諦観するのはもうやめた   作:万能型蛮族

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なんかのきっかけでこの二次創作が大流行してデビルサバイバー3出ねぇかな〜〜〜〜〜!!!!!!!!(欲望丸出し)
後BURNBIT復活がめでたい……
もう聞けないかと思ってたので
本当にありがとうと言いたい……


(17)和久井啓太と水神茂久

 数時間新幹線に乗り、

 漸く停車する。

 

 車両の外に出ても風景に変わりはないが、

 数人のジプス局員が出迎えに来ていた。

 

「お帰りなさいませ、ヤマト様」

 

 渋みのあるバリトンの声。

 歳は40半ば、髪を後ろに撫で付け

 顎髭を蓄えた、落ち着いた風情の男だ。

 この男だけジプス局員が着ている

 黄色の制服ではなく、黒いスーツを身に付けている。

 

「迎えは不要と伝えたが。

 ……水神、貴様が出張る程のものか?」

 

「いえ、ドゥベを倒した若者を

 私も一目見たく思いましてね。

 初めまして、水神茂久です」

 

 微笑みを浮かべながらその実、

 細められた瞳は微かに

 こちらを観察するような

 冷たい輝きを放っている。

 

 ……どうも。

 

「まぁいい……私は本局で会議だ。

 お前たちは大阪の実情を見てくるといい。

 そして自分の目と耳で

 災害の真相を見極めたまえ。

 それが生き延びるための近道だ」

 

「え……案内とかは!? 

 俺達だけで大阪を調べろっての!? 

 自慢じゃないけど俺大阪なんて

 行ったこと無いから迷子になるよ!?」

 

 ダイチの訴えを無視して

 ヤマトはこの場を去っていく。

 

「ははは……安心しなさい。

 君たちの事は事前に聞いている。

 案内役を連れてきたよ。

 ……和久井くん、彼等の案内をお願いするよ」

 

「チッ……和久井啓太や」

 

 ジプス局員の後ろから

 小柄で白髪をかきあげた

 学ランの少年が現れる。

 少年は不機嫌さを隠そうともせずに

 こちらを睨みつけながら

 自己紹介をする。

 

「げ……なんか怖そう。

 な〜んか苦手な雰囲気」

 

「和久井くんは君たちと同じ、

 召喚アプリを使う民間人の協力者だ。

 彼を案内につける。年齢も近いし、

 君たちと話も合うと思うよ。

 それと、会議は15時頃に終わる。

 その時間に大阪本局に来てくれ、

 場所は和久井くんが

 案内してくれるだろう」

 

 それではね、と言葉を残して

 水神は去っていく。

 残ったケイタはじろりと、

 こちらを強い眼光で睨みつけている。

 それは何かを探しているような

 雰囲気が伺えた。

 

「絶対話合わねって……」

 

「志島くん、聞こえちゃう……」

 

「え〜以外と合うかもよ? 

 ねね、ヤンピョン読んでる?」

 

「……西の言葉やな。

 アンタ、生まれはどこや」

 

 ケイタはジョーの質問を無視し、

 一方的に問掛ける。

 

「……え〜? いや、そんな事ないよ。

 俺ってシティーボーイじゃん?」

 

 ねぇ? と自分を指差しながら

 こちらへ振り返る。

 

「……まぁええわ」

 

 ジョーに興味を無くしたのか、

 ケイタが足早にここから去ろうとしている。

 

「あ、お、おいっ!? 

 どこ行くんだよ!? 

 案内してくれるんじゃ……!?」

 

「……悪いがヒマやない。

 群れる義理もないわ。

 広い街ちゃうし、迷わへんやろ。

 ……観光は自分らでやれ。

 14時半頃、ビックマン前や。

 それくらいの時間になったら、

 迎えに行ったるわ。

 ああ……それと、街中にも悪魔がおる。

 適当に気ぃつけろや」

 

「ええっ……!? 大阪にも悪魔いんの……!? 

 じゃあヤマトの言ってた事って……」

 

「見たらわかるわ。……ほな」

 

 ケイタが駅のホームから去っていく。

 

「おいマジかよ……なんだよアイツ……」

 

 全員が顔を見合わせる。

 

「あ、えっと……

 とりあえず……行ってみる? 

 ほら……外に出たら私たちだけでも

 何とかなる……かもしれない」

 

 ……折角大阪まで来たんだ、

 とりあえず俺達だけで調べられる

 ところは調べてみよう。

 分からなければ、

 大阪本局の局員に聞けばいい。

 

「う、うん……じゃあ、行こう?」

 

「そうねぇ……ハラ減ったし、

 まずは行ってみようか。

 俺、豚まん食べたい。

 あ……でもお好み焼き定食もいいな。

 でも、やっぱ麺類な気分? 

 迷っちゃうなー」

 

 楽しそうでなによりだよ……行こう。

 

 駅のホームを後にした。

 

 ☆

 

 外に出た瞬間、全員の携帯が震える。

 メールだ。

 

 まさか……

 

 嫌な予感に汗が流れる。

 急いで件名を確認すると

 ────死に顔動画:和久井啓太。

 

 全員が息を呑み、

 ほぼ同時に、動画を開く。

 

 ☆

 

 見たことの無い場所。

 エスカレーターと階段、

 電光掲示板が写されている。

 

 程なく、一人の小柄な少年が

 激しく階段に全身を打ち付けながら、

 転がり落ちてくる。

 やがて階段の最後の段で身体は止まり

 

 ────二度と動くこともなかった。

 

 和久井啓太の頭部から血溜まりが広がる。

 

 ☆

 

「おい、おいおいっ! マジかよ!? 

 マジで!? これ和久井啓太だろ! 

 アイツ、死んじゃうの!?」

 

 いや、まだ助けられる……

 ダイチの時と同じだ。

 

「あ、そうか……!」

 

「でも、場所が分からないよ……

 このままじゃ……」

 

「ん〜、そうだね。

 場所が分からないと、

 助けようにも助けられない。

 これは結構時間が無いっぽいね……

 でも、これって助けなければ

 ────殺せるって事だよね?」

 

「え……?」

 

 ────何を言っている

 

 自分でも意識せずに、

 出した事の無い冷たい声が出た。

 新田さんも、ダイチも言葉を失う。

 当のジョーも冷や汗を流している。

 

「……あ、いや。

 別に和久井くんの話じゃなくて、

 そういう選択もできる、と」

 

 ……出来てもしない、するわけが無い。

 

「そりゃ……そうでしょ。

 でも、死ぬのが分かってて助けないとか……」

 

「あ、分かってるって。

 そういう意味じゃないんだ。

 白鳥、白鳥……」

 

 スワン、か……

 

「お、良く分かったね。

 すわん、すわんってさ。

 ははは……」

 

 誰も笑わない。

 冷えた空気がその場を流れる。

 

「と、とりあえず、その。

 和久井くんを探さなきゃ……」

 

「お、おおモチロン! 

 なんか怖そーなヤツだけど、

 やっぱほっとけないしさ……! 

 でも……見つかるかな……」

 

 見つけるさ、必ず。

 災害の原因も探しながら、

 それらしいところも探そう。

 

「うん、そうだ。

 人生前向きに行こう、前向きに!」

 

「うん……そうだよ。

 頑張れば、きっと何とかなるから……」

 

「お、おう……! 

 じゃあアイツが行きそうな所を、

 片っ端から探して……

 アイツ、どこに行きそうなんだ……? 

 全然分かんねーじゃん!?」

 

「う〜ん……そういやそうだ。

 それに時間も気になるところだね。

 確か14時半頃にビックマン前って言ってたけど。それよりも前だろか、後だろか?」

 

「だぁ〜クソ! 

 時間も場所も手がかりナシか……! 

 どうすりゃいいんだよ?」

 

「あ、でも志島くん……

 手がかりなら、あると思う。

 ほんのちょっとなら、だけど」

 

 そうだな。

 ダイチの時は画像から浅草寺で

 死亡する事が分かった。

 

 だから、今回も死に顔動画を

 よく見ることが大事だが……

 人の死に姿を何度も見る、

 というのはやはり気分が悪い。

 しかし人命がかかっている。

 そのような弱音は言えない。

 

「お〜なるほど! 

 それならよく見れば、

 アイツの動画にヒントが……!」

 

「どこだろう、ココ……? 

 名所とかじゃ……ないよね?」

 

「ん〜、俺も大阪は詳しくないから……

 でも、ここからなにか探せば分かるかもね。

 現地の人に聞くとかもいいかもしれない」

 

 階段やエスカレーターだと、

 現代じゃありふれ過ぎててな……

 

 ジョーの言う通り、地元の人間の方が

 俺たちよりこの場所はよく分かるだろう。

 

「あ、でも……この階段って、

 かなり大きいから……。

 大阪でも珍しいかも……!」

 

「なるほど……そうだねぇ。

 どうやらヒントはこのでっかい階段だな〜

 よし……これ以上の事は俺たちじゃ

 分からないからさ、そろそろ行動しよっか」

 

 そうだな……時間が惜しい。

 

「……おうっ! じゃあ出発しよーぜ?」

 

 全員がその場を後にした。

 

 ☆

 

 敢えて数歩遅れて

 少年達と大阪の街を歩く。

 

 ……危なかった。

 つい本音が零れてしまった。

 

「ただの少年があんな視線を

 向けてくるなんてね……」

 

 文字通り背筋が凍るかのような、

 絶対零度の目線。

 久世響希という少年は、

 単に悪魔の扱いが上手いだけの

 少年では無いみたいだ。

 

「評価を変えないとね……」

 

 今回の件で彼からの信頼は

 得にくくなったかもしれないが、

 依然彼の傍が安全なのは変わりない。

 

「生き残る事が第一……そう決めたんだ。

 だからあんな子供、救ってる暇が無い」

 

 個人的に、何かを探られたような、

 自分の心の中を見られたような気がして、

 和久井啓太という少年に対しては

 悪感情の方が大きい。

 折角死に顔動画という死刑宣告が出たんだ、

 殺しておけばいいと思った。

 

「口に出てしまったのは、予想外だね」

 

 全ては名古屋に帰る為に。

 名古屋に置いて行った彼女に

 再び会い、謝る為に。

 

「……待っててくれ」

 

 その為ならこの少年達の命なんて安い。




今回登場する水神茂久というキャラクターは
くじら座のプリクエルでのみ登場する、
峰津院大和の右腕のような男です。
彼がここで登場するのは本来おかしいのですが、
生存ルートという事で大目に見て頂けると。
彼が優秀なのは事実ですから、
あの場で自殺を選ばない道が存在するなら、
峰津院大和が彼を再びジプスへ戻す世界線もあるかな、
と考えての登場です。
後は完全に個人的な贔屓ですね、
彼の相棒悪魔であるケトスが好きなので……

水神八生についてはまだ未定です。
あの身体で生存出来るかどうかと言われると……
正直悩んでいます。最期の言葉を考えると
出してあげたいですが、
登場するかは今後の展開ですね。

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