とある吸血鬼と一方通行   作:reima1341

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第二十三話 陽光

学園都市に完全に日が昇った。

しかし、その光はこの街の全てを照らすことはない。

ビルの密集した街は密やかに闇を隠している。

そして時にそれは光をも浸食しようと流れ出してくる。

主に、異様な雰囲気を醸し出す紫色に発光する窓のないビルから・・・・・・。

しかしその闇に光が完全に飲み込まれないように闘う者たちはいる。

 

自分の信じたものを疑わずまっすぐに突き進む者。

 

与えられた才能以上の力を努力によって引き出せる者。

 

そして、かつて犯した贖いようのない罪に苦悩し、正しい道を進もうとする者。

 

彼らはそれぞれの守るべきものを持っている。

それは人であったり、尊厳であったり、天使だったりもする。

そして、その中の一人の白い少年は妖怪を守るべき対象としている。

これは絶対に交わることのなかった少年と少女の物語。

彼はどんなに打ちのめされようとも守るもののために何度でも立ち上がる。

それは今も例外ではない。紅い瞳は再び開かれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~学園都市 病院

 

学園都市の病室では騒がしい少年少女によってにぎわっていた。

 

フラン「それでね、あの人ったらいっつもフランを突き放すの!」

 

美琴「ふ~ん、普段は随分とものぐさなのね。」

 

打ち止め「フランちゃん、ミサカもわかるよその気持ち。うちのヨミカワったら帰ってきたらずっとビールばっかり飲んでミサカのお話まともに聞いてくれないもん。ってミサカはミサカは憤慨してみたり。」

 

フラン「でも、反応してくれるだけいいじゃない。フランなんか何を言ってもうるさいからあっち行けーだもん。」

 

フランはツンツン頭の少年の膝の上で頬を膨らませる。

 

当麻「あの~・・・・なんで上条さんの上でガールズトークをしていらっしゃるのでせうか?」

 

フラン「だってこの方がなんか収まりがいいっていうか、落ち着くんだもん。いやいや言いながらもあの人もやってくれるし。」

 

当麻「同情するぜ、一方通行・・・・・・。」ボソッ

 

フラン「?何か言った?」

 

当麻「いえ、何も。(不幸だ・・・・・。)」ハァ・・・

 

美琴「そういえばアンタの保護者はどこにいるのよ?」

 

打ち止め「ヨミカワのこと?ヨミカワならいまアンチスキルのお仕事に行ってるよ。ってミサカはミサカは答えてみる。」

 

当麻「あのお姉さんアンチスキルの人だったんだな。」

 

打ち止め「そうだよ。今回の事件が及ぼした被害は決して少なくない。だから風紀委員だけじゃてが足りないんだって。ってミサカはミサカは補足説明してみる。」

 

グゥー・・・・・・・・。

 

唐突に誰かの腹が鳴った。

 

美琴「アンタねぇ・・・・。いくら貧乏だからってこの子たちの前でお腹空かすなんてなんたることよ。」

 

当麻「いやいや、俺じゃないって。確かに上条さんのお腹は常にペコペコですが・・・・・。」(´・ω・`)

 

打ち止め「自分で言って自分で落ち込んでる・・・。ってミサカはミサカは憐れんでみたり。」

 

フラン「・・・・・・・・・・。」カァァァァァァァ/////

 

当麻「フラン?」

 

フラン「・・・・・・・・・ごめんなさい。」

 

フランは真っ赤になった顔を両手で抑えながら小さな声でつぶやいた。

 

美琴「なんかデジャヴを感じるわね・・・・・・・。」

 

当麻「じゃっ、ファミレス行くか?この時間だし空いてるだろうぜ。」

 

打ち止め「ねぇねぇ、ミサカもついていっていい?ってミサカはミサカは確認をとってみる。」

 

当麻「全然いいぜ、お前も来いよ。」

 

打ち止め「やったー!!ってミサカはミサカは喜びを全身で表してみたり―!」クルクル

 

美琴「アンタ、行く気満々だけど大丈夫なの?」

 

当麻「ん?あぁ、金ならおろせばなんとか・・・・・。」

 

美琴「それはアタシが出せばいいだけの話なんだけど、ってそうじゃない!」

 

美琴の言葉に当麻は首をかしげる。

 

美琴「あの腹ペコシスターは大丈夫なのって意味よ。今頃その辺で野垂れ死んでるんじゃないの?」

 

当麻「」

 

当麻の顔がどんどん青くなっていく。

その顔には尋常じゃない量の汗が流れ出している。

 

フラン「顔色悪いけど大丈夫?」

 

当麻「・・・・・・・・・・・・・・。」

 

無言で当麻はクラウチングスタートの体制をとる。

 

当麻「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!忘れてたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」ダダダダダタ

 

GTーR並みの加速で病室をでていった。

 

美琴・フラン・打ち止め「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

美琴「行こっか。」スッ

 

フラン・打ち止め「うん。」トコトコ

 

美琴は当麻がこの後どんな目に合うのかは大体想像できた。

 

美琴(ご愁傷様・・・・・・。)

 

せめて彼が安らかに逝けるよう祈りながらファミレスへ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

永琳「・・・・・・で、どうするの?」

 

竹林から漏れる僅かな陽光が窓から差し込む永遠亭の一室で永琳は問いかけた。

 

一方通行「フランのことか?」

 

永琳「そのこともそうだけど、この子よ。この子別の時代の人間でしょ?あなたとセットでここに来ちゃったけど大丈夫なの?」

 

一方通行「コイツが元居た世界で殺されかけて、それから病院に運ぶ途中ここに連れ戻されちまったからなァ。大丈夫かどォかなンて知らねェし。むしろ生きてるだけ感謝してもらわねェとなァ。」

 

永琳「時代が変わってしまうかもしれないのよ。」

 

一方通行「俺が行った時代は明治から大正だ。その時代に『鬼』とかいうヤツが存在していたなンて聞いた事がねェ。つまりコイツはかなりマイナーな存在だ。だから大して時代は変わらねェだろォよ。」

 

永琳「どこかの偉い人が草一本抜いただけで世界が変わるとか言ってたわよ。」

 

一方通行「世界がどうなろォがオレは知ったこっちゃねェ。それより、この女の治療は済ンでンのか?」

 

永琳「一応ね。服から手を離さないからあなたの横で施術したわ。そしてあなたの方は処置済みだったし。もうわけがわからないわ。」

 

一方通行「じゃァここに寝かせるときもそうすりゃァ良かったじゃねェかよ。」

 

永琳「き、急用を思い出したからもう行くわね。お大事に~。」スタコラ

 

あからさまに悪意があったといわんばかりの態度をとり、逃げて行った。

 

一方通行「チッ・・・・・。」スッ

 

首元に手を当て、電極に触れてみる。

 

カチッ・・・・・・・ピーッ、ピーッ、ピーッ・・・・

 

一方通行(永琳のヤツ充電してくれてたのか。だが、反応がねェ。電波は向こうと通じるようになってるって紫が言ってたな。ということは、フランの方の電極が切れてンだなァ・・・・・・。)

 

フランの方の電極がついた時のために一方通行は電源を入れたままにした。

そして立ち上がり移動しようとするが、女が服から手を離さない。

彼は今この一瞬だけはこの女に感謝した。もしこのままベッドから降りていれば間違いなく地面とキスすることになっていただろう。

だが、うっとおしいことに変わりはない。

 

一方通行「オイ・・・・いい加減離せよ・・・・・。」グイッ

 

一方通行が服を強引に引っ張っても離さないし、起きる気配もない。

 

一方通行「・・・・・・・クソッタレが。」ヒョイッ

 

背中に身体が浮く程度の風を発生させ、女を何とか抱き上げた。

 

ガララララララララ!

 

永琳「あら、もう行くの?」

 

一方通行「あァ。・・・・・そういやァ、レミリア達はどォした?さっき出てったっきり帰ってきてないが。」

 

永琳「さっき応接間でお茶を飲んで博麗神社へ戻ったわ。何か手伝えることがあるとか言って。」

 

一方通行「確か、オマエンとこの姫さンも博麗神社にいるンだったな。」

 

永琳「ええ、異変が起きたときからずっと寝てらしたわ。今も寝てるでしょうね。」

 

一方通行「呑気な野郎ォだ。」スッ

 

永琳「痛み止めとか渡しておくわね。」

 

一方通行「必要ォねェよ。」

 

永琳「ダメよ、あなたの能力は演算で発動するのだから、どこか痛んだら演算が狂うでしょ?」ガサゴソ

 

一方通行「ンなこたァねェ、オレは学園都市最強の能力者だぞ。」

 

永琳「ここは学園都市じゃありませんよ~・・・・っと。」スッ

 

永琳は棚から薬を取り出し袋に入れた。

 

永琳「そういえば、その体制じゃ持って帰るのは大変ねぇ・・・・。」

 

彼女はまた棚をあさり、小さなショルダーバッグを取り出すとその中に薬袋を入れた。

 

永琳「これで良しっと。」

 

永琳は一方通行の首にショルダーバッグをかけると壁に寄りかかった。

 

永琳「その子もつれていくのね。」

 

一方通行「あァ、世話になったな。」

 

永琳「それにしてもあなた・・・・・・・。」ピクピク

 

永琳は唐突に肩を揺らし始めた。

 

永琳「お姫様抱っこって笑笑」クスクス

 

一方通行「うるせェな、これが一番運びやすいンだよ。コイツ手ェ離さねェし。」

 

永琳「モテモテね。」クスクス

 

一方通行「オマエ・・・・そろそろ黙らねェとその口縫い上げるぞ・・・・・・。」

 

永琳「お~こわいこわい。・・・・そんじゃ気を付けてね。」

 

一方通行「レミリアがここに来たらオレは先に帰ったと伝えてくれ。」

 

永琳「任せてちょうだい。」

 

一方通行は窓を開けると竜巻を巨大化させ、空へと飛び立った。

 

永琳「玄関から出ていきなさいよ、玄関から・・・・・・。」

 

紫「あら、言っちゃったの?」

 

永琳「行かせない方がよかったかしら?」

 

紫「そのほうが助かったけど、まぁいいわ。だって、あの子から来るはずよ。学園都市からフランを連れ帰せーって。」

 

永琳「っていうことは今はできないのね。」

 

紫「はい、すっからかんでございます。」

 

永琳「回復にはどれぐらいかかるの?」

 

紫「うーん、多分それほどかからないけど疲れちゃったから軽く四か月ぐらい寝そう・・・・・。」

 

永琳「そんなことは彼が許さないでしょうね。」

 

紫「そうなのよ~、だから寝ないように頑張ってるの。」

 

永琳「じゃあどうするの?」

 

紫「決まってるじゃない、霊夢から拝借するのよ。」

 

永琳「やっぱりね。」

 

紫「じゃっ、私も博麗神社へ向かうとしますかね。」ヨッコラショ

 

永琳「私も行くわ。向こうにまだ負傷者がいるかもしれないしね。」

 

そうして、紫と永琳はそれぞれの目的を果たすべく博麗神社へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

レミリア「これでケガ人は最後かしら?」

 

咲夜「はい、これで全員みたいですね。」

 

大妖精「すみません。紅魔館の当主の方に手当てしていただくなんて・・・・・。」

 

大妖精は申し訳なさそうに顔を下げる。

 

レミリア「いいのよ、困ったときはなんたらこーたらでしょ?」

 

咲夜「お嬢様、お互い様です。」

 

レミリア「そう!それよ。だから気にしないでね。」

 

大妖精「助かりました、ありがとうございました。」ペコ

 

大妖精は頭を下げながら友達妖精たちの元へ走っていった。

 

レミリア「みんな大したケガじゃなくてよかったわ。もっとこう、血がブシャ―っての想像してたけど。」

 

魔理沙「すごく物騒な想像だな。そんなことになってたら大惨事だぞ。」

 

霊夢「アンタ、よく我慢できたわね。血、大好きなんでしょ?」

 

レミリア「失礼ね、私をそんなはしたない生物としてみないでくれるかしら。誇り高き吸血鬼の末裔なのよ。」

 

霊夢「はいはい、わかったわよ。」

 

霊夢とレミリアが幼稚な口論をしているとミサカ14024号が近づいてきた。

 

14024号「こちらも手当て終わりました。」

 

霊夢「そう。で、どうだった?」

 

14024号「作業は滞りなく進行しました。他のミサカたちも問題なく処置できたそうです。と、ミサカは報告します。」

 

霊夢「そうじゃなくて、みんなの反応よ。」

 

14024号「・・・・・・・・・正直、拒絶されることを想定していましたがそんなことはなく、むしろ友好的に接してくれました。と、ミサカは少々驚いたことを伝えます。」

 

魔理沙「ここの奴らは変わりもんばっかだが、みんないい奴だからな。」

 

14024号「はい、でも皆さんに危害を加えたのは事実・・・・・本当に申し訳ございませんでした。と、ミサカは懇切丁寧に謝罪します。」

 

霊夢「だから、アンタたちのせいじゃないって言ってるでしょ。」

 

魔理沙「そうだ、ガクエントシ?の奴らが悪い!」

 

14024号「そう言っていただけるとミサカたちも気が楽になります。と、ミサカはあなた達の寛大さに感謝します。」

 

レミリア「しかしまぁ変なしゃべり方ね。一言発する度にミサカは~って。みんなそうなの?」

 

14024号「はい、現在製造されている個体は全てこのような話し方をします。なぜこうなったのかミサカにもわかりません。と、ミサカはあまり考えなかったことを考えます。」

 

レミリア「まぁ、話し方は自由だからどうでもいいけど・。気になるわね~・・・・・。」

 

咲夜「お嬢様、そろそろ・・・・・。」

 

レミリア「そうね、そろそろ帰るとしましょう。」

 

霊夢「あら、帰るの?」

 

レミリア「ええ、いくら傘を持っているとはいえ、長い間太陽の下で活動するのは結構辛いからね。」

 

魔理沙「吸血鬼って大変だな。」

 

レミリア「そういうわけだからお暇させていただくわね。」

 

霊夢「ええ、ありがとね。」

 

レミリアは咲夜とともに博麗神社を後にしようとする。が、なにかを思い出したようなしぐさをすると霊夢たちの方へ振り返った。

 

レミリア「そうそう、その子たち・・・・妹達のことね。行く当てがないならうちで泊めることもできるからそれを視野に入れといてね。すぐに帰れそうもなくなったら紅魔館へ連れてきなさい。」

 

霊夢「いいの?」

 

レミリア「一方通行も目覚めたし、学園都市にいた者同士なにかしら都合のいいこともあるでしょう。」

 

霊夢「じゃあ、もしそうなったらお願いするわ。」

 

霊夢の言葉にレミリアは片手で応え、長い階段を下りて行った。

 

咲夜「お嬢様、彼を迎えに行かなくてよろしいのですか?」

 

レミリア「その必要はないわ。だって彼、もう帰ってるだろうし。」

 

咲夜「運命がみえたのですか?」

 

レミリア「違う違う、彼の性格を考えてみなさいな。」クスクス

 

咲夜「確かに、そうですね。」クスッ

 

レミリア「さぁ、彼もお腹を空かせてるだろうし早く帰りましょう。」

 

咲夜「はい。(お嬢様、妹様のことが心配なはずなのにそれを私たちに悟られないよう、気丈にふるまっている・・・・・・。)」

 

心なしかレミリアの歩くスピードがいつもより速い気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方通行「ったく、手間ァかけさせやがって。」

 

一方通行は紅魔館へと帰還していた。いま丁度自分のベッドに女を寝かせたところだ。

しかし、彼女は相変わらず一方通行の服を離さない。

 

一方通行(まだ離さねェのかよ・・・・・・・。)スッ

 

一方通行は彼女の頭に触れると生体電気の操作を行った。

半ば強制的に手を開いたのだが、その開いた手はずっとこわばっていた。

 

一方通行(力入りすぎだろォ。一体どォなってンだ?)

 

不思議な生体電気の流れに興味を持った一方通行は血流、脳波などを調べてみることにした。

 

一方通行(・・・・・・・・血流が異常に速いし、血中酸素飽和濃度が極端に高い。)

 

血液に含まれる酸素の量が異常に多い。大量に取り込まれた酸素により体内組織が異常に活性化している。

 

「フゥゥゥゥゥゥ・・・・・フゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・・・。」

 

一方通行(これは・・・・・・呼吸か?)

 

彼は彼女の呼吸器系に意識を集中させる。

 

一方通行(肺が、以上に大きい。それに空気の取り込み方が普通じゃねェ。コイツホントに人間かァ?)

 

とりあえずメカニズムは理解できた。著しく増強させた心肺により、一度に大量の酸素を血中に取り込むことで、瞬間的に身体能力を大幅に上昇させる特殊な呼吸法。

そんなものが存在していたとは彼は全く知らなかった。それにこのような無茶な呼吸法を行えば肉体には相当の負荷がかかるはずだ。

それをこの女は当たり前になおかつ継続して使用している。

 

一方通行(オマエの方ォが化け物じゃねェか・・・・・・。こんな力で握ったら刀が壊れちまいそうなモンだがなァ・・・・・・。)チャッ

 

一方通行は女の枕元に鞘に入れた折れた日本刀を置くと彼女から離れ、近くに会ったソファに寝転がる。

 

一方通行(これで能力まで封じられてたらオレはただの廃人だな・・・・・・。)ゴロン

 

このところ精密な演算続きでさすがの彼も疲弊していた。

それに至る所が痛むのにも関わらず、肉体を酷使し続けた。

彼は死んだように深い眠りに堕ちた。

 

 

 

パチュリー「あら、おかえりなさい。」

 

レミリア「パチェ、一方通行は帰ってるかしら?」

 

パチュリー「ええ、さっき結界に反応があったわ。今は・・・・・部屋にいるみたいね。」

 

レミリア「ありがとう。」

 

レミリアが図書館を立ち去ろうとするとパチュリーが呼び止めた。

 

パチュリー「ねぇ、レミィ。」

 

レミリア「なにかしら?」クルッ

 

パチュリー「結界に一人知らない人間が反応してたわ。一方通行と一緒だったから通しちゃったけど、良かったのかしら?」

 

レミリア「大丈夫よ、彼女は私の客人だから。」

 

パチュリー「そう、呼び止めて悪かったわね。」

 

レミリア「そうそう、幻想郷に侵入してきたクローンの子たちだけど、もしかしたらうちで引き取ることになるかもしれないから。」

 

パチュリー「当主はあなたでしょ。私は口出ししないわ。」

 

レミリア「一応、ね。」

 

そう言うとレミリアは図書館を後にし、一方通行の部屋に向かった。

咲夜には美鈴の目覚まし時計になってもらったため途中で別れた。

彼のことが心配だし、学園都市でなにがあったのか聞きたい。

そして彼が連れ帰った女のことも気になる。

 

レミリア「しかし、疲れたわねぇ・・・・」スタスタ

 

そんなことを思っていると彼の部屋の前に到着した。

 

コンコン・・・・・・

 

一方通行「あァ?誰だァ?」

 

レミリア「失礼するわね。」ガチャ

 

一方通行「レミリアか。」

 

レミリア「身体の調子はどう?」

 

一方通行「問題ねェよ、かすり傷だ。」

 

レミリアはそう言って傷の深さを隠そうとする一方通行を心から心配していた。彼は普通そうにしているが服の下に巻かれている包帯の膨らみから相当な傷を負ったのだろう。

一方通行はそんなレミリアの思いが分かってしまったため、バツが悪そうに視線をベッドに移す。

 

レミリア「その子・・・・・。」

 

一方通行「あァ、すまねェがしばらくここに置いておくことはできねェか?」

 

レミリア「別にいいわよ。もともと妹達を引き取ろうと考えてたのだから一人増えたところで変わらないわ。」

 

そう言ってレミリアは女の元へ近づく。

 

レミリア「綺麗な髪飾りね。・・・・・あら、この縛り方ならもう片方もあるはずじゃないかしら?」スッ

 

レミリアは女の髪に触れようと手を伸ばす。

その瞬間・・・・・・・・

 

ドォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・!

 

一方通行(!空気が、重く?!?!)

 

チャキ!!

 

金属の音がする。

 

一方通行「ッ!!!!」バッ

 

女はいきなり起き上がり、柄を握りしめている。

 

「フゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・!!」

 

レミリア「え?!なに?!」

 

「花の呼吸、肆の型 紅花衣!!」ブォッ!

 

女は折れた刀身を大きく円を描くように振るった。

斬り付けられる寸前にレミリアは何も無いはずの空間に紅い花でできた衣に包まれる光景を見た。

不思議な剣技に見惚れるレミリアの頸に刃が届く。

 

ギュィィィィィィィン!!!!

 

だが、その刃が彼女の首をはねることはなかった。

 

「え!?何故、呼吸の型が・・・・・!」

 

「決まってンだろォ・・・・・・。」

 

握られている刀身が砕け散る。

 

一方通行「この俺が・・・・・・止めたンだからなァ!!!!」グッ

 

一方通行はもう一方の手で女を殴り飛ばす。

女は壁に叩きつけられ、苦痛の声を漏らす。

 

「くぅっ・・・・・・・・!」

 

そして、一方通行が手を女の方へ向けると、彼女は壁に磔にされた。

 

(なんなの!?これ・・・・・。落ち着け、呼吸で・・・!)フゥゥゥ...!

 

だが、彼女は呼吸をすることは出来なかった。

驚きと焦りで女の額に汗が流れる。

 

一方通行「驚いたかァ?オマエのチカラの源はとっくに割れてンだよ。」ズィッ

 

一方通行は女に顔を近づける。

 

一方通行「酸素だろ?血中に一度に多量の酸素を送り込み、それによって膨張した筋肉によって瞬間的に爆発的な力を得る。

なら話は簡単だァ。肉体を強化するために取り込んでいる酸素の供給をを止めちまえばいい。つまりィ・・・・・・・・。」グッ

 

一方通行は拳を握りしめる。

 

一方通行「呼吸させなきゃいいンだろォがァ!!!」ニタァ

 

彼は空気の流れを操り、彼女の手、足、首を風の枷で拘束していたのだ。そして今、彼が拳を握ったことにより更に締め付けが強くなる。

 

「・・・・ぁ・・・・・・・はっ・・・・」

 

女は窒息した魚のように口をパクパクさせている。

 

一方通行「オマエがどンな理由でレミリアに斬りかかったのかは知らねェ。だがなァ、コイツらに害を及ぼすヤツは誰であろうと許さねェ。」

 

「・・・・・な・・・ん・・・・で・・・・・・?」

 

一方通行「・・・・・あァ?」

 

「そいつは・・・・鬼。人間じゃないはず・・・・・・。危・・・な・・いわ・・・・・。な、のに・・・・・人である・・・・あな・・たが・・・・・な・・ぜ・・・・・?そんなに・・・ボロボロ・・に・・・なってまで・・・・・・・。」

 

一方通行「人?鬼?関係ねェよ。例え人外の存在であろォがそれが必ず悪党とは限らねェ。コイツらのよォな反吐が出るほどの善人だっているンだよ。」

 

レミリア「・・・・・・・・・一方通行。」ボソッ

 

一方通行「さァ、どォする?このままやるってンなら全身の血液を逆流させて、愉快な血風船にしてやる。せっかく拾った命、無駄にするか大切にはするか、オマエが選べ。」

 

「・・・そ・・・の・・子は・・・危険・・じゃ・・・ないのね・・・?」

 

一方通行「バカがァ。オレみてェな悪党とコイツを一緒にするな。見ず知らずの人間の為にここまでしてやるヤツのどこが悪人だァ?」

 

そう言って一方通行は女に部屋を見渡すよう促す。

彼女は部屋を見渡した後、ここが小さな人外の者の屋敷であることに気づく。

 

「・・・・・・・・・・・。」パッ・・・

 

チャキ・・・・・・・・。

 

刃の無くなった柄が床に落下する。

どうやらレミリアを、というより一方通行を信用したらしい。

 

フッ・・・・・・・・・

 

それと同時に一方通行も風の操作を停止する。

風の操作をすべてやめてしまったがゆえに彼の身体を支えていた風も消えてしまう。

 

一方通行「ッ!」フラッ

 

ガシッ!

 

レミリア「っと、危ないわね。・・・・・全く。」

 

レミリアは一方通行をソファに座らせる。

 

一方通行「ったく、神経の補助がねェとこンなに面倒ォだとは思わなかったぜ。」

 

遠回しにレミリアに礼を言った(?)一方通行は床に這いつくばり、咳き込む女に視線を向ける。

 

「げほっ!げほっ!・・・・・・・・・・フゥゥゥ.......」

 

レミリア「すぐに呼吸を整えてる。ただものじゃないわね。一方通行、この子の名は?」

 

一方通行「・・・・・・そういやァ、なンも聞いてねェな。」

 

レミリア「名前すら?嘘でしょ・・・・・・・。」ハァ

 

レミリアは呆れたといわんばかりのため息をつき、女へと歩み寄った。

 

レミリア「うちの者が失礼したわね。私はこの紅魔館の当主、レミリア・スカーレットよ。」

 

「え!?当主?そこの白いのの娘じゃなくて??」

 

どうやら女は一方通行が当主でレミリアがその娘であると勘違いしていたらしい。

 

一方通行「」ブフッ!!

 

レミリア「・・・・・・・・。」ギロッ

 

一方通行「・・・・・・・・・。」

 

レミリア「私、こう見えて500歳なのよ?」

 

「あぁ、そうなのですね・・・・・(そういえば鬼もそのぐらい生きれるわよね。)」

 

レミリア「あなた、名前は?」

 

カナエ「胡蝶、胡蝶カナエです。先程はいきなり斬りかかってしまい申し訳ありませんでした。」サッ

 

カナエはかしこまり、頭を下げた。

 

レミリア「かしこまらなくていいわよ。それに敬語もいいわ。もう知ってると思うけど、そこの白いのはすっごく口が悪いのよ。」

 

一方通行「ンだと?」

 

レミリア「あら、白いの。なにかしら?」

 

完全にさっきのことを根に持っている。

こうなってしまったのは自分が原因なので流石に短気な一方通行も怒りをぐっとこらえた。それに自分より年上とはいえ、見た目ガキみたいなレミリアに怒っているのをを見られるのは恥さらしだ。

 

カナエ「あらあら、その人の口が悪いのはもう知ってるわよ。」クスッ

 

一方通行「・・・・・・・・。」ギロ

 

カナエ「」ビクッ!

 

レミリア「やめなさい、怯えているでしょ。」

 

一方通行「なンもしてねェよ。」

 

レミリア「あなたただでさえ目つき悪いんだから気をつけなさい。」

 

カナエが怯えるのも無理はない。先程、自分の命を文字通り握られていた男に睨まれたのだから。

 

一方通行(ホントに睨ンでねェってのに・・・・・・。)チラッ

 

カナエ「ひっ・・・・・・!」ガタガタ

 

どうやら一方通行が横目で見るだけで睨んでいるように見えてしまうらしい。

 

一方通行「わかった、わかりましたよォ。もう横目で見ねェからそンなに怯えンな。」ガサゴソ

 

一方通行はズボンのポケットを漁り出した。

そして何かを取り出すとまた風を操作し、カナエにゆっくり近づいた。

 

一方通行「オマエが寝てたとき、病院のベッドにあったモンだ。壊れちまってるが・・・・・・・・大事なモンなんだろ?」スッ

 

そっと拳をを開き、手のひらをカナエに差し出す。

 

カナエ「これは・・・!」サッ

 

カナエは慌てて自分の髪を確認する。

片方はあるがもう片方がない。

 

一方通行「あの時、下に居たしのぶってガキか?アイツも同じやつ着けてたなァ。」

 

カナエ「えぇ、これは私の、とても大切な・・・・・・。」スッ

 

一方通行の手にカナエの手が置かれる。

髪飾りごしだが一方通行の手はすごく温かった。

カナエの身体の震えは止まらない。

だが、それは恐怖による震えでは無くなっていた。

すごく熱いものが込み上げる。

 

カナエ「大切な人から貰った大切な蝶々だから。そしてあの子たちと私を繋ぐ、大切な絆だから。」ポロッ

 

カナエは止まらない涙に困惑している様子だ。

一方通行とレミリアは黙ってその様子を見ていたが、ふいに一方通行が言葉を発した。

 

一方通行「命拾ってよかったじゃねェか。だから、オマエが持つ大切なものってェのをこぼさねェようにしろ。・・・・・・オレとは違うンだからよ。」

 

レミリアは目を伏せる。一方通行の過去は学園都市から帰ってきた姿をみれば、相当酷いものであると分かってしまったからだ。

カナエは一方通行が一瞬見せた悲しそうな表情を見逃さなかった。

 

カナエ(私と同じでこの人も何かを失ってるの?)

 

聞きたい気持ちもあったがカナエの口は動くことは無かった。

自分ではこの人の闇を理解できるとは思わなかったからだ。

それほどまでに一方通行からは底知れぬ闇を感じた。

 

レミリア「あなたって冷たいのか優しいのかわからないわね。」

 

重い空気はレミリアの気の抜けた言葉で払拭された。

 

一方通行「・・・・・っせェなァ。」

 

一方通行はため息をつくとソファに座り、疲れたといわんばかりに横になる。

 

レミリア「寝るの?」

 

一方通行「考え事するだけだ。ソイツを連れて出ていけ。」

 

一方通行にはまだやるべきことが残っている。

まだ、この館に帰ってくるべき少女がいない。

レミリアは即座に察してカナエを促し、彼の部屋を後にした。

 

カナエ「あの人って何を考えているのかわからないわ。」

 

レミリア「彼にはやることが残ってるの。それを成すために何か考えてるんじゃない?」

 

カナエ「やることって?」

 

レミリア「・・・・私の妹をここへ取り戻すこと。」

 

レミリアは低くつぶやく。心配で仕方がないのを他人に悟られないように努めていたがどうしてもそれが漏れだしてしまう。

カナエにはその気持ちが痛いほどわかった。

向こうにおいてきた妹たちのことが心配で仕方がない。

 

カナエ「・・・・・聞かせてくれるかしら?あなたの妹のこと。」

 

レミリア「えぇ。」ニコ

 

人外の存在を憎み、斬り伏せる者との絆が初めて生まれた瞬間だった。

台本形式以外の書き方にしてほしいか

  • してほしい
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