リクや響達が街に出たノイズを対処している間にもリディアンはノイズの襲撃を受けていた
そのノイズに自衛隊が対応しているが、通常兵器ではノイズに干渉自体出来ないため、ただ無駄に弾を消費する事しかできなかった
ただ出来る事と言えば、リディアンにいる生徒たちを、とにかく逃がす事だけ
その避難誘導に、響と別れた未来は先陣切って行っていた
「落ち着いてシェルターに避難してください!」
自衛隊員に誘導を任せ、生徒をなだめつつ、未来は声を上げる
「ヒナ……」
そんな中で、未来に話しかける者がいた
黒鉄色のショートカットが特徴的な、
長い金髪が特徴的なお嬢様の
そして髪の毛をツインテールにした
いつも未来や響と一緒にいる同級生の少女たちだ
リクもよく話している
「どうなってる訳?学校が襲われるなんてアニメじゃないんだから…」
いつも比喩にアニメを使う彼女だが、今回は的を得ている
街でノイズが出ても、学園で出る事なんて今までになかったのだから
だがこれは現実だ
「皆も早く避難を…」
「小日向さんも一緒に…」
詩織がそう急かすが、未来は首を振った
「先に行ってて、私、他に人がいないか見てくる!」
「ヒナ!」
創世が呼び止めるも、未来は行ってしまった
そこへ、避難誘導に当たっていた自衛隊員の一人が走ってくる
「君達!早くシェルターに向かってください!校舎内にもノイズが…ッ!」
その次の瞬間、一瞬の事
その自衛隊員が、ノイズに貫かれた
そして、一秒もたたずに炭素となり、崩れていく
「っ…!いやぁぁぁあぁぁああぁあああ!!」
弓美の悲鳴が、響き渡った
学園の中で、生存者がいないか走り回る未来
流石に元陸上部、肩を上げ下げすることなく走り呼びかける
「誰かー!残ってる人はいませんか……きゃ!?」
突如地面が揺れて、未来は思わず小さく悲鳴を上げた
窓の外を見てみると、巨大なノイズが、リディアンを力の限り破壊し尽くしている
自衛隊などまるで歯が立っていない
「学校が…響の帰ってくるところが…」
その惨状を目にして立ち尽くす未来
しかし、それを許さないかのように、ノイズが窓から飛び込んできた
壁に張り付いたノイズが、そのまま砲弾の如く襲い掛かってくる
それに未来は反応できずノイズにぶつかる……事にはならず、寸での所で緒川が未来を押し倒して危機を脱したのだった
「うぅ…あ、緒川さん!?」
「ギリギリでした、次、上手くやれる自信はないですよ」
緒川は面を上げ、通り過ぎていったノイズの方を見た
すでに、次の攻撃態勢に入っていることが分かる
「走ります!」
「うぇえ!?」
未来の手を取り、駆け出す緒川
「三十六計逃げるに如かず、と言います!」
すぐさまエレベーターに駆け込み、通信機を使って扉を閉めた
だが現実と異次元との実体率を操作する事の出来るノイズは物体への透過も可能だ
しかし、二人に触れるには一歩届かず、超高速で落ちるエレベーターが動き出し、そのままノイズはエレベーターから追い出された
「……ほ」
安堵の息を漏らす未来
その後、緒川は通信機を使って本部に連絡する
「はい、リディアンの破壊は、依然拡大中です、ですが、未来さんたちのお陰で、被害は最小限に抑えられています」
人的被害はかなり進んでいた為、おそらく生徒の犠牲者はいないだろう
自衛隊はその限りではないのが残念だが
「これから未来さんを、シェルターまで案内します」
「分かった、気を付けろよ」
弦十郎がそう返事を返す、そのまま切ろうとした時、緒川から声が上がった
「それよりも司令」
「ん?」
「カ・ディンギルの正体はやはり…っ!?」
次の瞬間、緒川が息を飲む声が聞こえ、そして立て続けに何かが粉砕される音が響いた
「きゃぁぁあぁああ!!」
「どうした!?緒川!」
未来の叫びを最後に、こちらから呼びかけるも返事はなく、ただ向こうの通信機が破壊された時に聞こえる砂嵐の音しか聞こえなくなった
その一方で、緒川と未来の方では黄金の鎧を纏った
「ぐ…ぁ……」
「こうも早く悟られるとは、何がきっかけだ?」
「……っ塔なんて目立つものを、誰にも知られる事なく建造するには、地下へと伸ばすしかありません…そんな事が行われているとすれば…特異災害対策機動部二課本部…そのエレベーターシャフトこそ、カ・ディンギル……そして、それを可能とするのはっ…という事っ…ですよねっ…!」
フィーネは舌打ちをする
「漏洩した情報を逆手に、上手くいなせたと思っていたのだが…」
「リクさんがっ…気付いたんですよっ……!!正体までは…分からなかったみたいですがっ…!」
「あのガキ…」
そのタイミングでエレベーターが最下層に到達し緒川の背後の扉が開く
それにより拘束を逃れた緒川は身軽な動きで距離を取って飛び上がると同時に脇のホルスターから拳銃を抜き出しトリガーを引いた
3発の弾丸全てがフィーネに直撃するが、突き刺さった弾丸がまるで削り取られたかのように落ちていき、一方のフィーネの体には傷一つついていなかった
「ネフシュタン…!?」
返答の代わりか、ネフシュタンの肩にある茨を操り、緒川を一瞬で拘束し、空中へ持ち上げた
「緒川さん!」
「ぐぁぁあぁあ!?ぐっ…あ……未来……さん…逃げ…て……」
今自分が茨で締め付けられ絶体絶命の状況であるのに、未来に逃げるように促す緒川
しかし未来はそれを見過ごせず、フィーネに体でぶつかる
だが、あまり効果はないのかフィーネはぶつかってきた未来へと肩越しに視線を向けた
その視線に、未来は思わず後ずさる
「ひっ…!」
振り返ったフィーネは、緒川から拘束を外し、未来と向きった
そして、その顎に手を当てる
「麗しいな、お前たちを利用してきた者たちを守ろうというのか?」
「利用っ……?」
訳が分からず聞き返す
「何故二課本部がリディアンの地下にあるのか…それは聖遺物に関する歌や音楽のデータを、お前たち被験者から集めていたのだ、その点、風鳴翼という偶像は、生徒を集めるのによく役立ったよ」
そう言って、嘲笑うと未来から離れて歩き出す
その後ろ姿を見る未来
「嘘を吐いても、本当の事が言えなくても、誰かの命を守るために自分の命を危険に晒している人がいます!」
未来はフィーネに対して毅然とした態度で言い放つ
先ほどの緒川がそうであったように、今までジードとして戦ったリクがそうであるように、あの日響が自分を守ってくれたように
「私はその人を……そんな人たちを信じてる!」
響や翼のようにシンフォギアを纏えない、リクのように戦わねばならぬ運命でもなかった、争いもしらないただ一人の少女が、おそらく百戦錬磨であろう存在に、ちっぽけな勇気を振りかざしていた
「……ッ!」
それが癪に障ったのか、フィーネは未来の頬に一発平手打ちをすると、すかさずその胸倉を掴んでもう一度引っ叩いた
未来はそのまま崩れ落ちる
「まるで興が冷める!」
忌々し気に呟き、フィーネは、そのままデュランダルが保管されている場所へ向かって行く
そして、二課の通信機を取り出し、認証パネルにかざそうとした寸前で弾丸が通信機を破壊した
「デュランダルの元にはいかせません…!命に替えてもです!」
振り返れば、そこには拳銃を構える緒川の姿があった
銃を投げ捨てて格闘戦を挑もうとする緒川
しかしフィーネはまるで冷めた目で緒川を見据え、ネフシュタンの茨を振るおうとする
しかしそこに響き渡る声
「待ちな、了子」
突如、天井が粉砕され瓦礫が落ちてくる
そこから現れたのは司令、風鳴弦十郎であった
「私をまだ、その名で呼ぶか」
「女に手を挙げるのは気が引けるが、二人に手を出せば、お前をぶっ倒す!」
「司令……」
「調査部だって無能じゃない、米国政府のご丁寧な道案内で、お前の行動にはとっくに行き着いていた…後はいぶり出すため、あえてお前の策に乗り、シンフォギア装者とリクくんを動かしてみせたのさ」
「陽動に陽動をぶつけたか…食えない男だ、だが、この私を止められるとでも……」
「おうとも、一汗掻いた後で、話を聞かせてもらおうか!」
たじろぐ事無く答えて見せる弦十郎
すかさず地面を蹴り砕いて弦十郎は前に出た
それを阻止すべく茨を振るうも当たらず、二撃目も飛んで躱されては天井の出っ張りを掴み、そしてそのまま体を持ち上げて天井に足を付けたと思ったら一気に落下
そしてそのまま拳を振り下ろしてくる弦十郎にフィーネはギリギリの所で避けるも僅かに掠ったのか鎧にひびが入った
「何…!?」
何故ただの人間の攻撃でヒビが…
思わず驚いて距離を取るフィーネ
鎧はすぐさま修復するが、フィーネは未だ険しい顔で弦十郎を睨む
「肉を削いでくれる!」
そしてすかさず茨を弦十郎に叩きつけようとするもいとも容易く掴み取られ引っ張られてしまう
さらに鎧によって重量が増している筈のフィーネを軽々を引っ張り出し、そのままどてっぱらに渾身の一撃を叩き込んだ
フィーネはそのまま弦十郎の背後に落下する
「が…ぐあ……」
思わず呻き声をあげるフィーネ
「完全聖遺物を退ける…!?どういう事だ……!?」
「しらいでか!飯食って映画見て寝る!男の鍛錬は、ソイツで充分よ!」
「なれど人の身である限りは!」
立ち上がったフィーネはすぐさまソロモンの杖を取り出したが
「させるか!」
すかさず弦十郎が床を踏み砕いて飛び散った破片を蹴り飛ばす
それは見事フィーネの手に当たり、ソロモンの杖は天井に突き刺さる
弦十郎はすぐさま拳を構えて飛びかかるが
「弦十郎くん!」
一瞬フィーネの顔と声が了子へ戻る
それは情に脆い弦十郎には十分だった
ニヤリとフィーネが笑うと弦十郎の土手っ腹に手が突き刺さる
禍々しい爪を持つ、悪魔のような手が
「司令…!」
緒川が声を漏らす
腹を貫かれた弦十郎が血を吐いてはまき散らし、そのまま地面に倒れるとそこには、返り値を浴びたジードのような存在がいた
否、ジードよりもおどろおどろしい雰囲気をまとうそいつはリクから聞いた特徴と一致する
トレギアだ
「ふぅ…汚いな…一つ貸しだよ」
「いやぁぁぁああぁああああ!!!」
未来の叫びが響き渡り、弦十郎の体を中心に、血溜まりが広がって行く
「抗うも、覆せないのが
弦十郎のポケットから通信機を奪い取り、ソロモンの杖を回収する
ドアの前に行きトレギアに一言“余計な事を…”と呟くと未来達に向き直る
「殺しはしない、お前たちにそのような救済など施すものか」
そう言って、フィーネはデュランダルが保管されているアビスへと続く道を開ける
そしてそのまま、扉の向こうに消えてしまった
司令部にて、装者とジードの戦いを見守る二課職員達
その最中で、司令部の扉が開いたと思いきや、ぐったりとした状態で緒川と未来に運ばれる弦十郎がいた
「司令!?」
「応急処置をお願いします!」
緒川の指示で友里が応急処置を行う
「本部内に侵入者です」
代わりに緒川が端末を操作しそして、事あらましを簡潔に述べた
「狙いはディランダル、敵の正体は……櫻井了子」
「な……!?」
「そんな…!?」
更なる動揺が司令部に広がっていく
しかしその間も緒川はコンソールを操作し、響たちに回線を繋げた
「響さんたちに回線を繋げました」
それを聞いた未来は、すぐさま呼びかける
「響?学校が、リディアンがノイズに襲われてるの!…あ……!?」
しかし突如として周囲の照明が落ちてしまった
「なんだ!?」
「本部内からのハッキングです!」
「こちらかの操作を受け付けません!」
あっと言う間に彼らの扱う機器が使用不能となっていく
「こんな事…了子さんしか…」
藤尭がそう呟く中で、未来はただ茫然と、その様子を見ている事しか出来なかった
「響………」
日が沈み、月が空に昇ったころ、ジードと響達はリディアンに到着した
「これは……」
その惨状を見て、全員茫然とする
学園の校舎は崩れ去り、グラウンドは荒れ、破壊された戦車が置き去りにされており、気配は一人もいない
「未来ー!皆ー!」
響が呼びかけても返事はなく、ただその場に膝を付く事しか出来ない
「リディアンが…」
翼が茫然と呟く中、見上げた先の校舎の端に一人の女性が立っているのに気付いた
「櫻井女史!?」
「フィーネ…お前の仕業か!?」
「フィー…ネ?」
リクは耳を疑った
「ふふ…ハハハハハハ!!!」
それを聞いて高笑いをする了子
「そうなのか……その笑いが答えなのか!?櫻井女史!?」
信じられないとでも言いたげな翼
「アイツが、アタシが決着をつけなきゃいけないくそったれ…フィーネだ!」
クリスがそう叫んだ瞬間、眼鏡を外し、髪を解いた了子が光に包まれる
その光が収まるころにそこに立っていたのは、アクロスマッシャーが起動したあの日に目にしたあの金髪の女性だった
「嘘…」
響が茫然と呟く中で、ネフシュタンを纏ったフィーネはその場に佇んでいた
「嘘だ…」
リクが首を振る中、ふと、響が口を開いて尋ねた
「…嘘ですよね、そんなの嘘ですよね?だって了子さん、私を守ってくれました」
「あれは単純にデュランダルを守っただけだ、お前はおまけだったんだよ、何せ、貴重な完全聖遺物だからな、あれは」
「嘘ですよ…了子さんがフィーネと言うのなら、じゃあ、本当の了子さんは?」
「櫻井了子の肉体は、先だって食いつくされた…いや、意識は十二年前に死んだと言って良い超先史文明期の巫女『フィーネ』は、遺伝子に己が意識を刻印し、自身の血を引くものが、アウフヴァッヘン波形に接触した際、その身に、フィーネとしての記憶、能力が再起動する仕組みを施していたのだ、現代じゃ到底及ばない力を秘めているのが先史文明の科学力、そして十二年前、風鳴翼が偶然引き起こした天羽々斬の覚醒は、同時に、実験に立ち会った櫻井了子の内に眠る意識を目覚めさせた……その目覚めし意識こそが、『フィーネ』なのだ」
それが、今目の前に立つ、フィーネの正体
「貴方が、了子さんを塗り潰して…」
「まるで、過去から甦る亡霊…!」
「……」
茫然とする響、顔を険しくする翼、そして、黙ったままのリク
「フハハ…『フィーネ』として覚醒したのは私一人ではない、歴史に記される偉人、英雄、世界中に散った私達はパラダイムシフトと呼ばれる技術の大きな転換期にいつも立ち会ってきた……」
「っ……シンフォギアシステム…!?」
「そのような玩具、為政者からコストを捻出するための副次品に過ぎぬ、最も、コイツの技術の方が個人的には助かったがな…」
フィーネはかつてクリスが使っていたと思われるライザーを取りだした
「お前の戯れに、奏は命を散らせたのか……!」
「アタシを拾ったり、アメリカの連中とつるんでいたのも、そいつが理由かよ!?」
「そう!全てはカ・ディンギルの為!」
フィーネが、なんの悪びれもなく肯定し、そしてそう答えた瞬間、突如として地面が揺れ始めた
「うおあ!?」
「な、なんだ!?」
「これは・・・!?」
大きく揺れる中で、リディアンの真下から、何かが地面を突き破って出てくる
それは、エレベーターシャフト、否、巨大な塔
あの日、二課のエレベーターシャフトから見えていた壁画のような飾りが施されており、その巨大さは、まさしく天を見上げる程
「これこそが、地より屹立し、天にも届く一撃を放つ、荷電粒子砲カ・ディンギル!」
そう、聳え立つこれは、星をも穿つ巨大兵器だったのだ
「カ・ディンギル…こいつで、バラバラになった世界が一つになると!?」
「…ああ。今宵の月を穿つことによってな…!」
衝撃的な言葉に皆が困惑する
「月を…!?」
「穿つと言ったのか?」
「なんでさッ!?」
フィーネはポツリポツリと話し始めた
「…私はただ、あのお方と並びたかった、そのために、あのお方へと届く塔を、シナルの野に建てようとした……だがあのお方は、人の身が同じ高みに至ることを赦しはしなかった…あのお方の怒りを買い、雷騁に塔が砕かれたばかりか、人類は交わす言葉まで砕かれる……!果てしなき罰…バラルの呪詛をかけられてしまったのだ…!
月が何故古代より不和の象徴と伝えられてきたか…それは!!月こそがバラルの呪詛の源だからだッ!!人類の相互理解を妨げるこの呪いを、月を破壊する事で解いてくれるッ!!そして再び、世界を一つに束ねる…!!」
クリスが口をかみ締める
「呪いを解く…?」
「…ん?」
「それは、お前が世界を支配するってことなのか?!安い!安さが爆発しすぎてるっ!!」
「はぁ…永遠を生きる私が余人に歩みを止められることなどありえない」
それと同時に、カ・ディンギルに変化が訪れた
突如として光だし、やがて稼働するかのような音が鳴り響き、その砲塔の中ではエネルギーが充填されていく。
このままチャージが終われば、すぐさま月は破壊されてしまうだろう
「だったら…僕がここで了子さんを止める!」
今まで黙っていたジードがキングソードを構え、カ・ディンギルに向かって振り下ろす
しかし、現れたトレギアがキングソードを受け止める
「おいおい、人の夢を壊すことが、ウルトラマンの使命なのかい?」
「違う、僕がやろうとしてるのは、命を守る事だ!了子さんの思いは間違ってない!だけど、その為に誰かを犠牲にするやり方は間違ってるんだ!」
「貴様も父親を犠牲にしたくせに何を言うか…」
「くっ…それはっ…」
リクの心に刺さる言葉、皆を守るため、父親を殺したリクには深く刺さってしまう
トレギアはその一瞬を見逃さず、電撃でジードを吹き飛ばした
「グゥオッ…!!」
その時、歌が響く
「Balwisyall Nescell gungnir tron…」
「Inyuteus amenohabakiri tron…」
「Killter Ichaival tron…」
その頃、避難区画では
「小日向さん!」
「よかった!みんなよかったぁ!」
冒頭の3人と対策機動部二課の面々が出会っていた
「この区画の電力は生きているようです!」
藤尭がモニターを起動させる
「他を調べてきます!」
緒川が再び避難民を探しに地下通路へ飛び出す
「ヒナ、この人たちは?」
「うん、あのね…」
未来が説明に困っていると弦十郎が話し始めた
「われわれは、特異災害対策機動部、一連の事態の収束に当たっている」
「それって、政府の…!」
「モニターの再接続完了、こちらから操作出来そうです」
藤尭がモニターを表示するとカ・ディンギル、そして、響とクリスが写し出される
「あっ!響!!」
「「「えっ?!」」」
「それに…あの時のクリスも…」
次にフィーネが写し出される
「これが…」
「了子さん…?」
2人は信じられないという表情でモニターを見る
「どうなっているの?!こんなのまるでアニメじゃない…!」
「ヒナはビッキーのこと知ってたの…?」
「ん…」
安藤の質問に未来は小さく答える
「前にヒナとビッキーがケンカしたのって…そっか、これに関係することなのね…」
「ごめん…」
最後にジードが写し出された
「これって最近話題の巨人じゃんか!」
「ジード…ウルトラマンジード」
未来が名を呟く
「また新しい姿に…」
「でも、もう1人の巨人に痛めつけられてる…」
制限時間もそろそろ来てしまう
絶望、それがふさわしい状況であった
戦況は圧倒的だった
いくら3人が攻撃しようとフィーネにはダメージらしいダメージが入らない
ジードの方もいくら攻撃してもトレギアに軽くいなされてしまう
クリスはその様子を見て覚悟を決めた
『あたしがやるしかねぇ、あたしが!』
クリスはエネルギーをチャージし巨大ミサイルを放った
フィーネはそれを避けるがしつこく追いかける
クリスはその間に再びエネルギーを貯め、カ・ディンギルへと放った
「させるかぁぁぁああ!!」
すかさずフィーネが茨を使ってそのミサイルを両断する
両断されたミサイルは、いとも容易く爆発するも、しかしもう一発、フィーネを追っていたミサイルが迫ってきていなかった
「もう一発は!?」
そこで、フィーネは空を見上げた
そこには、天に向かって突き進むミサイルに乗るクリスの姿があった
「クリスちゃん!?」
「何のつもりだ!?」
「クリス…まさか!」
リクの考えは的中した
クリスは、自らカ・ディンギルの前に立ち、その砲撃を迎え撃つつもりだった
だが、敵は月を穿つ程の威力を備えた、荷電粒子砲
「足掻いたところで所詮は玩具!カ・ディンギルの発射を止める事など…」
カ・ディンギルの砲門の先に、クリスが立ち塞がると…聞こえてくる
あの唄が…
「Gatrandis babel ziggurat edenal……」
「この歌…まさか!?」
「絶唱……!?」
ミサイルから飛び降りて、カ・ディンギルの前に出る
「Emustolronzen fine el baral zizzl……」
腰のプロテクターから無数のエネルギーリフレクターを展開し、取り出した二つのハンドガンから、それぞれ一発ずつのエネルギー弾を発射
「Gatrandis babel ziggurat edenal……」
放たれたエネルギー弾は、リフレクターに反射されると同時に増幅され、それが無数に引き起こされて行き、ほぼ無限に力が増幅されていく
そのエネルギー弾が反射する度に、光は強さを増していき、やがて、その形が蝶の羽を象っていく
「……Emustolronzen fine el zizzl……」
その最中で、手に持ったハンドガンを前方のカ・ディンギルに向け、そしてその手にバスターキャノンを形成した
「クリスぅぅ!!!!!」
リクはクリスの元に行こうと飛行する
しかし…
「トレラアルディガ!」
「ぐぁぁっ!!」
トレギアによって邪魔され墜落してしまった
その墜落と同時に……カ・ディンギルが発射された
そして迎え撃つ、クリス渾身の砲撃は真正面から衝突した
衝突によって、眩い光が迸り、周囲を照らしていく
そしてクリスの砲撃は、確かにカ・ディンギルを食い止めていた
「一点集束…!?押し留めているだと…!?」
フィーネは信じられないように状況を眺める
しかし、それも長くは続かない
『ずっとアタシは、パパやママの事が…リクのことが大好きだった…』
バスターキャノンはひび割れていき、エネルギーは尽きていく
『だから、二人の夢を引き継ぐんだ』
ギアにすらひびが入っていく。その口元からは血を垂れ流し、絶唱のバックファイアが彼女の体を蝕んでいく
『パパとママの代わりに、歌で平和を掴んで見せる……あたしも、リクに真正面から向き合えるように…』
僅かな、一瞬、ただ一瞬、押し留めて……
『アタシの歌は…その為に…』
……光に飲み込まれた
カ・ディンギルの一撃を受けた月は……その一部を欠けさせるにとどまった
「し損ねた!?僅かに逸らされたのか!?」
フィーネが、驚愕に目を見開いた
そして、小さな光を巻き散らして、落ちてくる少女が、一人……
「クリス!」
ジードはカラータイマーが素早過ぎる点滅を鳴らしているにも関わらず走って行く
「……トレラアルディガイザー!」
だが敵に背を向ければ攻撃されるのは当然、トレギアの攻撃はジードを蝕み、体力を消耗させた
「グアっ!?アッ…」
ゆっくり粒子となり地面に落下するリク
落下の衝撃で、キングとベリアルのカプセル以外、計八本のカプセルを落としてしまうが動くことはできない
「あ……ああ……」
「……」
翼は、そう声を漏らす事しか出来ず、響はただ、言葉を失う
クリスは、森の中に堕ちていく……
リクは薄れゆく意識の中でそれを見ることしか出来なかった
「クリス…ぅぁぁぁっ!」
「……あぁぁあああぁぁぁぁぁあああああぁぁあぁぁぁあぁああああ!!!!」
響の悲鳴が、響いた
【次回予告】
絶望の淵に立たされちまったリクとシンフォギア装者達
クリスの事を嘲笑うフィーネに怒った響も暴走、それを止めるため翼とリクが奮闘するが翼も再起不能に陥ってしまう
全てを失った響は戦えなくなり、リクも再変身が出来ない
だが、絶望の中でも輝く光はあるんだぜ!
次回、戦姫絶唱シンフォギア 響くぜ!絶唱!!
【シンフォギア・ゼロ】
待たせたな!久しぶりだなリク!