(12)日が明けて
目が覚める。
寝惚け眼で時計を見ると、
午前7:00だった。
もそもそと起きる準備をしていると、
部屋の扉が開く。
「久世、……っと、すまない。
起きたばかりだったか」
別にいいよ。
そう言って振り返る。
「それは何よ、り……く、久世!
ふ、服……!」
マコトが勢いよくこちらに背を向ける。
服? と思い自分を確認すると
着替え途中だったので上半身が大気に晒されていた。
手早く服を着て、マコトに問い掛ける。
それで、何か用?
「あ、そ、そうだな……
君と秋江だけ姿が見えなかったので、
安否確認に……この状況だからな」
ダイチと新田さんは?
「ん、ああ。両名とも護衛を付けて自宅へ向かわせた。志島の護衛が戻れば次は君の番だが、その……」
マコトは黙り込んでしまった。
察してはいるよ、だから大丈夫。
「っ……そうだ。少しだけだが我々の下に情報が入っている。正直、彼らの家が無事であるとは考えにくい。……無論、君の家もだ」
頷く。
そんなことは分かってる。
寧ろ今このような場所を
与えられているだけでいい方だろう。
仕方ない。
マコトのせいでも無い。
だから気に病むな。
それより、詳しく教えてくれ。
「すまないが、こちらもまだ情報が掴みきれていない。詳細は追って伝えるよ」
そうか。他には?
「あぁ、一応伝えておこう……君が気絶している間、新田から携帯を借りてな。その時のデータを解析して、取り敢えずNicaeaには実害は無い事が判明した。その結果、試験的に我々の数人が例のNicaeaを使用する事になったよ。やはりこれまで使ってきた召喚端末より性能が高い」
携帯を取りだし、画面を見せてくる。
確かに今使っているアプリと同じ画面だ。
そう思っているとふと思い出す。
そうだ、ジャンヌダルクは?
「戦闘後、
やはり悪魔は我々と根本から違うみたいだ───」
マコトの携帯から独りでに
ジャンヌダルクが現れる。
────マコト、私の事を悪魔と呼ぶのは控えていただけると……
「あ、あぁ……すまない、失念していた」
ジャンヌダルクはふふふと笑い、
響希の方を見る。
────貴方は確か……ヒビキ、でしたか。
あぁ。久世響希だ。
────ドゥベの討伐、お見事でした。
実際に見てはいないのですが、マコトから聞きましたので。
それはどうも。
貴女の最期の一撃も、見事だった。
────あのまま近付かれていたら不味かったですからね……それでは、お喋りはこの辺で。
ジャンヌダルクがマコトの携帯に戻る。
……もっと堅物かと思っていた。
「救国の乙女等とは言われているが、
彼女は英雄である前に1人の少女でもある。
年相応な所は当然あるさ」
逸話を利用して悪魔を倒す、
なんて事も出来るかもしれないな。
「そうだな……可能性はある」
それにしても、悪魔を召喚するアプリ……
謎は深まるばかりだな。
「ジプス内での調査も難航している。
運営しているサーバーすらも掴めていない状況だ。我々も国家組織としてあらゆる情報技術を駆使しているが進展は思わしくないな」
Nicaeaの運営者、か……
どんな奴なんだろう。
「さぁな。随分と手を焼かせてくれるよ……」
案外悪魔だったりして
「フ……あるかもな?
さて、志島を送った護衛が戻るまで、
君は自由時間だ。楽にしていてくれ。
外出は自由だが、外には悪魔の出没が増えている。節度を持って行動するように」
マコトはそれだけ言うと、
軽く挨拶をした部屋から出ていった。
☆
軽く歩こうと国会議事堂の外へ出ると、
ダイチが深刻そうな顔で佇んでいた。
どうした?
「あ……あぁ、響希。
驚かせんなよ」
家はどうだった?
「あー……マコトさんから聞いたか?
でもお前にもちゃんと伝えないとな……悪い。
……ジプスの人たちはさ、ちゃんと護衛してくれて、家まで行こうとしてたんだよ。でも……ダメだった。ビルは倒れてるわ火事は起きてるわで……近付けもしなかった」
近所の俺の家もまた同じ、か……
「あぁ……」
重い沈黙が流れる。
「で、でもよ! 俺の親もお前の親も、死んだって決まったわけじゃないしさ! もっと明るくいようぜ! そのうち会えるよな!」
そうだな。
「だよな!? きっと……きっと大丈夫だよな……はははっ……! ……よし! 湿っぽいの終わり! とにかく頑張っていこーぜ!」
あぁ。
「んじゃ、俺マコトさんに呼ばれてっから!
また後でな~!」
ダイチは国会議事堂の中へ去っていった。
さて……どこへ行こうか。
☆
道中出てくる悪魔に対処しながら
街を白虎に乗って駆けていると、
新田維緒を見かけた。
新田さん。
「……! あ……久世くん。と、白虎くん。
あのね……マコトさんから、私と志島くんが家に向かったのは聞いてると思うけど、
家、ダメだったよ。うちのマンション、斜めに倒れちゃってて……。
部屋には入れたんだけど……お父さんとお母さん、居なかった」
良かったな。
「え……? あ……!」
……やはり新田維緒は頭がいい。
ダイチならここで怒るところだが、
新田維緒は言葉の本質を見極めた。
この頭の良さが別方向に使われている気がするのは、気のせいだろうか……
「そう、だよね。誰もいなかった、誰もいなかったなら、お父さんとお母さんは生きてるかもしれない……! 久世くん、ありがとう……!」
役に立てたなら嬉しいよ。
ジプスに戻るなら、白虎で送るけど。
「じゃあ、お言葉に甘えて……よろしくね、白虎くん」
────ガウ
特に不満げな様子も無く、白虎はジプス東京支局へと駆け出した。
☆
「や~、おはよう響希くん」
新田さんと一度別れ、支局内を歩いているとジョーに声を掛けられた。
ジョーは家に帰らないのか?
「あー、家ね。どうせ1人だし、親も両方亡くなってるからねぇ……地元もこっちじゃないし。でもスーツは変えたい……でも仕事じゃないからいいか」
携帯も繋がらないし、連絡のしようがない、か。
「あー、そうそう、そんなカンジ」
とジョーと話していると。
ダイチと新田さんが小走りで近付いてくる。
「響希~! 局員の人から聞いたんだけど、マコトさんが泉岳寺で戦ってるらしい! どどど、どうしよう……!?」
「助けに行こう……!」
「若者は元気でいいね~、じゃあおじさんは後ろで応援してようかな?」
サボるな、行くぞ。
地獄の大阪編……開始!
それと原作では縁パートがここから増えますが、
縁パートは是非プレイして見てください。
今作は基本的に大元のストーリーを主軸にして進みます。
くじら座のプリクエルを読んだ事がある
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ある
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無い