そして、それがもたらしたのは、ジードの暴走だった
これを彼女達がどう乗り越えるか…そして、愛憎の戦士が生まれる」
「なんだよ…あのジードは…!」
ノイズを迎撃していたクリスは、現れたジードの姿に目を見張る
フィーネと名乗ったウルトラマンも、禍々しいオーラを放っていた
だがあれは禍々しいなんてものじゃない
一言で言えば……
本能的に獣の威嚇に似た恐怖が刻み込まれていく
ジードは大きな咆哮をあげると数歩走り、ギャラクトロンMark2(以下ギャラクトロン)に飛びかかる
そのままマウントを取ったギャラクトロンに対して、ジードは引っ掻くような攻撃を浴びせた
攻撃の度にギャラクトロンのボディに指と同じ数だけの切り傷が刻まれていく
ジードは無理矢理ギャラクトロンの体を引き起こすと、そのまま腕を引きちぎった
そして、その腕を武器にしてギャラクトロンに叩き付ける
その戦いざまはまるで…
「サンダーブレスター……」
「な、なんだそれは?」
ゼロが呟いた聞きなれぬ単語を翼は聞き返す
「俺達と一緒に戦った、ウルトラマンオーブの姿の一つだ、あいつの父親、ベリアルの力を使ってるせいか…あんな風に荒れた戦い方をすんだよ…」
ゼロが苦々しそうに話す
ジードはギャラクトロンの首を締め、立ち上がらせると空中に放り投げレッキングリッパーでギャラクトロンを木っ端微塵に吹き飛ばした
ジードはけたたましく咆哮する、まるで獣のように
「(少しずつ何かが狂って壊れていきやがる…あたしの居場所を蝕んでいきやがる!)」
クリスはいまだ残るノイズに向かっていく
「♪Hyaha! Go to hell!! さぁスーパー懺悔タイム!地獄の底で閻魔様に 土下座して来い!
(ノイズ!! あたしがソロモンの杖を起動させてしまったばかりに)」
ノイズを迎撃しながら気づいた
ソロモンの杖を起動させたのは誰だ?
そう、他でもない自分だ
つまり…
「♪Hyaha! Go to hell!! もう後悔はしない 守るべき場所が出来たから!
(何だ・・・悪いのはいつもあたしのせいじゃねぇか…あたしは!)
もう逃げなぁァァァァァい!!」
“MEGA DETH FUGA”
2つの巨大ミサイルがノイズを潰した
「はぁ…はぁ…はぁ…」
クリスは呼吸を整えるとジードを見た
「ウガァァァッ!ガウッ!ウゥッ!」
ジードは暴れ足りないと言わんばかりに、ビルを崩す
一応ノイズを敵と認識しやっているようだが、明らかにオーバーキルな上に被害が増える
そこへゼロが現れた
【〜♪ウルトラマンゼロ ピンチ】
「おいジード!目ェ覚ませ!」
ゼロがジードに組み付くが、ジードはヤクザキックでゼロを吹き飛ばす
「グゥオッ!?」
「(な、なんて力だ!?)」
翼も今までの比じゃないジードの力に恐怖を感じていた
「これじゃあルナミラクルゼロでも浄化出来るか…っ!」
「(しかし、剣がここで折れるわけには!)」
その時、翼の目の前が突然光り、4つのアイテムが現れた
「(これは…ゼロアイにウルトラカプセル、それにライザー!?)」
「使ってみろ!コイツが使えなきゃ、俺はしばらく変身できない方法を使うしかねぇ!」
翼はライザーを掴むと脳内のビジョンに従い、ゼロアイを装着した
そしてカプセルを起動させる
「(ギンガ!オーブ!)」
スイッチを入れると2人の戦士が向かい合わせに現れる
「ジィアッ!」
「ショウルァッ!」
それをナックルに入れるともう1つのカプセルを起動させた
「(ビクトリー!エックス!)」
「フッ!」
「イーッスァァーッ!」
それもナックルに入れるとライザーを起動させて、読み込もうとするが電撃が走り、まるで反発してるようにスキャンさせることが出来ない
「(な、何故だ!何故力を貸してくれない!!)」
「やっぱりか…」
「(私の剣は、お前達の力を預けられるにあらずなのか!グアっ!?)」
突如、カプセルが強烈な光を放つと、カプセルは4本に分裂してしまった
「…やるしかねぇか…」
ゼロは眩いばかりに身体を輝かせた
その光が収まった時、そこには青くなった目に、変化したカラータイマーを持つ銀色のからだに、金のプロテクターを纏った、今までとは全く違うゼロの姿があった
「シャイニングウルトラマンゼロ…!」
ジードは構わずこちらに走ってくるが、シャイニングゼロは手をかざして念力のようなものでジードを吹き飛ばした
「…シャイニングスタードライブじゃ範囲が選べねぇ…もしベリアルを蘇らせちまったら、また世界が闇に包まれる」
そう言うとゼロは倒れているジードのカラータイマーに手を当て強烈な光を再び放つ
「シャイニング…ゼロレクター…!」
ジードは呻き声をあげながら苦しみ出す
そして、皆の視界が奪われ、それが戻った時、ゼロとジードの姿はそこにはなかった
しかし、4つの光がゆっくり落ちていくのを見た人が居たという
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ヘリキャリア内
マリアは強化ガラスに拳を打ち付ける
「この手は血に汚れている…セレナ…私には…もうっ…うわぁぁぁぁっ!!」
「教えてマム…何があったの…」
調は訳が分からず、マムに問い掛けるが答えたのはマムではなかった
「それは僕が答えましょう」
ウェルだ
「ナスターシャは十年を待たずに訪れる月の落下より、一つでも多くの命を救いたいという私たちの崇高な理念を……米国政府に売ろうとしたのですよ」
「マムっ」
「本当なのデスか!?」
マムはそれに沈黙で答える
「それだけではありません。マリアを器にフィーネの魂が宿ったというのも、とんだデタラメ。ナスターシャとマリアが仕組んだ狂言芝居」
「…マリアがフィーネじゃないとしたら!!」
つまり、あの力は本当にフィーネのもの
自分か調、どちらかは本当にフィーネになろうとしている
それが切歌は恐ろしくてたまらなかった
気づけば外は暗くなっていた
「マム、マリア。ドクターの言っていることなんて嘘デスよね……」
「本当よ… 私がフィーネでないことも。人類救済計画を一時棚上げにしようとしたこともね。」
スカイタワーの惨劇、あれこそ、マリア達と米国政府の交渉の結果なのだ
ノイズ、そして怪獣を呼び出したのはウェルだが、米国政府はマリア達を消そうとしていた
正当防衛ではあるが、ウェルの思惑は違う
マムが渡した情報により、講話が結ばれれば自分達の優位性が無くなる
それを恐れたのだ
調と切歌はウェルに対して構える
しかし、ウェルを庇うようにマリアが立ちはだかった
「マリア?」
「どうしてデスか!」
「偽りの気持ちでは世界を守れない。セレナの想いを継ぐことなんて出来やしない、全ては力。力をもって貫かなければ、正義を成す事などできやしない。世界を変えていけるのはドクターのやり方だけ。ならば私はドクターに賛同する!」
結局は己の迷いがこの事態を引き起こし、無駄な血を流す事になった事をマリアは後悔していた
そのせいで、マリアは今覚悟を決めてしまった
「そんなの嫌だよ。だってそれじゃあ、力で弱い人たちを抑え込むってことだよ…?」
調の不安そうな声を遮るように了承の声が上がった
「わかりました……それが偽りのフィーネではなく、マリア・カデンツァヴナ・イヴの選択なのですね」
「どうやらソラの方も、偶然ですがカプセルを4本手に入れたようですし?計画の軌道修正に忙しくなりそうだ、来客の対応も忙しくなりそうだ」
来客ーーーーーーーーーーーーーー
ヘリキャリア内の牢屋
そのビーム状鉄格子の中には
小日向未来の姿があった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー