諦観するのはもうやめた   作:万能型蛮族

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ハーメルン、小学生くらいの時に初めて今までずっと読み専だったんですけど、遂に書くのにも挑戦しようと思います。
好きな作品なのでファンの方を怒らせないような内容にしたいと思います。
これ完結したら多分俺ガイルクロスオーバーかトリアングルム編書きます。後は世界樹の迷宮とかセブンスドラゴンとか。


DAY1 憂鬱の日曜日
(1)仕方ない


 仕方ない。

 18年生きてきて培った、諦観の言葉。

 無意識に口に出ているらしい、俺の口癖。

 ダイチは俺が「仕方ない」と言うと、

 笑いながら「またそれかよ」と言う。

 俺はそのやり取りが、嫌いじゃない。

 

 ☆

 

 試験の終わりの日。

 ダイチが忘れ物をして教室に戻ってしまった。

 先に帰る訳にもいかず、仕方なく校門前で待っている。

 外気に晒される顔に冷たい風が吹き付け、

 たまらず制服の上から着ているフードを被る。

 ウサミミの白を基調としたパーカー。

 普段は服にあまり興味は無いが、

 何故だかこれだけは気に入っている。

 

 ダイチが来るまで音楽でも聴いていようと、

 学生鞄の中を漁っていると、

 すぐ後ろの道路で車のクラクションが鳴る。

 校門前の空気が止まったような感覚。

 自ずと音の方向を見ると、

 黒い高級車が横断歩道の前で止まっていた。

 信号は青。疑問が頭に芽ばえる前に、

 ウチの制服を着た女子生徒が

 お婆さんの手を引いて歩道へ入って来た。

 高級車はその後直ぐに発車し、

 程なく校門前にはいつもの雰囲気が戻って来た。

 

 あの女子生徒は……確か

 新田維緒、という名前だった気がする。

 多分、隣のクラス。

 ダイチがはしゃいでいたのを、

 ぼんやりと思い出す。

 少し気になり彼女が去った方を見ると

 彼女はお婆さんと二言、

 三言話してから別れたところだった。

 

「おーい! ヒビキやーい!」

 ダイチの声だ。

 やっと落し物を回収したのか。

 

 息を切らしながら駆け寄る黄色いマフラーの男子生徒。

 この男子生徒こそが生まれてからの付き合いである

 志島大地だ。多少お調子者な面はあるが、

 場の雰囲気を盛り上げるムードメーカーだ。

 

 遅かったな。

 

「いやぁ、悪い悪い、

 先生が持っててさぁ……」

 

 それなら仕方ない。帰るぞ。

 

「本当はどっか寄りたかったけど……

 俺のせいで待たせちゃったしな。

 大人しく帰るとしますか!」

 

 いつも通り、帰路につく。

 

 ☆

 

 そこから先の記憶が曖昧だ。

 地下鉄で電車を待っていたら、

 地震が起きて……後は覚えていない。

 何か、着信があったような……

 

 思考が加速するにつれて、身体の感覚もはっきりとしていく。

 そこでようやく自分が目を閉じていた事に気づき、

 目を開くが、開いた後もそこはまた暗闇だった。

 更に意識が覚醒して行く。

 何故俺は倒れている? 

 背中に伝わる重さはなんだ? 

 ダイチはどうなった? 

 何が起きて───────

 

 ティロリンティロリン♪ 

 

 暗闇に光が差した。

 決してそれは後光や

 太陽の光のような物ではない。

 市販の携帯から放たれる、文明の光。

 上の画面が横になるタイプの、青い携帯……俺の携帯だ。

 藁にも縋るような気持ちで、俺は携帯に手を伸ばし、掴む。

 

「───安心致しました。

 貴方様はまだ、諦めていない。

 『仕方ない』と諦観を口に出しながらも、

 その内心は『生きる意思』に満ちている」

 

 落ち着いた男の声。知らない声だ。

 誰だ? 通話でも起動してるのか? 

 

「アナタの強い『生きる意思』

 確かに受け取ったよ☆」

 

 今度は媚びるような高い、女性の声。

 これもまた、知らない声だ。

 さっきから、何を言って……

 

 口に出し終わる前に

 視界が光に飲まれた─────

 

 ☆

 

 目が覚めると、身体を押さえ付けていた

 瓦礫が取り払われていた。

 起きあがり、周囲を見渡す。

 

 ──駅は酷い有様だった。

 電車がホーム内に寄りかかるように倒れて来ており、

 電車内にいる人や電車を待っていた人ですら、

 血を流して倒れている。中には臓物が出ている人も。

 初めて見る死体に、吐き気がした。

 

 地上には、辛うじて戻れるようだ。

 階段はまだその役割を損なってはいなかった。

 

 暫く崩れた瓦礫を退けたりしていると、

 ダイチが居た。その近くには、新田維緒も。

 2人とも大きな怪我は無さそうだが、

 気を失って倒れている。

 

 ここもいつ崩れるか分からない、

 二人を起こして地上に戻りたいが……

 

 ダイチが身じろぎをした。

 

「いってて……なんで俺こんな所に倒れ、て……

 ───は? なんだ、これ、人が、死んで……」

 

 ダイチ。

 

「ってうおっ! ヒビキ!?

 脅かすなよな……というかなんだよこれ! 

 起きていきなりこれとかワケわかんねぇよ!」

 

「んんぅ……」

 

 新田維緒も起きるようだ。

 のろのろと体を起こし、辺りを見渡す。

 

「ここ、は……きゃあ!」

 

 やはりここの光景は刺激が強いのだろう。

 目を覆ってしまった。

 

 見ない方がいい。

 それより、早く地上に行こう。

 

「お、おう……ってヒビキ、

 お前この状況でよく落ち着いてられるな……」

 

 そんな事は無い、と答えようと振り返ると。

 

 怪物がいた。狗頭の獣人が、

 新田維緒の背後で棍棒を振り上げて

 今正に、振り下ろそうと──────

 

 新田維緒は気付いていない。

 ダイチも、気付いていない。

 

 やる事は決まっていた。

 

 手を伸ばし、携帯を操作する。

 

「悪魔召喚アプリ、起動」

 

 仕方ないとは、言えなかった。

 

 




感想誤字指摘待ってます

大阪弁書けないけど許してくれますか

  • 許す
  • 謝っても許さない
  • 良いぞ、だがその代わりいいものを書け
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