諦観するのはもうやめた   作:万能型蛮族

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おまた
キルア!


(42)秋江譲という男

 ジョーは腰に手を当て、やれやれといった風に溜息を吐く。

 

「まぁ携帯が鳴り始めた時から何となくこうなるんじゃないかとは思ってたけど、さ。で、俺になにか用?」

 

「な、なにか用って……なんでジョーさん、暴徒なんかの仲間入りしちゃってんだよ!」

 

「なんだ、そんな事か……ほら、アレだよアレ。俺って名古屋出身だからさぁ……昔の知り合いに君たちの言う暴徒? に入らないかーって誘われちゃったんだよね。理由としてはそれだけだよ」

 

 あっけらかんと、ジョーはそう言い放つ。常に飄々とした態度を保っていたジョーは、暴徒の側に立ってもそれは変わっていないようだ。

 

「そ、そんな事で……!」

 

「そんな事って……だってダイチくんも同じだろ? 響希くんがジプスに入ってるから君もなぁなぁでジプスに居る。違かったかな?」

 

 余裕を崩さず、ジョーは冷静にダイチに反論する。あながち間違ってはいなかったのか、ダイチは言いよどんでしまう。

 

「そ、それは……そうだけど……」

 

「だろう? なら君は俺に対してどうこう言えないはずだ……っと。響希くんも何か言いたそうな顔してるね」

 

 ……死に顔動画は届いたか? 

 

「いいや、届いてないよ」

 

 そうか。

 

 今まで考えていた事がある。俺に届いた死に顔動画は一番最初に届いた自分が死ぬ動画を除けばダイチ、ケイタ、ジュンゴの3つだ。

 

 その全員に共通するのが……誰かしらと1回は会話をしている、という事だ。恐らく死に顔動画は、そう言った何かしらの縁がある人物の動画を送り付けてくる。どうやってかは不明だが、そこは考えても無駄だろう。

 

 では、何故ジョーは『届いてない』と言ったのか。推測に推測を重ねることになるが……恐らくは、縁が切れた相手の死に顔動画は届かないのでは無いのだろうか。

 

 ────では死に顔動画が届いてないジョーは。

 

「君の考えてる事は俺も考えたよ……ま、そういう事だろうねぇ」

 

「ど、どうすんだよ響希……! 俺、ジョーさんと戦いたくねぇよ!」

 

「なら、ジュンゴだけ助けて逃げれば……!」

 

 ダイチの嘆きに対してアイリが提案する。が、それは出来ない。確かにジュンゴは追い詰められてこそいるが、近くにいるから直ぐに連れて逃げ出せるだろう。だが、問題なのはジョーに転がされたままの新田さんなのだ。

 

 打ち所が悪かったのか、ジョーの足元で寝転がったまま動かない彼女を放っておく訳にも行かない……非情な判断を下さないためには、ジョーと戦う事は回避できない。

 

 俺は無言で携帯を構えた。

 

「ん……ジュンゴも、手伝う」

 

「くそぅ……なんでだよ、ジョーさん……!」

 

 ジョーとの戦闘が始まる。

 

 ☆

 

「ごめん……!」

 

 短い謝罪の後に、鈍い打撃音と人が倒れる音が続く。ジュンゴはほぼ悪魔の力に頼る事無く、拳ひとつで暴徒を蹴散らしていくが……その攻撃のひとつひとつに、躊躇いが見えていた。

 

「カイチ! やっちゃって!」

 

 ジュンゴの突撃にアイリが続く。彼らのコンビネーションは俺達が出会う前から続いていたものなのだろう。手加減をしすぎたのか、暴徒からの反撃をくらいそうになったジュンゴをアイリとカイチがカバーする。

 

「ん……ありがとう」

 

「しっかりしてよね、もう……!」

 

 2人は再び暴徒達へ向かい直る。

 

 ☆

 

「カマプアア!」

 

「ぐ……ハヌマーン!」

 

 悪魔と悪魔が激突する。

 

 ジオダイン(集中雷撃)! 

 

「おっと、嵐の乱舞!」

 

 魔法と魔法が打ち消し合う。

 暴徒とジョー、響希とダイチが悪魔を駆使した熾烈な争いを繰り広げる。

 

「マハジオは使わないんだねぇ?」

 

 ……アギダインッ! 

 

 正確には使えない、が正しい。それなりの範囲に雷撃を齎すマハジオを無遠慮で打ってしまえば、それは未だジョーの足元で寝ている新田さんに命中してしまう。

 

「うおっと……そうマジになんないでよ〜。もっと俺とオハナシしようじゃないか」

 

 こちらが焦りを滲ませるのとは裏腹に、ジョーが余裕のある笑みを浮かべる。新田さんという人質が居る以上、有利はどう足掻こうともあちらにある。

 

 どうにかして彼女から離れた場所で戦いたいが、そう簡単にはさせてくれない。それ故に一進一退の攻防を続けているが、増援が来てしまえば状況はさらに不利に傾いてしまうだろう。

 

「でりゃぁぁぁ!」

 

「うわぁっ!?」

 

 思考を巡らせていると、ダイチの悲鳴が聴こえる。いつの間にかハヌマーンはカマプアアと牛頭鬼を相手にしており、不利を強いられていた。そしてダイチを守る余裕を無くしたハヌマーンは、みすみすと暴徒をダイチの元へと行かせてしまう。

 

 くっ……白虎ッ! 

 

 奇襲用に使おうと温存していた白虎を瞬時に救出に向かわせる……が。

 

「はい、ペトラレイ」

 

 白虎が暴徒の元へ辿り着くよりも先に、紫の光線が暴徒の背中を穿ち、ダイチへ襲いかかる暴徒を石に変える。

 

 ……は? 

 

 一体、誰が……思わず呆けて振り向くと、そこには仲間だった筈の暴徒に携帯を向けたジョーの姿があった。

 

「いやはや、危ないところだったね響希くん」

 

 この状況を作った元凶はいけしゃあしゃあとそんな事をのたまうと、恐らく口をポカンと空けた間抜けな顔をしている俺を見てニヤリと笑う。




3DSが無事届いたのでストックを投稿しました。
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