あの惨劇の後、響もリクもメディカルチェックに入った
ゼロも念の為、2人に付いている
残ったクリスは翼と共にファミレスに入っていた
クリスはナポリタンを子供のように口の周りを汚しながら食べている
「なんか頼めよ?奢るぞ?」
翼はそっぽを向く
「夜九時以降は食事を控えている」
「そんなだからそんななんだよ」
「何が言いたい!用がないなら帰るぞ!?」
煮え切らないようなセリフに翼はテーブルを叩いて立ち上がる
「怒ってんのか?」
翼は口を噛み締めるように話し出す
「愉快でいられる道理がない! F.I.S.のこと。立花のこと。そして仲間を守れず、その剣を奮うことすら叶わなかった私の不甲斐なさを思えば……!」
クリスはフォークを置く
「呼び出したのは、一度一緒に飯を食ってみたかっただけさ、腹を割って色々話しあうのも悪くないと思ってな。」
翼の眉が動いたのにクリスは気付かない
「あたしら、いつからこうなんだ?目的は同じはずなのに、てんでバラバラになっちまってる。もっと連携を取り合って…」
「雪音」
「お?」
「腹を割って話すなら、いい加減名前くらい呼んでもらいたいものだ」
「はぁっ!?それはお前っ…」
クリスが顔を赤くしているうちに翼はさっさと出て行ってしまう
「おい待てって!確かにそうかも知んねぇけどよ!」
クリスが追いかけるように支払おうとすると店員に止められた
「あ、先程お知り合いと名乗る方が払われましたよ??」
「へ?」
クリスが外に出ると、翼がバイクの傍にいる男と話しているとこだった
「おい、知り合いか?」
「知り合いであろうはずがない」
「ふっ、まぁどっちでもいいけどよ」
男は帽子を外す
「人間は完璧じゃない、完璧を目指そうとすればするほど、自分の実力の無さに絶望するもんだ」
「何を知った口で!」
「だが、自分に出来ないことは、仲間がカバーしてくれる…仲間を信じろ?」
そう言うと男はラムネを2本置いて、クリスの口元を拭き始めた
「あっちょっ、お前っ!?」
「お前はなんなのだ…私達の何がわかる?」
「俺は夕陽の風来坊だ、
「「!?」」
突如、突風が吹いて2人は顔を覆う
視界を取り戻した時には、彼の姿はなかった
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数日後
響、翼、クリス、リクは司令室に集められた
そこにはゼロの姿もあった
「ゼロ、平気か?」
翼はゼロに問いかける
「おうよっ!…って答えてぇとこだが、そうでもねぇ。やっぱシャイニングの力はかなりダメージが入る…」
ゼロは胸の辺りを抑えた
リクは拳を握り締めるがゼロはそれを見て答える
「リク、あまり思い詰めんな、お前はギガファイナライザーを使えるようになった時何を学んだ?それを忘れんな」
「ゼロ…ありがとう」
リクは拳を開いて、深呼吸する
「そんな事より朗報だ、ほら、オッサン」
ゼロの声を聞き、響に弦十郎が何かを渡す
それは、皆も持っている特異災害対策本部2課の通信機だった
「師匠…これは?」
「スカイタワーから少し離れた地点より回収された、未来くんの通信機だ」
4人は息を呑む
「発信記録を辿った結果、破損されるまでの数分間、ほぼ一定の速度で移動していたことが判明した」
「それって…まさか!」
「あぁ、未来は死んじゃいねぇ、何者かによって連れられ、拉致されたと見るのが妥当なとこだ」
ゼロの声に響の目に光が灯る
あの日
離してはいけない手を離し、もう二度と取り戻せない暖かい場所を喪っていた響にとって、これ程の朗報は無かった
「よし、こんなとこで呆けてる場合じゃないだろう、気分転換に体でも動かすか!」
弦十郎の声に響が元気よく返事を返す
リクも続く
ーーーーーーーーーーもう…揺さぶられないためにーーーーーーーーーーー
【〜♪英雄故事】
海沿いの道に朝日が灯る
夜明けである
その中を走る5つの影
弦十郎、響、リク、翼、クリス
そして歌が始まる
「♪憑自我 硬漢子 挨出一身痴、流汗血 盡赤心 追尋大意義」
弦十郎の歌がどんな意味を持つかは分からない
だがみな必死に進む為、走る
まぁツッコミはあるが
「何でおっさんが歌ってんだよ! ってか、そもそもコレ何の歌だ? 大丈夫か?」
それに答えるのは出力を抑えるため、久しぶりにウルティメイトブレスの中へ入り、翼に装着してもらったゼロだ
「うだうだ言わねぇで走れ、遅れてんぞ」
「こんの〜っ…!」
そんなコントじみた会話を他所に、響は覚悟を決め直す
(そうだ。うつむいてちゃダメだ。私が未来を助けるんだ!)
その後、様々な特訓がなされた
一つ、足を鉄棒に引っ掛けてぶら下がり、頭の位置にある水壺から足の位置にあるバケツへ、2つのコップを使い、腰を曲げて移す訓練
一つ、ひたすら縄跳び
一つ、弦十郎が運転するジープをひたすら避ける訓練
一つ、空気椅子のような状態で肘を水平に伸ばし、頭、肘、膝に水を入れたカップを置いて行う訓練
一つ、冷凍庫に入り、ぶら下がってる豚肉を拳で叩く訓練
そして、走って山登り
それが終わった時、クリスはヘロヘロになり肩で息をしていた
意外と平気そうなリクに背中をさすられながら…
(どいつもこいつもご陽気で…あたしみたいな奴の場所にしてはここは暖かすぎるんだよ)
そんな風に思っていた
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ヘリキャリア
その中ではマリアがヘリキャリアを運転し、マムは横になっていた
「マムの具合はどうなのデスか?」
切歌が不安そうに聞くと、マリアはあくまで冷静に答える
「少し安静にする必要があるわ、疲労に加えて病状も進行しているみたい」
「そんな…」
調はその事実に改めて胸を痛める
そこへウェルも現れる
「つまり、のんびり構えてられないということですよ!月が落下する前に、人類は新天地にてひとつに結集しなければならない!その旗振りこそが、僕たちに課せられた使命なのですから!」
調と切歌がウェルを睨むとブザーが鳴り響く
映し出されたのは1隻の船
「米国の哨戒艦艇デスか!?」
「こうなるのも予想の範疇… せいぜい連中そう派手に葬って世間の目をこちらに向けさせるのはどうでしょう?」
「そんなのは弱者を生み出す強者のやり方…」
調がウェルに反抗するとマリアはウェルに肯定した
「世界に私たちの主張を届けるためには格好のデモンストレーションかもしれないわね」
「マリア…」
「私は、私たちはフィーネ。弱者を支配する強者の世界構造を終わらせるモノ。この道を行くことを恐れはしない!」
変わってしまったマリアに、調はどうしたらいいか分からなくなっていた
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一方ノイズの発生は2課にも届いた
翼は先陣を切って先に向かう
「応援の準備に向かいます!」
「翼さん!わ、私も!」
この期に及んで出撃しようとする響をクリスとリクが止める
「響!ダメだって!」
「死ぬ気かお前!」
「うっ…」
あまりの迫力に響は口を開けない
クリスは思わずつかんだネクタイを直した
「ここにいろって! な? お前はここから居なくなっちゃいけないんだからよ……リク、頼む」
「うん、気を付けて」
クリスも出撃準備へと向かった
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ヘリキャリアのモニターでは海兵隊が、次々ノイズに殺される様子が映し出されている
マリアはそれを見て、唇を血が出るほど噛み締めた
「こんなことがマリアの望んでいることなの? 弱い人達を守るために本当に必要なことなの?」
調が問いかけた内容にマリアは答えない
だがその表情は苦しそうだ
調は覚悟を決めるとヘリキャリアのドアを開く
「調、何してるデスか!?」
「マリアが苦しんでるなら、私がマリアを助けてあげるんだ!」
そして彼女は躊躇いなく空へ舞った
「Various shulshagana tron…」
その身にシュルシャガナを纏いながら落ちていく調を切歌は追いかけようとするが、その肩をウェルが掴む
「連れ戻すならいい方法がありますよ」
調は降り立つ直前、幾つもの丸鋸を飛ばし、ノイズを消し去る
哨戒船に降り経てば、ローラースケートを作り出し、滑りながら多彩な技でノイズを葬る
だが一瞬の隙をついて、ギアを仕舞いこんだ調を生き残りのノイズが襲う
今開いても迎撃には間に合わない
万事休すか?
否、突如斬撃がノイズを切り裂くとそこに切歌が降り立った
「切ちゃん!ありが…」
プスッ
調の体内に何かが注射された
直後、調はギアが馴染まず生身に戻ってしまった
「あたし、あたしじゃなくなってしまうかもしれないデス…そうなる前に何か残さなきゃ、調に忘れられちゃうデス」
「切りちゃん?」
言ってる意味が分からず、調は聞き返す
「例えあたしが消えたとしても、世界が残れば、あたしと調の想い出は残るデス、だからあたしは、ドクターのやり方で世界を守るデス。もうそうするしか…」
直後、海の中から何かが飛び出す
ミサイルポッドのようなそれはカバーが開くと、中から翼とクリスが飛び出した
2人は調と切歌を即座に無力化させた
翼は切歌に刀を突きつけ、クリスは調の腕を固める
「切歌!」
マリアが叫ぶとウェルはフヒヒッと笑う
「ならば、傾いた天秤を元に戻すとしましょうよ… 出来るだけドラマティックに、出来るだけロマンティックに……」
ウェルが操作するコンソールを見てマリアは気づいた
「まさか、あれを!?」
そして、歌が響く
Rei shen shou jing rei zizzl…
直後に空が光り、そこから哨戒船の上に何かが落ちる
煙が少しずつ晴れていくと、2課のメンバーは皆が息を飲んだ
「なん...だと…」
「嘘だろ…」
「なん……で……」
「未来っ……!?」
【次回予告】
マリア
「そんな筈はない!あの人はあの時!居なくなったのよ!哀しみにくれた私達を放っておいて!肝心な時に居なくなった!!だから…また現れるはずなんか無いのよ!」
マム「……次回、戦姫絶唱シンフォギアG 響くぜ絶唱…」
【再来の巨人】
ガイ「光の力、お借りします!!」