とある吸血鬼と一方通行   作:reima1341

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第二十話 行き違い

一方通行「家族(フラン)に手ェ出すことは・・・・・・・・・」

 

ガランの首アーマーが融解し始める。

 

一方通行「俺がァ・・・・・」グググ・・・

 

一方通行はレーヴァテインを握る手に全力を込める。

 

ゴォォォォォォォォォォォォォ!!!!

 

一方通行「許さねェ!!!!!!!!!」グググググ・・・

 

ザァァン!!!!!!

 

ビーッ!ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥン・・・・・・・・

 

ドサッ・・・・

 

フランは気が抜けたのか電極のバッテリーが切れた瞬間、気を失った。

 

一方通行「ッ!クッソォ・・・・・・!!」ドサッ・・・

 

目は元に戻り、牙はなくなり、羽は折りたたまれ一方通行の体内に吸い込まれていく。

一方通行は元の人間に戻った。

一方通行はバッテリーが切れた影響で倒れてしまう。

 

パキャッ!!

 

一方通行「ガァァァァァァ!!!!ッ!グゥゥゥゥゥ・・・・・!」ハァ・・・ハァ・・・

 

うつ伏せに倒れたせいで飛び出た肋骨がへし折れた。

一方通行は激痛に身をよじらせ吐血する。

 

一方通行(チィッ!肺に穴が開いたか・・・・!)ヒューヒュー

 

彼はもう長くはもたない。だが、フランを回収して幻想郷へ帰るぐらいの体力はある。

万が一にも病院に運ばれるわけにはいかない。フランの正体が学園都市に知れればとんでもないことになる。それだけは絶対に避けなければ。

 

一方通行(ッ・・・フラン・・・!)ズズ・・・ズズ・・・

 

一方通行は動かせる左半身を精一杯動かしてフランに向かって這って進む。

 

コツコツコツコツコツ!!!!!!

 

一方通行(誰か来る!一人、イヤ、二人・・・・グループか?)

 

一方通行はフランへ向かう速度を上げる。

 

「あっ!いた!!」

 

「この子か!?」

 

一方通行(男一人、女一人・・・・。?両方ともどこかで・・・・・?)

 

一方通行は顔を上げて、男女の顔を確認する。

 

一方通行「テメェは・・・・・・!」

 

????「お前は!?」

 

二人は刮目する。かつて一人の少女を救うために戦った相手。かつて無敵への進化のために戦った相手。

 

一方通行「上条ォ・・当麻ァ・・・・・・・!」ギリッ

 

当麻「・・・一方通行(アクセラレータ)・・・・・・!」

 

今はコイツに構っている暇はない。一方通行は余計な雑念を振り払い、フランの元へ急ぐ。

 

???「フラン!!」ギュ

 

一方通行がフランへ手を伸ばした瞬間、短髪の少女がフランを抱きかかえ、上条当麻の元へ戻った。

 

一方通行「そのガキを放せェ!超電磁砲(レールガン)!!!!」

 

美琴「放しなんかしないわよ!この、クソ野郎!!」

 

当麻「御坂から聞いたぞ・・・。てめぇ、またくだらねぇもんに手を出しやがったらしいな・・・・・。」

 

一方通行「だったら・・・なンだ?」グググ・・・

 

一方通行は机につかまり、立ち上がる。

 

当麻(こいつ・・・・なんで満身創痍なんだ?)

 

美琴も当麻と同じことを考え、制御室内を見渡す。

 

美琴「ひっ・・・!」ビクッ

 

美琴は中央の柱にあるモノを見て恐怖する。

 

当麻「どうした!?御坂!・・・・・・っ!!」

 

視線の先には首をはねられた血塗れの男の姿があった。

 

当麻「お前・・・・コイツは仲間だったんじゃないのか!?」

 

一方通行「仲間だァ?ヘヘッ、ンなわけねェだろォ。こンな三下ァ、付き合う価値なンかねェ。俺は都合よく利用してただけだ。」

 

美琴「アンタ・・・本当にクズね。」

 

一方通行「そォだ、俺は泥まみれのクズだ。だが、そのガキは何としても返してもらう。」

 

当麻「てめぇ、今度はこの子を利用してまた何かしようとしてるのか!?」

 

一方通行「答える義理はねェよ。」

 

一方通行は机に寄りかかりながら答える。ただし、自分が立っているだけでも限界だということを悟られないように。

 

美琴「大ケガしてるとこ悪いんだけど、倒させてもらうわよ。第一位(アクセラレータ)!!」ビリビリ

 

当麻「御坂は下がってろ。あいつの反射の前にはどうやってもお前の電撃は届かない。そのためにここに呼んだんだろ?」

 

美琴「で、でも!」

 

当麻「お前はその子を守ってくれ。頼んだぞ。」

 

美琴はフランを抱きしめ、静かにうなずいた。

 

当麻「さぁ、一方通行!ここでお前を倒す!!」

 

一方通行「ヘヘッ、あン時の借り・・・ここで返させてもらうぜェ!ヒーローォ!!!!」

 

一方通行は右半身麻痺のため自分から当麻に接近、攻撃できない。

だから、当麻が攻撃してきた時に動かせる左腕でカウンターで攻撃しようと考えていた。

 

当麻「うぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおお!!!!!」ダダダダ

 

一方通行(来やがった!!)グッ

 

一方通行は左手だけで格闘術の構えをとる。

 

当麻(右半身ががら空き!!)オラァ!!」ブンッ!!

 

一方通行「グハッ!!(クソッ!右半身がガードできねェ。)

 

一方通行は吹っ飛ばされ、床を転がりまわる。

 

当麻「くだらねぇもんに手ぇ出しやがって・・・・。全然何も変わってねぇじゃねぇか!!」

 

一方通行「グッ・・・!」グググ

 

ドゴォォ!!!!!

 

一方通行「ッ!!!!」

 

一方通行は美琴の方へ吹っ飛ばされる。

そしてその勢いを利用して、美琴に接近し、一撃目で吹っ飛ばされた時に拾って隠し持っていた瓦礫の一部を美琴の顔に投げつける。

 

美琴「キャッ!!」バッ

 

当麻「御坂ぁ!!!!」ダッ

 

一方通行は左手を振りかぶり、美琴を殴り飛ばそうとする。

 

美琴「っ!!」バチバチバチ!!

 

美琴は一方通行に電撃を喰らわせ、吹き飛ばす。

 

美琴(反射が・・・・効いてない?)

 

ダァァァァン!!!!

 

一方通行は壁にたたきつけられ、地面に落ちる。

 

美琴「あれ、フランは?」キョロキョロ

 

当麻と美琴はフランの姿がないことに気づき、周囲に目を配る。

 

一方通行「ガハッ!・・・へ・・ヘヘッ、わりィなァ。ガキは返してもらったぜ。」ベチャッ

 

一方通行は吐血しながら当麻たちへ向け、そう言い放つ。

彼の腕の中には眠っている金髪の少女がいた。

彼の中にギリギリ残った演算能力を電撃からフランを守るためだけに使ったからフランには傷一つない。

 

美琴「フラン!しまった!!」

 

当麻「この野郎!!」

 

一方通行はフランを抱きしめる腕に力を込める。

 

一方通行「コイツは離さねェぜ。」ニィッ

 

当麻「フランを離せ!!三下!!!!」ダッ

 

一方通行「その名を軽々しく呼ぶンじゃねェ!!三下ァ!!!!」

 

ヒーローたちは互いに吠える。

 

美琴「一方通行は多分能力を使えないわ!私も加勢する!!」

 

美琴は再び帯電する。

 

一方通行「これだけは絶対ェ譲らねェ!負けるわけにはいかねンだァ!!」

 

当麻「いいぜ、こんなことを繰り返し続けるなら・・・・そんなくだらねぇ幻想は俺が何度でもぶち殺してやるよ!!!!」ダッ!

 

一方通行「オマエ等にとっちゃァどんなにくだらなくても、俺にとっちゃァ最後の希望なンだ!このたった一つの幻想を守り抜くためなら俺はどンな現実だって打ち砕いてやるよォ!!!!」グッ

 

当麻は駆け出し、一方通行へ拳を放つ。

 

バキッ!!

 

一方通行「ガッ!!」グラッ

 

バチバチバチ!!!!

 

当麻「電撃はやめろ!フランにまで電撃が行っちまう!!」

 

美琴「わかってる!だから、超電磁砲で狙ってんでしょうが!!」バチバチバチ!!

 

ドガァァァァン!!!!!!

 

雷が落ちたような音とともに光の速さでコインを打ち出した。

 

チュドォォォォォン!!!!!!

 

超電磁砲は一方通行の左肩に着弾し、貫通する。

肉が焼け付く痛みに一方通行は気を失いそうになるがなんとか踏みとどまる。

 

当麻「うぉぉぉぉ!!!!」ブンッ!!

 

一方通行(左手ももう使えねェ。もォこうするしか・・・・・・!)サッ

 

一方通行はフランに覆いかぶさった。

 

当麻「離せ!このっ!!」

 

当麻は一方通行を蹴り始めた。フランを取り戻すことで精一杯なのだろう。

美琴も超電磁砲で援護する。

 

一方通行「ガッ!グッ!ゲホッ!!」ビチャビチャ!

 

ドロ・・・・・・・・・・

 

どこかの太い血管が切れたのか大量の血が流れだす。

 

一方通行「グゥゥゥゥ・・・・・(クソッ、誰か・・・黄泉川、芳川、グループでもいい。せめて、せめてこのガキだけはァ・・・・・。)ボタボタ

 

一方通行は出血多量でもう持たない。せめて、フランだけでもと懸命にかばい続ける。

当然、当麻と美琴はフランに危害を加えるつもりはない。だがそんなことを一方通行知るはずもない。

勘違いによる一方通行な暴虐が続いていく。

 

「そこまでだ。」カチャッ

 

当麻と美琴は背中に拳銃を突き付けられ、動きを止めた。

 

「ホントは御坂さんに拳銃を突き付けるマネはしたくなかったのですが・・・」

 

当麻「何のつもりだ、土御門!!」

 

御坂「海原光貴・・・・・・・。」

 

土御門元春、海原光貴(エツァリ)、結標淡希。『グループ』のメンバーだ。

 

土御門「それはこっちのセリフだ。なにをしているんだ?上条当麻。」

 

当麻「何って・・この子を助けようと・・・!」

 

海原「それが一方通行を一方的に痛めつけることだとは・・・・聞いて呆れますね。」

 

美琴「何ですって!?」

 

結標「一方通行はフランを助けるためにボロボロになってたの。アンタらが来る前からぼろ雑巾だったでしょ?」

 

当麻「でも、それって・・・・。」

 

「そいつの言った通りじゃん。」コツコツ

 

土御門「誰だ!?」

 

黄泉川「彼に娘を助けてもらった者じゃん。」

 

打ち止め「アクセラレータ!!」

 

美琴「打ち止め!?」

 

打ち止め「あなたたち・・・何てことしてくれたの・・・・・!?」ギリッ

 

打ち止めはいつものミサカは~という口癖を忘れるぐらいに激昂している。

 

当麻「何でここに・・・?」

 

打ち止め「恩人を助けにきたに決まってるじゃない。ってミサカはミサカはお姉様たちを睨みつけながら言ってみる。」

 

美琴「恩人?」

 

黄泉川「この子、さっきの天使の出現のために利用されてたのを一方通行が助けてくれたじゃん。」

 

打ち止め「木原数多っていうヤツに反射を封じられて、ボロボロになりながらも救ってくれたの。ってミサカはミサカは言ってみる。一方通行はもともと異世界と呼ぶべき場所にいて、もう学園都市に関わらなくてもいいはずなのに、操られてるミサカたちを見かねてわざわざ来てくれたの。

おまけに一緒に来た女の子のことよりミサカたちのことを優先してくれた。すべては贖罪のためだってミサカはミサカは・・・・・・。」ウルッ

 

 

フラン「・・・ん・・・?あくせられーた?」

 

一方通行「おォ・・・・・お・・きたか。・・・・・・・だ・・大・丈夫・・・か・・・・・・?」

 

フラン「うん、大丈夫。助けてくれてありがとう。」ニコッ

 

フランは一方通行に精一杯の笑顔を向けた。できるだけ彼に心配させないようという彼女なりの心配りだ。

 

ベチャッ・・・・・

 

フラン「・・・・・・え?」

 

フランの笑顔が凍り付く。

 

一方通行「・・・・そりゃァ・・・・・・よ・・かっ・・・・・・。」ガクッ

 

一方通行はフランの言葉に笑顔で返事をした後、フランにもたれかかる。

彼から流れ出した鮮血がフランの服をさらに赤く染めていく。

 

フラン「はっ・・・はっ、はっ・・・・・。」ガクガク

 

フランは過呼吸を起こし、痙攣する。

そして畳み掛けるようにかつてのトラウマが彼女の脳内にフラッシュバックしてくる。

そう、狂気に染まり、虐殺を続けていた時のことを・・・・・・。

 

フラン「・・・ぁ・・・ぁ・・あ・・・・・・・。」ガタガタ

 

土御門「ヤバいな・・・・・。全員下がれ!!」

 

土御門はフランの不穏なオーラを感じ、みんなを離れさせる。

 

フラン「ああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっあっぁっああぁぁああああああぁぁぁぁぁぁぁっぁぁっぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」ドォォォォ!!!!

 

フランの翼は突然巨大化し、背中には紅い魔法陣が発生した。

 

美琴「なに・・・あれ・・・・?」

 

当麻「魔術か!?」

 

土御門「わからない・・・だが、間違いなくお前の右手の出番だ。」

 

フランは当麻と美琴に視線を向ける。

 

フラン「お前たちはあの人に何をした!?」

 

当麻「・・・・・一方的に痛めつけた。」

 

美琴「で・・でも、仕方なかったのy「取り繕ってんじゃないわよ!!」っ!」ビクッ

 

フラン「なんであの人がこんな目に・・・?今回は何にも悪いことなんかしてないのに・・・・・・。どうしてこんなに苦しめられなくちゃならないのよぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」ドドドドドドド!!

 

当麻「ぐっ・・・!」ギュゥゥゥン!!

 

フラン「確かに・・・この人には贖いきれない罪がある。だけど学園都市の呪縛から逃れられたにも関わらず、あの人はずっと妹達への贖罪ばかり考えてた。今ならわかる・・・・・きっとあの人が幻想郷に溶け込もうとしなかったのはそんな資格自分に無いと思ってたから。みんなと笑って暮らす資格がないと思ってたから・・・・わかるの、だってフランも同じような罪を背負ってるから。」

 

美琴「フラン・・・・・・。だけどコイツは・・・!」

 

土御門「フランを裏切り、そして拉致したやつの味方についた。と、言いたいんだろう。カミやん、お前もそう聞かされてここに来たんだろ?」

 

当麻「あぁ、その通りだけど・・・・・・」

 

土御門「残念だが、勘違いだ。一方通行は打ち止めを救い出した後、俺達『グループ』と協力し、フランドールとアリス、両方助けるために慣れないことをさせ、スパイとして潜入させた。正面から突入すれば少なくともどちらかに多大危害が及ぶ可能性が高い。だが、内部工作をすればその可能性を著しく下げることができる。だから、俺達を裏切ったふりをしていた。

俺達がその話を持ち掛けたとき、あいつは良い顔をしなかった。ガラじゃねぇってな。

だが、あのガキどもを助けるためだといい、プライドを捨てた。

おまけに俺達と会った時点で一方通行はすでに重傷だった。」

 

美琴「じゃぁ、一方通行は・・・・・・・。」

 

海原「はい、今回は善意の協力者ですよ。」

 

土御門「だが、お前たちは抵抗もできない満身創痍の身体障害者に対し、一方的に暴力を振るった。」

 

黄泉川「警備員としてじゃなく一人の人間として許すことはできないじゃん。」

 

打ち止め「この人でなし!!ってミサカはミサカは二人を罵ってみたり!!」

 

美琴「あたしたちのやったことは・・・・・・・。」

 

結標「ただの暴力・・・だね。」

 

当麻「それに身体障害者だって・・・?」

 

打ち止め「8月31日、絶対能力進化計画が中止され、職を失った研究員によってミサカが連れ去られ、脳にウイルスを打ち込まれた。その内容は人に対する無差別攻撃。それを上位命令文に変換し、ミサカネットワークを介して全ミサカたちに感染させ、全国に散らばったミサカたちに実行させる。そしてこのミサカは死ぬはずだった。それをアクセラレータは助けてくれた。・・・脳を撃たれて自分の運動能力を失ってまで。ってミサカはミサカは説明する。」

 

土御門「本来なら、運動能力だけでなく言語能力と計算能力も失っているハズだったんだが、どうやら治療した医者がすごかったらしい。」

 

当麻「じゃあ、一方通行がまた悪事を働いてるってのは・・・・・。」

 

土御門「超電磁砲の勘違い。一方通行はただの哀れな被害者だ。」

 

当麻と美琴は血の海に倒れている一方通行をみて狼狽する。

 

フラン「・・・・・・・・・・・・・・勘違い?・・・そんな・・・・・そんな・・・・・」

 

フランの魔法陣がさらに肥大化し、彼女の目の白い部分は真っ黒に染まっていく。

 

フラン「・・・・・そんなしょうモナイコトノためニ、アノヒとハこんナめニアッたのカカァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!」ドォォォォ!!!!

 

フランは完全に理性を失ってしまった。彼女はかつての抑えきれない破壊の衝動に完全に支配されてしまった。怒りのまま、狂気のままに嗤いながら弾幕を放ち続ける。

 

フラン「アハハハハハハハハッ!!アーハハハハハハハハハハッ!!!!!!!」ドドドドドドド!!

 

当麻「っ!!」ギュゥゥゥン!!

 

海原「黄泉川さんと娘さんはこのビルから出てください!」

 

打ち止め「で、でも・・・・・」

 

海原「急いで!!!!」

 

黄泉川「行くじゃんよ、打ち止め。」ダキッ

 

黄泉川は打ち止めを抱きかかえると中央制御室から出て行こうとする。

 

フラン「ヘェ・・ハァッ・・・・・?」クルッ ドォォォン!

 

フランは動き出した黄泉川たちへ向け弾幕を放った。

 

当麻「クソッ!!」ギュゥゥゥン!!

 

黄泉川「・・・・・・・・・ありがとう」ダッ

 

黄泉川たちは脱出に成功した。抱えられた打ち止めは姿が見えなくなるまで子供とは思えない表情で当麻を睨みつけていた。

 

土御門「一方通行ももう限界だ・・・・・・!カミやん!超電磁砲!フランを止めろ!!」

 

当麻「止めるって言ったって・・・どうやって?」

 

美琴「・・・・・・・・・。」

 

土御門「力ずくでだよ!海原は外じゃないと魔術を使えないし結標は・・・・わけ合って戦えない!!」

 

当麻「でも・・・俺は・・・・・。」

 

美琴「あたしも・・・・無理・・・。」

 

土御門「そんなこと言ってる場合じゃ!!・・・クソッ!こうなったら俺が・・・・。」

 

土御門が折り紙を取り出すとケースのふたを開け、四方へ放つ。

しかし・・・・・・・

 

ヒュォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・

 

土御門「折り紙が・・・・吸い込まれていく・・・・?」

 

フランを中心に空気が集められていく。

そしてその手のひらに小さな炎を作り出した瞬間、酸素に反応して巨大な火の玉に一瞬で成長した。

 

フラン「アハッ!!アハハハハハハハハッ!!」ゴォォォォォ

 

土御門「テレズマに限りなく近いものが形成されていく・・・・・・。」

 

海原「えぇ、火を司る天使ウリエルのテレズマとそっくりですね・・・・。」

 

魔術師たちは冷や汗をかく。

 

結標「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!!あれどうするの!?」

 

結標は当麻たちの方へ視線を向ける。

 

結標「あんた達!どうにかしなさいよ!!幻想殺しに超電磁砲でしょ!?お願いだから何とかしなさいよ!!!!」

 

当麻・美琴「・・・・・・・・・・。」

 

そうこうしている間にも火球はどんどん肥大化していく。

 

フラン「・・・・・・・・infj死hdkn・・・・・・。」ニタァ

 

ブン!!!!

 

フランが掲げていた手を当麻たちに振り下ろす。

 

ゴォォォォォォォォォォォォォ!!!!

 

小さな太陽はゆっくりとしかし着実に中央制御室のものを焼き尽くしていく。

当麻と美琴は防ごうともせず座り込んだままだ。

土御門たちは身構えている。

 

土御門(もう成す術がない!クソッ!これもアレイスターの計画だっていうのか!!!!)

 

当麻(俺にはあの火の玉を消せない。・・・・消しちゃいけないんだ。)

 

美琴(あたしのせいでアイツまで・・・・・・・・。)

 

 

 

 

ズズ・・・ズズ・・・・

 

何かがはいずるような音が聞こえる。

 

当麻「・・・・・・何だ?」

 

「ぁ・・き・・・めて・・ンじゃ・・・ねェ・・・・・・ょ・・・・ヒー・・ロォ・・・・・・。」ズズッ

 

血塗れの白い少年が顔を地面に擦りながら這ってきた。

 

当麻「・・・・・ア・・一方・・・通行・・・・・・。」

 

ガシッ・・・・・!

 

一方通行は当麻の肩をつかみ、それを支えにして立ち上がる。

胸のあたりからはかなりの量の血が流れている。

 

ボタッ・・・・・ボタッ・・・・・・・・

 

当麻「おい!立つな!!」

 

タッ・・・・タッ!

 

一方通行はふらつきながら火球へ向かっていく。

 

当麻「やめろ・・・やめてくれ!」

 

タッ・・・タッ・・・・・・!

 

一方通行「アァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」ググググググ

 

一方通行は裏返るような声を張り上げ、意識を保つ。

目は血走り、食いしばりすぎた口からは血が流れ出る。

 

ヒュゥゥゥゥォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!

 

一方通行の周りに待っていた誇りと火の粉は吹き飛び、一方通行の周りの視界は開けた。

 

ファサッ!!!!!

 

背中から真っ黒な翼が発生した。吸血鬼の翼ではない。竜巻のような翼だ。

 

海原「土御門さん・・・・・・・・・!」

 

土御門「あぁ、フランドール・スカーレットと同じだ。テレズマと酷似している。だが、あの真っ黒な翼はどの天使とも適合しない。正体不明としか言いようがない・・・・・・・まさか!!」

 

海原「まさか・・・なんです?」

 

土御門「あくまで推測だが、一方通行は先ほど科学が生み出した天使を見ている。それにフランドールの力も・・・・もしかしたら一方通行はそれを無意識に解析し、限りなく近いものを再現したのではないのか、と思ったんだ。」

 

一方通行の黒い翼は火球を受け止め、抑え込む。

 

一方通行「グッ・・・!ガッ・・・!ガァッ!!」ググググググ!

 

火の玉がどんどん分散していく。

 

フラン「hdfえai!hbsfij魔kadj!?」

 

一方通行「inrweujsakンdk・・・・!」グググググ

 

フランと一方通行は意味不明な言葉を互いに叫びあっている。

 

土御門「何を言って・・・・・・」

 

当麻「会話してるのか?」

 

当麻の推測は当たっていた。だが、二人とも口を使ってはいるが実際会話は繋がった意識の世界。つまり、リンクした精神世界で行われていた。

そして黒い翼は2人を文字通り包み込んだ。

 

フラン「どうして邪魔するの!?こいつらはあなたを理不尽に痛めつけた奴らでしょ!?」

 

一方通行「もォいいンだ。アイツらはヒーローで俺は悪党だ。だから、これでいいンだ。」

 

フラン「理由になってないよ!だってあなたは今回妹達を助けて、フランも助けてくれた・・・・そんな姿になってまで・・・・・・。」

 

一方通行の痛々しい姿を見る度に当麻たちへの怒りと憎しみが膨れ上がっていく。

 

フラン「あなたはフランのこと家族って認めてくれた。電極からあなたの想いが伝わってきたもん。だから助けてくれたんだよね?じゃあフランもあなたの、あくせられーたの家族として、あいつらに相応の報いを受けさせる・・・!!」

 

一方通行「俺が何したか知ってンだろ。俺の罪は許されていいもンじゃねェ。一度や二度アイツらを救っただけじゃァ、到底贖いきれない。これも、俺への罰だ。罪から目を背け甘い夢に浸ろうとしていた俺への罰。むしろありがてェってなァ。」

 

フランは目を細め、俯く。

 

フラン「・・・・そんなの・・・悲しすぎるよ・・・・・。」

 

一方通行「だが、それだけの罪を犯した。俺は幻想郷の住人になっちまった。だから、学園都市に来れるのも、妹達にしてやれることもこれで最後になるかもしれン。だから、これぐらいの方がいいンだ。」

 

フラン「フランは・・・・・・・・」

 

一方通行はフランを抱きしめ、言葉を続ける。

 

一方通行「オマエも俺と似たよォな罪を背負ってる。似たもの同士だからこそ言わせて欲しい。」

 

フランは顔を上げ、一方通行の顔を見る。

一方通行は自分を慈しむ天使のような優しい顔をしていた。

いつもの彼ではない。だが、これが彼の本来の顔なのかもしれない。

 

一方通行「オマエには・・・オマエだけには・・・これ以上罪を重ねて欲しくない。」

 

ファァァァ・・・・!!

 

土御門「なんだ?!」

 

2人を包み込んでいた黒い翼に白い光が混じり始める。

 

結標「光・・・?ッ!!眩しい!」

 

眩い光を発しながら漆黒は光り輝く白へと変化していく。

当麻と美琴はその光をただただ呆然と眺めていた。

 

一方通行「こンな俺の為に怒ってくれて・・・・・ありがとう。」

 

フラン「あくせられーた・・・・・・・。」

 

一方通行「帰るぞ・・・・・・・俺たちの家に。」スッ

 

一方通行はフランに手を差し出す。

 

フラン「・・・・・・うん。」スッ

 

フランも手を伸ばし、手と手が結ばれる。

途端、精神世界は眩い光によってつつまれた。

 

 

 

 

 

 

 

海原「光が・・・・消えていく・・・・・・・。」

 

土御門「テレズマが霧散しているのか?」

 

結標「二人は!?」

 

当麻美琴「・・・・・」スッ

 

グループのメンバーと当麻たちは光の中心へと走っていく。

 

当麻「・・・・・・・一方通行。」

 

そこにはしっかりと抱き合う白い少年と紅い少女がいた。




最後まで見ていただき、ありがとうございました!!
学園都市編は次で終わりかもしれません。
また楽しみにしていてください!!

次回 、第二十一話「鼓動」

             次回もお楽しみに!!

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