浅草寺は目前という地点まで
響希達は車でやって来た。
「止めている時間も惜しい、君達は先に降りて浅草寺へ!
私は適当な所へ車を停めてくる!」
「わ、分かりました!」
早速浅草寺へ向かおうと駆け出すと
背後から爆発音が響く。
「え────」
なっ────
振り返り、それを見る。
一目見て人間では無いと悟る。
同時に、悪魔でも無いと察する。
それ程までに、それは異色な姿をしていた。
ふざけた配色の逆三角錐。
そこから完全に分離して浮かぶ毒々しいピンク色の海綿体。
心做しか海綿体が少しずつ膨らんでいるように見える。
更に視線を下げると俺達が乗ってきた
車が横転して黒煙を上げている。
恐らくアレの攻撃を受けたのだろう。
ふと思いつき、携帯を奴に翳す。
───『貪狼星 ドゥベ』
と映った表示を見て、冷や汗が垂れる。
……アレは俺が抑える。
新田さんはマコトを……!
「わ、分かった! 気をつけてね!」
逃げるよりもまず、マコトが危険だ。
車の横転程度で死んではないと
思いたいが、生きているとしたら
現在1番ドゥベに近いのはマコトだ。
まずはドゥベとマコトを離して
新田さんに生存確認してもらいたいが
……俺一人で出来るのか?
携帯が小さく震える。
ドゥベを睨んだまま携帯を
ポケットから出すと、勝手に白虎が召喚される。
白虎は無言で寄り添うようにドゥベと対峙し、威嚇する。
……行こう、白虎。
────ガウ。
薄く蒼雷が白虎の身体に走り、
白虎は目に止まらぬ速度でドゥベに急接近する。
神速を乗せて放たれる貫通の一撃。
白虎の前脚が海綿体にめり込むが……
────押し戻される。
……やっぱりか。
携帯に表示されるドゥベの耐性は
────全てが無効だった。
海綿体の膨張は止まらない。
☆
「マコトさん、マコトさん!」
ハトホルの力を借りて、車の扉をこじ開ける。
迫真琴は額から血を流して気絶していた。
幸いな事に、息はまだある。
何とか車の外へ身体を移動させて、
仰向けに寝かせる。
「ハトホル、お願い……!」
ハトホルは微笑み、
仰向けに寝転ぶマコトへ両掌を向け、癒しの力を行使する。
神々しい光。女神のみが行使出来る
────『女神の慈愛』
☆
海綿体の膨張は既に限界近くまで来ていた。
白虎と俺がボロボロなのに対し、
ドゥベには傷一つ無い。
此方の攻撃は全て無効化され、
一方的に俺達がドゥベの攻撃を受けている。
上がる息を無理矢理整えて、
その場から飛び退く。
数瞬後、これまで立っていた場所に
炎の柱が立つ。直撃は避けたが、
流石に熱気までは防げない。
離れても伝わる熱気に、
熱さとは別の汗が流れる。
────当たったら不味いな……
正直、これ以上は厳し────
「うお~~い! 響希やーい!」
思考が遮られ、
聞き覚えのある声が耳に入る。
浅草寺の方向から手を振りながら
ダイチと見覚えのない
縦縞柄のスーツの男が来ていた。
ダイチ! 無事だったか……!
「おう! 危なかったけど、
このジョーさんが助けてくれてな……
って今どんな状況?」
ダイチは呑気にそんなことを聞いてくる。
「いやぁダイチくん、
お喋りしてるヒマは無さそうだよ
────そらっ!」
ジョーと呼ばれた男が突然ダイチの服を掴み、
その場から飛び退くと、
やはり先程まで立っていた場所に炎の柱が立つ。
「うぉあっ!? っつつ……び、ビビったぁ……
なんか一言言ってくれよ!」
突然服を掴まれて引っ張られた
ダイチが抗議するも、
ジョーと言うらしい男は
薄い笑みを浮かべて受け流している。
「ははは、メンゴメンゴ……
でもそう言ってられないよねぇ……
全属性無効だなんて……ズルでしょ」
ジョーは口元こそ笑っているが
目は冷静なまま、携帯を翳しながらドゥベを見据えていた。
倒す必要は無い、今新田さん……
仲間が味方の治療をしてくれてる。
それが終わるまでは……
「味方ってあそこに寝てるあの黒い制服の……!?
大丈夫なのかよ!?」
事情は聞いた。少なくとも、
俺達より悪魔への対処は慣れてる。
「へぇ……宛ら秘密組織って感じで
カッコいいねっ、と……
僕も厄介になっちゃおっかな?」
ジョーが炎を躱しながら答える。
「響希くん!」
新田さんの声。
「すまない……!失態を晒した……!」
マコトの声。
同時に。
ドゥベが奇怪な音を上げる。
いち早く動いたのはマコトと俺だった。
マコトは自らの悪魔を召喚し、
俺は近くに居たダイチとジョーより
前面に出て携帯を構え─────爆発に飲まれた。
万能属性すら無効化するドゥベを許すな
大阪弁書けないけど許してくれますか
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許す
-
謝っても許さない
-
良いぞ、だがその代わりいいものを書け