戦姫絶唱シンフォギア 響くぜ!絶唱!!   作:海空来

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第10話 シンフォギア・ゼロ

ジードが朝倉リクに戻る様子は皆の元にも中継されていた

 

「朝倉さん!?」

「リッキーまで…こんな戦いに……」

 

詩織と創世が驚いた声を出す

未来はクリスが堕ちて行く様子に涙する

 

『さよならを言えずに別れて、それっきりだったのよ…なのにどうして…?』

 

弦十郎も同様だった

 

『お前の夢……そこにあったのか?そうまでしてお前がまだ夢の途中というのなら、俺たちはどこまで無力なんだ……!?』

 

 

「ふっ、では失敬しようか…私の目的はジードの足止め、残業はしない主義でね…」

 

トレギアはふっと消え去ってしまう

 

 

響は泣き崩れる

 

「そんな…せっかく仲良くなれたのに……こんなの…嫌だよ…嘘だよ……」

 

ただ目の前にある現実を受け入れられず、響はその場に手をついて、ただ、己の無力さに打ちひしがれる

 

「もっと沢山話したかった…話さなかったら、喧嘩することももっと仲良くなることも出来ないんだよ…!」

 

そんな響に、翼は何も言わない、何も言えない

 

「クリスちゃん…夢があるって…でも、私まだ聞けてないままだよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな中、リクが落としたカプセルを拾いながら呟く人物がいた

 

「自分を殺して月への直撃を阻止したか…ハッ、無駄な事を……見た夢も叶えられないとは、とんだ愚図だなぁ」

 

フィーネは、クリスの所業を嘲笑う

 

「……笑ったか?」

 

翼が、呟く、そして叫ぶ

 

「命を燃やして大切なものを守り抜く事を……お前は無駄と、せせら笑ったか!!」

 

リクも同様に吼える

 

「無駄なんかじゃない…クリスは僕達に希望を託したんだ…いや、僕達がいたから戦えたんだ!僕達ならあなたを止められると!」

 

翼の脳裏に映るのは、二年前、絶唱を使い、その身を滅ぼした奏の姿

リクの脳裏に映るのは、沖縄で何年もリクを信じ続け、切り札を託して散っていった比嘉愛琉

その行為を、今、無駄と称して嘲笑った

それは、彼らにとっては到底受け入れがたい言動だ

翼は剣を向け、リクも立ち上がる

その時だった。

 

「……それガ」

 

「「…ッ!?」」

 

突如として聞こえた、おぞましい歪んだ声

そして、その歪んだ声を発したのは……その体を真っ黒に変え、獣のように成り果てた……響だった

 

「夢ト命ヲ握リシメタ奴ガ言ウ事カァァアァァアアアアァァアアア!!?」

 

獣のような咆哮が、その場に轟いた

その変化に、フィーネの口元が歪んだ

 

「おい、立花……!?」

 

その変化に、戸惑う翼

 

「あれは、あの時の!?」

 

かつてデュランダルを握った響の黒い姿

今の響は、その姿を完全に真っ黒に染め上げて、獣のように咆哮を挙げていた

 

「融合したガングニールの欠片が暴走しているのだ。制御出来ない力に、やがて意識が塗り固められていく……」

「了子さんは……その事を知っていて、響を実験に使っていたんですか!?」

 

まだその名で呼ぶかと言わん限りに睨みつけながら呟く

 

「実験を行っていたのは立花だけではない……見てみたいとは思わんか?ガングニールの翻弄されて、人としての機能が損なわれていく様を…」

「お前はそのつもりで立花を……奏を……!」

 

その時、響が地面に手をついて四つん這いとなり、そのままフィーネに向かって飛ぶ

 

「ッ!?立花!」

 

 

翼が叫ぶも、響は止まらない

そのまま響は、フィーネに襲い掛かる

 

 

が……

 

 

「バルカンスパークル!」

 

無数の光の弾丸が響を襲う

もろにそれを食らった響は呆気なく吹き飛ばされる

 

翼がリクの方を向くと、そこにはキングソードを持ったリクが立っていた

 

「キングソードは呼び出せるようでよかった…」

 

キングとベリアルのカプセルはまだ装填ナックルの方にハマっている

リクは翼の方を向いた

 

「響は僕が止める…翼さんは了子さんを…」

「…承知した」

 

翼はフィーネに向き合った

 

直後、カ・ディンギルが再始動を始めた

 

「…まさか!?」

「そう驚くな、カ・ディンギルが如何に最強最大の兵器だとしても、ただの一撃で終わってしまうのであれば兵器としては欠陥品

必要がある限り何発でも撃ち放てる…そのために、エネルギー炉心には不滅の刃、デュランダルを取りつけてある……それは尽きることのない無限の心臓なのだ…!」

 

それがデュランダルを狙った理由

 

「…だが」

「ん?」

「お前を倒せば、カ・ディンギルを動かす者は居なくなる…!」

 

翼は剣を構える

 

 

 

 

「どうしちゃったの響…!?」

 

リクに襲い掛かる響を見て、未来は声を挙げる

が、その響はいとも容易くリクに斬り飛ばされる

しかしそれでも立ち上がり、ただ本能のままにリクに襲い掛かる

 

「元に戻って!」

 

そう声を挙げるも、ここから聞こえる筈がなく、画面の向こうの響はリクと壮絶な戦いを繰り広げていた

 

「もう終わりだよ…私たち…」

 

そこで板場が、そのような声を挙げる

 

「学院がめちゃめちゃになって……響もおかしくなって……」

「終わりじゃない、響だって、私たちの為に……」

「あれが私たちを守る姿なの!?」

 

未来の反論を真っ向から否定するように、板場が泣きながら怒鳴った

モニターでは、響がリクにのしかかり何度も拳をぶつける

 

《ア゙ァッ!》

《グゥっ!》

 

キングソードで防いでいるがやはりダメージは入る

その様子に、安藤も寺島も恐ろし気に見ていた

それでも、未来は

 

「私は響を信じてる」

その響の姿から、目をそらさず、真っ直ぐに

 

「…私だって響を信じたいよ……この状況はなんとかなるって信じたい…でも…でも…でも…」

 

板場は、泣き崩れる

 

「板場さん…」

「もうやだよ……誰かなんとかしてよ…!怖いよ…死にたくないよぉ……!」

 

頭を抱えて泣き喚く

現実に耐え切れずに、ただただそこに蹲る

 

「助けてよぉ…響ぃぃい…!!」

 

 

 

 

その時声が響く

 

 

 

 

 

〈諦めんじゃねぇ!〉

 

「えっ……?」

 

その場にいた全員が顔を上げる

 

〈どんな絶望的状況に追い込まれても、立ち上がり続ける奴がいる!お前達のやってる事はそいつらの希望を裏切ることだ!お前達の為に戦っていた翼を、響を、クリスを、そしてリクを!アイツらを見て立ち上がれねぇのかよ!〉

 

「…そうだよね…私達が信じなきゃ…」

「そうだな…藤尭、友里、無線を送り続けろ、少しでも俺達にできることをやるんだ!」

「「はい!!」」

 

未来、弦十郎、藤尭、友里の目に希望が灯る

一方の3人は響いた声に困惑するだけだった

 

 

「響…!」

 

ボロボロのリクが立ち上がる

響は依然変わらず獣のようにこちらを狙う

どうすれば響を助けられる、リクはずっとそれを考えていた

ふと気付くと、胸元にあるネックレスのことを思い出す

 

胸の赤いクリスタルこそ、ガングニール、聖遺物の欠片

そこにウルトラマンキングのエネルギーを流し込めれば響を元に戻せるかもしれない

しかし、響のスピードは桁違い、まともに剣を当てることも難しい

その時だった

リクは胸元で熱いものを感じる

ポケットから出してみるとそれは、ホロボロスのクリスタルだった

それはリクの手の上でカプセルへと変わる

 

「力を貸してくれるのか…!」

 

迷ってる暇はない

リクはカプセルをキングソードにセットし手を翳して起動する

頭に技が浮かぶ

 

「モンスターアタック!メガテンスパーク!」

 

リクの体が青く輝くと、ホロボロスのように高速で移動し背後に回り込む

そして、その背中に爪のような斬撃を叩きつける

 

「ガァっ!」

 

響はこちらを向くが既にリクは動いていた

 

「スイングスパークル!!」

 

リクはクリスタルに向けてキングソードを突き立てた

エネルギーが響の中へ流れ込み、ガングニールの力を抑え込む

胸元からゆっくり響は普段の制服姿に戻った

 

「ふえっ…わ、私…」

 

リクはキングソードを落とすと響の手を握る

 

「この手は…誰かを傷つけるんじゃなくて、思いを繋げる為に…でしょ?」

 

響は自分が何をしたかを完全に理解し泣き出す

 

「ご…ごめんなっ……さいっ……ごめんなさいっ………!!」

 

リクは響を宥めるように背中をさすると肩を掴んで視線を合わせる

 

「危ないから離れてて」

 

それだけ言うとキングソードを拾い上げ、翼の元へ走った

 

「ぐあっ!」

 

翼は茨に吹き飛ばされ地に落ちていた

 

「ふっ…終わりだ…」

 

フィーネが直線で固めた茨を突き刺そうとした瞬間だった

 

「クローカッティング!!」

 

赤い鎌状のエネルギーがフィーネを斬りつつ吹き飛ばす

 

「お待たせしました…」

 

リクは翼の元に向かった

 

「立花は!?」

「無事です」

「…そうか!」

 

翼は嬉しそうな顔をすると気を引き締め、再び立ち上がった

 

「待たせたな…」

「どこまでも剱と生きるか」

「今日に折れて死んでも…明日に人として歌う為に…!

風鳴翼が歌うのは戦場ばかりでないと知れッ!!」

 

響やリクと出会って変わったのはクリスだけでは無い

ここに居るのはたとえ刺し違えても敵を倒す剱では無く、天羽々斬を纏うトップアーティスト、風鳴翼なのだ

 

「人の世界が剱を受け入れる事など、有りはしないッ!!!」

 

フィーネは茨を翼に叩きつけようと振り下ろすが、間にリクが飛び込みジードクローで茨を絡め取り、キングソードで叩き切った

しかし、ネフュシュタンの再生能力により茨が修復される

 

だが狙いはそれでは無い

 

斜め上から巨大な板、いや剣が突っ込んでくる

 

翼の放つ、“ 天ノ逆鱗”だ

 

フィーネは3重のバリアを展開し天ノ逆鱗を防ぐ

2枚を砕き、最後の1枚は砕けなかったがフィーネの体制を変えることが出来た

 

天ノ逆鱗から飛び上がると翼はふた振りの剣を燃やし、不死鳥のように飛び上がる

 

 

“炎鳥極翔斬”

 

そう、狙いはフィーネでなく、カ・ディンギルだ

 

しかし、フィーネもタダでは終わらない

かつてクリスが放った光球を翼に向けて放った

 

それはぐんぐんと翼に近付く

やはりダメなのか、再び翼はもがれてしまうのか

翼がギュッと目を閉じた時……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何弱気な事言ってんだ?」

「ぁっ…奏?」

 

忘れることのなかった相棒の姿がそこにはあった

 

「翼、あたしとあんた、両翼揃ったツヴァイウィングならどこまでも遠くへ飛んで行ける」

 

『そう…!両翼揃ったツヴァイウィングなら…!!』

 

ぶつかりかけた光球は別の光球に砕かれる

リクがバルカンスパークルを放ったのだ

 

「ぁぁ!?」

 

初めてフィーネが狼狽えた

 

「翼さん!今です!!」

 

『みんなと一緒なら……!どんな物でも超えてみせる…ッ!』

 

「立花ァァァァァァァァァァァァァーー!!!」

 

 

直後、カ・ディンギルはエネルギーを溜め込んだ影響もあって、大爆発を起こした

フィーネ、リクは吹き飛ばされる

響は辛うじて瓦礫の影に隠れることで何を逃れた

 

「私の想いは……またも!!」

 

もはや修復不可能なまでに破壊されたカ・ディンギルを見上げて、フィーネは呆然と叫ぶ

 

「翼さん……あとは……任せて……」

 

リクは再び立ち上がる、しかしウルトラマンとして強化されている体でも限界が来ていた

 

「そん……な……翼……さん…」

 

響は、翼が消えたカ・ディンギルを見上げて、一人絶望し、膝をついていた

 

 

 

「天羽々斬…反応途絶……」

「ぅぅ…ぅ…ッ!」

 

藤尭と友里は事実が受け入れられず、俯く

 

「身命を賭して、カ・ディンギルを破壊したか、翼…お前の歌、世界に届いたぞ…!世界を守りきったぞ…!!」

 

弦十郎は拳を握り締める

 

「分かんないよ…!どうして皆戦うの?!痛い思いして!怖い思いして!死ぬために戦っているの!?」

 

弓美は半ば取り乱している、頭を抱え涙を零して叫ぶ

しかし…

 

「分からないの?!」

「え…?」

 

未来も涙を零しているが、その顔に悲しみはない

悲しみを強い決意で押し殺しているのだ

再び問いかける

 

「分からないの?」

「ぁ…ぅぅ…!うわぁぁぁぁぁん!!」

 

弓美の泣き声が響き渡る

 

「ええぃ!どこまでも忌々しい!!」

 

 

 

 

フィーネは茨を地面に叩きつけると膝をついてる響の元へ近づく

 

「月の破壊は!バラルの呪詛を解くと同時に、重力崩壊を引き起こす…!惑星規模の天変地異に人類は恐怖し!うろたえ!そして聖遺物の力を振う私の元に帰順する筈であった!痛みだけが人の心を繋ぐ絆!たった一つの真実なのに!……それを!それをお前は!お前がぁッ!!」

 

響の土手っ腹を蹴ろうと足を振るフィーネ

だが間にリクが割って入り背中で蹴りを受けた

 

「ぐぅあっ!!」

「ぁ…ぅッ!」

 

響諸共吹き飛んでしまうリク

 

「まぁ、それでもお前は役に立ったよ」

 

響の頭をフィーネが掴んで持ち上げる

 

「やめてください……!!」

「生体と聖遺物の初の融合症例、お前という先例が居たからこそ、私は己が身をネフシュタンの鎧と同化させる事ができたのだからな」

 

だが忌々しいと言わんばかりにフィーネはリクに向かって響の体を投げた

 

「ええぃ!」

「響!!」

 

間一髪響の衝撃を殺したリクだったが、響は物理ダメージよりも精神的ダメージの方が大きかった

 

「翼さん……クリスちゃん……二人とももういない…学校も壊れて…みんな居なくなって……私…私はなんのために……何の為に戦っている……みんな……」

 

「興醒めだ……まぁ面白いものを見せてもらった礼だ、一瞬で消してやる」

 

フィーネはライザーを使い怪獣を呼び出した

 

《ギャラクトロン!マークII!!》

 

リクがかつて、ゼロやオーブと共に戦っても苦戦した怪獣が、そこに現れる

 

「貴様が20時間のインターバルを経ないと再変身が出来ないのはトレギアから聞いた……」

「教えてください、あなたは……いつからトレギアと……!!」

「ふっ、初めからだ……クリスを連れた私の前にやつは現れた、最初は信用出来なかったが……怪獣の力はシンフォギアを超えることを知り、利用したのだ……

ライザーに眠る貴様の父ベリアルの遺伝子を培養し、我が身とクリスに付与してな、お陰で同一遺伝子を持つ貴様しか怪獣に対抗出来るものはなかった……だが貴様も用済み…このカプセルがあれば……カ・ディンギルを超える粒子砲も作れる……」

 

フィーネは手元のウルトラ・エボリューションカプセルを見つめる

 

「そんな事に……使わせたりなんか!」

 

立ち上がろうとするリクをフィーネは蹴飛ばした

 

「……使うのだ、まぁ、それを見せてやれないのは残念だがな」

 

フィーネが手を上げると、斧を装備したギャラクトロンマークIIが動き出す

 

「響……逃げるよ!響……!!」

 

だが、響は全く動かない、いや、動けない

もう、生きる意味を見失った彼女は死を覚悟してしまった

 

リクは必死に呼びかけるがギャラクトロンマークIIは動き続け、遂に2人の上に斧を振り下ろした……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……え?」

 

リクは消えるはずの意識が消えない事に困惑する

響も一緒にいる

ふと、もう1人、リディアンの制服をきた女の子がいることに気づいた

 

「どこだ……どこへ行った!!?」

 

あるはずの死体が無いことにフィーネも驚いている

そして、土砂の煙が晴れると……そこには……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翼が居た

 

【〜♪ウルトラマンゼロ-レイト戦い】

 

「翼!?」

「翼さん!?」

 

モニターで映像を見ていた弦十郎達が困惑の声を上げる

 

「つ、翼さん!?」

 

リクや響も驚愕

いや、誰よりも驚愕しているのは……

 

「何故だ!?何故貴様がここに居るのだ!!?」

 

カ・ディンギルを破壊し、命をも捨てたと思っていたのに

だが、翼は鼻下を擦り言い放った

 

「ふっ、風鳴翼がこの程度で倒れると思うなんて、2万ねっ……あ、10年早いわ!」

 

リクは気付いた

鼻下を擦る癖、そして2万年

 

「まさか!ゼロ!!?」

「いやっ、俺っ……私は!」

「隠しきれてないから!!」

 

(ゼロ)はふぅっと溜息を吐くと目の所を腕で擦る

すると目が黄色く変わった

そして、声も

 

「【ま、バレちゃしょうがねぇか、久しぶりだな、リク!】」

「ゼロ、それはまずいんじゃ……」

 

全員が、男の声を出す翼に困惑する

 

「つ、翼?」

 

だが弓美は違った

 

「これ、さっきの声じゃ!?」

「【気付いたか?俺の呼び掛け!あんまりにも見てられなかったんでな!】」

 

ゼロは弓美の疑問に答えるように叫ぶ

 

「巫山戯るな……まだ邪魔をするのか!風鳴翼!!いや……ウルトラマン如きが!」

 

フィーネは茨を翼に向けて飛ばした

 

【〜♪ウルトラマンゼロ-ゼロビヨンド】

 

だが翼はそれを視認することも無く掴むと、改めてフィーネを確認し飛びかかった

一瞬で懐に潜り込まれたフィーネは驚きながらも腹を蹴ろうと足を振り上げる

翼はその足を掴むと、逆に勢いを逃がすようにフィーネを投げ飛ばす

フィーネは瓦礫の山にぶつかり、唾を吐く

翼はその間もフィーネに近付いていた

フィーネを蹴り、空中に浮かばせると腹部に何度も拳をぶつけ、最後の一発で空高く押し上げた

さらに翼はそれよりも高く飛び上がり、フィーネを蹴り飛ばして地面に叩きつける

 

「ぐっ……ここまで!」

 

フィーネはギャラクトロンマークIIを動かす

 

「翼さん!じゃなかった……ゼロさん!?」

 

響が危ないっ!と言うように叫ぶ

 

「【慌てなさんな!】」

 

 

翼は凄まじい身体能力でギャラクトロンマークIIの斧を避けると、胸元から眼鏡を取り出す

と言っても普通の眼鏡では無い

耳のひっかけもなく、レンズも黄色、あとごつい

翼はギャラクトロンマークIIに向き直るとそれを目に当てる

 

「【シェァッ!】」

 

そして、人差し指の位置にあるスイッチを押した

翼の体は光に包まれていく

その中で顔から胸まで銀色のプロテクターが覆っていき、残る腕と胸から下の体色が変わる

しばらくし、光が無くなると翼の体は消えていた

下をギャラクトロンマークIIは探し続けていると突如頭に衝撃が走り倒れてしまう

そして、降り立つ巨人

 

リクは何度もその背中を見てきた

初めて助けに来てくれた時、その背中は驚きと嫉妬の目でしか見れなかった

しかし次からは違う、尊敬と感謝

今再びその背中が現れたのだ

 

【〜♪ウルトラマンゼロ-登場】

 

ゆっくり立ち上がるとその戦士は叫ぶ

 

「俺はゼロ…………ウルトラマンゼロだ!!」

 

リク以外の皆にとっても新たな巨人の姿は希望を灯した

 

「かっこいい……」

「青と赤に銀のハイブリッドカラー……」

「美しいです……」

 

すっかり落ち込んでいた3人も食い入るように見ている

 

「ウルトラマンゼロ…リクくんの師匠とも呼べる存在…あれが……!」

 

弦十郎もリクから聞いていた存在の登場に歓喜する

 

「クソっ……ウルトラの一族は皆私の敵か!!」

 

フィーネはギャラクトロンマークIIを再起動する

 

「あ、そだ」

 

ゼロはリクの方を向く

 

「お前さっき迷っただろ、他の奴らの為に、ベリアルを犠牲にしたって言われて」

「そ、それは……」

 

リクは歯痒そうに俯くがゼロはそれを見て笑った

 

「ハハッ、分かってねぇな……お前はベリアルを犠牲にしたんじゃねぇ、ベリアルを……()()()()()()

「えっ……?」

 

リクが驚いてゼロを見る

 

「あいつは目的を阻止されても、宿敵の俺に殺されても、何度も何度も蘇った…が、その体は限界に来てたんだろ、だから一度俺のことを乗っ取ったこともあった……でも、お前があいつの想いを知ってあいつを終わらせてやった。そうすることでベリアルを救済したんだよ、他の誰にも出来なかった……ベリアルを赦してやることでな」

 

そうだ、リクは最後、ベリアルの記憶を読んだ

他の戦士に見下されてるように感じ、新たな力を求めたベリアル

追放され、レイブラット星人に飲み込まれ、復讐を始めたベリアル

ギガバトルナイザーを取り戻し、仲間と誓いを新たにするベリアル

結局は自業自得だ

しかし、悲し過ぎる生き様だった

それを息子であるリクは赦したのだ

他に誰にも出来ない、ただ一人の息子である自分の宿命として

 

ギャラクトロンマークIIが再起動した

ゼロはギャラクトロンマークIIに向き合った

 

「ギャラクトロンマークIIか…あん時は手こずっちまったが……」

 

ゼロは手を振ると腰を低く構える

 

「あん時のままだと思うなよ!シィエアッ!」

 

【〜♪ウルトラマンゼロ-アクション】

 

ゼロは一気に駆け出すと、ギャラクトロンマークIIに組み付いた

 

「エメリウムスラッシュ!」

 

2回ほど額のランプから緑色の光線を放ち、肩のパーツを破壊し距離をとった

 

「次は……その斧だ!」

 

ゼロは腕を左にグッと伸ばし、L字に手を組んだ

 

「ワイドゼロショットォ!!」

 

黄色い光線がギャラクトロンマークIIを捉える

ギャラクトロンマークIIは斧を盾の代わりに使った

しばらくは防いでいたが、ゼロが気合を入れ直すとエネルギーの量が増加し斧が砕け散った

 

ゼロは頭のゼロスラッガーを外し、空中に静止させるとそれを蹴り放った

 

「ウルトラキック戦法だ!」

 

勢いを増したスラッガーはギャラクトロンマークIIの体に傷をつけた

それが手元に帰り着くと、ひと振りの刃へ変えた

 

「ゼロツインソード!」

 

それを構えつつギャラクトロンマークIIに斬り掛かる

 

斧を亡くしたギャラクトロンマークIIはゼロツインソードを防ぐ手段がない

その体に斬撃を受け、ダメージを蓄積する

ゼロは一度離れるとその刃にエネルギーを溜めていく

緑色に刃が輝き叫ぶ

 

「プラズマスパークスラッシュ!」

 

横一閃、刃がギャラクトロンマークIIを斬り裂くと、ゆっくりギャラクトロンマークIIが爆発する

 

「再戦で俺に勝とうなんざ、2万年早いぜ!!」

 

ゼロはビシッとピースを裏返したサインを作る

 

 

 

 

その頃、機動部の皆はというと

 

「さすがに強いな……さすが、リク君の師匠だ!」

 

その時、通路側がせわしくなる

すると、緒川が飛び込んできた

 

「司令!周辺区画のシェルターにて生存者発見しました」

「そうか!良かった…!」

 

弦十郎が安堵の声をあげる

 

「ああ!お母さん、カッコいいお姉ちゃんだ!えへへッ!」

「ぇっ?」

「ああ!ちょっと、待ちなさい!」 

 

未来が困惑する中、親子がモニターまで近付いてくる

 

「ビッキーの事、知ってるんですか?」

 

創世が聞くと、母親は一瞬口篭るが話し出す

 

「詳しくは言えませんが、うちの子はあの子に助けて頂いたんです」

 

未来、創世、詩織、弓美が驚きの表情を浮かべる

 

「自分の危険を顧みず、助けてくれたんです。きっと、他にもそういう人たちが…」

「響の…人助け……」

 

彼女の本質は変わらない

例えどんなことになろうと、見過ごせない命がそこにあるなら手を差し伸べる

それが立花響だ

 

「ねぇ?カッコいいお姉ちゃん、助けられないの?」

 

女の子が問いかける、だが応える事が出来ない

 

「助けようと思ってもどうしようもないんです、私たちには何も出来ないですし…」

 

詩織が悔しそうに呟く

 

「じゃあ一緒に応援しよっ!!ねぇ、ここから話しかけられないの?」

 

少女らしい発想だ

まるでヒーローショーのような

 

しかし…藤尭は否定する

 

「…うん。出来ないんだよ…」

「ぁ、応援…」

 

だが未来はなにかに気付いた

 

「ここから響に私たちの声を、無事を知らせるにはどうすればいいんですか、響を助けたいんですっ!」

 

未来の呼び掛けに藤尭も頭を捻らせ、考えを絞り出した

 

「学校の施設がまだ生きていれば、リンクしてここから声を送れるかもしれません」

「ぁぁ…!うん!」

 

未来はモニターの響を見つめた

 

 

 

 

「ぃよぉーし!あとは親玉だけだが…」

 

その時、フィーネの声がどこからか響く

 

 

「もうずっと遠い昔、あのお方に仕える巫女であった私は、いつしかあのお方を、創造主を愛するようになっていた

だが、この胸の内を告げることは出来なかった……その前に、私から、人類から言葉が奪われた…!

バラルの呪詛によって、唯一創造主と語り合える統一言語が奪われたのだ…!私は数千年にわたり、たった一人バラルの呪詛を解き放つため、抗ってきた…。いつの日か統一言語にて、胸の内の想いを届ける為に…」

 

そう、この一連の出来事は全て、一人の乙女の恋心から始まったのだ

 

「胸の…想い……?」

 

響が繰り返す

 

「だからって……」

 

リクも悲しそうに拳を握る

 

「是非を問うだとッ!?恋心も知らぬお前達がァァッ!!!」

 

気付くとフィーネはカ・ディンギルの頂点にいた

 

「トレギアぁッ!最強のカプセルを寄越せ!」

 

鈍い音と共にやつは現れた

 

「良いのかい……これは君の精神を蝕んでいくよ……」

「構わぬ!今私にあるのは奴らへの憎悪だけだぁッ!」

「ふっ、良いだろう」

 

トレギアは2本のカプセルを渡した

フィーネがスイッチを入れ、速攻ライザーで読み取るとゼロやリクにとって聞くはずのなかった音声が流れ出す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《デモニックフュージョン!アンリーシュ》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《エンペラ星人!ダークルギエル!》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《ウルトラマンベリアル!アトロシアス!!》

 

 

 

 

「なっ!アトロシアスだと!?」

「そんなっ!?」

 

カ・ディンギルから現れた紫の雲のようなエネルギーは人の形をかたどっていく

やがて肉が剥げ、骨が見えるようなウルトラマンの姿が現れた

 

その目はジードに似た目で、灰色と黒で色づいている

ウルトラマンベリアルアトロシアス

2人の最終決戦の相手

 

フィーネはインナースペースでフゥと息を吐いた

 

「シンフォギアシステムの最大の問題は、絶唱使用時のバックファイア…

融合体であるお前が絶唱を放った場合、どこまで負荷を抑えられるのか、研究者として興味深いところではあるが…ッハ!

もはやお前で実験してみようとは思わぬ、この身も同じ融合体だからな…神霊長は私一人がいればいい!私に並ぶものは、全て絶やしてくれる…!」

 

ゼロは再び鼻下を擦る

 

「っち…遂に闇に魂を売りやがったか……ならここで引導を渡してやるぜ!」

 

ゼロはゼロスラッガーを手に持つとアトロシアスに切り掛る

しかし、アトロシアスは爪でそれを受け止めると逆にゼロを爪で切り裂いた

 

「グゥォッ!?」

「私の憎悪の前に……光が勝てると思うな!!」

 

アトロシアスはゼロを圧倒した

何度も爪で切り裂かれ、ゼロはボロボロになっていく

 

「っちぃ、クソっ!」

 

せめてストロングコロナやルナミラクルになれれば良いのだが、ゼロ自身が恐れた力を無闇に満身創痍の翼の体を使ってチェンジする訳にはいかない

ゼロは遂にカラータイマーを慣らしてしまう

 

「フフフ……これで終わりだ……!」

 

アトロシアスがゼロに爪を突き立てようとしたその時!

 

 

《仰ぎみよ太陽を》

 

 

「ん?……チッ!耳障りな!何が聞こえている?」

 

 

《よろずの愛を学べ》

 

 

「ぁぁ……」

「これって……校歌!」

 

そう、スピーカーを通じてリディアン学園の校歌が響いているのだ

 

 

《朝な有なに声高く》

 

 

「なんだこれは…!」

フィーネは困惑が解けない

 

 

《調べと共に強く生きよ》

 

 

《遥かな未来の果て 例え涙をしても》

 

 

《誉れ胸を張る乙女よ 信ず夢を唄にして》

 

歌っているのはもちろん皆だ、未来達が協力し、動力を学校に繋げたのだ

 

『響…私たちは無事だよ…!響が帰って来るのを待っている…!だから…負けないで……!)』

 

未来達の願いは一つだ

 

 

『チッ!どこから聞こえてくる…この不快な…唄……!歌、だと…!?』

 

『聴こえる……みんなの声が…」

 

響の中で何かが再び灯る

 

「良かった…私を支えてくれてるみんなは…いつだって側に……!みんなが歌ってるんだ…!だから、まだ歌える…!頑張れるっ!!戦えるッ!!!」

 

その時、3本の光の柱が灯る

ひとつは森の中から、ひとつはゼロのカラータイマーから

そして、響から

 

「なっ…!?」

 

「響……!」

 

リクは嬉しそうに微笑む

 

「まだ戦えるだと…!?

何を支えに立ちあがる…?

何を握って力と変える…?

鳴り渡る不快な歌の仕業か?

そうだ、お前が纏っているものはなんだ?

心は確かに折り砕いた筈…!なのに…何を纏っている?!

それは私が造ったモノか?!

お前が纏うそれは一体なんだ!?

なんなのだ…!?」

 

 

 

奏者3人は新たなギアを纏い飛び立つ

そして、応える

 

「シンフォギアァァァァァァァァァァァァァァーーー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




【次回予告】
【〜♪優勢2】

遂に発現したギアの真骨頂、エクスドライブ
その力はもうノイズを寄せ付けはしない
だがアトロシアスの猛攻の前にゼロが苦戦する
こうなったら一かバチか、あの力を取り戻すしかない!

次回、戦姫絶唱シンフォギア 響ぜ!絶唱!!

【エクスドライブの光 究極の進化(ウルティメイトファイナル)

繋ぐぜ!願い!!
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