戦姫絶唱シンフォギア 響くぜ!絶唱!!   作:海空来

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第15話 兄弟、決戦 【前編】

「シェアァァっ!」

 

僕はフィーネに対してギガファイナライザーを叩きつける

フィーネは腕をクロスし、それを受け止める

 

「何故戻れたぁ…!」

「僕には…仲間がいたからだ!」

 

僕とフィーネは激戦を続け、外へ飛び出す

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「私達も!」

「いや、あれはあの二人の戦いだ…」

 

飛び出そうとした響をオーブが止める

 

「奴が増援を出すなら、俺達が手伝おう」

「はい…!」

「おい、お前ら…」

 

ジャグラーの声に装者達は集まった

すると声が響いた

 

《揃っていますか?》

 

「マムっ!」

「大丈夫デスか?!」

「今どこに?」

《そんな事よりも、月の落下を止める方法です》

 

ナスターシャの声に皆が耳を傾けた

 

《必要なのは、歌です》

「歌…だと?」

《月は地球人類より相互理解を剥奪するためカストディアンが設置した監視装置…ルナアタックにより一部不全となった月機能を再起動出来れば…》

「なるほど…公転軌道状に月は戻るわけね」

《その声っ…櫻井了子ですかっ?!》

 

ナスターシャの驚く声が聞こえるがそれを遮るように了子が声を荒らげる

 

「そうだけど、そんなことより!その為に必要なフォニックゲインは6人分なんかじゃ足りないわよ…」

《ですから、世界中に映像を中継し、協力を仰ぐのです》

「なるほど、世界中の思いで…」

 

ガイが納得するように唸る

 

「でもそんな簡単に行きますか?」

「でもそれしかないなら!」

 

緒川が疑問を呈するが、響が変身を解除しながら降り立つ

 

「やりましょう…ジーッとしてても…ドーにもなりません!」

「させるかよぉ!」

 

突如、謎の声が響き、そちらを見るとウェル博士の姿があった

ファイブキングの爆発から命からがら生き延びていたのだ

 

《ドクター!》

「そんなに遺跡を動かしたいなら、あんたが月に行ってくれば良いだろう!」

「っ!クリス!撃ちなさい!」

「えっ!っちょせぇ!」

 

了子がクリスに射撃を促した

クリスは了子の姿に驚きながらもウェルを撃つ

しかし、弾丸はうまく避けられ、ウェルは球体コンソールを作動させた

直後、フロンティアの制御室が打ち上がり、大気圏を越えてしまう

 

「ナスターシャ!」

「マムっ!」

「チィっ!」

 

ジャグラーは魔人体となり、制御室を追いかけるように飛翔した

皆が呆気にとられる中、ウェルは高らかに叫ぶ

 

「有史以来、あまたの英雄が人類支配をなしえなかったのは人の数がその手に余るからだ!だったら支配可能なまでに減らせばいい! 僕だからこそ気づいた議長論!英雄に憧れる僕が英雄を超えてみせる!」

ギュオォンッ

「まだ言うかよ!」

 

翼と交代したゼロがウェルに飛び掛るが、ウェルは地面に穴を開けてそこから逃げ出した

 

「クソッ!」

 

するとフロンティアが突如、グラグラ揺れ始めた

 

「なんだ?!」

「この感じ…浮き上がってるわ!」

 

了子の言う通り、フロンティアは重力を作用させて浮上していた

 

「このままじゃ…」

 

その時だった

ガイの持つカードが1枚、輝き始めたのだ

 

「これは…ティガさん…!」

 

ガイがメインで使う事の多かったカードだ

ガイはそれをオーブリングで読みとり、トリガーを引いた

するとその光は、世界中へ広がり、テレパシーの供給範囲を生み出し、空に映像を作り出す

そこに写ったのは、マリア、響の姿だった

 

「今、この地球は、月の落下による危機を秘めている

だけど、それを乗り越える術がある、その為には、地球全土の人達の協力が必要だ」

「皆さんの歌の力を貸してください!」

 

世界は困惑した

突如現れたテロ行為の主犯の歌姫とどこの子とも分からない女の子が歌で協力しろと言うのだ

だが、マリアが続ける

 

「今、世界を救う為に戦士達も戦っている、ウルトラマン達だ…

ジードに関しては以前の事によりトラウマになっている者もいるかもしれない…

だが、あれは彼の意思などでは無い

本当の彼は、見た目でどんなに蔑まれようとも、貴方たちを守ろうとする立派な戦士なのだ!頼む!力を貸してほしい!」

 

この言葉には世界中もハッとさせられた

怪獣達から護ってくれた戦士達に自分達がした事はなんだ

目が怖い、怪しい、信じられない

ただそれだけの理由で、迫害して来た

そんな自分達に出来ることがあるなら…

 

マリアが祈るように目を閉じた時、歌が響く

 

「〜♪リンゴは浮かんだ、お空に」

 

マリアが目を開けば、そこには懐かしの童歌を歌い始めたセレナの姿がある

マリアも、それに続く

 

「〜♪リンゴは落っこちた、地べたに」

 

二人の歌は共鳴し、世界中の人の胸を震わせる

 

「「〜♪星が生まれて 歌が生まれて ルル・アメルは 笑った とこしえと」」

 

人々が祈る時、祈る人達は輝き始めた

その光は、空高くへ伸びていく

そしてその光は、フロンティアを経由し、制御室へ収束していく

瓦礫から抜け出したナスターシャもそれを確認した

 

「これだけのフォニックゲインを照射すれば、月の遺跡を再起動させ、月の軌道修正も可能…」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その頃、ジードとフィーネは互角の戦いを繰り広げていた

 

「くぅぅ…」

「僕は負けない…負けられないんだ!」

 

するとフィーネはその腕を禍々しく光らせた

 

「力を貸せ…見捨てられし者たちよ!」

 

そのエネルギーを解放すると、3人の影が生まれた

 

ソリッドバーニング

 

アクロスマッシャー

 

マグニフィセント

 

皆、リクが生まれる過程で誕生した兄弟

リクから奪ったカプセルで起動したのだろう

 

「みんな…」

 

リクは歯がゆさを感じ、口を結ぶ

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「増援か…先に行きます!ゼロさん!」

 

オーブは再び戦場へ向かう

 

「共に向かおう!ゼロ!」

「《おうよ!俺達に限界はねぇ!》」

 

翼も再びゼロビヨンドとなり、飛び出した

 

「俺たちはウェル博士を追うぞ!」

「はい!」

 

弦十郎と緒川は地面を叩き割り、その中へ消える

残されたマリア、セレナ、切歌、調、響、クリス、そして了子

響はライザーを握るがやはりインターバルはあるようだ、全く起動しない

 

「私の人助けも終わりか…」

 

そんな響にマリアが近づく

 

「立花響…これを」

 

マリアはギアを外し、ペンダントを渡した

 

「っ、でもこれはマリアさんの…」

 

マリアは首を振った

 

「ガングニールは君にこそ相応しい…お願い、闇に魂を売った、私の代わりに…」

 

マリアのガングニールを響は見つめ、その思いを汲み取る

 

「分かりました、マリアさん、生きるの…諦めないでください!」

 

響は、その胸に宿る歌を解き放つ

 

Balwisyall nescell gungnir…トロォォォォォオンッ!

 

刹那、ペンダントは答えを示す

光がフロンティアを包み込むように広がり、響は再びガングニールの適合者となった

 

「それが…貴方の歌ね…」

「撃槍、ガングニールです!」

 

再び纏われたガングニールを響は眺めた

マリアと同じ黒ではなく、本来の白と黄色の物

これでまた、戦える

 

「フロンティアの動力はネフィリムの心臓。それを停止させればウェルの暴挙も止められる…」

「分かりました!ちょーっと行ってきます!」

「待ちなさい、立花響!」

 

了子が響を呼び止めた

 

「ライザーとカプセル、いいかしら?」

「あ、はい」

 

響はライザーと3本のカプセルを了子に渡すと外へ飛び出した

了子はそれをクリスのもとに持っていく

 

「えっ…」

「貴方にも私のようにベリアルの遺伝子が付与してある…使えるはずよ」

 

クリスは訝しげにしながらも、ライザーとベリアル、そして自分が復活させたキングのカプセルを手に取った

了子はそれを見届けて、弦十郎達の後を追う

 

「…くっ…」

「私達も…何か手伝いたいデス…!」

「みんなを助けたい…」

「世界を…救いたい!」

 

すると、クリスの持っていたキングのカプセルが光り輝き、5人を包み込んだ

 

その空間の中で5人は邂逅する

1人の戦士と

 

「あ、あんたは!?」

 

クリスの声に青い戦士が応える

 

「私はウルトラマンヒカリ、ウルトラマンキングの要請で、君達に力を貸し与えに来た…」

 

ヒカリは手を翳し、マリア、調、切歌の手に光を灯す

それが晴れると、3人の手にはジードライザー、そして2人ずつ、計6人のウルトラ戦士のカプセルが握られていた

 

「これって…」

「ウルトラマンベリアルの息子、ウルトラマンフィーネの中に入り込んだ君達と、怪獣に変身していた君なら、それを使えるはずだ…」

 

だが、マリアは肩を落とす

 

「私にそんな資格はない…闇に魂を売った私が…あなた達のような騎士の力を使うなんて…」

 

だが、ヒカリはそれを否定した

 

「マリア、私達は騎士ではない、ただ持てる力を守る為に使っているだけだ…ウルトラマンも迷い、疑い、地に堕ちることもある…」

「ウルトラマン…が?」

 

ヒカリは続ける

 

「かつて私は科学者として、守ろうと誓った星の生命を蹂躙され、復讐の為に鎧を纏い、罪を犯した…

切歌の持つカプセルの戦士も、調の持つカプセルの戦士も、間違いを犯し、悩み苦しんだ戦士達なのだ」

 

マリアは顔をあげた、そこにはセレナが立っていた

 

「姉さん、マリア姉さんのやりたい事は何…?」

「…世界を救いたい。月の落下がもたらす災厄から皆を助けたい。」

「その願いがあれば大丈夫だ、君達の諦めない心が、正しい心が、そして美しい歌が、私を呼び寄せたのだから…」

 

その言葉を最後に皆は元居た場所に戻された

手にはまだちゃんとライザーとカプセルがある

 

「やるデスよ…マリア!」

「今度は私達が、リクさん達ウルトラマンを助ける番!」

「泣いてたきゃ泣いてろ!だけど…変える覚悟があんならついてこい!」

「一緒にやろう、マリア姉さん…生まれたままの感情を…隠さないで!」

 

《……リア…マリア!》

 

「マムっ!?」

《あなた達の歌に世界が共鳴しました。これだけフォニックゲインが高まれば月の遺跡を稼働させるには十分です、月は私が責任を持って止めます》

「マムっ…!」

「マム!やっと会えたばかりなのに!」

「マムっ!助けに行くから待ってて欲しいデス!」

 

ナスターシャの体は長く持たない

そんな状態で月を止めるだけのエネルギーを受け止める等、自殺行為

だが…

 

《調、切歌、セレナ、そしてマリア…あなた達を縛るものは何もありません!行きなさい!行って…あなた達の歌を…私に聞かせなさい!》

 

ナスターシャが望む事は助けてもらう事などでは無い

今も昔も望むのは、世界の平和だ

 

マリアはその意志を汲み、不敵に笑った

 

「OKマムっ…世界最高のステージの幕をあけましょう!」

 

その声に皆が覚悟を決めた

 

「「「「ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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