フィーネ、そしてF.I.Sのメンバーは人里離れた山の中にいた
その中ではウェルがマムの容態を調べていた
「数値は安定。年齢のわりにたいした体力です。それとも、振り絞った気力でしょうか?」
少し皮肉を利かせるように言い放つウェルだが、そんなことは意にとめず、3人は胸を撫で下ろす
「良かった…」
「本当に良かったデス!」
そんな調と切歌を見たナスターシャは後悔と疑問を抱く
(私は、この優しい子達に、いったい何をさせようとしていたのか…
所詮、テロリストの真似事では、迫りくる災厄に対して何も抗えないことに、もっと早く気付くべきでした)
そんな中ソラがウェルの元に歩き寄る
「…お前がグリーザを呼び出したのか…?」
「えぇ、とっても親切な方がくれまして…」
「そうか…」
それだけ確認したソラは部屋の外へと出た
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メディカルルーム
そこでは、立花響と朝倉リクの緊急手術が行われていた
胸から飛出た金属片、ガングニールの破片
それを剥離しているのだ
部屋の外で未来もそれを待つ
すぐそばにはゼロが粒子状に実体化している
「悪い…何も伝えてなくて…」
未来は首を振る
「…責めても…なかった事にならないですから…」
そこへ、緒川が現れた
「当座の応急処置は無事に終わりました」
「無事? 響は、無事なんですよね?」
「はい、ですが説明があります、来ていただいて良いですか?」
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再び、F.I.S大型ヘリ
「それでは本題に入りましょう」
そう言ってウェルは持ち帰ったネフィリムの心臓を披露する
「苦労して持ち帰った覚醒心臓です、必要量の聖遺物をエサと与えることで、ようやく本来の出力を発揮できるようになりました、この心臓と貴方が5年前入手した…」
ウェルはマリアを見るが、当の本人は何の事っ?というリアクションをとってしまう
「お忘れなのですか? フィーネであるあなたが、皆神山の発掘チームより強奪した神獣鏡のことですよ」
もう気付いているかもしれない、だがマリアは演技を続ける
「え、ええ、そうだったわね…」
「マリアはまだ、記憶の再生が完了していないのです…いずれにせよ、聖遺物の扱いは当面私の担当、話はこちらにお願いします」
マムが上手くフォローを入れた
「これは失礼、話を戻すと、フロンティアの封印を解く神獣鏡と、起動させるためのネフィリムの心臓がようやくここに揃ったわけです…」
「そして、フロンティアの封印されたポイントも、先だって確認済み。」
マムの言葉に重なるようにウェルが叫ぶ
「そうです! すでにデタラメなパーティーの開催準備は整っているのですよ!あとは、僕たちの奏でる狂想曲にて全人類が踊り狂うだけ!うはははは!うーははははは!!」
彼が普段から夢と語る英雄の姿はそこにない。
寧ろ、支配欲に満ちた、独裁者のようだ
「近く、計画を最終段階に進めましょう…ですが今は、少し休ませていただきますよ」
話が終わるとマムは退室して行った
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「リンゴは浮かんだ…お空に…」
解散した後マリアは自室で童歌を歌っていた
「マリア、良いか?」
その時、ソラが戸を叩いた
「ええ、いいわよ?」
ソラは入ると腕を組み壁に寄りかかる
「ウェル…もう気付いてるかもな」
「やっぱり…?」
「ジードの奴がそんな関係になってるとは聞いてなかった…俺のミスだ」
「気にしないで、偶像を演じられなかったのは私よ」
「状況も芳しいとは言えない、大きく動けないとは言えアイツ…俺の前で別の形態を使わなくなった…」
ここでマリアはひとつの疑問を口にした
「ねぇ、どうしても…あの子は引き入れられないの?」
「無理だ」
「…私信じられないの、あの子が貴方達の父親を無惨に殺したなんて!」
「いい加減にしろマリア…」
ソラはドスを効かせてマリアを睨む
「本当の悪魔ってのは…心で爪を研いでる…近づいた所を殺されるぞ…」
ソラはドアの方を向く
「ウェルは気付き始めてるから気をつけろ、それだけだ」
そして外へ去り小さく呟く
「そう、心で爪を…な」
残されたマリアは歯をかみ締める
「でも…たった2人の兄弟なんでしょ…」
同じような境遇で妹を目の前で失ったマリアにとって、耐え難い状況となりつつあった
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後日
スーパーカワグチから調と切歌がレジ袋を提げて出てくる
「楽しい楽しい買い出しだって、こうも荷物が多いと面倒臭い労働デスよ」
愚痴る切歌の両手の袋にはたくさんの買出しが入っている
同じように袋を持つ調が答える
「仕方ないよ、過剰投与したLiNKERの副作用を抜ききるまでは、おさんどん担当だもの」
そんな調の様子に違和感を感じた切歌は彼女のまえに立つ
「持ってあげるデス、調ってば、なんだか調子が悪そうデスし」
「ありがとう。でも平気だから」
「…じゃあ少し休憩するデス!」
しばらくして、2人は人のいない工事現場で休憩を始めた
「嫌なこともたくさんあるけど、こんなに自由があるなんて、施設に居たことは想像出来なかったデスよ」
そう言いながら切歌はパンを齧る
「うん…そうだね…」
一方の調は、チョココロネの袋を握り締める
切歌は昔の事、今の現状を、改めて思い出す
「フィーネの魂が宿る器として、施設に閉じ込められたあたし達、自分が自分でなくなるなんて怖いことを、結果的にマリア一人に押し付けてしまったあたし達…」
このままでいいのだろうか…
そんな思いがあるのだろう
あの気楽で優しい風来坊に相談できたら…どれだけ気が楽になるか…
その時だった
「そんなとこに居たら危ないぞ?」
切歌はへ?っと顔を上げると、まさにその風来坊、クレナイガイの姿があった
「ガイさん!」
「久しぶり、休憩中か何かか?」
「えぇ、調がちょっと…」
視線を移すと調は、先程より苦しそうに肩を上下に揺らしていた
「調!?ずっとそんな調子だったデスか?!」
「うん…でも、ここで休んだからもう…」
そう言って立ち上がるも、調はよろめき鉄パイプにぶつかり倒してしまった
その衝撃は上の方にも伝わり、そこに転がっていた鉄パイプが一斉に落ちてくる
いくらシンフォギア装者でも生身ではただの少女
このままでは八つ裂きだ
「っ!」
ガイは手からいくつか黄色の光球を放ち、鉄パイプを弾き飛ばす
しかし、数本取りこぼしてしまう
ならばと2人の元に走ろうとするがある光景を目にし、動きを止める
そこには気を失って倒れてる調を庇おうとし、手を掲げてる切歌の姿があった
目を取られたのはその手の先に…
ハニカム状の
それを見たガイはつぶやく
「…フィーネ…?!」
【次回予告】
僕と響はもう戦っちゃいけない…
それが分かってても…ドーにもならない時はある
けど、その決断は僕達にとって、最悪の事態を招いてしまう
次回、戦姫絶唱シンフォギアG 響くぜ絶唱
【引き裂かれた陽だまり】
未来「私だって…守りたいのに…!」