とある吸血鬼と一方通行   作:reima1341

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第二十一話 鼓動

当麻「・・・・・・・・・一方通行。」ボソッ

 

一方通行は激闘の末、見事妹達(シスターズ)とフランを無事に救い出した。

誰も犠牲にすることはなく、限りなく不可能に近い難題を成し遂げた。

だが、危機は去ってはいなかった・・・・・・・・。

 

土御門「カミやん!!ボーっとすんな!!まだ終わってないぞ!!」

 

当麻「・・・・!!」ハッ!

 

土御門の声で当麻は我に返った。

一方通行は今もあらゆる所から流血し続けている。

出血性ショックで死んでいてもおかしくはないはずなのに、気力で命をつないでいた。

だが、刻一刻と彼の命のタイムリミットは迫ってきている。

 

海原「とりあえず圧迫止血しましょう!少なくとも今よりは出血を止められる。」ギュッ

 

海原はハンカチを一方通行の傷に押し当て、止血を試みる。

 

当麻「とにかく!病院に連絡を・・・・・!」スッ

 

土御門「やめろカミやん!!一方通行とフランドールは今、この世界に存在していないことになってるんだ!病院なんかに引き渡してみろ、一方通行はともかくフランドールはいいモルモットだぞ!」

 

当麻「そこは大丈夫だ。俺の知り合いにカエルみたいな顔した医者がいてな、妹達も保護してくれているぐらいだからそこに運べば・・・・・・」ピッピッ プルルルr・・・・

 

結標「だけどこの傷よ?そんじゃそこらの医者に救えるの?」

 

土御門「・・・・多分問題ないと思う。俺の予想が正しければその医者は冥途返し(ヘブンキャンセラー)だ。」

 

海原「冥途返し(ヘブンキャンセラー)?」

 

土御門「ああ。不可能といわれたどんなケガや病気でも治してしまうといわれている究極の外科医だ。瀕死の患者を次々と蘇らせていく様子から、冥途返しと呼ばれるようになった。放棄された妹達が無事に生きていることから多分、彼が調整をしているのだろう。あそこならアレイスターの手も届かないハズだ。」

 

結標「それなら、私の能力で・・・・!」

 

土御門「待て!向こうにも準備がある。早く搬送できても準備できてなきゃ意味がない。」

 

結標「ならどうするの!?このまま一方通行が死に腐るのを見ていろっていうの!?」

 

土御門「・・・・全員で一方通行の止血をするんだ。今は、それしかできない。」

 

結標「っ!わかったわ・・・・・・・・ほら!アンタも手伝いなさい!!」グィッ!

 

美琴「・・・・・・・ぁ・・・・。」グラッ

 

美琴は放心状態だった。

一方通行が、あの男が妹達を助けた?二度も?それにたった1人の子供を助けるためにあんなになってまで戦った??

信じられない。

あの男は一方通行は絶対能力進化計画で妹達を楽しんで殺したクズ野郎じゃないの?

 

未だに目の前の事実を信じることが出来なかった。

だが、彼は現に死の淵をさまよい続けている。

 

妹達やフランのために死ね。

 

そう言われれば彼は喜んで自身の命を差し出すだろう。

美琴は困惑すると共にそうとも思うようになった。

フランの言った通り本当に贖罪の為に戦ったのだとしたら、自分たちのやったことは到底許されていいものではない。

美琴は結標の手を払いのけるとタオルを取り出し止血を始める。

 

美琴「アンタ、死ぬんじゃないわよ。聞きたいことも、言いたいことも、それに・・・・・・・謝りたいんだから。」グッ!

 

海原「脈が弱まってます!このままだと心停止します!!」

 

土御門「クソ!カミやんはまだか!!??」

 

土御門は電話をしている当麻の方を見る。

 

当麻「・・・はい・・・・・はい・・・・・わかりました!」

 

当麻「今すぐにでも受け入れ可能だ!!」

 

土御門「よし!結標!!座標移動(ムーブポイント)だ!!」

 

結標「任せなさい!!」スッ

 

結標は待ってましたと言わんばかりに立ち上がる。

 

結標「私は飛べないからアンタたちに任せるわよ。」

 

土御門「ああ、それじゃあ頼む。」

 

土御門の言葉に首肯し、結標は演算を始める。

 

中央制御室から6人の姿が消えた。

 

結標(彼、もうダメかもしれないわね・・・・・・。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜永遠亭

 

現在、幻想郷では厳戒態勢が敷かれ、霊夢は博麗大結界の直接制御、人里の人間は博麗神社の境内へ避難、その他は奇襲にも対応出来るよう戦闘用意をしていた。

しかし、準備をしていない妖怪たちがいた。

大切な家族の帰りを待つ、紅魔一家だ。

彼女らは一方通行とフランが気にかかって準備どころではなかった。

紫が持ってきた陰陽玉から映し出される学園都市の様子を食い入るように見ていた。

 

咲夜「一方通行たちが消えた!?」

 

レミリア「・・・・・もう見てられない。私も行かせてもらうわ!」

 

パチュリー「待ちなさいレミィ!第一、どうやって行くつもり!?」

 

レミリア「どうやってもよ!」

 

咲夜「ですがお嬢様、スキマ妖怪でないと向こうへいけませんよ?」

 

レミリア「どうやってもと言ったでしょう?どこにいたって見つけ出して痛めつけてでも行かせてもらうわ。」スッ

 

永琳「落ち着きなさい、レミリア嬢。」

 

レミリア「永琳・・・・!」

 

永琳は外へ飛び出そうとしたレミリアを制止する。

 

永琳「もう大丈夫、心配ないわ。」

 

レミリア「どうしてそんなことが言えるの?」

 

永琳「一方通行たちが運ばれたのは恐らく第七学区にある病院。・・・・・・かつて私が務めていた場所よ。」

                 

咲夜「第・・七学区・・・・ですか?」

 

永琳「学園都市の地区の一つよ。そこの病院には私の知り合いの医者がいてね、顔がカエルそっくりだから貫禄がないけど腕だけは確かよ。専門医のライセンスと叩き上げの外科のスキル。手術においては私に引けを取らないわ。」

 

パチュリー「あなたにそれほど言わせるのなら問題なさそうね。・・・・ほらレミィ、部屋に戻りましょう。」

 

レミリア「だけど、もしあの病院が襲われたらどうするの?そんなことになったら医者は何もできないわよ。」

 

永琳「大丈夫よ、統括理事会もそうそうあの病院に手を出したりしないわ。」

 

レミリア「何故それが言えるの?」

 

永琳「さっき話したカエル顔の医者ね、実は学園都市の一番偉い人間の命を救ってるの。・・・・・・ある条件を出して。」

 

咲夜「ある条件・・・・・?」

 

永琳「学園都市ができるずっと前、あの病院で私は彼の下で働いていたの。丁度勤務して三年になるところかしら・・・・・。とある急患が運ばれてきた。」

 

パチュリー「それが今の学園都市のトップ・・・・・。」

 

レミリア「・・・・・・・。」

 

永琳「そう、だけど彼・・・アレイスターは人間のはずなのに何か違った・・・・・一目見てそう思ったわ。」

 

レミリア「人間なのに人間じゃない?どういうことよ??」

 

永琳「異能の力を持った者であることは間違いないのだけれど、どう考えても普通の人間とは気配が異なっていたの。」

 

レミリア「妖怪?珍しくはないじゃない?」

 

永琳「いいえ、あの世界ではまだ異能の力が存在してはいけない場所だった。何人も診てきたけどあんな人間は初めてだった。」

 

永琳はアレイスターが運ばれてきた当時を思い出した。

急患だというので搬入口に行ったがその男の姿を見て驚いた。

男とも女とも子供とも老人ともとれるその雰囲気。

そしてこの男から漏れだす力・・・・魔力。

 

永琳「その男からは魔力があふれ出していた。そして私の記憶が正しければ術式は恐らくテレズマを利用したMagick系魔術。1904年から始まる新時代(ホルスの時代)ではこの体系が支配すると言われていた。だけどその中でもイシスの時代やオシリスの時代などの古い魔術とは明確に区別されていて、それよりも古いものを感じた・・・・・・・・。」

 

パチュリー「ピタゴラスの時代・・・・・・ってこと?」

 

永琳「そうなるわね、だけどそんな古い魔術が形も変えず、こんなきれいに残ってると思う?」

 

パチュリー「・・・・・!まさか!!」

 

永琳「ええ、おそらくは・・・・。」

 

パチュリーと永琳は額に汗を流す。

 

レミリア「ねぇ、二人で納得してないで私にもわかるように言ってよ!」

 

パチュリー「簡単に言うと、学園都市のトップは私達よりもさらに先に生まれているってことよ。」

 

レミリア「それがどうしたのよ、私達より長く生きてる者なんかごろごろいるわ。」

 

永琳「よく思い出してみなさい、人間の寿命は大体何歳?」

 

レミリア「よく生きて100歳・・・・・あっ!」

 

永琳「そういうことよ、アレイスター=クロウリーは1000年以上も生きている。」

 

咲夜「そんなまさか!?」

 

永琳「・・・・・・・話が飛んだわね、で瀕死の状態で運ばれてきたアレイスターを当然彼は助けようとしたわ・・・・だけど私は反対した。」

 

レミリア「まぁ当然ね。そんな危険なモノ、生き返らせたら大変なことになるもの。」

 

永琳「そう、彼は私の話を全て信じてくれた。けど、信じたうえで彼はアレイスターを助けることに決めたの。」

 

レミリア「なんでよ?」

 

永琳「助かるために戦っている患者がいるからだ・・・・って。」

 

咲夜「医者の鑑ですわね。」

 

永琳「助けるにしても病状は原因不明。生命維持装置がないと生きていけない身体だった。」

 

レミリア「じゃあ今どうやって生きてるの?病院にいるわけじゃないんでしょ?」

 

永琳「できないことをやってみるのが彼の性分でね、工学を学んでただけあって病院外でも設置しておけるビーカー型の生命維持装置を造ったの。」

 

パチュリー「まるで科学の魔術師ね。」

 

永琳「そう、そこで科学に目を付けたアレイスターは科学によって異能の力を作り出そうとした。」

 

咲夜「でもどうしてですかね、なんで魔術があるのに科学による異能の力なんかを?」

 

永琳「カエル顔の医者から聞いた話なんだけど、どうやら彼は魔術を討ち滅ぼしたいらしいわ。・・・・理由はわからないけどね。」

 

パチュリー「それでその病院の周りに学園都市を作り上げたと。」

 

永琳「そうよ、学生たちは能力開発カリキュラムを受けてどんどん能力を発現させていった。」

 

レミリア「一方通行もそうして能力を発現させたのね。」

 

永琳「それは違うわ。」

 

パチュリー「違うってどういうことですか?」

 

永琳「彼は通常のカリキュラムを受けていないっていうことよ。」

 

レミリア「どういうこと?」

 

永琳「彼は不特定多数の研究者からいろんな実験をされて、今の能力を発現させたの。」

 

咲夜「なんで彼なんですか?」

 

永琳「彼には人よりもとある才能が秀でていた。ただそれだけよ。」

 

パチュリー「『計算能力』ね。」

 

永琳「そう、学園都市の能力者は演算して能力を発動する。その過程で必須となる計算能力。それが人より秀ででいるのは研究者たちが黙っているわけないからね。」

 

永琳は一息おいて再び話を続けた。

 

永琳「結果、数えきれないほど脳をいじくり回され、彼の精神は歪んでいき、能力も不安定だった。だけど最後に彼に関わった研究者の腕が良かったのでしょうね。彼の演算能力と能力を安定させ、学園都市最強の能力、『一方通行(アクセラレータ)』を完成させた。」

 

レミリア「ひどい・・・・・。」

 

永琳「彼は成功例だからだ良い方よ・・・・・・特力研に横たわっていた子たちを見たときは・・・・・・・・。」

 

永琳は悲惨な顔をした。

 

永琳「・・・・・そこで、そのことを知ったカエル顔の医者は自分の患者にだけは手を出すなと条件を出した。でなければ生命維持装置を停止させると脅しをかけてね。だから、彼の患者になってしまえば一方通行達は大丈夫なはずよ。」

 

レミリア「・・・・・・こんなこと聞いてよかったのかわからないけどとりあえずは信用するわ。」

 

パチュリー「一方通行が学園都市に一人で向かったフランを必死になって追いかけたのもわかるわね・・・・。」

 

咲夜「おまけにクローンまで・・・・・・。」

 

永琳「だから無暗に向こうへ行けば無事に帰ってこれるかわからないし、一方通行がどんな顔するかわからないわよ。」

 

レミリア「もどかしいけど待つしかないわね・・・・・・・。」

 

永遠亭に重い空気が流れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~窓のないビル

 

窓のないビルの深層部、巨大なビーカーの中に逆さに浮かぶ男がいた。

 

アレイスター「ふむ、一方通行は命を取り留めたか・・・・。おおむね計画通りだな。

だが、フランドール・スカーレットは大きなイレギュラーだ。それにアレがいると一方通行はここではない世界へと帰ってしまう。プランがかなり前倒しになるが、そろそろ使い時か・・・・・・・・。」

 

???「そうはさせないわよ。」

 

部屋の暗い部分から足音とともに女の声が聞こえてきた。

 

アレイスター「・・・・・・誰だ?」

 

紫「一方通行とフランドール・スカーレットを・・・・・・私の世界の住人を傷つけることはこの私が許しません。」コツコツ・・・

 

アレイスター「お前は誰かと聞いている。」

 

紫「そうね・・・・・幻想郷の統括理事長とでも言っておきましょうか。」

 

アレイスター「・・・名乗るつもりはないようだな。まあいい、それで幻想郷とやらのトップがこの私になんの用だ?」

 

紫「さっきも言った通り、あの子たちにこれ以上危害を加えないよう忠告に来たの。」

 

アレイスター「忠告?ハハハ・・・・面白いことを言う者だ、この私に対して。お前は私が誰だかわかっているのか?」

 

紫「馬鹿にしないでちょうだい。私はあなたが生まれるもっと前から生きているのよ。」

 

アレイスター「・・・・・・・・ほう?」

 

二人の間に重苦しい空気が流れ始める。

 

紫「学園都市の統括理事会理事長、アレイスター=クロウリー。そして・・・・・・・・・・。」

 

紫はビーカーのような生命維持装置にもたれかかり続ける。

 

紫「黄金の魔術師、アレイスター=クロウリー。」

 

アレイスター「どうやらお前の言っていることは本当のようだな。それに、姿形は人間でも、お前は人間ではない。」

 

紫「あら、洞察力が高いのね。私からあふれ出す力に気が付くとは・・・・。」

 

アレイスター「フランドール・スカーレットを見ていてわかった。お前たちの世界には人外なるものが存在していると。」

 

紫「あの子たちの戦いを見ていたわけね。」

 

アレイスター「超能力者とはいえ人間を吸血鬼化させる能力。・・・・実に興味深い。」

 

紫「そうやって、いろんな人間を実験動物(モルモット)にしてきたわけね。」

 

アレイスター「汝の欲する事を為せ。それが汝の法とならん。」

 

紫「随分と自分勝手な思想ね。だけど面白い・・・・・・。」

 

アレイスター「驚いたな。お前は上条当麻みたいな者だと思っていたが。」

 

紫「・・・・・・で、返事は?」

 

アレイスター「NOと言ったら?」

 

紫「この生命維持装置を地球の裏側・・・・いえ、太陽系の外へほっぽり出すわ。それだけじゃないってのは言わずともわかるわね?」ゴゴゴ・・・

 

紫は今までの軽い調子から一変、幻想郷最強格の重厚な気迫を醸し出した。

 

アレイスター「・・・・私としても一方通行を失うのはプランに大きな影響が出る。もう止める段階は過ぎている。」

 

紫「でも、一方通行は一度この世界から消えたわ。まさか計画を諦めたわけではないのでしょう?」

 

アレイスター「当然だ。私がこの計画を諦めることはない。」

 

紫「なら、代替案も考えていたはずでしょう。なら、一方通行は存在しなかったことにしなさい。」

 

アレイスター「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

紫の言葉にアレイスターは押し黙る。彼にとっては一方通行は計画の要の一つ。そうそうに手放せるものではない。だが、この女を敵に回すとこのビルどころか学園都市全体を滅ぼしかねない。

アレイスターは迷っていた。だが、選択の時間は紫がビーカーから離れたことによって終了した。

 

紫「さあ、どうするの?」

 

アレイスター「・・・・・・・・・わかった。一方通行及びフランドール・スカーレットには手を出さないでおこう。」

 

紫「賢明な判断ね。」

 

アレイスター「それに摘んでおこうと思っていたが、新しい可能性も芽生え始めていることであるしな・・・・・。」

 

紫「私はあの二人が無事に帰ってくるなら何も口は出さないわ。交渉は成立ね。」

 

アレイスター「ほぼ脅しだったがな。」

 

紫「あら?美女のお願いは聞けなくって?」

 

アレイスター「年m「何か言ったか?」・・・何も。」

 

紫「フフフ・・・・・じゃあね。統括理事長さん。」ニコッ

 

紫は暗闇の中へ消えていった。

 

アレイスター「・・・・・・・・この交渉私に得無くね?」

 

アレイスターは自分に利益がないことを今更ながらに気づいたが遅かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カラカラカラカラカラ!!!!!!!!

 

冥途返し「急ぐんだね!!心拍が弱まってる!!」

 

ナース「オペ室、確保できました!三番です!!」

 

冥途返し「ああ、わかった!君は患者(クランケ)の血液型判定を!!」

 

ナース「了解!!」ダッ!

 

美琴「あたしたちは?」

 

冥途返し「君たちにできることは何もないんだね!悪いが邪魔しないでくれ!!」

 

美琴「っ!!」

 

その場にいた者たちはただただ搬送されていく一方通行を見届けるしかなかった。

 

当麻「なぁ・・・・」

 

美琴「・・・・・わかってるわよ。」

 

二人は自分の犯した取り返しのつかない罪と無力さを痛感した。

 

看護師「ねぇ、君たち。」

 

唐突に看護師から声をかけられ、一同は看護師の方を向く。

 

看護師「女の子の方は目立った傷もないし、バイタルも正常だからあの子の病室にいてくれてもいいわよ。」

 

当麻「で、でも・・・・。」

 

看護師「あの子の知り合いなんでしょ?目覚めた時に病室に1人だと不安だろうから行ってあげなさいな。」

 

当麻・美琴「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

土御門「・・・・・・・カミやん。」

 

土御門は当麻を促すとフランの病室へ向かった。

それに続くように美琴もついていった。

 

土御門「カミやん、超電磁砲。」

 

唐突に土御門は2人に話しかける。

 

土御門「あの子はお前たちを恨んでいるはずだ。」

 

なにをそんな当たり前のことを?

と言わんばかりに2人は土御門を見る。

 

土御門「だが、あの子はお前たちを許すんじゃないかと思うんだ。」

 

当麻「・・・・なんでだよ?」

 

美琴「フランにとってアイツは大事な・・・家族みたいなものでしょ?それを死ぬ寸前まで追い詰めたアタシたちを許すはずがないじゃない。アタシだって妹達を殺された時に同じことを思ったもん。」

 

土御門「そうだな。だが、それは一方通行が死んだときに言えることだ。妹達と違って今回アイツは死んでない。」

 

美琴「だけど、あんな傷・・・・・死んじゃうかもしれないのよ!」

 

土御門「あの医者を誰だと思ってる。お前たちも知ってるだろ?一方通行は絶対に助かる。だから、お前たちがやるべき事は一方通行と同じだ。」

 

3人はフランの病室の前で立ち止まる。

 

当麻「2人に謝って謝って・・・・死ぬほど謝って、そして犯した罪の分払い続ける。だろ?」

 

土御門「そうだ。お前たちの罪はまだ取り返しがつく。だからそんなふうに考えることを放棄してちゃダメなんだぜ。」フッ

 

土御門は2人に笑いかける。

 

当麻「あぁ、その通りだ。」

 

当麻と美琴は病室の戸を開けて入っていった。

 

 

 

 

 

集中治療室〜

 

ナース「血液鑑定、終了しました!・・・・・が、」

 

冥土帰し「どうしたんだね?」スッ

 

冥土帰しはナースから資料を取り上げる。

 

冥土帰し「・・・・・?!」

 

ナース「機械の故障でしょうか?」

 

冥土帰し「いや、機械の故障だとしても遺伝子構造が異なることなどありえないんだね。」

 

ナース「じゃあ・・・・・・」

 

冥土帰し「・・・・・・あぁ、輸血が出来ない。」

 

ナース「そんな!助けられないんですか!?」

 

冥土帰し「いや、なんとかする。僕は必ず戦いに勝つ!今も患者が独りで戦ってるんだ。諦めるわけにはいかない。」

 

冥土帰しは鉗子を手に取ると止血を開始しようとする。

 

ファン!!ファン!!ファン!!

 

突然バイタルの異常を知らせる警告音が手術室に鳴り響く。

 

冥土帰し「どうしたんだね!?」

 

麻酔科医「血圧、心拍数急上昇!・・・変です!血圧が上がることはありえない!!」

 

第一助手「見てください!!」

 

止血を行っていた医師が冥土帰しを呼び、傷口に指を指す。

 

ジュゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・・・・

 

冥土返し「損傷箇所が・・・・・修復されていってる・・・?!」

 

一方通行の傷口から蒸気のようなものが立ち込めている。

そしてそれはゆっくりとではあるが破れた動脈を修復している。

冥土帰しは一瞬驚きを見せたがすぐに冷静さを取り戻した。

肉体再生を扱う能力者は学園都市ではめずらしくない。

だが血圧、心拍数、及び体温が蒸気を帯びる程上昇することは確認されていない。第一、人間の肉体では耐えきれず死に至るはずだ。

そんな考えがよぎったが、今は治療に集中しようと己に言い聞かせる。

 

冥土返し「これは下手にいじくり回さない方がいいかもしれないね。第一助手、縫合を頼めるかい?」

 

助手「よ、よいのですか?」

 

冥土帰し「能力による肉体再生に並行してオペしてもいいが、それはメスを入れなければならない緊急時だけなんだね。今の彼はゆっくりとだが回復し、致命傷を回避している。自然に回復するならその方が体力的に有利になるんだよ。」

 

助手「・・・・・分かりました。」

 

冥土帰し「閉じるのは皮膚から皮下脂肪までにしておいてくれ。いくら肉体的に再生しているとはいえ、彼はまだ瀕死の状態だ。再生を妨げることはなるべく避けたい。」

 

冥土帰しはそう言うとゴミ箱に手袋を投げ捨て、手術室を後にした。

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・そう。」

 

朝日が昇る中、カーテンで陽の光を遮られた部屋には宝石のような翼を輝かせる幼い少女がそう呟く。

 

当麻「フラン・・・いきなりお前の大事な人を傷つけて悪かった。」

 

美琴「許してくれだなんて言わないわ。だけど謝罪の言葉だけは言わせて欲しいの。」

 

フラン「あなた達がしたことはとても許せる事じゃない。フランは到底許すことができない。」

 

フランは静かに落ち着いた声で答える。

だがその瞳の奥には燃えたぎる怒りの炎を秘めている。

 

フラン「ミサカミコト。」

 

美琴はその声に顔を上げる。

 

フラン「あの人から聞いたよ。絶対能力進化計画だっけ?あくせられーたが犯した罪。他のも全部。」

 

美琴は妹達の屍の上で狂ったように嗤う一方通行の姿を思いうかべた。

 

フラン「・・・・・・・少しはあの人の気持ちが分かった?」スッ

 

フランは美琴へ息がかかる程に近づき、その紅い瞳で茶色の瞳を覗きこむ。美琴はまるで、心を覗かれているような感覚に陥る。

 

美琴「・・・・えぇ、わかった気がするわ。アタシとアイツじゃ生きてきた世界が違うけど、今ならその気持ちが痛いほどわかる。加害者側になって始めてわかったわ。他人から憎まれる気持ち・・・・・どれほど突き刺さるものか。」

 

フラン「あの人はその気持ちだけじゃないよ。あの人はその心を受け止め、一人で抱え込んで押し潰されそうになってる。だけどそれでもなお、残ったものをこぼさないように掬いつづけている。」

 

当麻「一方通行、変わったんだな・・・・・・。」

 

フラン「変わる前のあの人をフランは知らない。だけどその闇の片鱗を見て、少しわかった気がした。フランもその闇を味わったことがあるから。」

 

当麻・美琴「・・・・・・・・・・・・・。」

 

フラン「あなた達はあの人と同じような罪を犯した。だけどそれを心から悔やんでいる。」

 

フランは言葉を止め、2人を一瞥する。

 

フラン「だから、フランはあなた達を壊さない。あの人だってきっと許すと思うから。」

 

フランはその見た目にそぐわぬ雰囲気を醸し出し、2人にはっきりと告げた。

 

当麻「フラン・・・・すまねぇ。」

 

美琴「本当にごめんなさい・・・・・・・。」

 

フラン「その言葉は本人に伝えなさい!」

 

いつもの子供らしい雰囲気に戻った。

その後、当麻たちはフランに悪いと気を使い部屋を出ようとした。

 

その時、

フラン「待って。」

 

その声に2人は振りむく。

 

フラン「今の話は全部あの人が助かったらの話だよ。もし、助からなかったら・・・・・・・・・・・・」ココココゴ

 

当麻・美琴「・・・・・・・助からなかったら?」

 

フラン「体をかっ捌いてー、腸をソーセージにしてー、お尻の肉はステーキにしてから、血を全部飲んであげる。生きたまま♪♪」

 

フランはどこからか取りだしたナイフとフォークで音を鳴らす。

 

当麻・美琴「」ソソソソソソソ

 

その音に涙目になりながら病室を後にする高校生と中学生だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トクン・・・トクン・・・・トクン・・・・・・ドクン・・・・・・・・

 

一方通行「・・・・・・・ハッ!?!?」ガバッ

 

一方通行は見知らぬ町のベンチに寝ていた。

ご丁寧に点滴と酸素マスクもセットだ。

 

一方通行「・・・・どこだァ?ここはァ・・・・・・・・っグ!!」

 

一方通行は胸の痛みに地面に蹲る。

彼は痛みに耐えながらも考えを巡らす。

 

一方通行(確かオレはあのクソヒーローにぶっ飛ばされて・・・・クソッ、そこから先の記憶がねェ。)

 

一方通行は必死に状況を整理する。そして胸にある縫合後を見つめる。

 

一方通行(待てよ、治療を受けたンだったらオレは病院に居なきゃおかしいだろ。それが何故この古臭ェ町のベンチに寝てたンだァ?酸素マスクと点滴と手術痕があることから病院にいたことは確実なンだが・・・・。)

 

一方通行は点滴棒につかまり、なんとか立ち上がると夜の町を見渡す。

 

一方通行(幻想郷かァ?いや、こンな町はないはずだ。この建物の建築方法からみて、明治から大正ってとこかァ・・・・・。しっかしなンでこんな所に・・・・・・・・?)カラカラ

 

人の往来により綺麗に押し固められているが舗装されていない大通りであるから点滴棒を転がすのに苦労しながら歩き出した。

 

「きゃぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁあ!!!!!」

 

唐突に近くで女の断末魔のような叫び声が聞こえた。

 

一方通行「!!なンだァ、一体?」

 

一方通行は点滴棒を持ったまま地面を蹴って空へと飛び上がり、声のした方へ向かっていった。




最後までご覧いただきありがとうございました。
最後の話の繋がりが意味不明・・・・・と思われる方もいらっしゃると思いますが次回にて繋がるので楽しみにしていてください。

次回 第二十二話 「羽をもがれた蝶」

次回もお楽しみに!!

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