諦観するのはもうやめた   作:万能型蛮族

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キリがいいので短めに切ります。


(33)いざ名古屋へ

 続いてダイチを探していると、ダイチ本人から電話がかかってきた。何か厄介事かと思いながら出る。

 

『お……出た出た。聞いたぜ、名古屋支局とジョーさんに連絡が取れないんだって?』

 

 耳が早いな、マコトか? 

 

『そうそう、いまさっき会ってさ。名古屋、まさかお前だけしか行かないとか……無いよな?』

 

 ダイチの声に若干の焦りが込められているのを感じ取り、軽く笑ってしまう。

 

 そんなわけが無いだろ、一緒に来てくれるなら大歓迎だ。

 

『だよな、はは……何言ってんだか俺。それじゃ、新田さんにも連絡するか?』

 

 ……いや、新田さんにはもう伝えてある。今は怪我人の治療の手伝いをしてるから手が離せないってさ。

 

 事実を丸々話すのは気が引けて、若干の嘘を混ぜる。ダイチの事だから後々地雷を踏みそうだが……それは後で伝えればいいだろう。

 

『そっか。じゃあ……8時に新橋だったよな? またその時に会おうぜ』

 

 ああ、じゃあまた。

 

 通話が切れた。ダイチもダイチで何か用があるようだし……暇になってしまった。

 

 ……取り敢えず、悪魔倒して身体を慣らすか。

 

 幸い悪魔は腐るほど東京に存在する為、相手には困らなかった。

 

 ☆

 

 時刻8:00。名古屋へ向かうため、新橋の専用車両ホームへやってきた。そこには新田さんの姿もある。やはり浮かない顔ではあるが、彼女なりの思いがあってこの場にいるのだろう。

 

「あ……久世くん。あの、マコトさんなら名古屋の話、聞いたよ……」

 

 もう、大丈夫か? 

 

「あ……う、うん……。もう大丈夫……だと思う。ごめんね、ありがとう」

 

 力の無い笑みを浮かべ、新田さんが感謝を述べる。よくよく見れば目が少し赤く、泣き腫らした後が見て取れた。

 

「あ〜、やっぱ遅れてた……悪ぃ、ちょっと手伝いが長引いた」

 

 息を切らしながらダイチがホームに駆け込んでくる。かなり急いで来たようだ。

 

 出発には間に合ったならいい。

 

「あ、そうなのね。いやぁ……間に合ってよかったぁ……」

 

「……全員揃ったな。協力に感謝する、ありがとう」

 

 列車から何かの打ち合わせをしていたマコトから出てくる。新田さんとダイチの姿を認めると、満足気に頷く。

 

 好きでやってるんだ、気にするな。

 

「そうそう、ジョーさんとは付き合いは短いけど……見捨てるなんてできねぇって!」

 

「それと……名古屋支局の事も調べないと……」

 

「……その言葉だけで、私も救われる。さて……新田も気にしていた名古屋支局だが、やはり連絡が取れず、状況も掴めない。……だが、支局あてに君たちの事は連絡してある。誰かが気づけば迎えが来るだろう」

 

 迎え、ね……あんまり期待してないけど

 

「やる気だなぁ……でも、そうだよな……都合よく迎えとか来るわけないもんな……」

 

「うん……下手したら、向こうのホームも崩れたりしてるかも……」

 

「あー、そっか……そういうのもあるんだった……って言うかさ、名古屋支局と連絡が取れなくなったりしたのって、災害の原因と関係あるのか?」

 

 ダイチの疑問に、マコトが厳しい顔で答える。

 

「……それも不明だ。今のところ何も掴めていない」

 

「どっちにしろ行ってみるしかないって事か……」

 

 そこまで話した所で、列車から出発時刻が近付いている事を告げる音楽が流れ始める。新田さん、ダイチが列車に乗り込み……俺も乗ろうとした所に、マコトが声をかけてくる。

 

「……。久世……」

 

 ……どうした? 

 

「……君たちを巻き込んで、本当に済まない。気を付けて行ってこい」

 

 あぁ、行ってくる。

 

 それだけ言い残し列車に乗り込むと、即座に列車が動き出す。

 

 マコトは見えなくなるまで、俺達の乗った列車を見送っていた。

 

 ☆

 

 数時間列車に揺られ、名古屋に到着した。ホームの姿形は新橋や大阪のものと酷似、あるいは同一のものだ。

 

「……来たね、名古屋。でも、迎えの人……」

 

 ホーム内部にはやはりと言うべきか、迎えの局員の姿は無い。マコトの送った連絡は見ていないか、それともそれどころではないか。

 

 取り敢えず、ジョーを探しに行こう。それと、名古屋支局も。

 

「うん……死に顔動画が届いてないから、大丈夫だとは思うけど……それでも、心配だね」

 

「そうだよな……って、携帯電話ダメになってるじゃん!」

 

 携帯をふと確認したダイチが、驚いたように報告してくる。確かに圏外と表示されており、これではメールや電話も使えないだろう。

 

「名古屋支局と連絡が取れないって……こういう事? どうしちゃったんだろう……」

 

 基地局が壊れたか、全滅か……基地局が壊れている方がまだ現実的だな。

 

「あ、そっか。ここジプスの施設だから、全滅ならもっと壊れてる……よな?」

 

 ダイチの言葉の通り、ホームには意図的に破壊された跡どころか、戦闘の痕跡すらない。何者かが侵入して全滅したとするならば、ここにも被害が及んでいなくてはおかしいだろう。

 

「でも、ジプスが全滅してなくて、基地局が壊れてるなら……なんで基地局を直さないのかな……? 全滅ほどではないにしても、やっぱり何かあったんじゃ……」

 

 確かに、そのままにしておく理由がないか……こればかりは局員に確認しないと分からないな。

 

「そうだよな……んじゃ、情報を集めながらジョーさんの捜索……でいいんだよな?」

 

 頷いて賛意を示す。当分進展があるまではそうなるだろうし、そうするしかない。現状ではあまりにも情報がない。

 

 どこを探すか相談しながら、俺達はホームを後にした。




この時点で原作ではジョーの彼女についての言及が入るのでどのタイミングで入れるのか結構悩みどころではある
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