とある吸血鬼と一方通行   作:reima1341

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遅くなり申し訳ございません!!
失踪されたと思われる方も少なくないと思います。
どうしても年末年始は忙しくて編集作業が滞ってしまいました。
本当に申し訳ありませんでした。

今回は長編になります。まぁ、本章のクライマックスというやつです。
沙理沢たちの元へ入った一方通行はどうなってしまうのか。
科学と妖怪が交差するとき、物語は始まる。

さぁ、本編スタートです!!


第十九話 守るものがある

一方通行「俺達は家族なンだろォが。・・・なら俺に任せろ。」コツコツ

 

一方通行はグループを裏切った。フランを奪ったハズの敵に協力者を売ってまで味方についた。

 

一方通行「あァ・・・そォだ。今回、アリスシステムを売りつけるクライアントの名前を教えてくれ。」

 

沙理沢「どうしてそんなことを聞くの?」

 

一方通行「単に興味が湧いただけだ。家族なら隠し事はナシにしよォぜ。」

 

沙理沢「パープル社、それが今回のクライアントの名よ。」

 

一方通行「そォか、ありがとよ。」コツコツ

 

一方通行は杖を突いてビルの外へ向かった。

 

ガラン「意外とこちらに協力的ですね。あの子供を奪ったことは知っているのか疑わしいくらいに・・・」

 

沙理沢「もしかしたら本当に知らないのかもしれないわね。最終信号が攫われたことを知った一方通行は激昴してたそうよ。ましてあの子は妹達より大事な存在みたいだし・・・・。知ってたらすぐに殺しにくるわよ。」

 

ガラン「しかし上手いこと利用できましたね。妹達を守る肉の壁を作る・・・よくこんな嘘を信じましたよね。それに何故あの子供のことを伏せているのですか?」

 

沙理沢「できるだけ信用してもらうためよ。そうすれば一方通行を扱いやすいでしょ。」

 

一方通行(チッ・・・・やはり嘘だったか。)コツコツ

 

一方通行は沙理沢の部屋に盗聴器を仕掛け、彼女らの会話を聞いていた。

 

一方通行(ヤツらのことは信用してなかったがあのガキ・・・フランがここにいることはわかった。後はうまく謙ってあのガキの居場所を割り出すか・・・・・・)

 

「ん?なんだ?」カチッ

 

一方通行(!マズイ、気づかれたか・・・!)

 

「どうしたの?ガラン。」

 

「いえ、何も・・・ただのゴミでした。」バキッ

 

ジィィィィィィィィィィィィィ・・・・・・

 

一方通行(・・・・クソッタレ、盗聴器が壊されちまったか。しかし何故アイツは、このことを沙理沢に伝えなかった?・・・まぁいい。)カパッ

 

一方通行は携帯電話を取り出すと連絡先のリストを開き、電話をかけた。

 

プルルルル・・・・プルルルル・・・・ガチャッ!

 

「裏切りは俺の専売特許のハズだが?」

 

一方通行「だが、そォしたおかげでここに入り込むことができた。それにヤツらのクライアントの名前を突き止めた。」

 

「・・・・・誰だ?」

 

一方通行「個人じゃない、企業だ。パープル社とか言ってた。」

 

「パープル社だと・・・!?」

 

一方通行「知ってるのか?」

 

「表向きは世界最先端の技術を開発、生産、販売を行う会社だが、裏ではその技術を利用した武器や生物兵器を生産して売ってるような奴らだ。教えろ・・・一体沙理沢たちは何を売ろうとしてる?」

 

一方通行「『アリスシステム』。心理系能力者のガキをシステムに組み込み、相手の意識に介入し、精神や感覚を操作できるよォになるらしい。沙理沢は学園都市を裏切り、これを作って売るつもりだ。」

 

「金に目がくらんだってやつか・・・・」

 

一方通行「パープル社についてはまだ上に報告するな。」

 

「何故だ?」

 

一方通行「俺がスパイしてるということがバレた。下手すりゃヤツらはアリスシステムを使って学園都市を操り、テロを起こすだろう。」

 

「わかった、あの子供は?」

 

一方通行「機をうかがって取り戻す。後、ヤツらからアリスの父親の排除を命じられた。」

 

「アリスの父親だと?学園都市の外にいるハズじゃ・・・!」

 

一方通行「非合法な手を使って入ってきたンだろ。大体想像がつく。」

 

「わかった、バックアップは任せろ。」

 

一方通行「土御門、物資搬入路を抑えるのを忘れンなよ。・・・・・そろそろ外に出る。」

 

「気をつけろよ、あの子を人質にとられたらお前は動けない。」

 

一方通行「わかった、切るぞ。」プツッ

 

一方通行は廃ビルの外へ出てアリスの父親の元へ向かった。

 

一方通行「オイ、こンな所でナニしてやがる。殺されてェのか?」

 

アリス父「ッ!!誰だ君は!?」カチャッ

 

アリスの父親は拳銃を構え、一方通行へその銃口を向ける。

 

一方通行「拳銃か・・・それはどこで手に入れた?」

 

アリス父「は、ははっ、これか?こんなの非合法な方法で手に入れたに決まってるだろ。アリスを取り戻すためならこのぐらいやるさ。」

 

一方通行「アリスを取り戻すだァ?沙理沢のヤツはオマエがアリスを捨てたって言ってたぞ。」

 

アリス父「私が娘を捨てるわけがないだろう!!あの子はやつらに奪われたんだ!あの子たちの病気が治るかもしれないってな!!」

 

一方通行「病気?あの子たち?」

 

アリス父「アリスの母親もアリスと同じ病気を患っていてな、遺伝的な病気だ。次第に筋肉が動かなくなっていき、終いには横隔膜すらも麻痺して死んでしまうんだ。」

 

一方通行「そこで学園都市側からその病気が治るかもしれねェから研究材料として寄こせと。」

 

アリス父「その通りだ。しかし、やつらが欲しがったのはアリスの方だった。アリスの方が体力があるからとのことだった。・・・だが、本当の目的は違った。」

 

一方通行「能力・・・か。」

 

アリス父「そう、アリスには生まれつき能力があった。だからやつらはそれを利用して何かをするためにあえてアリスを選んだんだろ。」

 

一方通行「沙理沢たちはアリスをシステムに組み込み、パープル社に売り飛ばすつもりだ。」

 

アリス父「パープル社だと!?」

 

一方通行「知ってるのか?」

 

アリス父「私もパープル社の社員だった。最も広報課の下っ端だったがね。」

 

一方通行「・・・・・・・・・・」

 

アリス父「その頃の私は若くてね、真実というものに取りつかれてしまい、上層部のデータベースにハッキングして情報を仕入れた。知ってると思うがパープル社は表向、健全な技術開発会社だが裏向きは兵器等危険なものを作っている会社だ。当然このことがバレてクビになった。」

 

一方通行「クビで済んでよかったな。普通なら口封じで殺されてたぞ。今回だって同じだ、すぐに殺されるぞ。娘ってのは無謀なことまでして救いたいものなのかァ?」

 

アリス父「当たり前だろ!!どんなに離れていようと、二度と会えなかろうと、私達は家族なんだ!!!」

 

アリス父は再び声を荒げたがすぐに激情を抑え込み、拳銃に手をかける。

 

アリス父「もういいかね?事情は話した。邪魔するというのなら君が子供でも撃つ。」カチャッ

 

アリスの父親は一方通行に再び銃口を向ける。しかし、その手は震えていた。

膠着状態が続いていると廃ビルの中から自動小銃を持った部隊が多数出てきた。

 

一方通行(チッ・・・俺ごと殲滅する気か!!)

 

兵士たちは銃を構えると一方通行達に発砲した。

 

ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!

 

アリス父「ヒィッ!!ヒィィィィィィィィ!!」ダダダ

 

一方通行「オイ待てェ!!・・・・・チィッ!」ピッ キュイイイイイイイン!!

 

一方通行はスイッチを入れ、敵の前に出て行った。

そして弾丸を全て反射し、兵士を一人残らず始末する。

 

一方通行「・・・余計な手間かけさせやがって。あのクソ親父を見失っちまったじゃねェか。」コツコツ

 

一方通行は沙理沢とアリス父、そして黄泉川の『家族』という言葉を思い出した。

 

沙理沢(あなたは私達の家族なのよ。)

 

アリス父(当たり前だろ!!どんなに離れていようと、二度と会えなかろうと、私達は家族なんだ!!!)

 

黄泉川(この子は私の大切な娘・・・家族じゃんよ。)

 

一方通行「チッ・・・家族かよ・・・・・。」

 

一方通行には家族と呼べる人間はいない。血縁関係上、親と呼べる人間はこの世界のどこかにいるのかもしれない。しかし、親と呼ばれるはずの人間はとうの昔に一方通行を捨てている。もう赤の他人である。

しかし、一方通行は幻想郷に飛ばされ、短期間ながらも紅魔館の者たちと過ごし、どこか居心地の良さを感じていた。学園都市にいたころは最強の能力と最高の頭脳を持っている限り、食べていくのには困らなかったし、実験にも素直に参加していたし、もともと一人の方が好きだった。

だが、そんな彼にも最近人といてよかったなと思えることがあったのだ。

 

「こうしてみんなでご飯食べていると、なんだかみんな家族も同然だとおもうの!」

 

「ハァ?いきなりナニ言ってンだオマエは。ついに脳がイかれたかァ?」

 

「なんなの!?その態度~!!」ムスッ

 

「食うかしゃべるか死ぬかどれかにしろォ。さっきからオマエの口から飛ンできたもンが服や飯にかかってンだ。」

 

「そこでさらに追い打ちかける!?普通!!」

 

「まぁまぁ、それにしてもお二人は本当に仲がよろしいですねぇ。」フフ

 

「オマエは目が腐ってンのか?美鈴。」

 

「こんな面白い光景が見られるなら腐ってたって本望のはずよ。ねぇ美鈴?」

 

「そうですとも。」

 

「ガキのくせして酒なンぞかっ喰らいやがって・・・・。」

 

「夜なのだからいいじゃない。それに私は500歳よ、子供扱いしないでほしいわね。今日は固いこと言いっこ無しでいきましょう。」ゴクゴク

 

「・・・つーかレミリアのヤツ、飲みすぎじゃねェのかァ・・・・・・?」

 

レミリアは珍しく羽目を外している。その証拠に大量のワインを飲み、彼女の頬は紅潮し誰が見ても酔っている。

 

「ねぇねぇねぇねぇ!フラン達は家族も同然だよね??」

 

「必死こいて味方を作ろォとしてンじゃねェよ・・・・。」

 

フランは食卓から立ち上がり、咲夜へ詰め寄る。

 

「そうですわね・・・。家族というものをどう定義するかにもよりますけど、そういっても間違いないかもしれないですわね。」

 

「わっは~い!!!!やっぱり!?やっぱりそうだよね!!」ピョーン

 

「いちいちガキの戯言に付き合わなくていいンだぞ、咲夜。」

 

「あなたは黙ってて!!」プンスカ!

 

フランは数の力を利用して一方通行に対して強気な姿勢を見せるが、それは彼を怒らせるだけだ。

 

「こンの・・・クソガキィ・・・・・・!」ゴゴゴ

 

「も、もしフラン達が家族だったら、どんな家族構成になるのかな??」アタフタ

 

フランは一方通行の機嫌が悪くなっているのを察し、慌てて話題を変えてみる。

そしてフランの問いかけに一番早く反応したのはパチュリーだった。

 

「そうね・・・・まず私が一番上の姉だとして、レミィは次女。」

 

「何でよ!?私が当主なのだから私が一番上のハズよ!!」ガタッ!

 

「そして、美鈴がお父さんで、咲夜がお母さん。」

 

「ちょっと!無視しないでくれるかしら!!」

 

「三女が小悪魔。」

 

「わ、わたしですか?」

 

「不満かしら?」

 

「いえ、そんなことはありますん!むしろ家族としてみていただけているなんて・・・・・。」

 

小悪魔は心から嬉しそうな顔をする。その一方、レミリアは羽を閉じていじけている。

 

「そして小悪魔の次はフランで、一番末っ子の問題児が一方通行。」

 

「いぇーい!!」ガタッ!!

 

フランは一方通行より上の地位を確保できたことに全身で惜しみなく喜びを表現する。

 

「俺がそのガキより下だと?」

 

「あら、妥当な順番じゃない。」フフ

 

レミリアは自分の立場がパチュリーより下だったことへの腹いせに一方通行を煽る。

 

「ねぇ~」

 

「ねぇ~」

 

そして吸血鬼姉妹は顔を見合わせた後、ドヤ顔で一方通行を見下ろす。

 

「いい度胸してンじゃねェかオマエラ・・・・あァ?」ゴゴゴゴゴ・・・

 

一方通行の睨みにひるむことなくフランは続ける。

 

「何か悩みがあるなら、いつでもお姉さんに打ち明けてくれていいんだよ?」フフン

 

「ふざけてンじゃねェぞこのクソガキがァ・・・・。」

 

「このお姉さんの胸に、どーんって飛び込んできなさい!」バッ!

 

フランは両手を大きく広げ、薄い胸を精一杯張ってみる。

 

「オマエの貧弱な胸なンかに飛び込ンでいったら、肋骨全部砕けンぞ。」

 

「どんだけの勢いで飛び込むつもりなの!?」

 

フランは驚愕したような表情を作り、一方通行からじりじりと離れていく。

 

「ハァ・・・・。なンだよこりゃァ、どンなままごとだよ・・・・・・バカバカしい。」

 

「えぇ~、つれなぁ~い。」

 

フランは食卓に向きなおろうとする一方通行の背中に愚痴を吐きかける。

 

「ままごとでいいじゃないの。」

 

急にレミリアが理性を取り戻したかのように大人げたセリフを吐く。

 

「バカバカしくたって、誰かに迷惑かけてるわけじゃないし・・・・・。」

 

「俺の精神的平穏には迷惑をかけられてる。」

 

一方通行は相変わらずふてぶてしい態度をとるが構わずレミリアは続ける。

 

「例え一瞬でも、その時に光り輝くような思い出が作れればそれだけで人は生きていけたりするわよ。」

 

「あァ?」

 

「家族っていう定義は人によってそれぞれ異なるだろうけど、そこに居る人達が家族って認めればそれはもう家族なのよ。」

 

レミリアはさらに顔をほころばせる。

 

「そして私は一緒に食事して、一緒に寝起きしているあなた達をもう家族って認めてる。」

 

「・・・・・・言ってろ。」

 

「時にはうっとおしかったり、時には邪魔くさかったりするかもしれないけど、ここはいつでも帰ってきていい場所なのよ。この先何があるかわからないけどそれだけは忘れないでいてちょうだいね。・・・・一方通行。」

 

「・・・・・あァ、そォかよ。」

 

「・・・・なんてね、お酒が入ったせいで饒舌になっちゃったわ。フフフフフフ・・・・・・。」

 

「はンッ・・・・・。」

 

すると一方通行の横で大人しくしていたフランが一方通行の腕に小さな手を置く。

 

「あのね、あのね、あくせられーた!」

 

そして控えめに彼の服の袖を引っ張る。

 

「・・・・・なンだァ?」

 

「フランもあくせられーたのことを家族だと思ってる。家族っていうのは一緒にいたいことの言い訳なのかもしれないけど・・・それでもフランはあなたと一緒にいたいし、離れ離れになったとしてもあなたが来てくれるのをずっと待ってる。それだけは忘れないでほしいな。」

 

フランはレミリアと同じようなことを言いながら、本心を一方通行へ伝える。

 

「・・・あァ・・・そォかよ・・・・・・・・・。」

 

一方通行は先ほどのレミリアへの返答とは違い、その声色に棘が無くなっていた。

フランのその言葉は誰よりも一方通行の心に響く。

 

「うん!そうなんだよ!」エヘヘ

 

プルルルル・・・・プルルルル・・・・

 

唐突に鳴り響いたその音によって一方通行の意識は現実へと引き戻される。

 

一方通行(なンだァ・・・?土御門か。)ピッ

 

「一方通行!とんでもないことになった!!」

 

一方通行「どォした?今忙しいンだが。」ダダダ

 

「もうすぐ、そこが爆撃される。」

 

一方通行「ンだとォ!?ここの制圧は俺らの仕事だろ。・・・まさか土御門ォテメェ、クライアントの名前を・・・!」ダダダ

 

「言われた通りまだ話していない。学園都市はおそらくそこまで突き止めたんだろう。奴ら、万が一にも『アリスアバター』が外部へ漏れないようにするためにつぶす気だろうな。」

 

一方通行「クソがァ、ここにはあのガキもいるンだぞ。」ダダダ

 

「あ~、もしもし?いいニュースと悪いニュースがありますが・・・どっちから聞きたいですか?」

 

一方通行「テメェ海原ァ!いきなり回線に割り込ンできやがってェ!」ダダダ

 

「いいニュースってのから聞こうか。」

 

「この廃ビルの爆撃予定時刻が遅れることになりました。」

 

一方通行「予定時刻を遅らせるだァ?そンなことしてヤツらにメリットがあンのか?」ダダダ

 

「その理由が悪いニュースです。その廃ビルに第三位、御坂美琴嬢が侵入しました。」

 

「なぜ超電磁砲が動く?情報が漏れたのか?まさか、どこかから雇われたとか・・・・・」

 

「御坂さんに限ってそのようなことはないでしょう。」

 

一方通行「どっちでもいい。アリスを助けに来たンなら好きにさせておく。だが、あのガキの害になるってンなら・・・・容赦はしねェ。」タッタッタッ

 

「おい!一方通k ブツッ!

 

一方通行(なンとなくだが爆撃を遅らせた理由が分かった。学園都市は超電磁砲を失いたくねェンだろォ。何故なら、外部からの敵が攻めてきているこの状況で、LEVEL5の第三位を失うことは大きな痛手になる。だが、この状況はむしろ好都合だ。あのガキを取り戻し、アリスとかいうガキも助ける。バッテリーはもォそンなにもたねェだろ。戦闘モードはあと60秒ってとこか。・・・・急がねェと。)ダダダ

 

一方通行はアリスの父親が入っていったと思われる中央制御室へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

黒子「お姉様、無事に侵入できましたわね。」

 

美琴「えぇ、あんたの能力ってこういう時に助かるわ。」

 

黒子「それはそれはどういたしましてですの。・・・一人で行くなんておっしゃられた時などこの黒子、肝を冷やしましたわ。」

 

美琴「危ない現場についていかせるわけにはいかないでしょ?」

 

美琴と黒子は廃ビルの地下に侵入していた。初春のバックアップもあり、比較的早くこのビルを見つけ出すことができた。

 

美琴「黒子、わかってるわね。」

 

黒子「えぇ、お姉様の電撃でここの機材を破壊しながら進み、フランさんを助け出す。でしたわね?」

 

美琴「そうよ、だけど初春によるとここのやつらは他にも何かしようとしてるらしいわ。敵の迎撃もあるかもしれない。万が一、あたしが足手まといになるようなことがあればフランを連れてテレポートで逃げなさい。」

 

黒子「でも、お姉様は・・・?」

 

美琴「あたしは大丈夫。仮にも学園都市第三位なんだから!」

 

黒子「・・・・わかりました。」

 

美琴と黒子は地下研究所らしき部屋に到着した。そこには女が一人、男が一人いた。

そして部屋の中央に巨大な試験管のようなガラス容器があった。そしてその中には・・・・

 

黒子「女の子・・・?」

 

美琴「フラン・・・なの?」

 

美琴たちは試験管の中にいる少女がフランであるかどうか確かめようと接近する。

 

ガチャン!!

 

美琴「しまっ・・!!」

 

沙理沢「誰!?」クルッ

 

美琴は机の上にあったビーカーをうっかり落としてしまった。

そしてバレてしまったことで隠れても無駄だということを悟った美琴たちは堂々と沙理沢の前に姿を現した。

 

沙理沢「あなた達・・・誰?」

 

美琴「学園都市の超能力者第三位、超電磁砲。御坂美琴よ。」

 

黒子「白井黒子、ジャッジメントですの!!」

 

男「こんなところにガキがなんの用だ!?」

 

沙理沢「第三位はともかく風紀委員・・・?まさか、計画がバレて・・・!」

 

黒子「計画?なんのことですの?私達はフランさんを取り戻しに来ただけですわ。さあ、返していただきましょうか!!」

 

沙理沢(計画はバレていない・・・・確か、木原の部隊があの子を攫うとき第三位と交戦したって・・・

つまり、風紀委員や警備員は動いていない。・・・・単独ね。)

 

美琴「一つ聞くわ、この試験管に浮かんでる子はフランなの?」

 

沙理沢「違うわ、その子はアリス。親に捨てられた子よ。あの赤い服着た子は上にいるわ。」

 

美琴「そのアリスって子になにをしているの?」

 

沙理沢「答える義理はないのだけれど・・・・・」

 

美琴「いいから答えなさい!!」

 

美琴は心中穏やかではなかった。何故なら試験管に浮かんでいる少女は彼女のクローン、妹達を思い出し、さらに絶対能力進化計画を思い出させるからだ。

 

沙理沢「いいわ、答えてあげる。この子には生まれつき能力があってね。」スッ

 

沙理沢は試験管を愛しむように撫でる。

 

沙理沢「心理操作系の能力、それを能力者本人をシステムに組み込むことによって利用する。」

 

黒子「何故そんなことをするんですの?」

 

沙理沢「この子は親に捨てられた価値のない子よ。そんな子に新しい価値を与える、それが私の使命。」

 

美琴「価値のない子ですって・・・!?」

 

沙理沢「そうよ、価値がないと判断されたから親に捨てられた。違うことはないでしょ?」

 

黒子「人間に価値の無い者などいませんわ!ましてそれを決めつける権利も人間にはないはずです!!」

 

沙理沢「子供に言っても仕方ないでしょうね・・・・。」ピッ

 

そう言って沙理沢はポケットから取り出したスイッチを押した。

 

美琴「何をしたの!?」

 

沙理沢「傭兵部隊を呼び寄せたのよ。あなたには勝てなくとも時間稼ぎにはなるでしょ?」

 

黒子「時間稼ぎが何になるというんですの!?」

 

沙理沢はその顔に笑みを浮かべると黒子に答えた。

 

沙理沢「アリスアバターの能力によってあなた達の心を書き換える。それができなくてもこちらには第三位ですら敵わない超能力者がいるからね。」

 

美琴「だれなの?そいつは・・・?」

 

美琴はその超能力者が誰か想像がついてしまった。が、フランの話を聞いて信じたくなかった。

 

沙理沢「学園都市最強の能力者、一方通行(アクセラレータ)。」

 

その名前を聞いて美琴たちの顔はみるみるうちに青ざめていく。

 

美琴「そんな!?だってアイツは・・・!」

 

沙理沢「驚いたかしら?彼は私たちの『家族』になったのよ。」

 

美琴は一方通行に心底失望した。フランを奪った連中の味方に付き、彼女の心からの信頼を裏切ったのだ。

やはり一方通行はどうしようもない悪党だった、と。

一方、黒子は冷静だった。もしかしたら一方通行はフランを内部から救い出すためにスパイ活動をしているのではないかと考えていた。先ほど盗聴した会話から黒子はそうとしか考えられなかった。

 

黒子「お姉様、一方通行はもしかすると・・・「黙ってなさい!!」

 

地下研究室に美琴の怒声が響く。

 

美琴「アンタたちも、一方通行も、みんな倒してフランとアリスを救い出す!!」バチバチ

 

黒子「お姉様、少し冷静に・・・・・・」

 

沙理沢「やれるものならやってみなさい。アリスの価値を奪うなら私は許さない。」

 

もはや黒子の話など誰も聞いていない。そして研究室内に自動小銃を持った兵士たちが突入してきた。

 

沙理沢「やってしまいなさい。」

 

傭兵「ハッ!」カチャッ

 

沙理沢が命令すると傭兵部隊は美琴たちへ銃口を向けた。

 

黒子「考えるのは後ですわね・・・!」チャキッ

 

美琴「早く切り抜けてフランのところへ・・・!」バチバチッ

 

美琴たちの戦いは始まった。

 

 

 

 

 

 

 

アリス父「はっ・・・はは・・・!案外簡単に侵入できたじゃないか・・・!」ハァハァ

 

アリスの父親は中央制御室へとつながる廊下を歩いていた。もうすぐ娘を奪った者たちに会える。やっと娘を救い出すことができる。ようやく非合法な手段を用いてでも成し遂げたかったことができる。

アリスの父親は恐怖に支配されながらも、ようやく娘の元へたどり着けることに希望を感じていた。

しかし彼は気づいていなかった。ここまでおびき寄せられていたことに・・・・・・

 

ガシャン!ウィィィィィィィィン・・・・・・・

 

アリス父「沙理沢ぁ!娘を返してもらいに来た!!アリスはどこだぁ!!!!」

 

「アリスはここにはいないよ。」

 

アリス父「誰だ!?」

 

暗闇の中から男の声が聞こえた。アリスの父親は声のした方角に振り向き、拳銃を向ける。

 

ガシャン!!!!

 

唐突に中央制御室の照明がつく。

 

ガラン「あなたがアリスの父親かね?」

 

アリス父「そうだ!アリスを返せ!!」

 

ガラン「そうはいかん。彼女は私達の研究素材であり、商品であるのだから。」

 

アリス父「ふざけるな!アリスは貴様らのモルモットなどではない!!私の・・・私たちの家族だ!!」

 

ガラン「家族だと?ハハハハハハハハハハ!!笑わせる。」ガシャン

 

ガランはその身に着用しているパワードスーツの音をたてながらアリス父に歩み寄る。

 

アリス父「う、動くな!!!」ジャキッ

 

アリスの父親とガランの距離は段々と近づいていく。

 

ガラン「どうした?撃たないのか?」

 

アリス父「うるさい!」ガタガタ

 

ガラン「私達を撃つために手に入れたものだろう?」

 

アリス父「うるさい!うるさい!!」ガタガタ

 

ガラン「敵が目の前にいるというのに・・・・ほら、撃てよ・・・。」ピコッ キュイイイイイイイイイイイイイイイイイン

 

アリス父「な、何をした!?」

 

ガラン「アリスシステムを起動させたのだ。組み込む前にもこれくらいなら使える。最も、アリス本体にダメージを与えてしまうから多用はできんがな。」

 

アリス父「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

拳銃の銃口にガランの左胸が当たる。

 

ガラン「・・・残念、時間切れだ。」

 

ドスッ!!という鈍い音とともにアリスの父親は床に崩れ落ちた。

腹部からは鮮血が流れ出ている。

 

ガラン「残念だったな。お前ではアリスを取り戻すことはできなかったようだ。」

 

アリス父「チクショウ・・・・チクショウ・・・・!」ポタッ・・・ポタッ・・・

 

ガランはアリスの父親にとどめを刺そうと横たわる彼に再び近づく。が、ガランは足を止めた。

 

ガシャン!ウィィィィィィィィン・・・・・・・

 

中央制御室の扉を向こうからカツ・・・カツ・・・と音がする。そして向こう側の暗闇の中から一人の少年が現れた。白い髪、白い顔、紅い目。

 

アリス父「き・・・君は・・・!」ググ…

 

「っつたくよォ、なンてザマだよ。このクソ親父。」カツ・・・カツ・・・

 

ガラン「一方通行じゃないですか。今、侵入者を排除するところです。お手数ですが沙理沢様たちも何者かと交戦中です。援護に行っていただけますか?」

 

ガランは先ほどアリスの父親にとった態度とは打って変わった様子で一方通行に話しかける。

 

一方通行「下手な芝居はよせ。全部知ってンだろ。」

 

ガラン「おやおや、せっかく盗聴器の件は目をつむっておいたというのに。恩を仇で返すとはまさにこのことだな。」

 

一方通行「チッ・・・・・」スタスタ

 

一方通行はアリスの父親に近寄ると能力を使い、破れた動脈をつないでいく。

 

アリス父「なんてことだ・・・・・。せっかく学園都市に入れたというのに・・・せっかくアリスを・・・がはっ!・・・・返すことができる・・・というのに・・・・・・。」

 

一方通行「アリスを返すだァ?オマエは父親だろォが。」

 

アリス父「私は父親失格だ・・・・。妻やアリスの病気が治るという一筋の希望にすがりたくなり、愚かにも娘を奪われてしまった・・・・・。学園都市からこの話が来た時・・・妻は反対した・・・。しかし私は妻に内緒で引き渡してしまった・・・・・・・。それから妻とは離婚し、私は・・・それからアリスを取り戻して妻に返すことだけを考えていた・・・・!」

 

一方通行(クソッ・・・!切れた血管が多い。血が止まンねェ・・・!!)

 

アリス父「だが、このザマだ・・・。闇に片足を突っ込み、用意できた学園都市への入口も、非合法な手段を用いて手に入れたこの拳銃も・・・・結局・・・一発も撃てなかった・・・。目の前に敵がいるというのに・・・・!!」

 

アリスの父親は心底悔しそうな顔を浮かべた。自分にはどうすることもできない。無力さに打ちひしがれたような表情だった。

 

一方通行「・・・・・・・・それが正しい人間ってもンだ。」カチャッ

 

一方通行は床に落ちていたアリスの父親の拳銃を拾い上げる。

 

アリス父「一方通行君・・・何を・・・・・?」

 

一方通行「この拳銃は俺が撃つ。・・・・・・・こっからは闇同士の戦いだ。」スッ

 

一方通行はジーンズのポケットに拳銃を仕舞い、ガランに向き合う。

 

一方通行「特別大サービスだ。オマエは俺の能力で殺してやる。」ピッ キュイイイイイイイイイイン!!

 

ガラン「一方通行(アクセラレータ)。学園都市最強の能力者に力を使っていただけるとは光栄だな。だが、ここに来たときからお前はボロボロじゃないか?・・・・そんな状態で私に敵うとでも?」

 

一方通行「オマエごときの三下ァ、すぐに片付けられる。これぐらいのハンデどうってことはねェ。」

 

ガラン「まぁ確かにお前の能力なら満身創痍だろうとある程度戦えるだろう。いや、普通の人間ならばすぐにころせるだろうな。だが私には・・・・武道の心得がある!!」ダン!!

 

ガランはそう言い放ち、一方通行へ向け突進する。

そしてその拳が一方通行の顔面を捉える瞬間、

 

一方通行「へへェ!!」

 

ギュィィイン!!!!!

 

ガラン「ぐっ!!」ズザザザザザザ

 

一方通行へと加えられるハズだった力は全てガランへと跳ね返り、全てのダメージが彼に加えられた。

 

一方通行「オイオイ、オマエェ、俺の反射を忘れてンのかァ?今のオマエなンざ、俺に一発入れることすら出来ねェぜ。」

 

一方通行はポケットに手を突っ込み、ガランに言い放つ。

 

ガラン「今のでお前の脳のポートは取得できた。」ムクッ

 

一方通行「あァ?何言ってやがる。」

 

ダンッ!!!!!!

 

ガランは再び一方通行へ急接近する。

 

一方通行(バカなのかァ?コイツは・・・・・。木原は反射の膜を拳を引き戻すことによって無効化していたが常人にそンなことはできるはずがねェ。もう一度反射されるのがオチだ。・・・さァて、どォ料理してやろォか・・・・・・。)ニヤリ

 

ボゴォ!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美琴たちは傭兵部隊と戦闘を続けていた。

 

沙理沢「息が上がっているわよ。この数相手にいつまでもつかしら?」

 

美琴「くっ・・・・そんなことないわよ。」ハァハァ

 

黒子「・・・お姉様、能力の使用はできるだけ控えた方が良いかもしれませんわ。」

 

美琴「どうしてよ?」

 

黒子は研究室の中央にある装置を見つめていた。

 

沙理沢「あら、さすがは風紀委員といったところかしら。そう、アレはAIMジャマ―。能力者の演算をジャミングする機械よ。刑務所や統括理事会の建物とかで見るでしょ?」

 

黒子「でも私たちクラスの能力者はジャミングされていても能力は使えないこともなくってよ?」

 

沙理沢「それでも使わないほうがいいと思うわ。能力の暴走を引き起こすこともある。ましてや超電磁砲なんて暴走したらとんでもないことになるはずよ。」

 

美琴「その点は問題ないわ。簡単な演算でできる技を使えばいいだけ。」

 

虚勢ではない。美琴には演算を妨害されようと問題なく使える能力はある。不利な状況であろうと対応できる汎用性の高さ、それがLEVEL5の称号を与えられた能力者である。

 

沙理沢「その心意気に敬意を称して教えてあげる。私達が研究していたアリスの能力『アリスアバター』。もともとはヒューズ・カザキリのバックアップ。つまりミサカネットワークの予備用として用意された子だった。」

 

美琴(ヒューズ・カザキリ・・・・さっきの天使か・・・!ここでも妹達とつながるの!?)

 

沙理沢「アリスの新しい価値は『アリスアバター』の能力を応用した大規模な意識コントロールシステム。ネットワークを通じて、人間の意識情報を書き換える一種の洗脳システム。これさえ使えば、どんなに無名な候補者でも圧勝で大統領に当選することが可能となる。」

 

黒子「つまり・・・どういうことですの?」

 

沙理沢「さぁ、どういうことでしょうね?ここまでヒントを与えたのにわからないかしら?」ピッ

 

沙理沢がリモコンのスイッチを押すと研究室内に機械の起動音が鳴り響く。

 

美琴「どんな小細工をしても私たちに勝つことはできないわ!!」バチバチ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

一方通行「グハァァァァァァァァァア!!!!」ズザザザザザ

 

ガラン「ほぉ・・・その首の受信機を破壊するつもりだったが、とっさに守ったか。・・・勘の鋭い奴だ。」

 

一方通行(あの野郎ォ何をやった!?どうして反射が効いていない!どうして早く動ける!あの鎧だけでそンなことが出来ンのか!!『アリスシステム』はそンな装置なのか!?)

 

ガラン「計算してポートを割り出したと言ったろう。お前の反射を情報操作によって無効化している。・・・そのためにアリスシステムの出力を上げたのだ。」

 

一方通行「!テメェ!!ンなことすりゃァ、アリスの命は・・・!」

 

ガラン「あぁ、生命維持に支障が出るだろうな。だが、問題ない。すぐに終わらせる。」

 

一方通行「クッ・・・!!」

 

ガラン「理解できたか?己の敗北を。」ズヒュゥゥゥゥゥゥゥン!!

 

一方通行「なっ!!」サッ

 

ドガァ!!!!!

 

一方通行「ガハァッ!!!!!!」ドカッ

 

ガラン「また受信機を守ったか。・・・もういい、ならそのままのお前をなぶり殺しにするだけだ。」

 

一方通行「ッッ!!このォ!!!!」ムクッ

 

ガラン「ほぅ・・・立ち上がってくるか。・・・・ならもっとやる気を出させてやろう。」ピッ

 

ガランは取り出したリモコンのスイッチを押す。すると中央制御室の壁が開き、強化ガラスで覆われた十字架が出てきた。そしてその中央に縛り付けられているのは・・・・・・

 

一方通行「フランッ!!!!!」ダッ!!

 

ガラン「おおっと、行かせないよ。」ドスッ!

 

一方通行「グッ・・・・!!」

 

一方通行(なンで大人しくやられている?フランならそこらのゴミ共につかまる程弱くはねェ。それに吸血鬼なンだァ、傷だってすぐに治る。・・・・まさか、能力を封じられてンのか!!)

 

一方通行はフランの姿をよく凝視した。彼の視線がフランの顔に行くと再び一方通行は驚愕した。

 

フラン「うっ・・・ぁ・・・・・」ポタッポタッ・・・

 

フランを縛り付けているものは有刺鉄線でフランがもがくたびにその白い肌を傷つけ、常に彼女に苦痛を与えている。しかしそれだけで彼女の能力は封じられることはない。何故なら彼女の「ありとあらゆるものを破壊する程度の能力」は彼女が視認したあらゆるものを破壊する。自身の身体を縛り付けるものなど容易く破壊できるハズだ。だが、今の彼女にはそれができない。

 

一方通行「テメェ・・・フランの目を・・・・!」ギリッ

 

ガラン「そうだ。彼女の能力は少し厄介な物だったのでな。目を潰せば能力が発動できないことがわかったから、拘束する際眼球に杭を打ち込ませてもらった。」

 

フラン「・・・あ・・・あく・・せられーた・・・?」ギギ

 

一方通行「ッ!フラン!!」

 

フラン「何・・で?あなた・・・には来てほしくなか・・たのに・・・・・・。」

 

一方通行は先ほど思い出していたフランたちとの会話を再び思い出した。

 

一方通行「・・・家族を取り戻すのに理由なンかいるか?」

 

フラン「!あくせられーた・・・・」グスッ

 

一方通行「ここまでよく耐えた・・・・。オマエは俺が必ず救い出す。」

 

フランは意識から手を放した。そして一方通行は傷だらけの身体を鼓舞して完全に立ち上がる。

 

ガラン「このガキがお前の家族か?・・・ふん、笑わせる。絶対能力進化計画で一万人以上殺戮した人間がなにを夢に浸っているのかな?いまさらたった一人救っただけでヒーロー気取りか?・・・・・お前は一生泥の中だ。」

 

ガランの言葉にトラウマを掘り返され、一方通行は動揺するもすぐに落ち着きを取り戻す。

 

一方通行(ヤツの言う通り俺は闇の世界の人間だ。例え一生泥の中でも構わねェ。だがなァ、俺が求めてンのはそこじゃねェ。さっさとコイツを殺して、フランを救い出す。地獄に落ちンのは俺とオマエだけでいい。そこにあのガキを巻き込むンじゃねェ・・・・!)

 

一方通行は鬼に教わった格闘術の構えをとる。

 

一方通行(バッテリーは残り少ねェ。木原との戦闘で負った怪我も深い。それにヤツに反射が聞かねェ。だがァ、不利な状況でもやるしかねェ!!)

 

ガラン「さぁ第二ラウンドといこうか。」ガチャ

 

一方通行「ガランさンよォ、あのガキを人質にとるつもりはねェのかァ?そォすれば俺を簡単に殺すことができるはずだろォ?」

 

ガラン「確かにそういう手もあった。だが、どれだけ傷つけてもすぐに再生する能力がある以上、人質の価値はない。それに・・・・・・・」

 

ガランは一方通行に急接近する。

 

一方通行「ッッ!!」ザッ!

 

ガラン「アリスシステムの力を試してみたいしなぁ!!」ドゴォ!

 

ガランのアッパーが一方通行の鳩尾付近に直撃する。

 

一方通行「ガアァァァァァ!!!!」メキィ!

 

一方通行の服を突き破り肋骨が姿を現す。今の攻撃で折れていた肋骨が圧迫され外部に突出してしまったのだ。当然彼の体には激痛が走る。

 

フラン「・・あくせられーた!!!!」

 

一方通行「問題ねェよ!心配なンかすンじゃねェ!!」

 

ガラン「ふん、勇ましいことだな。なら、これならどうかな?」ピコッ ヒュイィィィィィン

 

一方通行「・・・?」

 

ガラン「アリスシステムの出力をさらに上げさせてもらった。ここまで上げればアリスの生命維持に関わるが・・・・・・・すぐに終わらせるから問題ない。」

 

一方通行「テンメェ・・・・!!」ギリィッ

 

ダァァァァン!!!!ドゴォ!!!!

 

一方通行「ギッ・・・・がァッ・・・・!!!!」ドサッ

 

一方通行「・・・・くっ・・・・そ・・・・・・!」スッ

 

一方通行は壁にたたきつけられるが根性ですぐに立ち上がろうとする。

その時・・・・・・

 

ポタタッ・・・ポタポタポタッ・・・・・・・

 

一方通行(なンだ?この音は??・・・そうか、アリスの父親の血が床に落ちる音か・・・・。あァ・・・あの音だと、出血多量で間違いなく死ぬなァ・・・・・。)

 

一方通行はアリスの父親の血液が落ちる音を聞き、そう考えた後アリスの父親を見る。

しかしアリスの父親からは音程の出血はしていない。

 

一方通行(?待て・・・なンで血の落ちる音がこンなに早いンだ?血液の粘度は水よりも高い。もっと音は低くなるハズ・・・・・・。それなのに・・・・何故・・・?)グググ

 

そう考えながら一方通行は立ち上がる。

 

ドゴォォォォォォォォォン!!!!!!!

 

一方通行「グッ!がァ!!!!」ズザザザザ!!

 

不覚だった。考え事をしている隙にまた重い一撃を喰らってしまった。

 

一方通行「ゲホッ!ゲホッ!!・・ハァ・・ハァ・・・・。」ビチャ!

 

ガラン「はっはっは、無様だな。学園都市最強がこのザマとはなぁ。」

 

その時、一方通行の頭の中で歯車が合うような音がした。体中に快感が走る。

 

一方通行「フッ・・・ヒヒッ・・・フヘヘヘヘ、エヒャヒャヒャヒャ!!ギャァァァァァハハハハハハハハッ!!!!!!」

 

ガラン「フッ・・・壊れたか。」

 

一方通行「ヘヘヘヘヘッ、本当に無様だぜ。この俺がオマエみたいなヤツにこンなにやられるとはなァ。」

 

一方通行はポケットに入れていた拳銃を取り出す。

 

ガラン「今更拳銃なんか取り出して何をしようとしてるんだ?私はお前が引き金を引くより速く動ける。」

 

一方通行「オマエェ・・・・俺の受信機を壊そうとしてたよなァ?・・・・なら、オマエの望み通りにしてやるよォ。」カチッ

 

一方通行は電極の電源を自ら落とした。

 

一方通行「グッ・・・がァ・・・・!!アァァァァァァァァァァァァァアアアア!!!!!!」グググググ

 

ガラン「自ら受信機の電源を切り、覚悟を決めたか。」ピコッ ヒュゥゥゥゥゥゥゥン

 

ガランはアリスシステムを停止させた。

 

一方通行「なめてンじゃねェぞォ・・・!」

 

ガラン「あそこにいるガキはお前と同じような機械をつけているが、あのガキは我々がそれをとろうとした時、必死に抵抗した。そこであれはお前の生命線だとわかった。要するにあれは脳波を共有する機械だろう。・・・・ミサカネットワークのようにな。だが、それがなければお前は地面をはいずる芋虫にすぎん。我々の盾になれない学園都市最強などに用はない。今、殺してやる。」スタスタ

 

ガランはナイフを取り出し、一方通行に接近する。

 

ガラン「安心しろ一突きで殺してやる。」スッ

 

そう言うとガランは倒れている一方通行に勢いよくナイフを突き刺す。

 

ギュィィィィン!!!!!!

 

ガランの腕がナイフとともに砕けた。

 

ガラン「ぐあぁぁぁぁぁぁ!?!?」ドサッ

 

ガランは激痛に床を転げまわる。そして彼の頭にある疑問が浮かぶ。

 

ガラン「なぜだ!?なぜ!?反射を使用できる!?なぜ計算能力を失ったお前が能力を使用できる!?一方通行ぁ!!!!」

 

ガランは学園都市の報告書から一方通行は脳を撃ち抜かれた後、姿を消したと知っていた。

だがその後、学園都市側から一方通行は発見した。県外の病院にて療養中とのことと報告を受けた。

8月31日、第一発見者とされる芳川桔梗の報告により、一方通行は前頭葉を撃ち抜かれているため、少なくとも言語能力と運動能力、そして計算能力に影響を及ぼしているとも報告を受けている。

現に運動能力に多大な障害を及ぼしている。なのになぜ言語能力と計算能力が生きている?

思い返せば一方通行は電極を切った後も喋っていた。

どんどん湧き上がる疑問にガランは混乱していく。そしてその疑問の答えはその謎を持つ一方通行自信がもたらしてくれることになる。

 

ピッ!キュィィィィィィィィィィィィィィィン!!

 

電極の起動音とともに一方通行が立ち上がった。

 

一方通行「なぜ?なぜかってェ?ヘヘハハァッ!!そンなの簡単だァ。俺は、言語能力も計算能力もォ・・・・失ってなンかいねェんだからよォ!!」

 

ガラン「そんなバカな!脳を撃ち抜かれたという情報はデマだったのか!?」

 

一方通行「デマじゃねェよ。確かに俺は8月31日、天井亜雄に脳を撃たれて死の淵を彷徨った。」

 

ガラン「なのになぜ言語能力と計算能力を失っていない!?」

 

一方通行「俺を治した医者が、この学園都市の科学力をも上回る技術で治してくれたンだ。もとは運動能力も戻ってたンだぜ?それは俺の自業自得で失っちまったが。」スタスタ

 

一方通行は右手を抑え、自分を見上げているガランに拳銃を向ける。

 

一方通行「あばよ三下ァ。コレはアリスとその父親の分だァ。そして、俺にケンカ売ったことを後悔してくたばれェ。」カチャッ

 

ズドォォォン!!!!

 

ポタッ・・・ポタッ・・・

 

一方通行「グッ・・・!!アァァァァァァアア!!!!!」グググ

 

一方通行は大腿を抑えながらうずくまり、苦痛の声を上げる。

手にしていた拳銃もどこかへ飛んで行ってしまった。

 

一方通行「・・・ッ!何を・・・・・?」

 

ガラン「拳銃だよ。君が持っていたものと同じ、ただの拳銃だ。」

 

一方通行(クッソ・・・・痛ってェ・・・!だが、幸い着弾したのは大腿だ。なンとか動けねェこともねェ。能力を使って立ち上がるのを補助すれば・・・!!)グググ

 

一方通行はいつものように能力を使おうと演算を始める。

 

ガラン「・・・・・・・・・だが、弾はちょっと特殊だがな。」

 

一方通行(演算が・・・できねェ・・・・。なぜだ?何をされた!?・・・・・まさか!!)ギリィ

 

ガラン「気づいたかな?そう、超小型のAIMジャマーだよ。刑務所などでよく使われている能力者の演算を妨害する装置・・・・。しかも今君に打ち込んだものは演算を完全にできなくするほど性能が良くてね。どうだ、演算ができないだろう?ただそれは対象の体内に直接打ち込まないと効果を発揮できないのが玉に瑕なのだ。だが打ち込んでしまえば・・・・私の勝ちだ。本当は使いたくなかったのだがな、こうなってしまった以上は仕方ない。」ピッ

 

ガション!ウィィィィィィィィィィィィィン・・・・・・

 

ガランは拳銃を投げ捨て、取り出したリモコンで扉を開けた。

すると入口の奥から学園都市でよく見る警備ロボットのようなものが出てきた。

だが、それは普通の警備ロボではなかった。

 

一方通行「対人専用軍用ロボか・・・・。」

 

ガラン「そうだ。絶対能力進化計画が始まる前、よく相手してただろう?能力が使える状態のお前なら壊すのは容易いだろうが、今のお前ならどうかな?」

 

一方通行「その能力使えない俺に、軍用ロボ百体は酷すぎやしねェか?」

 

ガラン「ほう、これを数えられるだけの計算能力が残っていたとは驚きだな。だが、いくら能力が使えないとはいえ学園都市第一位だからな、念には念をということだ。」

 

一方通行「そりゃァどォも。それにしても高みの見物たァ、いいご身分だな。」

 

ガラン「すぐにそんな言葉も吐けなくなる。・・・・行け!」ピッ

 

ヒュィィィィィィンという音を立てながら軍用ロボたちは一方通行へ進行していく。

 

一方通行(ヤベェ!もう打つ手がねェ!!このままだと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

対人戦闘ロボがチャージを終えたレーザービームを発射する。

そして無数の光線は一方通行の全身へと光の速さで穿たんとする。

 

一方通行(死ンじまう!!!!!!!!!!!!!)

 

一方通行は考える。ひたすら考える。演算ができない=能力が使えない。拳銃=はるか遠く。素手で戦う=アリスシステムを使われれば確実に負ける。このままだとフランは救えない。幻想郷に帰れない。

その瞬間、一方通行は万華鏡のように散らばった記憶の断片を瞬時に見ていた。

 

一方通行(走馬灯か・・・・・・・・・・)

 

走馬灯は己が死にそうになる時、今まで経験してきた記憶の中から死を回避するために見るものだとされている。現に一方通行は自身の死を回避するために考えている時に走馬灯を見ている。

記憶の万華鏡の世界の中、一方通行の意識はどんどん過去へとフラッシュバックしていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方通行(ここは・・・・・・・・公園?)

 

気が付くと俺はとある公園にいた。

自身の姿を見てみると、背中には黒いランドセルを背負い、杖を突かずとも立っていられる。

なのになぜか身体は自由に動かせない。過去の自分の身体に今の俺の魂だけ入り込んでる・・・・そんな感覚。そして過去の自分とリンクすることにより、色々思い出す。

俺にも昔は人間みてぇな名前があった。日本人らしい珍しくもなんともない名前だ。

確か・・・名字は二文字で、名前が三文字だったか?思い出せねェ。

目の前には俺をにらみつけている小学生。

あぁ・・・そうだ。確かケンカしてたんだったか?

目の前のヤツが俺を罵倒している。俺は何も言わずただ聞いているのみ。

その態度にムカついたのかそいつは殴りかかってきた。

 

「○○ ○○○!!!!!!!」ダッ!!

 

(ヤバい!!反射を切らなきゃ!!!!)

 

過去の俺の思念が流れ込んでくる。

だが、俺が反射を切るより早くソイツの拳が到達した。

 

ギュィィィィィン!!!!

 

ソイツはぶっ飛ばされた。

多分手は折れているだろう。俺は罪悪感の中、謝ろうとソイツに近寄ろうとした。

すると、コイツは顔を真っ青にして悲鳴に近いような声を上げ、俺から逃げて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方通行(ここは・・・・・・・・・)

 

次に気が付くと俺は繁華街にいた。思い出した、ここは俺が昔住んでいた地域の地下街だ。

 

「○○ ○○○君。君の力は脅威だ。悪いが拘束させてもらう。」

 

俺は声のした方に振り返る。

そこにはスーツ姿の男4人が立っていた。

俺はただ立っているだけで何もしていない。

 

「○時○○分、○○ ○○○を確保。」

 

男たちの手が俺に触れる。その瞬間俺の反射が働き、男たちが軽く吹き飛ばされる。

 

「くっ・・・!抵抗するな!!」グッ

 

男たちは一斉につかみかかってくる。

 

ギュィィィィィン!!!!

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

「う、腕がぁぁぁぁぁぁっぁぁ!!!!!」

 

俺は何もしていない。ただ反射を切ってなかっただけだ。

こいつらがつかみかかってきたからこうなった。自業自得だ。

俺はそのままほっといて帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

またここか・・・・・・・・

今度はなんだ?昨日と似たようなスーツ姿の男四人。

 

「○○ ○○○、お前は危険だ。可哀そうだがここでやらせてもらう。」カチャッ

 

男たちは各々のホルスターから拳銃を取り出す。

安全装置は外されている。どうやら本気で俺を殺るつもりらしい。

つーかこいつら何も学ばなかったのか?昨日俺に反射されてわかったはずだろ。

俺にそんなもん撃ったって効かないことぐらい。てか死んじまうぞ。

おまけに日本で拳銃所持しちゃダメだろ。明らかにこいつら警察じゃないし。

 

バン!!バンバン!!!!ズドン!!

 

あ~あ、撃っちゃった。でも殺すのは気が引けるし、操作して拳銃だけ破壊しとくか・・・・・・・

 

ギュィィィィィン!!!!

 

ドガァァァァン!!!!バラバラバラバラ・・・・・・・・

 

「な!?なんだ!!うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「じゅ、銃が・・・・!!」

 

「おじさん達、もう帰っていいかな?いい加減めんどくさくなっちゃった。」スタスタ

 

俺は手を痛めてうずくまっている男たちにそう言い放ち、家路についた。

まぁ、帰っても家族なんかいねぇけど・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は日差しが強いな・・・・・・・・・・。

まぁ、反射しているから俺にはほとんど関係ねぇけどな。

それにしても・・・・

 

ブゥゥゥゥン・・・・・・ パタパタパタパタパタ・・・・・・・・

 

今日はやたらと騒がしいな。

最新鋭のVTOL機に軍用ヘリ。道路には戦車や特殊部隊が多数。

歩道橋の上からだとよく見えるな・・・・・・。今日は軍事パレードでもやるってか?

それにしては不自然だ。一般人が一人もいない。

俺は、ふと戦車の方を見る。するとその砲身は・・・・・・

 

「俺狙いってことか・・・・・・。」

 

普通子供一人殺すのに軍隊出動させるか?

危険危険って言われるけど俺はお前らが何もしなかったら何もしねぇぞ。

ただ向かってくる力を逆向きにしてるだけだから。

 

「発射用意!!!!!」

 

 

 

 

あぁ・・・・そうか。

 

俺はこの時理解した。

 

この力はいつか世界を敵に回し、本当に世界を滅ぼしてしまうかもしれない。

 

「だが、最強の先へと進化すれば何かが変わるかも。」

 

眼鏡をかけたスーツ姿の男が俺に近づいてくる。

 

「そのためには計画に従い、実験の遂行を。」

 

前歯に金の差し歯を差し、伊達メガネを付けた研究者が近づいてくる。

そして消えた。残ったのは幼い頃の俺だけ。

 

 

モルモット。人間。クローン。

 

力が争いを生むのなら、戦う気も起きなくなる程の絶対的な存在になればいい。

 

そうすれば・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いつか、また・・・・・・。

 

そうすれば・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・もォ、誰も・・・・・・・。

 

 

 

 

     だから、俺は一人のほォがいいンだ。俺の周りにいるヤツはみーンな死ンじまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

死体まみれの闇の中に佇んでいる一方通行の目の前にふと小さな光が現れる。

 

なンだ?眩しい・・・・・・・・・・・。

 

眩しいがその光はなぜか懐かしい感じがした。

一方通行はそれに無意識に手を伸ばす。

するとその光は弾け閃光のように激しく光りだす。一方通行はあまりの眩さにたまらず目を瞑る。

目を開けるとどこまでも白く温かい世界が広がっていた。

ずっとここにいたい。だけど自分はここにいていい人間じゃない。早く闇の中へ戻らなければ。

一方通行は光の世界に目を背け、闇の中へと帰ろうとする。幼き日の自分がいる闇へ。

 

「あくせられーた!!」

 

効きなれた声、なのに懐かしい声。まるで遠く離れた故郷に帰ったようなそんな感じがする。

一方通行はその声がした方へ、光の方へ振り向く。

 

一方通行「オマエは・・・・・・・・・。」

 

フラン「フランもあくせられーたのことを家族だと思ってる。家族っていうのは一緒にいたいことの言い訳なのかもしれないけど・・・それでもフランはあなたと一緒にいたいし、離れ離れになったとしてもあなたが来てくれるのをずっと待ってる。それだけは忘れないでほしいな。」

 

そォだ、待ってるンだ。

立場なンぞ知ったことか。例え俺がどれだけの罪を犯した大罪人でも、クソッタレの悪党だとしても関係ねェ。正しいかどうかなンて問題じゃねェ。あのガキ助けるのに合理的な理由なンかいるか!

ただ俺が助けてェンだ!守りてェンだ!!失いたくねェんだ!!!!

そのためなら俺の大事なものなンかいくらでも捨ててやる!

だが、俺にはできねェ。俺だけじゃァできねェ。

・・・・・だが、アイツの力を借りればできる!!

助けてくれ!協力してくれ!一緒に戦ってくれ!!!!

 

一方通行「フラン!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方通行は立ち上がる。満身創痍の身体で走り出す。

全身の体温が急激に上昇する。

目は紅く光り、瞳孔は猫のように細くなる。

そして彼の犬歯だけが鋭く、鬼の牙のように長くなっていく。

 

一方通行「禁忌・・・・・・・・・・・・・」

 

一方通行の手の中で炎が形成され広がっていく。その炎に包まれながら、背中から服を突き破り黒い棒のようなものが生える。そしてそれは瞬く間に開き、蝙蝠のような大きな翼へと変化させた。展開された大きな翼をはためかせ、飛び立つ。

さらに炎は勢いを増し、強大になるもどんどん収束していき、剣の形になる。

 

一方通行「レーヴァテイン!!!!!!!!!」ズバッ!!

 

飛んできたレーザーとともに軍用ロボは灰塵に帰す。

 

ガラン「っ!?!?クソッ!一斉に撃て!!!!」

 

軍用ロボたちは一斉にレーザーを放つ。

ピッ!ジュウ・・・・・・・・・・

一方通行にレーザーが掠る。だが、彼は止まらない。

 

一方通行(止まるな、進み続けろ!ここで止まっちまえば、電極を無理やり違う用途に使用した跳ね返りが来る。そうすりゃァ、バッテリーが切れて俺は動けなくなっちまうだろォ・・・・。だからァ・・・・今仕留めなきゃなンねェ!進めェ!!フランを救うんだァ!!!!!)バサッ!バサッ!

 

一方通行「ウオオオオォォォォォォォォォォァァァァアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」

 

一方通行は咆哮し、約百体の軍用ロボへ飛び込んでいく。その細い瞳孔はガランしか捉えていない。

一つ、また一つ、軍用ロボたちを鮮やかな深紅の炎剣でレーザーとともに焼き払っていく。

飛び出た肋骨が痛む。全身が軋む。だが、止まらない。

少なくとも今、フランに取り巻く理不尽の全てを焼き払うまでは。

 

ガラン「コイツッ!!」ダッ

 

ガランは突然起きた予想外の出来事に混乱し中央制御室を逃げ回る。

一方通行はガランを追撃しようとするが軍用ロボに阻まれる。

発射された無数のレーザーを身を翻し避ける。さらにそのまま回転しながらロボを斬り、道を開く。

そして目の前に立ちふさがるロボを五体同時に斬り伏せる。

ガランへの道は開けた。もう彼を守るものは何もない。

 

ガラン(なんだ!?能力は使えないはずだろ!?そしてあの姿、まるで・・・・・吸血鬼じゃないか!!)

 

ガランを中央の柱に追い詰める。

 

一方通行(追い詰めた!ここだ!!)

 

ガランは拳銃を取り出し一方通行に構える。

 

一方通行(今ここでぶち殺せ!!地獄に落ちンのはァ・・・・俺達だけで十分だろォがァ!!!!!!!)

 

ガランは引き金に手をかけ、一方通行は炎剣をガランの首へと振るう。

 

 

 

 

(・・・・ラ・・ン・・・・・・フラン・・・・・。)

 

フラン(・・・・だれ?)

 

レミリア(起きなさい、フラン。起きてあなたも戦うの。)

 

フラン(ぅん・・・・おねぇさま・・・?)

 

レミリア(あの人が戦ってるわ。あなたも加勢なさい。)

 

フラン(でもお姉様、フラン目を潰されて、能力が・・・・・・。)

 

レミリア(一方通行も能力を封じられてる。だけどあの人はあなたの能力を使ってる。)

 

フラン(フランにはできないよ。あの人みたいな計算なんかとても・・・・・。)

 

レミリア(フランにならできるわ。だって・・・家族の絆でつながっているんですもの。)ニコッ

 

 

ギュィィィィィン!!!!

 

フランの目に打たれていた杭が外れ、目を見開く。

 

フラン「ぐうぅ・・・あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!」グググググ

 

そしてフランは反射のベクトルを応用し、縄だけでなく十字架まで粉々にした。

 

一方通行「!!」

 

ガラン「なにぃ!!!!」バッ!

 

ガランはとっさに銃をフランへ向ける。

 

フラン「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」ヒュゥゥゥゥ!!

 

フランは制御室内の機材を風のベクトルを用いて瓦礫にし、竜巻のようにしてガランの手を吹き飛ばした。

 

ガラン「うわぁぁぁぁ!!!!手が、手がぁぁぁぁぁぁ!!!!」ドクドク

 

ガランは大量の血を流しながら悲鳴を上げる。

 

キィン!!キィン!!ゴォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!

 

そしてフランの作った竜巻は瓦礫同士がぶつかり、その摩擦で発生した火が瓦礫に着火して火災旋風へと成長した。さらに火災旋風の中にガランを閉じ込めた。

 

ガラン(この火災旋風はベクトル操作によるもの・・・!あのガキが使ってやがるのか!?一方通行(アクセラレータ)を!!!!!)

 

ゴォッ!!!!

 

炎の中から白い吸血鬼が現れる。

 

ガラン(バカな!瓦礫が舞う中、突っ込んできただとぉ!?!?)

 

一方通行はレーヴァテインを振りかぶり、ガランの首に向け、振るう。

 

ガキィィィン!!!!!

 

ガランの首のアーマーに炎剣が当たる。

 

一方通行「家族(フラン)に手ェ出すことは・・・・・・・・・」

 

ガランの首アーマーが融解し始める。

 

一方通行「俺がァ・・・・・」グググ・・・

 

一方通行はレーヴァテインを握る手に全力を込める。

 

ゴォォォォォォォォォォォォォ!!!!

 

一方通行「許さねェ!!!!!!!!!」グググググ・・・

 

ザァァン!!!!!!

 

紅い火花と鮮血とともにガランの首が宙へ舞い上がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                         ビーッ!ヒュゥゥゥゥゥゥン・・・・・

 

                         二人の吸血鬼の電極の明かりが消えた。




最後までご覧いただきありがとうございました!
かなりの長編になってしまいましたがどうだったでしょうか??
色々あって書く時間が少ないですがなんとか続けていけたらなと思います。
応援よろしくお願いします。

次回、第二十話 「行き違い」

                       次回もお楽しみに!!

台本形式以外の書き方にしてほしいか

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