「シンフォギア奏者は僕がこれから統治する未来には不要、その為にぶつけ合わせたのですが……こうも相好するとは……チョロ過ぎる〜」
崖を滑りながらも、ウェルは降り立った
そこには…倒れた翼と依然立ち上がったままのクリスの姿があった
「はぁぁぁっ!?」
「約束通り、二課の装者は片付けた、だからソロモンの杖を…」
だがウェルはスイッチを取り出した
「こんなままごとみたいな取引にどこまで応じる必要があるんですかねえ?」
そういうと躊躇いなくスイッチを入れたが、何も起きない
何度も押してみるが、何が起きる様子はない
「なんで爆発しない!?」
「壊れてんだよ、約束の反故たぁ悪党のやりそうな事だな」
クリスは首輪を外しながら、ウェルにゆっくり歩み寄る
「あっ、いやっ! ひっ、ひい!」
錯乱したウェルはノイズを呼び出した
「今更ノイズ!グッ?!」
技を放とうとしたクリスは、激痛に苛まれた
この感じ…
「Anti LiNKERは…忘れた頃にやってくる!」
そう、いつかのAnti LiNKERが気付かぬうちに撒かれていたのだ
「こうなったら…ぶっ飛べ!アーマーパージだ!」
クリスはネフュシュタンの鎧でも発動のした事のあるアーマーパージを繰り出し、周りのノイズを吹き飛ばした
1人隠れたウェルは、チラリと様子を見るが突然現れた丸裸のクリスに手を叩かれ杖を落とした
「杖を!」
「ひっひぃぃっ!」
制御を失ったノイズは、クリスとウェルを狙い近付いてくる
ギアを纏い直す隙も杖を取りに行く暇もない
まさに絶体絶命
そして、ノイズがクリスを襲おうとした時、彼女は叫んだ
「先輩っ…!」
突如、千ノ落涙と呼ばれる大量のエネルギー剣がノイズを吹き飛ばした
その衝撃から身を守った時、普段とは違う歌が聞こえる
【〜♪絶刀・天羽々斬】
「そのギアは!? バカな! Anti LiNKERの負荷を抑えるため…敢えてフォニックゲインを高めず、出力の低いギアを纏うだとぉ!?そんなことが出来るのか!?」
怯えるようなウェル
言う通り今の翼のギアは普段と違う
ルナアタック事変の際の、黒色の多いギアを使用していたのだ
そんなウェルにクリスは言い切る
「出来んだよ、そういう先輩だ…」
そして翼の戦いが始まる
「♪颯を射る如き刃 麗しきは千の花 宵に煌めいた残月 哀しみよ浄土に還りなさい」
彼女は飛び上がると、脚のブレードを展開し逆立ち、大回転しながら敵を切り裂く逆羅刹を繰り出す
たまらず、ノイズは次々消えていく
しかし、激戦の後の特殊な戦い
翼は肩で息をしていた
「♪慟哭に吠え立つ修羅 いっそ徒然と雫を拭って…」
まだまだノイズは居る
このままでは…
しかし彼女は1人ではない
「♪思い出も誇りも 一振りの雷鳴へと」
「選手…《交代だ!》」
目が黄色くなり、ゼロが表に現れた
「♪去りなさい! 無想に猛る炎 神楽の風に 滅し散華せよ
闇を裂け 酔狂のいろは唄よ 凛と愛を翳して」
ゼロは2本の短剣を取り出すと、それを自身のゼロスラッガーのように投函した
その刃は縦横無尽に飛びまわり、ノイズを殲滅していく
そして、それを手元に戻すと、胸のコンバーターへと装着した
「♪いざ往かん…心に満ちた決意 真なる勇気胸に問いて
嗚呼絆に すべてを賭した閃光の剣よ 四の五の言わずに否、世の飛沫と果てよ」
「ゼロ!《天羽々斬!》ツインシュートォッ!」
翼とゼロの声が重なり、ノイズを一掃していく
その間にクリスは手を掲げ、パージしたギアに収納されていた服を纏った
「あとはてめぇだけだ!ウェル!」
ゼロが剣を向けるとウェルはライザーを取り出す
「まだ僕にはこれがあるぅっ!」
カプセルをスキャンし、怪獣とウェルは一体化した
そしてその怪獣は……
「ファイブキングか…!」
5体の怪獣がひとつになった怪獣
ファイブキング
ファイブキングは大きなハサミをこちらに向けて突き出した
ゼロはクリスを抱え、ソロモンの杖を掴み地上へ飛び上がった
そしてソロモンの杖をクリスに渡して、頭を撫でた
「よく頑張ったな」
「っ…るせぇ!」
クリスは顔を赤くし、離れる
「よぉし、行くぜ翼!もうある程度回復した今なら行ける!」
「(よし、共にブラックホールを吹き荒らすぞ!)」
翼はゼロアイNEOを取りだし、目に当ててスイッチを入れる
「シィエアッ!」
翼の体が覆われ、再び青と赤の巨人が現れた
同時に地下から、巨大な羽根を広げてファイブキングも飛び上がってきた
「僕こそ…ラストアクションヒーローだぁぁ!!」
「苦戦しそうだな…」
「(だが私達なら行ける…雪音や立花達も居る…負ける道理はない!)」
その時、インナースペースに再び光が灯り、以前使えなかったアイテムが現れた
「(これは…)」
「実はな、これは俺の弟子達のウルトラカプセルなんだ」
「(ゼロの?)」
「あぁ、皆俺が力を貸して、共に戦い、鍛え上げた戦士だ。コイツらは俺がダメージが大きく全力で戦えなかった時に、恩返しと称して力を貸してくれた…後輩達なんだ」
だから、自分が立花や雪音を守らなければと思っていたあの時は使えなかった
「けど今は違ぇ!お前は後輩を、後輩の力を信じてる!それこそ、仲間を信じるって事だ!」
「(そうか…承知した!力を貸して欲しい…皆さん!)」
カプセルは答えるように輝いた
【〜♪ゼロビヨンド】
「(ギンガ!)」
翼が一つのカプセルを掴みスイッチを入れると、未来から現れ、選ばれし者と共に戦う戦士、ウルトラマンギンガが現れた
「ショウラッ!」
「(オーブ!)」
2本目のカプセルは、今現在、力を貸してくれている風来坊、ウルトラマンオーブ
「ジィエアッ!」
翼はライザーでふたつのカプセルをスキャンした
ウルトラマンギンガ!
ウルトラマンオーブ!オーブオリジン!
ニュージェネレーションカプセル!α!
ギンガ、そしてオーブのカプセルは一つとなり、新たなカプセルを生み出した
「(ビクトリー!)」
次に起動し現れたのは、地底世界を太古の時代から守りし守護神、ウルトラマンビクトリー
「フッ!」
「(エックス!)」
最後に起動したのは、体を失いながらも、データとして生き残り、仲間との絆を深めユナイトする戦士、ウルトラマンエックス
「イーッスァァーッ!」
再びそのカプセルをスキャンしトリガーを引いた
ウルトラマンビクトリー!
ウルトラマンエックス!
ニュージェネレーションカプセル!β!
同じようにビクトリー、エックスのカプセルも一つとなる
この2本はただのライザーでは扱えない
翼はライザーにゼロアイを装着し、再びカプセルを起動する
「(ギンガ!オーブ!)」
「ジィエアッ!」
「ショウラッ!」
「(ビクトリー!エックス!)」
「イーッスァァーッ!」
「フッ!」
そのカプセルをナックルに入れると、ライザーを起動しカプセルをスキャンした
ネオ!フュージョンライズ!
俺に限界はねぇ!
防人の剱、見せて上げる!
そして、目元にライザーを持っていき、トリガー引くと手を振り下ろす
ニュージェネレーションカプセル!α!β!
「ヘアッ!」
翼の体はゼロへ切り替わり、その体に4人の戦士が一体化し、ジワジワ体を変化させた
ウルトラマン!ゼロビヨンド!!
「シェアッ!」
降り立ったゼロの姿は大きく変わっていた
シルバーをベースにしたボディに紫の差し色
両腕、両足に水色のクリスタル
肩には大きな突起が現れ、頭部のスラッガーは4本に増えていた
「すげぇ…」
様子を見ていたクリスも思わず声を漏らす
「俺はゼロ…ウルトラマンゼロビヨンドだ…!」
「このこのっ!このぉぉおっ!」
ファイブキングは腹部から光弾を繰り出した
ゼロビヨンドは頭部のスラッガーに手を添え、紫の刃を発動する
「クアトロスラッガー!」
ゼロビヨンドの手の動きに合わせ、飛び出したスラッガーは光弾を破壊しながら、ファイブキングの水晶体を破壊した
「何故だ!?合体なら数は同じはず!なのに何故お前の方がァァ!?」
狼狽えるファイブキングに対して翼は言い放つ
「(貴様の様に、無理矢理合わせられた力など、私たちの剣に及ばない!)」
そして、ゼロは手を構え説き伏せる
「てめぇ何か勘違いしてねぇか?」
「何っ!?」
「俺たちは互いを思い、信じ積み重ねた絆を力にしてんだ…お前みたいにただ渡された力で戦ってるんじゃねぇ!」
「何が絆だァァ!!!そんな脆い、儚いものォォォ!!英雄である僕の前に敵うと思うなぁァっ!!」
「はっ、お前みたいに絆を蔑ろにする奴が英雄を語るなんざ…
2万年早いぜ!
」
【〜♪DREAM FIGHTER】
《〜♪夢に向かい歩いていこう 描いた光を抱いて 輝け ULTRA HEART》
「黙れぇぇ!!」
ファイブキングはこちらに走ってくると、レイキュバスと呼ばれる怪獣の力を持つ爪をゼロビヨンドに突き立てる
「甘い!」
ゼロビヨンドは手元に呼び出したクアトロスラッガーをゼロツインソードへ変換し、受け止めた
「仲間達の力!見せてやるぜ!ギンガ!」
《行こうぜ!ショウラッ!》
若々しい、勝ち気な男性とギンガの声がしたかと思うとゼロツインソードはギンガスパークランスへ変化した
《〜♪夢を抱くことさえ許されないような時代が
君の涙を流すのかな?
でも夢を抱くことをそう、怖がらないで
足掻き探してゆくのさ》
ゼロビヨンドはランスを回転させ、ファイブキングの体制を崩すとランスをたたきつけ、頭部の角をへし折った
「頼んだぜ!オーブ!」
《喜んで!ジィエアッ!》
ギンガスパークランスはオーブカリバーへ変化し、その巨大なひと振りを、左手のガンQの部位に叩き付けた
「ヒィッヒイイイッ!?」
焦ったウェルは胸から光弾を放つが、ゼロビヨンドはオーブカリバーでガードした
「行くぞ!ビクトリー!」
《決めてやる!ツィアッ!》
オーブカリバーが分解されると、ゼロビヨンドの右腕はマグマが煮えたぎるような巨大な拳となった
「ビヨンド、EXレッドキングナックルッ!」
その拳は爪の間に入り込み、右手を破壊した
「グーだとぉおっ!?」
頓珍漢なことを言い出す、ウェルを余所にゼロビヨンドはアーマーを纏う
「ユナイトだ!エックス!」
《任せろ!テァァッ!》
ゼロビヨンドの体に、ウルトラマンエックスのサイバーゴモラアーマーが纏われ、エネルギーが溢れ出す
「サイバービヨンド!ゴモラ振動波!」
巨大な爪を胸に突き立て、一気に破壊エネルギーを流し込む
たまらずファイブキングは胸を爆発させる
《〜♪ やりたいことを見つけたとき
きっと誰もが輝くHERO
掴め! 確かな未来を! 揺るがない想い抱いて
変わっていくことに怯えていないで
ゼロから始める夢が きらめく星になって
きっと僕らの未来照らしてゆくから》
「貴様なんかに…ウルトラマンなんかにぃぃぃ!!!」
ファイブキングは背中の羽を広げ、空高く舞い上がると、こちらに向かって突貫してくる
だが格好の的となったそれを見逃す手はない
ゼロビヨンドは手を広げ、8つの光を呼び出し、構えた
「いっけぇぇ!」
クリスの叫びを合図にゼロビヨンドはそれを解き放つ
「
8つの光から光線が飛び出し、ファイブキングを貫いたかと思うと大爆発を起こす
「よっしゃああっ!」
飛び回り喜ぶクリスの元に変身解除した翼が歩みよる
クリスは罰が悪そうに、俯く
「一人で飛び出して…ごめんなさい」
そんなクリスに翼は微笑む
「気に病むな。私も一人では何も出来ないことを思い出せた。何より… こんな殊勝な雪音を知ることが出来たのは僥倖だ」
それを聞きクリスは顔を赤くする
「そ、それにしたってよ、どうしてあたしの言葉を信じてくれたんだ…」
「雪音が先輩と呼んでくれたのだ。続く言葉を斜めに聞き流すわけにはいかんだろう」
「そ、それだけか?」
「それだけだ…」
クリスは改めて思った
(どうかしてやがる…だからこいつらの傍は、どうしようもなく、あたしの帰る場所なんだな)
「さぁ、雪音の…
「っ…気付いてたのか?!」
翼は背中を向けた
「薄々となっ…」
そう呟く翼の声は震えていた
「先輩…?」
「っ…うぅっ…!」
突如、翼は崩れ落ち、手をつくと嗚咽を漏らしながら涙をこぼす
自身も気づいてなかった
だけど、自分が変わるきっかけを一番最初に教えてくれて、共に進んでくれたリクの事が翼も好きだったのだ
「許してくれ…鉄火場のど真ん中で…防人でもなく、シンフォギアっ…装者でもなくっ…ひ、1人の。女として泣くことをっ……ぐすっ…うぅっ…」
クリスはそんな翼を許した
翼に近付くと、背中をさすった
まるでリクのように……
【次回予告】
ガイ
「ソラが呼び出した怪獣、そして、ノイズに苦戦する俺達」
調
「そんな私達の前に、3人の人物が駆けつける」
切歌
「次回!戦姫絶唱シンフォギアG!響くぜ絶唱!」
【闇と鎧と偽りと】
?
「待たせたわね!」
?
「ここは任せていきなさい?」
?
「てめえなんかじゃなく俺がアイツをぶっ倒してやるよ」