撃を受けても墜ちないんです!』

「何だと……!」

「僕が出よう。ミト達に、マスダイバーとその真実を知らしめるにはいい機会だ。ログイン中の他のダイバーには、レウルーラの護衛に回るよう指示。そして、ミト達をブリッジまで案内するんだ」

「了解。……気を付けろよ」

「あぁ。……2人とも、僕の戦い方を見てくれてもいいけど、それよりもマスダイバーを見ておくんだ。今言いかけた答えを教えてあげるよ」

 

 そう言って、アーサーさんは執務室を去る

 

「って、アーサーさん……マスダイバーを1人で倒しに行くの?」

「えぇ。アーサーであれば、そこら辺のマスダイバーの相手くらい余裕ですから」

 

 淡々と答えるジークさん。まるで隊長の事を心配していない。何起こすか分からない相手なのに

 

「さっきもそうでしたけど、私とモルちゃんの2人でも1機相手に苦戦したのに……大丈夫なんですか?」

「大丈夫大丈夫。いつもの事だから」

 

 海冬の言葉に軽口で返答するモルちゃん

 ……いつもの事で済ませられる程、1人で倒してるの……?

 

 

 レウルーラは砲撃を受けつつ、回避行動を取る

 その最中で、アーサーはシナンジュに乗り込み、機体をハンガーから下ろす

 

「ブリッジ、こちらアーサー。出撃準備完了。状況はどうか」

『ブリッジより、アルトゥールリード。3機のMSが接近中。1機は後方、機種はハイザック・カスタム。2機はこちらに向けて接近中です。こちらの機種はジム・クゥエル。1機はガンダムヘッドで恐らくリーダー機です』

「ティターンズ結成初期の機体が3機か……」

『全機ブレイクデカールの使用の可能性があります。また、初弾で本艦の主砲を狙ってきました。恐らく……』

「偶然の出会いってワケではなさそうって事か。了解した。ハッチを開けてくれ」

 

 シナンジュ・グレイスリィがカタパルトに脚部を固定。同時にレウルーラのMSデッキのハッチが開き、赤のシグナルが青へと変化する

 

『グレイスリィ、発進どうぞ!』

「シナンジュ・グレイスリィ、出るぞ!」

 

 シナンジュがレウルーラから打ち出され、空へと飛び立つ

 レーダーにすぐに反応するほど近くまで来ており、次第にモニターにも接近するジム・クゥエルが映るようになった

1機は専用ライフル、ガンダムヘッドはロングブレードライフル装備。そして後方にはハイザック・カスタム。遠近双方、相手のテリトリーと化している状態。状況はあまりよろしくは無いだろう

しかし、アーサーは負けるつもりは一切無かった。マスダイバーと言えども、弱点がないワケではない事を知っている彼は2機のジム・クゥエルへと接近していく

 

「こちらフォース・アルトゥール。リーダーのアーサーだ。接近中のジム・クゥエルへ。こちらに戦闘の意思はない、早急に退却を願う。繰り返す……」

 

 対象に向けて、オープンチャンネルで警告を放つアーサー。しかし、その警告を当然聞き入れてくれるはずもなく、2機のクゥエルは銃口をシナンジュに向けられる

 それが見えた瞬間にアーサーは警告を止め、脚部スラスターを前方に向けて展開。そしてスロットルレバーを手前へ押しやり急上昇

 上昇した瞬間、先ほどまで居た場所にはビームの閃光が走る。一歩遅ければあのビームを食らっていた事だろう

 上昇直後、ライフルをクゥエルへと向けると相手も同じようにシナンジュへ狙いを定めている

 ロックオンマーカーから視線を外す事なく、アーサーはコンソールパネルを操作する

 それは、拡声器のボリュームである

 

「……僕の声が聞こえなかったのかな? こちらに戦闘の意思はない、速かに退却を願う。これ以上の行為を認められれば、こちらも相応の対応を……」

『出やがったな、アーサー……!』

 

 通信が漸く応答する

 相手の声。男性の声で、ここ最近で聞き覚えがあった声だった為にまさかと思い、通信モニターを開くと覚えのある顔が画面越しに映った

 先日、アーサーは目の前に居る男性と一騎打ちを行い、勝っている。恐らくは、その仕返しといった所だろう

 

「機体を乗り換えて、仲間まで引き連れてきたという事は、余程悔しかったんだね?」

『あぁ、そうだとも! だから、奇襲をしてアンタと意地でも戦ってやろうと』

「奇襲だって? 笑わせる、君達の行いは単なる迷惑行為だ」

 

 バッサリと切り捨てる。そう言い切れるのも、アーサーは彼と交戦を行う前に通信で彼らに間違いなく伝えている

『戦闘の意思はない』と。それを無視して攻撃を繰り返すジム・クゥエルは1プレイヤーへの迷惑行為を行なっているに過ぎない

PvPメインのゲームでPKも推奨されているこのGBNだが、それでも最低限のルールというのは存在する。自分も相手も不快にならないよう、オンラインゲームは気を配って遊ぶ物だ

見境なく攻撃するのはプレイヤーマナー以前の問題であると言える

 その事実をガンダムヘッドのダイバーに叩きつけた

 

「それで納得しないと言うのならば来ると良いさ、ただただ文句を言う為に来た訳じゃないんだろう?」

『余裕こいてやがんのか……!? そのスカした態度も取れないようにしてやらぁ!!』

 

 相手のダイバーはコンソールを叩くようにタッチする

 そして、ガンダムヘッドは黒いオーラを纏い始める。ガンダムヘッドだけに限らず、隣に居たジム・クゥエル、そしてフィールドの奥で狙撃待機していたハイザック・カスタムも同じ様にオーラを纏った

 これはマスダイバーの証拠であり、ブレイクデカールを使用した際、機体の周囲にはこの禍々しいオーラが立ち込めるのであった

 

「……惜しいな。プレイヤーマナーとそのデカールさえ無ければ、良い相手になるのだけど……。マスダイバーを確認、これより戦闘に移る!」

 

 構えた時点でガンダムヘッドへ照準を合わせていたビームライフルのトリガーを引く

 黄色の閃光はそのままガンダムヘッドへ直撃。しかし、ダメージが入る事はなく、傷一つ付ける事もなかった

 

「ビームを弾いた……!?」

『ブレイクデカールさえありゃあ、ランカーチームのリーダーなんざぁ!!』

 

 ガンダムヘッドはヒートブレードを展開し、シナンジュへ迫る

 アーサーは予想がいの速度で迫るガンダムヘッドに対して、シールドでヒートブレードを受け止める

 

「不正ツールを使ってまで、そんなにランクが大事なのかい?」

『当然だろ。ゲームはスコアが命だ、そのスコアを稼げるなら何だってやる!』

 

 ガンダムヘッドが押す

 シナンジュのシールドを徐々に溶断しており、アーサーは「マズい」と言いつつ、シールドにマウントしていたビームトマホークを1本だけ取り出し、シールドをパージする事で距離を取る

 

「ならば教えてあげるよ。その程度の小細工で、僕を倒すなんてことは出来ない事を!」

 

 ビームトマホークのビーム刃を展開し、ガンダムヘッドへと立ち向かう

 ビームライフルや銃身下部のグレネードランチャーで攻撃を行うも、やはりこれと言った打撃を与える事はできない状況だ

 ビームトマホークを振りかぶり、腕を斬ろうとするもやはり弾いてくる

 並のビームコーティングではない。少なからず単純な機体の攻撃力の強化だけでなく、全体的なパラメータが強化されている物だと考えても良いだろう

 

 再び距離を取り、ガンダムヘッドの射撃を避ける

 

『隊長ばかり見てっと怪我するぜ!』

「ッ!」

 

 味方のクゥエルがビームライフルで追撃、そしてそちらに集中すれば今度はハイザック・カスタムの遠距離射撃。回避するしか出来ることがない状況。

 少しずつではあるが、アーサーは追い込まれつつある

 防戦一方となり、次第にはライフルを撃ち抜かれる

手持の武器はビームトマホークとビームサーベルのみとなり、アーサーは満身創痍となる

 

 

 ちょうど、レウルーラのブリッジへと上がってきて戦闘中のアーサーを見た美都は叫んだ

 

「ピンチじゃないですか!? 誰か助けてあげないと……」

「いや、大丈夫だと思うよ。多分、相手がマスダイバーだと分かって、徹底的に潰す為にわざと不利な状況を作ってるんだと思うよ。これ、いつものアーサーのやり方」

「わざと……?」

 

 モルドレットが美都にこの状況を詳しく説明する

 そう、これはアーサーによるマスダイバー狩りとしてはセオリーのバトルスタイルだった

 相手に二度とブレイクデカールを使用させないよう、『圧倒的不利の状況からの形成逆転を狙う』。そうする事によってブレイクデカールを使用した所で無敵になれるワケではない事をマスダイバーの深層心理に植え付けさせる

 所謂、ショック療法といった所だろう

 

「力でねじ伏せる戦い方になるけど、アーサーなりに考えたんだよ。現に、効果はあるみたいなんだ。

次にログインしてきた時はわざわざレウルーラに乗艦してきてまで、アーサーに謝りに来る人も居たくらいだから」

「そう、なんだ……」

 

 GBNを守る為の戦いをするアーサーを見て、美都の心の中で少しずつ芽生える感情があった

 

 

「さて、そろそろ本番と行こうか……!」

 

 フレキシブルスラスターが展開され、一気にシナンジュは加速する

 これまでは出していなかった速度域で、周辺のデブリを蹴りつつ不規則な機動を繰り返す

 

『何だ……!? さっきまでとは動きが違う!』

 

 ガンダムヘッドのダイバーも突如動きが変わった事に驚きを隠せずにいた

 だが、その動きはガンダムが好きなダイバー諸君にとっては見覚えがあり、印象にも残る動き方をしていた

 

『まるで……シャアの八艘飛びじゃねーか……!』

『うわぁぁあああ!!』

『どうした!?』

 

 その動きに見惚れていたのが仇となった

 彼と共に居たジム・クゥエルの両腕の肩関節から先がビームトマホークとビームサーベルで断ち切られていたのだった

 アーサーはクゥエルの持っていたジムライフルを強奪。そしてコクピットへ向け、連射する

 

 ジム・クゥエル、撃破

 

『何だと!?』

「次!」

 

 シナンジュはそのまま銃口をガンダムヘッドへとロックオン、射撃

 しかし、ガンダムヘッドは強化されたシールドで銃弾を防ぎ、ロングライフルを照射モードでシナンジュへと撃ち込む。そのビームの威力はブレイクデカールによって強化され、艦砲射撃クラスの威力と大きさのビームとなって、アーサーへ迫る

 

直撃寸前にアーサーはコンソールを操作し、あるコマンドを実行

 

ビームがシナンジュの居た地点を覆いかぶさる

照射が終わると、そこには何もなかった

ガンダムヘッドはその地点をズームさせて見る

 

『は……ははっ! やった! やったぞォ!』

 

 男の歓喜の声が不思議な事にこのネットの宇宙に響き渡った

 カメラにはチリ一つ残す事なく、シナンジュの形が跡形もなく、消えていた

 

『大した事ないじゃねぇか、アルトゥールのリーダーも!』

「あぁ、本当に大した事ないね。アレで倒したと思っているようじゃ、まだまだだ」

『!!?』

 

 倒したはずのアーサーの声が通信越しで聞こえた

 何処だと言いつつガンダムヘッドが辺りを見回そうとした瞬間、シナンジュの顔が画面いっぱいに表示される

 

『なっ』

 

 有無も言わせず、アーサーはガンダムヘッドのボディに蹴りを入れ、周囲に漂っていたデブリに叩きつける

 その衝撃で、ガンダムヘッドは思わず、ロングブレードライフルを手放してしまう

 

『て、めぇ! 何で生きて……ッ!?』

 

 男はそう言いつつシナンジュを見て気づいたのだ

 バックパックに懸架されているプロペラントタンクが消えていた

 アーサーはプロペラントタンクをダミーとして切り離し、ガンダムヘッドにそれを狙わせたのだった

 

「戦いとは常に二手三手、先を読んで行う。何処かの赤い彗星が言っていたセリフさ、忘れない事だよ」

 

 ガンダムヘッドが手放したライフルを奪い取り、ヒートブレードを展開し、その刀身を振り下ろす

 リーダー格であるガンダムヘッドは撃破された

 

『ウソ!? まさか皆やられるなんて!』

 

 ハイザックのダイバーが呆気にとられ、モニターを見続けている内にシナンジュはすぐさま行動を再開した

 その狙いは残りとなったスナイパーのハイザックである

 

「なっ……!?」

 

 奪い取ったロングブレードライフルで狙われている状態。アーサーは既にハイザックを捉えており、ハイザックがその事に気付いた時には既に遅かった

 ライフルが火を吹く。その閃光は最後の1機のコクピットを貫き、大きな爆発が起きる

 

 アーサーを狙ってきたマスダイバーとの戦闘が終わりを告げた

 

 

 圧倒的な強さを見せつけたアーサーさんと愛機のシナンジュ。その姿は正しく王者その物だった

 とは言え、私がこの戦いを見て得た感情は、多分他の人と感性がズレているんじゃないかと思ったのだけど、あえて声を大にして言いたい

 

「見てて危なっかしい!!」

 

 その一言だった

 うん、やっぱりそんな気がしてたけど周りの皆ビックリしてる

『何言ってるんだお前』みたいな声も聞こえそうな気がする

 

「いやだってそうでしょ!? 作戦とは言え、自分を満身創痍にして戦うなんて見てるこっちが怖いよ!」

「あー、うん、分かった。分かったから落ち着いて美都」

 

 海冬が美都を落ち着かせようと声をかけてきた

 まぁ、それが普通の反応だよね

 

「間近でアーサーの戦い方を初めて見た人は皆『カッコいい』とか『スゴい』って言うんだけど、危なっかしいって言った人は流石に初めて見たなぁ……」

「自分も滅多に見たことは無いですね」

 

 モルちゃんとジークさんの追い討ち。まぁそうだと思いましたけど!!

 

「そうかぁ……危なっかしい、かぁ」

「うぇえぇっ!?」

 

 まさかの本人に聞こえていたという失態

 恥ずかしい。あぁ恥ずかしい

 恥ずかしすぎて顔から火が吹きそうな思いをしてしまいました

 

「ちなみに、具体的にどの辺が危ないと感じたんだい?」

「えっ……、えーっと、何というか……作戦とは言え、自分を不利にして戦うって言うのが危ないと。何より、それをずっと続けているんじゃ対策を練られてしまって、そのままやられちゃう可能性もあるし……。それで負けちゃったら、そのマスダイバーの思う壺になっちゃうから……」

「……なるほど」

 

 少し険しい声で反応したアーサーさんの声が聞こえた。やばい、まずいこと言っちゃったかもしれない

 

「あ、気に障るようなこと言ってたらごめんなさい! ただ、私がそう感じただけで……」

「いや、君の言う通りだよ、ミト」

「え……?」

「僕はね、実のところ、マスダイバー、いやブレイクデカールに対して怒りを持っていたんだ」

 

 

 幼少期に父親が外交で日本から帰ってきた時、アーサーは日本のサブカルチャーである『アニメ』を知った

 そして、父親の持ち帰ったディスクの中にあった機動戦士ガンダムという作品

 それを見たアーサーは真っ先にガンダムにハマった

 母国でも流通していなかったガンプラもクリスマスプレゼントにねだるくらいには夢中になったくらいだ

 そして今、母国の次期王になる為にも、友好国であった日本へ、政治について学ぶ為に来日。そこで今度はGBNと出会った

 当然GBNばかりやっている訳にはいかない。勉学の為に日本へ来ているのだから、そちらを疎かにしてはいけない

 GBNにのめり込んでいた一時期は、成績も低迷していたりしたが、今となっては両立できている

 

 βテスト時にクジョウ・キョウヤは勿論、知将ロンメルなど名を連ねるダイバーと出会い、サービス開始後にフォースを作り、様々なメンバーや仲間が増え、そして現在では妹であるモルドレット、そして彼の執事役を務めているジークも来て、この世界も賑やかになってきた

 

 そこに水を差してきたのがマスダイバー、ブレイクデカールの存在だ

 チートツールを使ってズルをするのはどのゲームでもよくある事だが、このブレイクデカールはその次元に収められない行為をする

 他のダイバーへの迷惑行為としては行き過ぎている状況が生まれている

 攻撃力・防御力などの基礎能力の強化。ダメージの無効化や自己再生。先ほども説明した通り、データの改竄や記録の抹消など様々だが、それらの行為、あるいはブレイクデカール自体がGBNに対して多大な負荷を与えている

 結果GBN内でもバグが頻発するようになった

 

 倒したはずのNPDが復活したり、ボスが強化されたりなど

 

 勿論、マスダイバーの全員が全員、悪意を持って使用している訳ではないだろう

 始めたばかりで、早く強くなりたい初心者や絶対勝ちたい相手を持っているダイバーを中心に出回っている事を考えれば、作り手が彼らに接触をして売り捌いている事は間違いない

 だが、それ以上にタチが悪いのは不正だと分かっていて使用する生粋のチーターも中には居る

 それらを含めてアーサーはブレイクデカールの存在その物に怒りを覚えていたのだ

 

「僕……いや、俺はせっかく新たに見つけた居場所を失いたくない。その思いを持つ人はたくさん居る。その人達の為にもこのGBNを潰させるわけにはいかないと思って、ああ言った戦い方をしていたんだ。少し怒りに任せていた部分は、何処かあったかもしれないし、もしかしたら自分でこの戦いを止める事は出来ないかもしれない」

「…………」

「だからミト、止まらないようなら君に止めてもらいたいな」

「……へ?」

 

 アーサーにとって自身のブレーキとなってくれる存在が目の前に現れた。故に彼女に是非このGBNに来てもらいたいと、心から思ったそうな

 そしてその言葉を聞いて、美都は驚きつつも流されて返事をしてしまった

 

「は……はい……」

 

 

 翌日、再びガンダムベースへとやって来た私こと美都

 ついでに、という事で海冬も付いてきた

 昨日のアーサーさんの告白?から流されて返事をしてしまってGBNをやることになったワケだけど、ガンダム作品を知らない私からしてみれば、何の機体が合っていて使えるか分かった物じゃなかった

 そこでアーサーさんが『知り合いに運営公認のナビケーターをしているダイバーが居るから、その人に助けてもらうと良いよ』と言われて、待ち合わせ場所としてココへ来て、もうすぐ時間のはずだけど……

 

「海冬、……何て名前だったっけ?」

「えっと、マギーさんって人。ユニコーンの前に居れば向こうから来るって」

 

 海冬がダイバーギアを操作してアーサーさんからのメッセージを見て答える

 ちなみにメッセージにはこうも書いてある。

 

『多分初見はビックリすると思うけど、優しい人だから思いっきり頼ると良いよ』

 

 どういう人なのかめちゃくちゃ気になるんですけど

 と、思っていたところで私達2人に声を誰かが声をかけてくる

 

「そこのお二人さ〜ん、ちょっと良いかしら?」

「…………」

「…………」

「大丈夫〜? フリーズしているみたいだけど、貴方達2人よ?」

 

 突然オネェさんに話しかけられるという珍事案の発生。ナンパとかで声かけたのなら、すぐに居なくなってほしいし、それ以上に私達に話しかけられる要素はないと思うし……

 そんな事を思い、ぎこちない返事をしてしまう私であった

 

「人違いじゃ、ないですか?」

「それを確認する為に声をかけたつもりなのよ〜、ごめんなさいね〜」

「……もしかして、マギーさん?」

「えぇ、そうよ〜。貴方達がアーサーちゃんの言っていたミトちゃんとミフユちゃんね?」

 

 マギーさん。まさかのオネェだった。さっき思った事を全部撤回したいです

 

 

「アーサーちゃんもちゃんと教えてあげたらよかったのに、私がオネェだって」

「初見はビックリするかも、とは書いてありますけどねー。オネェという事は一言も」

「んもぉ〜、失礼しちゃうわねぇ」

 

 海冬の応えに可愛げに文句を言うマギーさんである

 そんなこんなで私達はガンダムベースへと入り、ガンプラ選びを始める事となる

 今回の機体選びに関してはマギーさんの知識とオススメが頼りになるかな。ガンダム作品全く知らないし

 

「さて、ミトちゃん。これからガンプラ選びをするのだけど、飽くまでも私は貴方の機体選びのサポート。どういう戦い方をしたいかによって作る機体も変わってくるわ。勿論、お気に入りの機体を自分のスタイルに改造することも出来るけど、それには相応の技術が求められたりするから、慎重に、でも尚且つ貴方の恋心に従いなさい」

「恋心?」

「そう、LOVEよ! ガンプラバトルは技術だけでなく、ガンプラへの愛情も勝利への第一歩なの。だから、色んな機体見て、これが良いと思ったらそれにしちゃいなさい!」

「は、はい!」

 

 恋心。つまり私の性癖に従えと言うこと。何としても見つけよう、私の運命の機体を

 

「さ、それじゃあまず初歩的な質問なのだけど、ミトちゃんはガンダム作品、何か見た事ある?」

「いえ、実は何もなくて……すみません……」

「謝る事じゃないわ、誰にでも初めてはあるもの。でもせっかくならこれを機会に何か触れてみる

良いわ。女性人気の作品もあって、特にSEEDや00なんかがオススメよ♪」

 

ほぇー、女性人気の作品なんてあるんだ

 ガンダム作品も幅広く展開している事を思い知らされた

 

 今伝えられたSEEDと00ではどんな機体があるのか

 まずそこから見てみた

 後から聞いた話によれば、ガンダム作品は宇宙世紀系とアナザー系で分けられていて、先の2作はアナザー系になるという話を聞いた

 最近TV放送している作品の殆どはアナザーらしく、宇宙世紀はOVAや劇場版が多いそう

 そしてそのアナザー系は全体的に細いMSが多いんだとか

 ただ、私の性癖に刺さるような機体になかなか巡り合う事ができず、上記2作品のキットを全部見終えてしまった

 

「ミトちゃんってなかなか頑固ねぇ」

「美都って、本当に好みのヤツしか選ばないんで……」

「……ごめんなさい」

 

 マギーさんが少し困った顔をして、海冬が疲れた声で私の性格を言った

 足を引っ張ってしまっている事に謝る私であった

 

「良いのよ〜。でもそうねぇ……その次に、と言ったら違うけどもう一作品あるのだけど見てみる?」

「はい、是非!」

 

 マギーさんが薦めてくれたもう一つの作品、それは『鉄血のオルフェンズ』という作品だった

 今現在、TV放映がされていた最後の作品らしく、他のガンダム作品と比較してみると設定が斬新らしく、独特な世界観を持つ作品だそう

 

「この作品も女性人気は比較的ある作品なのだけど、GBNで使うには上級者向けの機体なのよね〜。ナノラミネートアーマーのお陰で、ビームコーティング加工の必要は無いのだけど……一応オススメするとしたらこの機体ね〜」

 

 マギーさんも薦めたは良いけど、少し悩み気味な感じながらもオススメの機体を出してくれた

 

「じゃ〜ん! ガンダムフラウロス〜! 砲撃メインの機体だけど接近戦も持ってこいって感じの機体で鉄血機唯一の可変機体〜! おまけにピンク色だから可愛いわよぉ〜!」

 

 何だろう、悪寒がした

 

「いや、それは止しておきます」

「あら残念。まぁ他にも色んな機体があるからゆっくり選びましょ〜」

 

 そういってマギーさんがフラウロスをしまっている所で私は気になる機体を見つけ、手に取った

 純白の機体で背中には大きなウィングを持っていて、両手には黄金の剣を二振り持つ機体。その名は

 

「……ガンダム、バエル……?」

 

 バエル

 その名前に聞き覚えはあった

 ソロモン72柱の悪魔、その1人目の悪魔

 さっきのマギーさんが薦めてきたフラウロスもソロモンの悪魔の1柱だったのを考えると、鉄血のガンダムはそれらに準えているんだと思う

 

「バエルねぇ。確かに美しい機体だけど、デメリットが多い機体よ。武器が2種類しか無い上に機動力特化でカスタマイズもしにくい機体だから、初心者には向かないかもしれないけど……」

「……マギーさん、私これにします」

「そう、その子が運命の愛機になった訳ね。良いわ、私も改造にあたってはちゃーんとフォローを入れるわ。後はその機体を知る為に、ちゃんと鉄血って作品をよく知ることも大事よ。帰りにレンタルビデオ屋さんで借りてきなさいな♪」

「はい!」

 

私はバエルを持って会計へと向かい、海冬と共にレンタルショップへと出向いた後に家へと帰宅して、早速1話から地獄の鉄血マラソンを始めた

 

 そして私は数日後、鉄血マラソンをした事を後悔した

 

 なお、その時の私がどういう状況だったかは、妹が語った

 

「毎日泣き叫んでた」




おまけ

美都の鉄血を見た時の嘆き

「うぇぇぇぇぇぇぇえええええええ!!!!!???? 主人公残酷すぎない!? 三日月無慈悲すぎるでしょ!! 慈悲浅ぇ!!」

「いや、ちょ、おま、酷いよ!! せっかくの兄弟の再会の結末が弟の死ってどんだけ厳しいのこの世界!」

「やっぱすげぇよ、ミカは……」

「うわぁぁぁぁ一般市民に対してこんな虐殺……」

「ビスケットぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

「アイン!? あい、アイン!!!??? お前アインか!? どうみてもタダのグレイズじゃん!!」

「あぁ……カルタ様……」

「あっあっ、アジーさん……ラフタ……シノぉ……」

「が、ガエリオ……虚しすぎるでしょ……」

「三日月の身体ボロボロやん……」

「ひゃっほぉぉぉおおおおお!! 舞い降りる鈍器!!」

「おいちょっとまて今ガエリオみたいなの居なかった?」

「グシオンとんでもない装備持ったなぁ」

「アストン死ぬな! 死ぬな! いや、死ぬなってぇぇぇぇぇええええ!」

「モビルアーマー……? は? なにこれ」

「クジャン公やってくれたなオイ!!」

「いや、ちょ、バルバトス怖」

「あ、あ……足……」

「おいクジャン公いい加減にしろ!!」

「名瀬さん……アミダさん……酷い……」

「ら、ら、ラフタぁぁぁあああああ!!!」

「ジャスレイ・ドノミチコロス」

「ガエリオ顔出しキタァァァァアアアアア!!!!!!」

「おいお前もかラスタル!!」

「よし! 行け! 1発打ち噛ませシノ! シノ! シ……え? ええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇl!!!!!!!!!!??????????」

「や、シノ行くな! 行かないで! シノ! シノ、シノぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおお!!!!!!」

「マクギリス無計画になってきてない? これ以上鉄華団巻き込むなよ……」

「囲まれてるぅぅぅぅぅぅううううう」

「オルガ!? や、オルガ何で! お前が死んだら止まるも同然だろ!? 冗談じゃないよ!!」

「さらば……マクギリス……」

「いやちょ、またダインスレイヴ……え、ちょっと待って、え、は? はぁぁぁぁあああああああ!?」

「昭弘……よくやった……」

「…………(虚無)」

「え、息子ォおお!?」

以上。
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