「わぁ……学校の真下にこんな地下基地にシェルターが……」
リディアンの地下深く、そこに存在する特異災害対策機動部二課の施設に、先日組織の外部協力者として登録された未来を連れて、響は二課にやってきていた
「あ!翼さーん!」
ふと、響は目の前に翼がいる事に気付き声をかけた
さらに緒川と藤尭、リクまでもがそこにいた
「立花か…そちらは確か、協力者の……」
「こんにちは、小日向未来です」
「えっへん、私の一番の親友です」
未来がお辞儀をする傍らで、胸を張って響が自慢する
「立花はこういう性格故、色々面倒を掛けるだろうが、支えてやってほしい」
「見てて危なっかしいですからね」
「あ、リクくん酷い」
「いえ、響は残念な子ですので、ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします」
「未来も結構言うね…」
「ええ!?何!?どういう事ぉ?」
「響さんを介して、お二人が意気投合しているという事ですよ」
「んー…はぐらかされた気がする……」
響はふくれっ面を見せる
その様子に、未来とリク、そして翼が笑う
そして、感慨深そうな表情になった響が口を開く
「でも未来と一緒にここにいるのは、なんかこそばゆいですよ」
「小日向を外部協力者として、二課に移植登録させたのは、司令が手を回してくれた結果だ、それでも、不都合を強いるかもしれないが…」
「説明は聞きました、自分でも理解しているつもりです、不都合だなんて、そんな」
「あー、そういえば師匠は…」
「ああ、私たちも探しているのだが…」
「あら〜…良いわね」
そこへ、了子がやってくる
「ガールズトーク?」
「どこから突っ込むべきか迷いますが、とりあえず僕を無視しないでください」
「一応男の僕らも居るんですから…」
溜息を吐く緒川と苦笑いを浮かべるリク
しかしそんな二人を他所に、響どころか未来が了子に対して興味津々だった
「了子さんもそういうの興味あるんですか?」
「もちのろん!私の恋バナ百物語聞いたら、夜眠れなくなるわよ」
「まるで怪談みたいですね……」
「了子さんの恋バナ!?きっとうっとりメロメロ乙女で大人な銀座の恋の物語ぃ~!」
響はやっぱり普通の女の子だ、そういう話には腹をすかした犬の如く食いついている様子を見てリクは微笑む
その一方で翼は頭を抑えるばかり
了子の眼鏡がきらりと光る
「そうね…遠い昔の話になるわね。こう見えても呆れちゃうくらい一途なんだから……」
何やら本格的な話が出てきそうだ
「「おぉぉおおー!」」
未来と響が目を光らせる
「意外でした…櫻井女史は、恋という研究一筋であると…」
翼は意外と言った風な口ぶりだった
「命短し恋せよ乙女と言うじゃない、それに女の子の恋するパワーってすごいんだから」
「女の子…ですか?ぐはっ!?」
緒川さんの困惑の声がするとその直後、了子の鉄拳が顔面に炸裂した
「緒川さん!?」
倒れる緒川、リクは駆け寄るが、そんな事知った事かという風に話を続ける了子
「私が聖遺物の研究を始めたのも、そもそも……」
そこで、了子は止まる
「「うんうん、それで・・・!?」」
完全にガールズトークにのめり込む女子と化した響と未来
その仕草は何やら餌を前にした子犬のようだ
「ま、まあ!私も忙しいから、ここで油売ってられないわ」
「自分から割り込みましたよね…痛っ!」
リクの頭部にチョップが入る
だが先程よりは明らかに弱い
なんだろうこの差と緒川は思う
「とにもかくにも、出来る女の条件は、どれだけ良い恋してるかに尽きるのよ」
するとリクの方を向いて一言
「貴方も選びなさいな?」
「へ?」
「響ちゃん、未来ちゃん、翼ちゃんにクリス、気になる子、居ないの?ママは心配よ?」
「……えぇっと…//」
僕は顔を赤くして3人を見た
そこには僅かだが頬を紅潮させている3人がいた
えっ、これは…そういうこと?
「ガールズ達も、いつかどこかで良い恋なさいね」
そう言って、了子は手を振ってさっていく
「それじゃ、ば~い」
「聞きそびれちゃったね~」
「ん~、ガードは硬いかぁ…でもいつか、了子さんのロマンスを聞き出してみせる!」
響はそうガッツポーズをとるのであった
そこで3人がふと気になった事があった
響がそれを口にする
「そう言えばリクくんって告白された事はあるの?」
リクは顎に手を当て考えて呟く
「実は呼び出された事は何回かあるんだけど…みんな口を揃えて友達で居ようねって言うんだ、わざわざ呼び出さなくていいと思うんだけどな〜…」
3人は分かった
『『『あ、これ妨害してる人がいる…』』』
「司令、まだ戻ってきませんね」
「メディカルチェックの結果を報告しなければならないのに…」
この間のメディカルチェックにより、もう以前のように動けるという診断を受けた
その報告をしたいのだが、生憎とその司令は留守であった
さらには通信機も置いていっているらしく、連絡すらとれない
これでは、報告なんて不可能だ
「次のスケジュールが迫ってきましたね」
「もうお仕事入れてるんですか!?」
「少しづつよ、今はまだ、慣らし運転のつもり」
「じゃあ、以前のような、過密スケジュールじゃないんですよね?」
「ん?」
「だったら翼さん!デートしましょう!」
「ゲホッ!?ガハッ!」
水を飲んでいた僕は噎せ返る
「り、リクくん大丈夫?」
「だ、大丈夫大丈夫…ちょっとびっくりしただけ…ところで、デートってどういうこと…?」
響は自信満々に話し出す
「今のうちに快気祝いです!週刊誌的にふたりきりがマズければ未来も一緒、これで大丈…」
「大丈夫じゃないわよ!ほら、翼さんも忙しいんだから困ってるじゃない!」
未来はそう否定するが、緒川さんはスケジュールを確認し始める
「そうですね…近々に捻じ込むには、今週末になりますかね……あ、お天気いいみたいですよ?」
「緒川さんまで!」
「たまには羽を伸ばすのも、プロフェッショナルの務めですよ」
緒川さんの笑顔の圧が凄い
「じゃあ、今週末は翼さんと…」
「ええ、お願いします」
「やったー!!わたしたちのカンケイは、事務所公認!」
「おかしなことを言わないでちょうだいっ!」
翼さんは顔を赤くする
「それに何かあったら!」
「なら、リクさんに一緒に行ってもらいましょう」
「え?!」
「それなら安心だね!」
「男の僕が混ざっていいのかな…」
「男だから安心なんだよ!それに…」
響は僕の手を握って目を見つめてくる
僕は恥ずかしくて目を逸らす
「了子さんも言ってたじゃん!いい人いないの?って!恋をするにはまず恋をしないと!」
「一理あるかもしれないわね…」
「翼さん!?」
「まぁ、気をはらなくても大丈夫だよ、ただ遊ぶだけだから」
「未来まで〜…!」
という訳で僕もデートに参加することになってしまった
【週末】
「あの子たちは…何をやっているのよ!」
翼さんが急かすように時計を何度も確認する
僕もちょっと前に翼さんと合流、一緒に待っているところだ
しばらくすると走ってくる2人が見えた
「はぁ…はぁ…はぁ…すみません翼さん…!」
「はぁ…はぁ…はぁ…」
「遅いわよ!」
翼さんが声を荒らげる
「申し訳ありません…!御察しの事とは思いますが、響のいつもの寝坊が原因でして……あっ!?」
「はぁ…はぁ…はぁ…ふぅぁぁ…ぅわっ!」
2人は翼さんを見て驚く
だけど、僕はそれが何を意味するから分からなかった
「時間がもったいないわ、急ぎましょ」
「うぁ~…」
「すっごい楽しみにしてた人みたいだ…」
それを聞いた翼さんは振り返る
「誰かが遅刻した分を取り戻したいだけだっ!!」
「うひっ!」
「うう!」
2人は驚いて肩を竦める
「うっへっへ…翼イヤーはなんとやら…ところで…」
響がこちらに視線を移す
「リクくん、確かに遊ぶだけとは言ったけど〜…」
「えっ、なんかまずい…?」
「まずいとは言わないけど〜…」
響は僕のことをじーっと見てくる
「その服しかないの?」
「えっ、いやそういう訳じゃないよ、ただこれが気に入ってるし落ち着くから…」
「そうだよ、響、別に変って訳じゃないからいいんじゃない?」
「ダメダメ!リクくん!デートの時はそんな格好じゃダメ!私がコーディネートしてあげる!」
「うぇっ!?」
「文句あるの…?」
響の声が急に低くなる
「よ、ヨロシクオネガイシマス…」
「よし!行こう!」
「うわぁっと!引っ張らないで〜!!」
その後は大変だった
響に連れられて洋服のお店に入り、色んな服を着させられた
革ジャンを着たり、チェックのシャツでオタクのようにさせられたり
その度に翼さんや未来の指摘が入るのでとりあえずは買わされることは無かったが……
最終的には翼さんの選んだパーカーの上からデニムジャケットを着るスタイルが気に入ったのでとりあえずそれを買っておいた
「いいなぁ〜…一流アーティストにコーディネートしてもらえるなんて…」
「じゃあ次はリクくんが選んでね」
僕は耳を疑った
「えっ!?」
「当然でしょ、私たち3人色々着てみるから選んでちょうだい?」
その後、翼さん、響、未来の、僕を審査員としたファッションショーが始まった
3人とも綺麗で可愛いので‘いいと思う’くらいのありきたりな返事しか出来ず、すごく歯がゆかった…
その後は4人でショッピングしたり、映画を見たりソフトクリームを食べたりと遊んでいた
【ゲームセンターにて】
「翼さん御所望のぬいぐるみは…この立花響が必ずや手に入れてみせますっ!」
「期待はしているが、たかが遊戯に少し注ぎ込み過ぎではないか?」
響は端末をかざすとボタンをガンっと殴るように押し込む
正直壊れないか心配…
「キェェェェェイィ!!!」
「変な声出さないで!」
アームは確かに一度ぬいぐるみを掴むがすぐにバランスを崩し落ちてしまった
「ぅぇぇ…!このUFOキャッチャー壊れてるぅぅーー!!!」
「いやいや…UFOキャッチャーってそういうもんだよ…」
だが響は納得いかないようだった
「私呪われてるかも!どうせ壊れているならこれ以上壊しても問題ないですよね!!シンフォギアを身に纏ってぇぇ!」
「ああ、コラ!平和的に解決しろっ!」
「この怒りに身を任せればアームドギアだってぇぇ!!」
「いやそんな力で出しちゃダメだから!!」
「大声で喚かないで!そんなに大声を出したいのなら、いいところに連れてってあげるから!」
そうして僕達は未来の案内で、カラオケに入ることになった
「うわぁぁぁぁぁあ!!すごいっ!!私達ってばすごいっ!!トップアーティストと一緒にカラオケ来るなんてぇ!!」
「確かによく考えると凄いことだよね…」
僕らが感激していると曲が入った
『恋の桶狭間』
「ん?」
「うん?」
「んん?」
響と未来と僕は見合わせて自分じゃないと手を振る
そして、1人動く影
「ぅお?」
「お?」
「あ…?」
そこにはこちらに一礼する翼さんの姿があった
「一度こういうの…やってみたいのよね」
「渋い…」
ボソッと未来が感想を漏らす
「唇に なんてことするの~ 罪の味 教えたの あなた悪い人〜♪」
「わぁぁぁ~♪かっこいい~!」
「あぁぁ…♪」
「す、すごいっ…!」
トップアーティストということもあり、その歌は圧巻の一言だった
聞いた人全てを魅了する歌声
僕はこれがアーティストなのかと感激していた
「でもそうね もしも裏切れば 切り刻みます 恨みの刃で~♪」
因みに僕も歌おうとは思ったのだけど…知ってる曲がなかった…
やっぱり…ドンシャインも入ってなかった
【夕方】
「はぁ…はぁ…はぁ…」
「大丈夫ですか…?」
「ええ…とりあえずね……っはぁ…」
今、僕達は響に連れられてとても長い階段を昇っている
「翼さぁ~ん!!」
「二人とも…どうしてそんなに元気なんだ…?!」
「翼さんがへばり過ぎなんですよぉ~」
「今日は慣れないことばかりだったから」
響がからかい、未来がフォロー、やっぱりこの二人は一緒が一番に思う
どうにか登りきった翼さんが話し出す
「ハァ…防人であるこの身は、常に戦場にあったからな」
「………」
響が急に黙り込む
「本当に今日は…知らない世界ばかりを見てきた気分だ」
「ぅ、そんなことありません」
響が翼さんの手を引いて手摺まで向かう
「ぁ…あ…、おい!立花、何を!?……ぁぁ…!」
そこは、今日遊んだ街が一望できる場所だったのだ
綺麗な夕陽に照らされ、橙色と白のコントラストが美しい
「あそこが待ち合わせした公園です、皆で一緒に遊んだところも、遊んでないところも全部、翼さんの知ってる世界ですっ!昨日に翼さんが戦ってくれたから…今日に皆が暮らせている世界です、だから…知らないなんて言わないでください」
「ぁ……、……っ。」
翼の脳裏にかつての記憶が蘇る
『戦いの裏側とか、その向こう側には、また違ったものがあるんじゃないかな、あたしはそう考えてきたし、そいつを見てきた』
「そうか……これが奏の見てきた世界なんだな」
「ふふ…」
【次の日、学校にて】
「ふぇ?!復帰ステージ!?」
響の驚く声が響く
「アーティストフェスが十日後に開催されるのだが、そこに急遽捻じ込んでもらったんだ」
「なるほどぉ」
「倒れて中止になったライブの代わりというわけだな」
「あっ…!」
響が何かに気づいた
「翼さん…ここって…」
POPSTAR MUSIC FESTIVALとそこには記載されていた
「立花にとっても…辛い思い出のある会場だな…」
「そうか、ここって……2年前の…」
翼さんが奏さんを亡くし、響がガングニールを継いだ会場
響にとっては悲しい思い出のはずだ
だが……
「ありがとうございます、翼さん…!」
「響…」
「いくら辛くても、過去は絶対に乗り越えて行けます…!そうですよね!翼さん!リクくん!」
「……っ…」
しばらく翼さんは沈黙した、そして、出た言葉は
「……そうありたいと、私も思っている…!」
「僕も乗り越えて行けると信じてる……翼も…響も…未来も皆!」
【当日】
「はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!せっかくチケット貰ったのにぃ!…はぁ!開演に遅れそう…!!」
「ほら急いで!!」
「分かってるってばぁ!」
翼さんのライブの日だと言うのに、運悪く居残り勉強に捕まってしまい、僕と響は急いで会場へと走っていた
だが…
(着信音)
「ぁ…」
響は着信を確認する
「ハッ!……!」
それは2課からの通信、意を決して響は通信に出る
「はい、響です!」
「ノイズの出現パターンを検知した、翼にもこれから連絡を……」
「師匠!」
「どうした?」
響は少し息を整え言い放った
「現場には、私一人でお願いします…!今日の翼さんは、自分の戦いに臨んで欲しいんです…!あの会場で最後まで歌い切って欲しいんです…!」
自分の覚悟は決まっている、過去も乗り越えた
だが、翼さんはあそこで歌いきることこそが、乗り越える事だと響は考えたのだ
「ぁぁ…!」
「お願いします…!」
弦十郎さんの声が少しだけ聴こえる、悩む声が…
「……ん……やれるのか?」
響は迷わない
「はいッ!!!」
そして、通信を切り僕のほうへ向く
「行ってあげて、リクくん」
「え、でも怪獣が現れないとも限らないし…」
「今の状況、2年前と逆なんだよね…だから…いざって時は、私じゃなくて、みんなを護ってあげて、それに…翼さんがどんなに凄い人かは、ライブを見た方がわかるし翼さんもきっと聞いて欲しいと思うから…」
響に言われ気付いた
ライブ会場に未来と翼さんがいて、用事で響は居ない
確かに2年前をなぞるようになっている
……響の願いを僕は受け取ることにした
「分かった、あとで感想を伝えるよ……!」
「原稿用紙10枚分書くこと!えへ!」
僕にビシッと指をさして微笑むと響はノイズの元へ向かった
【ライブ5分前】
「っはぁ!間に合った!」
未来の元に走り寄っていく
「あれ、響は?!」
「響は…ノイズと戦ってる」
「そっか…」
「でも、僕がいざと言う時はみんなを守る、響から頼まれたから」
それを聞くと未来は少し驚くがふふっと笑う
「あ、始まるよ!これがトップアーティスト、風鳴翼だよ、リクくん!」
「うん、目に焼き付けるよ!」
【〜♪FLIGHT FEATHERS】
一方その頃、ノイズ発生地点ではクリスがノイズと交戦していた
マシンガンでノイズを一掃していたが、一体が地に突き刺さり、爆発する
爆風でクリスは吹き飛ばされてしまう
「うっ…ぐあッ!!」
吹き飛んだクリスに再び、ノイズが襲いかかる
『…くっ…助けて…リクっ…!』
クリスは無意識にリクの名を心で呼ぶが…
「たァァっ!」
ノイズを吹き飛ばしたのは響だった
2人は顔を見合わせフリーズ
しかしひと足早くクリスが動いた
マシンガンで響の元に来ていたノイズを吹き飛ばした
「これで貸し借りなしだ!」
響はそんなぶっきらぼうな言葉ですら嬉しかった
2人の初めての共闘が始まる
「〜♪Deja-vuみたいな感覚 制裁みたいなプラトニック かさね合うメモリー 届いてWishing」
リクは息を呑んでいた
これが風鳴翼の歌、生き様かと
「〜♪お願いMy star… どうか今… 旅立つツバサの 風をAh 奏でて」
リクはペンライトを折る
ドンシャインのイベントの時に使った事はあるが、普段は使わない青色のペンライトを
そして、サビに合わせてそれを振る
「〜♪さぁ Starting!始まるシンフォニー 伝説は此処からと この光のLiveは シンクロニシティ たぶんそれだけの 物語なんだ信じて
My road」
会場のボルテージが高まる
歓声が風鳴翼に力を、風鳴翼の歌が歓声を湧き起こす
「〜♪さぁ Starting!始まるシンフォニー
伝説は此処からとさぁ Amezing 奇跡起こそう
たぶんそれだけの 物語なんだ」
ライブ会場の大歓声が響く
その中には未来やリクの声も混じっている
「はぁ…はぁ…はぁ!」
ノイズを殲滅し、響が周りを見渡すとクリスの姿は既に消えていた
でも、今共闘した事実は間違いじゃない
「ふふ…」
響は満足そうに笑った
「ありがとう、みんな!今日は思い切り歌を歌って、気持ち良かったッ!!」
翼の声が会場に澄み渡る
「……」
暫しの沈黙の後、翼が語り始める
「こんな想いは久しぶり…忘れていた、でも思い出したッ!私は、こんなにも歌が好きだったんだッ!聴いてくれるみんなの前で歌うのが大好きなんだッ!
もう知ってるかもしれないけど…海の向こうで歌ってみないかって、オファーが来ている……自分が何の為に歌うのか、ずっと迷ってたんだけど、今の私はもっと沢山の人に歌を聴いてもらいたいと思ってる、言葉は通じなくても、歌で伝えられることがあるならば、世界中の人たちに私の歌を聴いてもらいたい…!」
会場が再び沸き起こる
「ぁぁ!」
「海の向こうなんて…凄いじゃん…!」
リクと未来は感激していた
「私の歌も、誰かの助けになると信じて…みんなに向けて歌い続けてきた…だけどこれからは、みんなの中に自分も加えて歌っていきたい…!だって私は…こんなにも歌が好きなのだから…!!」
少しずつ、翼の声は不安そうになる
「たった一つのわがままだから…聞いてほしい…赦して欲しい…」
翼は俯いた
やはり自分がした事は歌への冒涜なのではないか、歌を破壊に使い、人ではなく剣として生きてきた自分にそんな資格があるのか
不安が拭えていなかったのだ
だが聞こえた、確かに
忘れるはずのない……
声が……
『許すさ、あたりまえだろ?』
「ぁっ…ぁ…!?」
瞬間、会場から“頑張って!”ついて行きます!“おうえんしてる!”
そういった声が聞こえてくる
視線を動かせば、チケット渡したふたりのすがたもある
1人は微笑みながら手を振り、もう1人は自分が選んであげた組み合わせの服を着ていて、“最高でした!”と叫ぶ声が聞こえるようだった
「ぁぁ…!ぅぅ…… 」
翼は涙をこぼした
溢れ出すそれは止まらない、そして、震える声で伝える
「ありがとう…!」
「さぁて…どうするんだい、フィーネ…」
トレギアは手袋とニーハイを履いただけの裸の女の前に現れた
「言ってるでしょ…私は私の目的を果たすだけ…貴方も願いを叶えに来たなら邪魔と失敗だけはしないでちょうだい……」
「それは…君次第、私は提供するだけだからね…」
トレギアは手元にあるカプセルを7本取り出す
ゼットン
パンドン
グドン
ベロクロン
アストロモンス
バードン
タイラント
「…ネフュシュタンと完全融合した君ならこれくらい…おっと」
トレギアはゴミを蹴るように散らばった
「ええ…邪魔はさせない…シンフォギアも…ジードも…」
そしてその手には、リクのものであるギガファイナライザーが握られていた……
【次回予告】
【〜♪優勢2】
怪獣が7体!?それに巨大ノイズが4体!
一体何が起こってるんだ……!?
迎撃するも苦戦する僕達の元にクリスが現れる
そして、クリスが提案した作戦とは…
次回、戦姫絶唱シンフォギア 響くぜ!絶唱!!
【繋いだ手が紡ぐ夢 変えるぜ!運命!!】