ガンダムビルドダイバーズ Trident Side Stories 作:らとっさん
仕事が忙しすぎて書く暇が皆無でした(白目)
こんなご時世ではございますが、自分は極力平常運転、楽しんで生きていきたいと思っております
そういえば先日山善の食器用乾燥機を買いました
自室にプラモ乾燥用として置いてますが塗装どころか試運転すらしてません←
滅多に来ませんがコメントやアドバイス等お待ちしております
「……ねぇ、海冬?」
「なぁに、モルちゃん」
「美都、どうしたの? 何があったの?」
「聞かないであげて」
前を歩く妹とその親友が私の方をチラチラと向きつつ言う
1週間半使って鉄血を1から最終話まで全部見た私を誰か褒めて欲しい
あんな地獄を見たらこういう感じになるのも無理ないと思うんだ
最終話で主人公が死ぬガンダムなんて今まであったの?
いやきっと戦争ってこんなもんだろうけど、三日月やオルガからしてみれば、最期ただただ調子乗ったら死んだって感じで報われなさすぎでしょ……
無駄死にでないというのと暁の存在がまだ救いだけどもう、なんかもう……
「みんな……みんなじゃないけど、みんな居なくなっちゃった感じでもうダメだぁ……」
「……誰か友達が引っ越しとかしたの?」
「推しが死んだだけだよ」
「???」
モルちゃんは心配してたけど海冬が冷たかったガンダムベースへの道中だった
◇
ガンダムベースに到着して、ナナミさんに会って手続きをして、それからプレイスペースへと入った私達3人
それぞれ、プレイ座席に座るとモルちゃんが思い出したかのように私に質問をしてきた
「ねぇ、美都のガンプラって結局どうなったの?」
「あー、見せてもいいけど、どうせだしハンガーで見ようよ。その方が臨場感あるでしょ?」
そう。今日は鉄血を見終えて、マギーさんから簡単なアドバイスなどをチャットアプリで教えてもらって作り上げた私のガンプラで、初GBNの日なのである
海冬にもまだ見せてないので反応が楽しみでならない。だからこそ少し勿体ぶる
「そうだねー、じゃあ向こうで見るよ」
「オッケー、じゃあ向こうでねー」
そう言って私達はHMDを装着し、システムを起動。GBNへとダイブした
◇
閉じていた目を開けると、そこには2週間前に見たのと同じ光景。広大なGBNの中心部であるシーサイドエリアのロビーに立っていた
視点がこの間よりも高い
不安になって視線を下げたら、そこには普通の人の身体があり、映る手も間違いなく人型のそれだった
「……よしっ」
無事自分のアバターでログイン成功っ!
イメージ通りの姿で1人はしゃいでいた私だったのだけど、その様子を妹達が見ていたことに気づかなかった
「何やってんの、ミト?」
「……あーいや、球体じゃなくて安心したって思って」
「ハロも可愛いのにー」
モルちゃんからバッシングを食らった
まぁ可愛いけど、自分の身体にするのは抵抗があると思うんだ
「それはともかくとして、ミトと合流できた訳だし、どうしよっか?」
「私はアーサーから2人の手伝いするように言われてるから、2人のしたいようにしていいよー」
と、やる事については何も予定を組んでいなかった私達一行。そこで、私は先日ガンプラを作成している時にマギーさんから提案されたミッションがあった事を思い出す
「ミフユ、モルちゃん、一つちょっとやってみたいミッションがあるんだけど、いいかな?」
「私は良いよ、モルちゃんは?」
「異論なーし。ちなみにどんな?」
「マギーさんが教えてくれたオススメのミッション。探索型、だって」
◇
ミッション内容は密林地帯に墜落した連邦軍輸送機に積載されていた機密物資を回収し、指定された場所まで送り届けるのが任務
ジャングルの中で墜落しているため、上空からも輸送機は一切確認できない他、地上・上空にはジオン軍の戦力が配備されている状態
初心者向けとだけあって、敵の機体は戦闘機や戦車といった簡単な敵になっているというのはマギーさんから聞いたから大丈夫だと思う
また、一定確立でレア報酬が貰えるとか貰えないとか
マギーさん曰く、機体の能力を把握するのには打ってつけのミッションとの事
これをやらない選択肢は無いと思って、今日はこのミッションをしようと2人を誘った
ハンガーに場所を移して、そしてリアルサイズで目の前に現れる私のガンプラ、その名は『ガンダムバエルガラティーン』
本編のバエルに足りなかったライフルとシールドを、同じく鉄血機体であるグリムゲルデから拝借して、Vアンテナを2本から4本に増設させたりなどしている
カラーリングも白青から白赤のツートンに変更をしていたり、我ながらそこそこにいい出来だと思っている
ちなみに武装に関してはマギーさんの監修によって装備。アンテナの増設は私の趣味だ、どうだカッコいいだろう
それを見たモルちゃんも関心していた
「すごいねー、初心者にしてはとても上手いじゃん!」
「まぁこれでもアクセサリーを作っていたからねー、意外と上手くできたよー。でもマギーさんの力が無きゃ、これも出来なかったかなぁ」
「マギーさんって、あの『アダムの林檎』のマギー?」
「うん、そう。モルちゃんも知ってるの?」
「知ってるも何も、上位ランカーフォースのリーダーだよ?」
……マジでしたか。それは聞いていなかった
マギーさん本人も特に言ってなかったし……フォース組んでるとは聞いてたけど
「あ、そういえばミフユのペイルライダーも武器が豊富になったねー」
「私もミト伝でマギーさんに聞いたんだー」
そう。私のガンプラ選びの時に、実は海冬はマギーさんにペイルライダーについて聞いていたのだった
◇
「ペイルライダーの武器が無い?」
「はい、買って作ったは良いけど、ビームライフルが無くて、よくよく見たら説明書にも武器の記載がないし……」
「……ちょっとそのペイルライダーの箱の写真とか残ってる?」
「あ、はい。SNSにあげる為に撮ったのが……」
そう言って海冬はスマホを取り出して、マギーにペイルライダーの箱絵を見せる
提示された画像を見て、マギーは納得する
「なるほどね、これは武器がない訳だわ」
「え、それってどういう……?」
「これ、ゲームの特典で付いてきたタイプで無いのよ。武器」
そう、元々付いていなかったという
何でも形成色がグロスインジェクションと呼ばれる特殊なカラーリングとなっており、一般的に通販で売られているペイルライダーに比べると光の当たり方が違うんだとか
ただ、どういう理由か知らないけど、武器パーツがビームサーベルしかなく、もっと言えばそのビームサーベルの刃もないとかなんとか
っという事で、マギーさんの提案で武器キットを購入。ジャイアントガトリングとビームライフルを追加。またパイルシールドを装備させて攻撃力と防御力を増し
取り敢えず満足に戦わせられるようにしたのが現状である
◇
その一連の流れを聞いたモルちゃんも納得していた
「なるほどー、通りで武器がなかった訳だー」
「取り敢えずこれで、十分戦えるようになったし、これからは探索ミッションでパーツ集めるのを中心にしようかなーと」
「良いんじゃない? 私も手伝うよー」
「うん、ありがとー♪」
いい感じになっている海冬とモルちゃんを見て、既に馴染んでいる海冬が少し羨ましくなった私である
いずれは、私もああいう感じで居られたらいいけど……変なことを考えていても仕方ない。そろそろ……
「さ、2人とも、そろそろ行こう!」
「うん!」
「あいさ!」
私達3人はそれぞれのガンプラに乗り込み、カタパルトへ機体を移動させる
さぁ、初陣だ。簡単なミッションだけど、頑張ろうバエル!
「ミト、ガンダムバエルガラティーン出撃します!」
カタパルトから射出され、GBNの空を舞い始める私のバエル
先に出ていたミフユのペイルライダーとモルちゃんのヅダに合流する
「お、ミト調子良いんじゃない?」
「うん! よく動いてくれるし、とても速いよ。私の思った通りに動いてくれる!」
先行してバレルロールや急停止、上昇下降など様々な機動を繰り返しても全くヘタらない
我ながら上手くガンプラを作れたかと思う。マギーさんに後でお礼を言っておかないとね
「とは言え、今回のミッションは簡単なヤツだからそんなに派手な機動はしないと思うけどねー。ボチボチ感覚を掴んでいきながらやっていこっかー」
「うん、サポートよろしくね、モルちゃん、ミフユ!」
ミッションエリアである密林地帯へと私達は飛ぶ
でもこの後、想定もしていなかった事態が発生することになった
◇
さて、場所は変わってアルトゥールの本拠地が存在するラプラスサーバーの資源衛星『パラオ』
現在、アルトゥール旗艦のレウルーラはこのパラオに造設されている軍港に停泊しており、アーサー達も居住区画のフォースネストで待機している
パラオのフォースネストもやはり豪華で気品のある雰囲気の建物で王室ことリーダー用の執務室はレウルーラ以上の広さである
そこには当然アーサーも居るのだが、今日は来客も居た
「やぁ、アーサー」
「わざわざ出向くことはなかっただろうに、チャンピオン」
GBNのチャンピオン、クジョウ・キョウヤその人であった
今回はチームではなく、彼1人でこのパラオへ来ていた
「先日の第七機甲師団とのフラッグ戦、見ていたよ。大佐もなかなかの腕前だったけど、貴方の方が一枚上手だったようだ」
「いや、あの状況なら我々が負けても不思議では無かったよ。僕だけの力だけじゃなくて、フォース皆の力があってこそさ」
「全く、貴方らしい」
そんな世間話から、今回キョウヤがこのパラオへとやってきた本題を話し出す
「さて、まずは先日の依頼、引き受けてくれて助かったよ。ありがとう」
「構わないよ。何よりその時期はそれこそフォーストーナメントも山場だったんだ。今回は参加していなくて、手隙になっていた我々が動くのは当然さ」
「そう言ってくれると助かる。だが、正直我々が動いても手が足りない状況だ」
その一言だけで、アーサーはマスダイバーが日々増え続けている事を認識する
現状、2日に1回はマスダイバーに出会っている状況であることはアーサーも理解している
それだけ初心者、下位ランカーを中心に広まりつつあったのだ
「今、初心者向けの連戦ミッションでマスダイバーが他のダイバーからミッションを横取りされたという被害が多く出ているらしくてね。ちょうどフォーストーナメントも終えた事だし、僕が実際に確かめてみようと思っている」
「チャンピオンが直々に? そこまでする必要が……」
「あるんだよ。今のままでは、いずれはこの世界の崩壊へと繋がるかもしれない。僕達上位ランカーが実情を確認する事で、今後の対策なども検討できるからね」
言われてみれば確かにその通りである
灯台の下暗しとも言うべき状況だからこそ、この目で確かめる必要はあるやもしれない
「……そうだな。アルトゥールも全力でバックアップするよ」
「ありがとう、そう言ってくれると思っていたよ」
「将軍の所にも言うのか?」
「勿論、この後地球外縁軌道で合流後、話をするつもりだ」
「だったら、このフォースネストにあるマスドライバーを使うと良いよ。それならもう少し早く行けるだろう?」
「なら、遠慮無く使わせてもらうよ。また何かあったら連絡をする」
「こちらの領域でマスダイバーの噂を聞いたならすぐに教えてくれ。こちらでカタを付けるからさ」
「分かったよ。それでは」
キョウヤは執務室から立ち去り、部屋にはアーサー1人となる
「……マスダイバー、一体どれだけ増えると言うんだ。ブレイクデカールは……」
途方も無い状況に、アーサーはただただ呆れてため息を吐いた
◇
「…………」
「……何処、ココ」
ミフユにツッコミが入ってきた
何処だろうかここは。私達はジャングルに居たはずなのだけど、知らないうちに洞窟に居た
理由は簡単。私、方向音痴なのである
マップ見ても迷うレベル
お陰でジャングル内の探索だったはずなのだけど、よく分かんない場所に居る。何処この洞窟
「ミトって方向音痴だったんだね……しかも重度の」
「こればっかりはどうにもならなくてさぁ……」
「い、いや、でもほら、この雰囲気なら隠しアイテムとか手に入りそうじゃん! 秘密の入り口でしょ、何かの! 探索ゲームあるあるじゃない!」
そう思いたい。そうある事を願いたい
でないと、でないと私にもメンツという物が……
「でもこれ、探索より戦闘とかアクションメインだから、重視しているにしても怪しい所だよね」
そのミフユの一言は私の脆いハートに突き刺さるのであった
「まぁ取り敢えず、少し進んでみても良いんじゃない? 別にミッション時間に制限があるわけじゃないし」
「ありがとうモルちゃーん!! 私の天使ぃ〜!」
「いや天使ではないと思うよ私」
という事でモルちゃんのフォローもあって洞窟を進んでみること10分ほど。どうやら開けたエリアに出た
地下だというのに高層ビルが建ち並んでおり、不気味な雰囲気を思わせる
「スゴい……GBNってこんな所もあるんだ」
「本当にレアアイテムがありそうなエリア? そうは見えないんだけど……」
感動しているのを他所にミフユは不穏な事を言い出し、後から付いてきたモルちゃんがこの地下街を見て何か感づいたらしい
「……鍾乳洞をベースに作られた街、秘密の通路、そしてジャングル……まずい、ミト! ここボーナスエリアじゃない、2人のレベルじゃまだ危ない場所だ!!」
「「えっ」」
私達姉妹はモルちゃんの言葉で固まる
同時にコンソールパネルから危険を知らせる表示が現れ、レーダーを確認すると接近する機影が3、4、いやもっと。赤い点が徐々に増えてくる
私は引きつった顔をしながら呟く
「もしかして……高難易度エリア……?」
「うん。ここはジャブロー、宇宙世紀で地球連邦軍の本部が置かれていた地下基地。敵の目を欺くために、ジャングルの中に敷設した事から、秘密の入り口を探さなければならなかったんだけど……」
「じゃあ、私の方向音痴の結果、ここへ繋がる秘密の道を開拓しちゃったってこと……?」
「そういう事になるね」
絶句。もう言葉にするならそれじゃないかな
完全にやっちまったヤツ
「逃げよう! それしかない!」
とミフユが提案した途端、私達が歩いてきた道は何者かの砲撃により塞がってしまう
「……逃げることもできないみたい」
モルちゃんがそう言い、私が砲撃主を見ると、そこに居たのはガンダムだった。NPCのようだけど、背中にキャノンを背負っている。どう見ても強そう
「RX-78-6 マドロック……!」
「あわわわわわわ……」
「ミト落ち着いて!!」
落ち着いて居られるか!
目の前にとんでもなく強そうなガンダム居るんだぞ!
落ち着く方が無理!
私やられて止まるんじゃねぇぞ状態になるわ!!
ちなみに他のNPD機体は殆どがジム、中には陸戦型ガンダムとかブルーデスティニーとか、ガンダムピクシーとか……いっぱいいる
「スゴいじゃんミト! BD1とピクシーとかレア機体だよ! 経験値めちゃくちゃ貰えるじゃん! しかも二枚引きなんて運いいね!」
「知らないよそんなこと言われても! というか、どうでもいいわ!!」
実際どうでもいい
知った所で私これ倒せなきゃ経験値も何もないって
私の方向音痴を呪いたい
「ミト! どうするの!?」
「え、えーっと、強行突破ァーッ!!」
「無茶言うなー!!」
無茶は承知してるけど抜け出すにもそれしかない。ミフユの言葉を無視して私は前進した
したけど虚しくも、マドロックとやらのキャノンの砲火に晒されて硬直そこに無数のジムのビームサーベルが迫った
「きゃあっ……!」
あまりの状況に悲鳴を上げた私だったのだけど、その直後、周囲にいたジムが次から次へと爆発していく
ミフユかモルちゃんの援護射撃かと思って、バエルを起き上がらせるとそこには大軍が居た
ザクと同じモノアイを光らせたガンプラがたくさん。中にはアルトゥールのメンバーが使用しているベース機と同じ機体が居る
その軍の中に一際目立つ、モスグリーンのボディに頭部だけ赤く塗られている機体も居た
「助けてくれているの……?」
「……なんじゃない?」
「いや、アレは……トップランカーフォースの第七機甲師団だ……!」
モルちゃんがあの軍隊を見て呟く
第七機甲師団。その名前は一応私も知っている事には知っている
チャンピオンの率いるフォース『アヴァロン』のライバルフォースであり、『智将』の名で広く知られているロンメル大佐が指揮をするフォース
という事だけは、取り敢えず知っている
彼らはミッションの遂行に当たってここに来たのかも知れないけど……
『君達、大丈夫かな?』
オープンチャンネルで通信が開かれる。モニターを見るとそこにはフェレットが居た
「…………」
『聞こえているかね? 君達に言っているのだよ、バエルのお嬢さん方』
「え、あ、私ですか!?」
何と名指しで呼ばれた
いや呼ばれたのはバエルだけど、トップランカーに私達心配されてる
逆に申し訳ない、恐れ入ります
「す、すみません! 大丈夫です!」
『それは何よりだ』
「智将ロンメル! これはアンタの受注したミッション?」
モルちゃんのヅダも立ち上がり、ロンメルさんに対して質問を投げかける
対するロンメルさんは集中力と火力を切らすことなく、対象に向けてマシンガンを連射させていた
『君は……アルトゥールのモルドレットか。メンバーを見る限り、所謂新人研修中と言った所かな?』
「そうだよ! アンタの質問に答えたんだから私の質問にも答えろ!」
『あぁ、そうだな。このミッション、確かに我々第七機甲師団のフォースミッションとして受注した。このジャブローに新型MSが運搬されているため、その新型機を破壊するのが我々の目的さ。正面からこのジャブローに突撃してきたんだが、まさか敵にエンカウントすることなく、このエリアに来るとは恐れ入った』
「あ、ど、どうも……?」
よく分かんないけど私達が通ってきた道って隠し通路だったらしい。そういう訳の分からない所だけリアルラック高いんだよな、私
『さて、初心者ばかりのパーティーではこのエリアは危険すぎる。ここは我々に任せてすぐに脱出したまえ』
「え、でもどうやって……」
『先程の道を折り返すといい。だがあのマドロックとエンカウントした直後だ。護衛を1人付けよう。クルト!』
『了解』
1機、紺色のガンプラが私達の下に降りてくる
この機体は知ってる。確か、シナンジュを調べてる時に一緒に出てきた機体で名前は『ギラ・ドーガ』、だったかな……?
『彼は私の右腕だ、腕前は保証しよう』
『第七機甲師団の副長を勤めております、クルトです。御三方、よろしくお願いいたします』
「こ、こちらこそ!」
『背中は私が守りましょう。貴方がたは前を見て突き進んでください』
「え、でも、もし前に敵が来たら」
『前に出てくる敵は後からシステムで現れるようになっている物です。その程度であれば数も限られますし、それほどのレベルもありません。気にすることはありませんよ』
「そ、そうですか……」
『では行きましょう。大佐、御武運を!』
『うむ! ではさらばだ、諸君!』
「ロンメル隊長もお気をつけて!」
私達はジャブローの基地から離れて、来た道を引き返した
先頭は私のバエルガラティーンとヅダ・クラレント、中衛にペイルライダー、最後尾にはクルトさんのギラ・ドーガ。この順番で秘密の通路を突き進む
レーダーには幾つか赤い光点が付いている
「前方にも敵はチラホラ居るみたい……後ろはどうです、クルトさん?」
『3機編隊のみですが、我々を追ってきています。我々より少し速いペースですが、何処かに躓いたりしなければ、ジャブローからは出られます』
まさに鬼ごっこ状態。その上、前方にもその鬼が何機か居る状態。何とか避けられれば良いのだけど
「ミト、深いこと考える事ないよ!」
そう言ったモルちゃんのヅダが加速しつつ、左肩のバスターソードを抜く
「とりあえず、邪魔なヤツは潰す!!」
バスターソードを振りかぶって投げる
そうするとバスターソードはブースターを起動させて自律飛行……いや、ブーメランの様に回転して前方の敵機の胴体を叩き切っていき、次第に戻ってきたバスターソードを手に取り、右肩に担ぐ
「足さえ止めなきゃ良いんだよ、こう言うのは!」
モルちゃんの言う通りだ。相手がこっちより速く動いているのであれば、こっちは足を止めなきゃいいんだ。だったら……!
私は左腕に装備されたシールドからヴァルキュリアブレードを取り出す。前方に3機、ジムタイプ
手前に2機、奥に1機。私は手前の2機をスルーして奥のジムにヴァルキュリアブレードを突き刺す
胴体に直撃、そのまま私はウイングスラスターを前方に出して後退しながらヴァルキュリアブレードを狙ってライフルで射撃
刀身に当たった弾丸はそのまま跳弾して、残りの2機に直撃、3機同時に撃破
「ちょっ!? ミト今軽くスゴいことしてなかった!?」
「色々動画見て見様見真似でやってみたんだけど……上手く行ったみたいだね!」
「アレ見様見真似だったの!?」
我ながらよくやったと思うよ、これでも一か八かの状態だったのだけど……
「……ゲェ」
「どうしたの、モルちゃん?」
「前方に3機……挟み撃ちだ……!」
「……ウソでしょ」
後方からも3機、ちょっとまずいかも……
「敵機確認、アレは……ジム・ガードカスタム! ストライカーまで……!」
「……つまり?」
「ジムタイプでも厄介な奴ら!」
わーお……
さらに追い討ちをかけるかの様にクルトさんも通信が入る
『皆さん、こちらも悪い知らせです。後方から接近中の機影を目視で確認しました』
「機体は?」
『ガンダムです。RX-78-2、ファーストガンダム。他はガンキャノン。厄介なのに捕まりましたね」
冗談じゃない!!
私は初心者向けミッションをやりに来たはずなのにどうして今高難易度ミッションやってるの!?
ちょっとレベル高すぎるよ!!
いや単純に私が方向音痴じゃなきゃ良かったんだけどさ!
そんな状況でクルトさんから提案が出る
『仕方ありませんね。皆さんは前方の敵機をお願いいたします、私は背中のガンダムを!』
「そんな、クルトさん一人で!?」
事実上、クルトさん一人を置いていくという事
私はそう簡単に飲み込めるはずもなく、否定したのだけど……
『ご安心ください、伊達にトップランカーの副長はやってませんから』
そう言ってクルトさんのギラ・ドーガは減速していく
『すぐに片付きます。終わったら追いつきますから、足止めだけでもしていただけたら!』
「……気をつけてくださいね……!」
クルトさんに別れを告げ、私達は目の前に現れたジム3機を目視で確認
「ミフユはストライカー、私とミトはその後ろにいるガードカスタムを狙うよ!」
「「了解!」」
私のバエルとモルちゃんのヅダは前方のジム・ストライカーを素通り
ストライカーが振り返った直後、ミフユのペイルライダーがパイルシールドで打突する
スラスターで加速していた勢いで攻撃をした為か、ストライカーは大きく吹き飛んだ
「アンタの相手は私だよ!!」
ミフユはビームライフルとシールドを投棄して、両腰に取り付けられたビームサーベルを引き抜き、
構えた
そして私とモルちゃんは後方に居たガードカスタムに向けて進行する
「何あのシールドでかくない!?」
「名前通りガードカスタムだからね! シールドの裏に来てしまえばただのジムだよ!」
私はウイングバインダーの電磁砲とヴァルキュリアライフルでシールドを構えるジムへと攻撃する
モルちゃんも同じくザクマシンガンでもう1機のジムを攻撃するけど……まぁ、マシンガン程度の弾丸であの大型シールドを破れるはずもなく
それどころか、ジムはシールドからガトリングガンを……
「シールドからガトリング!!??」
私はビビるあまり、上昇した。すると壁に激突した
よく考えなよ私、ここ洞窟だよ。そりゃ頭もぶつけるわ
結果、銃弾の雨に機体が晒される
「っ……くっそぉ!」
「ミト! バエルのような装備ならガードカスタムに正面から勝てないよ! いくらナノラミネートアーマーでも限りがある! 裏を取るんだ!」
「でもどうやって!? この弾丸の雨じゃ……!」
「私が引きつける! ミトのバエルなら出来ると思う!」
「お、思うってそんな曖昧な!?」
「じゃあ早めにヨロシク!」
そのままヅダはガードカスタムの元へ突っ込んでいく
「いや、ちょっと!?」
行ってしまったワケだから声かけてももう遅いのだけど、私初心者だよ?
裏取りなんてそんな簡単に……
「あぁもう!! 考えるの止めた! やれるって言うならやってやろうじゃない!」
ウイングバインダーを可変させて、私は洞窟の中で出来るだけ高度を上げて、敵の視界を避けて飛行する
距離が近づくにつれ、ジムも私の存在に気づき始めたのか、手持のビームガンで攻撃をしてくる
「盾が重すぎるから、ガトリングの射程も限られるって事か……なら!」
迫るビーム弾をシールドで防御しながら、牽制射撃。シールドで防御に入った
仕掛けるなら今。ライフルを投棄して、腰に懸架されていた予備の剣を抜いて右手で持つ
ジムの上空を通過して着地すると、無防備のジムがそこには居た
「貰った!!」
そのまま振り返ると同時に剣を振るうと、ジムは真っ二つになり爆散
「やった……?」
と思うのも束の間。アラートが鳴る
しまった、もう1機同じガードカスタムが居たんだった……!
地上に居て射程内だからなのか、シールドガトリングの砲門もこっちに向いている
やられると思ったその時
「させるかァ!!」
先程まで囮となっていたモルちゃんのヅダが、バスターヒートソードを持ってそのままジムの胴体を真横からなぎ払い、爆散
強敵、ジム・ガードカスタムを撃破した
「やりぃ!」
「モルちゃん、ありがと……助かったよぉ」
やられる瞬間だったから、少しホッとしながらモルちゃんに話しかける
「良いんだよ。それよりやっぱり出来たじゃん、裏取り」
「……あっ」
そうだ、夢中になってたから考えてなかったけど、よくよく考えれば上手くジムのシールド裏の位置を取ることに成功していた
確かに成功はしていたけども……
「いや、でも、モルちゃんが引き付けてくれたお陰でもあるし……」
「ミトが1機取ってるじゃん。誇りに思いなよー」
いや、私一人じゃ出来なかったからそんな事もないんだよなぁ……
「あ、そう言えばミフユ!」
「あっ!?」
すっかり忘れていたけど、近接特化型のジムを相手にしていたのだった
早く援護に行こうとして、後ろを見てみると……そこには無気味な雰囲気を漂わせるペイルライダーが居た
◇
数分前に遡る
ミトとモルドレットがガードカスタムに気を取られているその後ろではミフユが隊長機であるジム・ストライカーと一騎討ちを行なっていた
現状、ペイルライダーが押され気味
それもそのはずで、ストライカーにはツインビームスピアという専用武器を持っている
その名の通り、相手から距離を置いて攻撃が出来る槍を持つ以上、ビームサーベル2本のペイルライダーでは心許ない
もっと言えば、近づける余裕がミフユ側にないのだ
「もぉー……! あのジムだけズルいなぁ!」
距離を離して腕部ビームガンで攻撃するが、ストライカー自体、元々の防御力が高いことから、出力の低い固定式のビーム兵器では歯が立たない状態である
「どうすれば」と言いつつ、機体のコンソールを操作していくと、ペイルライダーに登録されていたアビリティを発見する
どうやら本機に初期導入されているシステムらしく、その名は『HADES』と記載されていた
「ええい! よく分からないけどあるなら使ってやれ!」
ミフユは何もわからないまま、取り敢えずHADESを選択する
するとどうだ。突如機体の各部が熱を持ったのか赤く光る
甲高く不気味なシステムボイスが鳴り、緑色に光っていたカメラアイが真っ赤に変化
グポーンと音を鳴らせてシステム稼働時間がコンソールに表示された
稼働残り時間1分30秒
この間、機体の総合能力が一時的に上昇すると記載がされている
「速攻で決めるよ……、ペイルライダー!」
二振りのビームサーベルを持ち直し、ジム・ストライカーに向けて加速……
「……アレ?」
突如さっきまで目の前にいたストライカーがいつの間に消えている
「え、あれ……?」
困惑しているミフユ。そんな中で突如背後から攻撃を受ける
紛れもなくジム・ストライカーからの追撃だった
「えぇ!? いつの間にアイツの後ろにいたの!? もぉ……!」
ミフユは追加装備したジャイアントガトリングを背中に装備されたウェポンラッチより取り出し、片腕で保持する
「装甲が厚くても、至近距離ならッ……!!」
再びストライカーに向け、加速。その最中でガトリングを掃射していく
終いにはそのガトリングをストライカーの胸部にその砲身を突き刺す
ちなみにただのガトリングで打突武器は何一つ付いていない。当然そうなればガトリングが破損して爆発するのだが、それこそある種の作戦であった
爆煙でストライカーは視界を失う。その隙を狙ってペイルライダーはストライカーの腕を蹴り上げることでツインビームスピアが吹き飛ぶ
「貰い!!」
宙を舞うツインビームスピア目掛けて、スラスターを全開にして跳び立つ
スピアを奪い取り、ペイルライダーはそのままジム・ストライカーへと斬りかかりに行く
爆煙からビームサーベルを持ったストライカーが現れ、ペイルライダーへ掛かっていく
「ッ……往生しろぉぉぉおおおお!!」
2機のMSがすれ違い、互いのビーム刃が交わる
ペイルライダーが地面に着地したそのタイミングで敵機は爆発。強敵を無事撃破である
ここでミトとモルドレットが同じタイミングでガードカスタムを倒しており、先程の状況へ続くのである
◇
「ミフユも……結構アグレッシブな戦い方するようになったんだね……」
姉である私からの言葉はこの一言に限ったのである
まぁそんなこんなで、私達はNPDとはいえ、強敵ジム小隊を撃破したワケだけど……何か忘れているような……
「……そういえば、クルトさんは……?」
…………
「「忘れてたあああああぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」」
『大丈夫、ここに居ますよ』
「「うわああああぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!!!!!??????」」
すっかりクルトさんの事を忘れていたのを他所に突然のご本人到来で女子のビックリ二連続をお送りしました
「く、クルトさんご無事で……!」
『ありがとうございます。背後から追ってきたガンダム達は撃破しましたよ』
おぉ……と歓声をあげる私とミフユ
モルちゃんは別の
「流石は第七機甲師団……単機でも集団戦を勝てるだけの能力持ってるのはスゴいなぁ」
『貴方こそ、その不安定なヅダでよく戦えていると思いますよ』
「……取り敢えず、褒め言葉として受け取っておくよ」
クルトさんとモルちゃんの間でちょっと意味深なやり取りをしていた
一体どういう事なんだろう
『あと数百メートルで出口です。これ以上の追撃は確認されませんので、もう大丈夫ですよ。この後も良きGBNライフを』
「あ、はい! ありがとうございました!」
クルトさんの乗るギラ・ドーガは、そのまま再びジャブローへの洞窟の中へ戻っていった
そして私達は、そのまま進んでいくと、洞窟の出口へとたどり着いた
「やっと出れた……」
「本当に……疲れた……」
私達姉妹はため息をついて、私はもう帰る気満々になっていた
「今日はもう帰ろっか……」
「え、何言ってんのミト。まだミッション終わってないじゃん」
っとモルちゃんからの追撃を食らってしまいました
ちなみにその後無事、目標アイテムを回収して経験値を貰ったとさ
◇
翌日
大学で午前の講義が終わって、夏海と食堂に居た
「はぁー……疲れたぁー……。必要とは言え、英語とかマジで無理……」
「お疲れ様。夏海、この後の講義も出るの?」
「うんー。やっぱ早めに嫌なものは片付けておきたいしねー。美都は?」
「今日のノルマは達成できたから、ちょっと寄るところ寄って帰るよ」
そう言うと、夏海は「ふーん……」と言って私を睨みつけてくる
「……な、何……?」
「美都さぁ……最近私に隠れて何かしてるの?」
「え!? いや、そんなことないよ!!」
「その慌てよう、正しく何か隠してそうだけど……」
まずい……
夏海に最近GBNやっていて、しかもアーサーさんのフォースの見習いやってるだなんて言ったら修羅場になるの間違いなしだよ……
どうする?
どうやってごまかす???
「えーっとね、じ、実は私最近レジンアクセサリーをちょっと本気で作ろうと思って、それで試作を作ってる最中だったから……」
「……ほぉーう? なるほどなるほど」
「うん、そう言うこと!」
「美都の言い分は分かったよ。それで? そのアクセサリーをプレゼントする方はお主の後ろに居る方かなぁ?」
……
はい……?
恐る恐る私は後ろを振り向くとそこに居たのは私よりちょっと背の高い銀髪の男性……て
「やぁ」
「あ、あ、アーサ……アルトリウス先輩!!???」
なんで!?
なんでココに彼が居るの!
しかもなんで私の後ろに立ってんの!!?
「ちょっとお話があってね。悪いけど、御稜さんを少し借りても良いかな?」
「ふぇ!?」
まさかの私をご指名!?
何、私何かした!?
「どうぞどうぞ、好きに持ってってください」
「夏海ぃ!?」
「だってご本人のリクエストじゃ、仕方ないじゃない。行ってきなさいな」
「……うん」
「あ、でも後で事情はしっかり聞かせてもらうから」
怖い
親友の顔は笑ってたけど目は笑ってなかった
◇
先輩に連れられて来たところは、シナンジュを返した校内の中庭だった
……意外と先輩ってロマンチストなのかな?
こんなシチュエーション、少女漫画でしか見たことないよ
「すまなかったね、突然」
「いえ……でも、突然私に何か用が?」
「用って程の事じゃないけど……、君にお礼をしたくてね。この間、僕のガンプラを返して来てくれたこと」
そう言って先輩が出したのは小包。中を見たらここ最近、都内で話題になっている高級洋菓子店のクッキーだった
「え!? い、いや、突然こんな高いもの……受け取れないですよ!?」
「良いんだよ。元々、モルが食べたいって言ってたから僕が買いに行って、ついでに買ってきた物なんだから」
「え、あ、じゃあいただきます……」
アーサーから小包を受け取り、ポケットへとしまう
「それと、すまなかったね。突然厄介事に絡ませるような真似をしてしまって」
「い、いえ、そんな事は……逆に私が先輩の足を引っ張ってしまうんじゃないかと思うと……」
「アーサーで良いよ。あまり、本名や先輩って呼ばれ方は慣れないんだ」
「す、すみません……」
「敬語もなし。同じフォースの仲間なんだからさ」
「わ……分かった。その、アーサー……?」
「うん、よろしい」
彼はにこりと笑顔を私に見せる
眩しい
一言で言い表すなら、そんな感じ
良いんだろうか、大学の中でもトップクラスのカリスマが私なんかと一緒に居て……
「取り敢えず、お詫びとお礼の印として……」
「ふぇ?」
突如私の頬に、彼の唇が触れた
突然の事に私は呆然としている
そんな事を他所に彼は耳元で囁いてくる
「今日はログインしてくるのかい?」
あまりの緊張により声を出せず、唸るような声と首を縦に振る事で肯定の意思を伝える
「じゃあレウルーラで待ってるよ、美都♪」
そう言って彼は中庭より去っていく
彼が居なくなってから数十秒間、固まっていたのだけど、漸く状況を理解した時、私は中庭で発狂した
SAN値が削れたなんてもんじゃない。ピンチ、いやゼロだ
ゼロ、答えてくれ。何故彼は私に突然キスをしてきたんだ
と言いたいけどゼロは答えてくれない
というか、ウイングは全く知らない
このネタだけ、某サブカルクソアニメの影響で知っているだけ
そんなんじゃゼロが答えてくれるはずないじゃないか、何を馬鹿なこと考えてるんだよ私
なんて考えていたら、困惑の次は恐怖が訪れた
「美都ちゃーん? もう要件は済んだぁー?」
親友、夏海の登場である
「ぁ、はい」
「じゃあ、詳しく教えてもらいますよぉ? 彼との馴れ初めを」
これが、私の波乱万丈のGBN生活の始まりでありました
美都視点でここまで描いてきましたけど、正直書くのが割と大変です
このまま美都視点で続けても良いものかどうか悩みどころですねぇ
次回からはライバルに相当するフォースとキャラを出してフォース戦の展開にしていきたいと考えてます