息吹の叙事   作:黒兎可

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※テンプレ回注意
今回からちょっとオリジナル? というか、過去話にゲーム性、物語性をつけるための仕込みめいた何かを行います・・・


彼の者、兵士訓練所最終試験に臨む

 

 

 

 

 

 深夜、月が頂点に上る夜。もっとも雲が陰り、わずかに雨が降るさ中です。

 雷鳴と稲光を背景に、聳え立つ建物が一つ。北ハイラル平原の北方に位置する建造物は、シーカー族らしくというべきか天体観測用の望遠装置が建物の最上部に設置されている。

 4階か5階か、その大きさの異様さで言えば、位置の関係もあるが城にも勝るとも劣らない存在感を放つ。

 王立古代研究所――――ハイラルの学者や研究者の多くが行きかうこの場所は、しかし現在は静かだった。

 さすがに深夜まで働き詰めの研究者は早々いない。現在周囲様々からの風当たりが強く、深夜にともす照明の資材費すら切り詰めている。最もそこまで困っているということではなく、いわゆる「今月のキャンペーン」みたいなノリだ。このあたり、企画賛同者のプルアと、意外とそれによって浮く経費が馬鹿にならない事実に愕然としたインパという一幕はあるが、さておき。

 研究所のさらに北方、施設からそう離れていない位置にテント張りがされている。その下には分解された多脚型ガーディアンが3、4体と、小型ガーディアンが10体ほど。現在研究所が有する防衛兵装の一覧である。

 先日の件の検分の際に表に出され、まだ室内に仕舞われていないのだ。

 野ざらしとは言わないが管理が若干雑であるものの、一応は周辺に警備の兵士たちがいるため盗難の可能性が低いこと、また雨風でさほど劣化はしない素材であることなどが手伝って、今のところ施設内に再搬入するまで至っていないのが現状であった。

 

 そんなガーディアンが並ぶ中に、ぽつりと、黒い男が一人。

 

 ハイリアのフードにローブ姿は、その中の実態がつかめない。わずかに線の細い男であることはわかるが、少なからず「ふと湧いて出たような」、そういった芸当ができるだろう者はいまのところ確認されていない。ある種

幽鬼か何かのようなその現れ方は、明確に彼の異常性を物語っているだろう。

 ただ、当然出現方法が出現方法だったこともあるせいか。その存在は警備の兵士たちに気づかれない。背後に回れば「ふいうち」で仕留められてしまうだろう、それくらいの見事な隠形だ。

 ただ、別に彼の目的はそこにないらしい。

 足を進めた彼は、やがてガーディアンの置かれている中、一つの透明なガラスケースに収められた部品を前にしゃがみこむ。

 その「古代の大きなコア」には、メモ書きがいくつか添付してある。

 

 暴走機体のコア、兵士リンクによって破壊済――――。

 備考:機体はハイラル城西坑道にて発掘――――。

 

「確か報告書には『厄災の影響』とありましたか。さて……」

 

 言いながら、男は左手に一冊の書物を持つ。

 それは全体の色としては土のように玄く、表紙の中央に「赤いひし形の宝石」が埋め込まれていた。また表紙に限らず、各所には同様に菱形をあしらった模様。

 そして裏表紙には、「黒いトライフォース」が描かれており――――。

 

「――――♪」

 

 片手で口笛を吹くように、メロディを奏でる。ゼルダ姫かプルアあたりがこの場に居れば、それがハイラル王家に伝わる「姫巫女の子守歌」に近い音程であることに気づくだろう。もっともメロディライン事態はそれを「逆さまにした」「より古い時代」における「女神の詩」であるのだが。

 と、音色に合わせて手元の本、その表紙の宝石が点滅する。

 

 そして曲の演奏が終わると同時に、コアから「赤と黒の」何某か力の奔流があふれる。

 それが表紙の宝石に吸い込まれると、一瞬本が「燃えるように」輝き、空中に浮かんで自動的に開いた。

 浮かび上がった文字は、紙面を焼くように刻印される。

 

「…………なるほど。おおむね時期は変わらないと。であるならば急がなければいけません」

「誰かいるのか?」

「おっと。警備も流石に、そこまで愚かではありませんか……」

 

 さきほどの指笛を聞き、巡回の兵士たちが回ってきたのだろう。

 しかしローブの男は特に慌てた様子もなく、本の表紙を指でなぞり――――そしてその姿は跡形もなく消えた。

 

 先ほど男がいたあたりまで兵士が歩いてきて、周囲を見回す。

 

 結局この日、警備での異常は報告されなかった。

 

 

 

 ※  ※  ※

 

 

 

 兵士訓練所の最終試練とは、すなわち合格により騎士へと認められるというのを指す。

 もっとも一言で合格とは言えど、それは決して一対一で行われるものではない。いうなれば巨大な魔物に対して、三人から五人一組ほどで戦い、兵士としてのチームワーク、戦略、そして戦闘能力を養えているか実際に上官が試験するものである。

 故に魔物というのは大型のもの、ヒノックスを例にとり行うこととなっていた。

 これは年に2回ほど、遠隔地から青ヒノックスを取り寄せ、城の牢屋近くにある試験場へと「落とす」ものである。鎖で拘束された魔物は、上部の天窓(というよりもマンホールに近いが)が閉じられることによって解放され、ギャラリーたちは窓の格子の上から下方を観察するという流れでもあった。むろん、雨であれば兵士たちは牢屋の側、試験者たちが入場した入り口の側から内部を観察することになるが、さておき。

 

 場所が牢屋近くであるのは、当然のごとく魔物を用いた試験に危険性があるから。

 それと同時に、人が多い場所にとらわれるせいか、それとも「ハイラル城」であることが理由かは定かではないが、魔物が普段以上に活発に動くためである。

 このあたりについては「まぁそんなものだろう」ということで深く研究などはされていないが、通例として城に大型の魔物を運び、試験で倒すという習わしが出来上がっていた。

 

 だからこそ、普段ではありえないイレギュラーな時期での試験は、兵士、騎士たちにやはり波紋を生んだ。

 わざわざこの時期に、しかも「たった一人で」大型の魔物に挑む兵士という存在は、かなりの好奇の視線を向けられて当然。 

 

「――――、……」 

 

 しかも相手が相手である。

 かの寡黙な兵士見習い。戦闘経験の噂は大いに上がってくるものの、実際には長年兵士見習いのままだったその少年が、である。先日の「退魔の剣」の試し(ヽヽ)で悪評も増えた、その彼が。たった一人で、武装もまた一般騎士レベルで戦うというのだ。

 この対戦カードは、大いに人々をにぎわせる。トトルカチョ、かけ事の対象になる程に注目の的であった。

 

 リンクについて、退魔の剣を手に入れる前からその異常性を知っていた者たちは彼の勝利に。

 退魔の剣を得てからその異常性を見知ったものは、退魔の剣を使わないということでの彼の敗北に。

 そして一部、本当に「畏怖」を抱いてしまった何者かは、どちらにも手を挙げず――――。

 

 たとえば、騎士アッシュなどがその代表例であった。

 

「相変わらず静かなヒトだ……」

 

 腕を組み、目をつむり、静かに訓練所の壁で静かに佇む少年。もっとも服装は例によって若干おかしく、頭部は赤い登山者でもつけていそうなバンダナ、ハイリアの鎧に雪原走破用のブーツという出で立ちである。何かしらこだわりでもあるのだろうか、それとも他のパーツは壊してしまって替えがないのか。どちらにせよアッシュは知りえぬことではないし、聞き出そうという気も起きない話ではあった。

 ちなみにハイラル兵の服装規定は、最低限がハイリアの鎧である。もっとも式典など、遠方への遠征含め大半の兵士たちは、業務中は全身鎧に覆うことが多い。これは決して職務に真面目という訳ではなく、単純な防御力を優先させるためだ。

 その点でいえば、なるほどわざわざ軽装に近い格好をするあたり、彼の少年はやや不可思議であった。

 

「――――、……………」

 

 精神統一をしているのか、それとも転寝でもしているのか。ざわつく訓練場においても、少年の涼し気な様子は変わらない。歯牙にもかけていない、と見えなくもないそれは、状況によって己の戦闘力が左右されることがないだろう安定感を見ているものに与える。ある種、理想的な兵士の佇まいでもあった。

 それを前にするからこそ、アッシュは言い知れぬ委縮を感じる。

 

「おぉ、騎士アッシュ。貴女はどちらに駆ける?」

「む? 君は……、バクドウといったか」

「お、覚えていてもらえましたか!」

 

 訓練所には当然のように兵士見習いも多くおり、つい最近リンクに絡んだ彼もまたこの場に居た。天にそそり立つ赤毛の特徴的な、やや掘りの深い顔。ハイリア人らしいハイリア人らしい、しかしややその体躯は恵体といえるだろう。

 もっともアッシュとて女性的な細さはあるが、決して華奢という程線は細くない。

 このあたり、リンクが異常に少年らしさを残しすぎているとも言えた。

 

「君たちもしているのか、ギャンブルめいたこれを……」

「まぁ賭け事といっても、せいぜい『がんばりハチミツのプリン』程度ですから。来週末の昼食のデザートの」

「嗚呼、あれは美味いな。十分掛け金として釣り合うか……。

 まぁ、期待に沿えなく悪いが、私はやらない」

「それまた、なんで?」

 

 ちらりとリンクの方を見る。当然のように視線は閉じられたままだが、アッシュは何故か自分たちの会話も聞かれているような、そんな恐ろしさを感じる。

 実際その予想は大きく外れてもいないのだが、リンク本人は黙したまま。

 やや腰が引けたように、アッシュは語った。

 

「……結果が見えている賭け事に乗るほど、私は趣味が悪くない。人が悪い、という方が正しいか」

「人が悪い? えっと、あいつがぶっ飛ばされるってことですか?」

「逆だ。……ヒノックス程度(ヽヽ)にやられる絵が、私にはどうしても思い浮かばない」

 

 彼女自身、リンクと相対した時点で伝承にしか聞かない「黄金の魔物」、それも「獣王ライネル」を超えた「獣神ライネル」のそれを想起してしまったのだ。背後にそれだけの恐怖を感じ取ったということでもある。

 つまるところ、自分と相手とはそれほど離れていると「嫌味なほどに突き放された」と感じているが故に、その畏怖は敬意へと変わることなく恐怖として染みついてしまっているのだった。

 彼女自身、そこまで分析できるわけもないが(リンクについて誤解が過分に多いのが原因だが)、それでも本能的に、そのプレッシャーがヒノックスなど比ではなかったと訴えかけてきている。

 なるほど、厄災と戦うにはあれほどの戦士でなくてはならないのだろう。音に聞く退魔の剣の勇者として、納得の実力ということだ。

 

 彼女がその話を語るよりも先に、騎士団の部隊から声がかかる。

 

「兵士リンク。準備が出来た。付いてこい」

「――――、行きます」

 

 腕をほどき目を見開く。

 容貌はやはり美しく完成されたそれである。

 一見、それだけでは実力が推し量れないほどに。

 

 兵士たちもぞろぞろと西坑道周りの上部へと向かう。

 

 ちらり、とリンクの視線がアッシュに向く。

 彼女は思わず、少年のそれから顔をそむけてしまった。

 

「――――、…………」

 

 無表情。やはり何を考えているかは、余人にはわからないその顔。

 インパあたりが居れば、ばつが悪そうだ、という程度には思われるだろうそれであったが、さておき。

 

 牢屋の側から回り、入り口付近で騎士たちから武器を手渡される。それぞれ騎士の剣、槍、兵士の両手剣に弓。

 盾については特徴的な装飾と形状なゾーラの盾であり、珍しくリンクは少しだけ力の抜けた笑みを浮かべた。もっとも、それとて一瞬である。

 

 そして檻の向こうには、鎖で縛られたヒノックスの青い巨体。一つの大きな目玉はぎょろぎょろと天窓の穴、またはリンクたちの方を行ったり来たりし、今にも敵を見定めている様子だ。首に下がるは武器が三つ。一つは属性魔法を帯びたそれであり、すなわちこのヒノックスが「それなりに長生き」してきた個体であることを象徴していた。属性武器を首から下げてるとなれば、つまり属性武器を帯びた使い手を「殺した」ということであるのだ。

 

「――――、制限は」

「特にはない。まぁ、露骨に逃げまどいすぎるのは良くないってくらいだな。

 といってもお前さんは一人だし、そこは加味されるだろうけど」

 

 存外、リンクに武器を手渡した兵士は気が良い相手であるようだった。彼に接するものにしては珍しくフランクである。

 リンクはそれに表情を変えることはなかったが、相手は何故か楽しそうに「がんばれよ」と背を押した。

 

 牢屋に入るリンク。と、騎士団長や貴族が数人。どうやら今回の試験官という扱いらしい。

 

「はじめ――――!」

 

 号令と共に天窓の格子が閉じられ、ヒノックスが解放された。

 

 

 

【ハイラル城地下の ヒノックス】

 

 

 リンクは弓を構えて一撃。当然のようにその一射はヒノックスの目に吸い込まれるよう命中した。

 ぐらりと巨体が揺らめく。

 当然のように走り接近し、兵士の両手剣を構える。そのまま振りかぶり、遠心力で足を何度か切りつけ、地面に叩きつけた。

 

 悲鳴を上げ立ち上がるヒノックス。と、リンクはこれまた猛烈な速度で距離を取り、武装を弓に持ち替えた。

 

 一連の動きの無駄のなさに、まず多くの兵士たちが驚嘆の声を上げる。

 とはいえこのレベルであれば、まだ常人にも理解が及ぶ範囲だ。

 

 だが一部の者は知っている。特に何も問題がなければ、その「ルーチンワーク」をひたすら少年が繰り返すだけでこの戦いが終わるだろうと――――。

 

 舌打ちが聞こえる。と、訓練場の門番をしている兵士が見れば、貴族の小さい肥満体の男が、あからさまに不快そうな表情をしていた。一方、隣の貴族は表情に余裕がある。

 騎士団長は表情を変えず、じっとリンクの戦いを見つめていた。

 

「――――、!」

 

 異変は戦闘中に起きた。二度目の転倒に際して大剣を構えたリンクであったが、しかし一撃入ったと同時に武器が砕ける。

 しかし慌てることなく片手剣に持ち替えれど、それとて「5発も持たない」。

 

 あからさまにおかしい。武装の耐久が脆すぎる――――。

 

 地面から岩を投げるヒノックスのそれを、噂に聞くように盾で猛烈な速度ではじく少年。その姿を前に、先ほど彼に武器を手渡した兵士は、驚愕と憤りを隠せないでいた。

 

「……っ、なんであんな粗末な武器なんだっ」

 

 上から見ている連中は一種のショーのように見ているせいか、武装の欠損によりリンクが陥るだろう窮地を予想して湧いている。一種の浪漫、スペクタクル、スリルを見てる感覚だろう。

 だが彼を送り出した、気の良い兵士は違う。前日に武装を新品同様のメンテナンスがされたものに取り換え、かの少年に手渡したのはほかならぬこの男である。だからこそ、その耐久度の低さに違和感があった。

 

 くつくつと、こらえきれない笑い声――――。

 

 見れば、先ほど余裕層にしていた貴族が笑いを抑えていた。もっとも腹を抱えて、今にも噴出しかねない様である。よほど手持ちの武装が次々壊れ、距離を取らざるを得なかったリンクが面白いのか。小さな太った貴族も何故か満足そうである。

 

「騎士団長――――」

「――――試験は続行する」

 

 明らかに不正である。怒りのあまり思わず武器を構えようとした兵士を、騎士団長は「王家の剣」を構えて諫めた。その表情は、どこかリンクに通じる無表情のまま。ただただリンクの、ことの推移を見守るばかり。

 

「――――ちっ、なんでアンタが庇うんだよっ」

「それが、務めだ。そして、彼の者の務めでもある」

「務めって……」

 

 鋭い視線の先のリンクは、しかし手持ちの武器に不正があったとしても、何一つ様子が変わらなかった。

 

「――――、ふっ」

 

 槍を構え、ヒノックスの目玉根掛けて投擲。破損と同時に弓矢で射った時のような一撃が入り、目の痛みに叫びを上げながらヒノックスは倒れた。

 

 しかし、リンクはあろうことかヒノックスの腹を「登り始めた」。

 蹴りを入れるように駆け上がり、首元へと手を伸ばす。

 

 これには他の面々も一瞬、言葉を失う。

 

「――――っ」

 

 当然のように、また「慣れたように」武装をひったくるリンク。

 属性武器「雷鳴の大剣」、それから王家の剣に槍。

 武装一式、弓矢と盾以外を入れ替えるような編成である。

 

 再び立ち上がるヒノックスに、もう一度だけ矢を放つリンク――――弓は破損。

 倒れたヒノックスに、雷鳴の大剣で4回転の大回転斬り――――大剣は破損。

 

 びりびり痺れながら立ち上がろうとするヒノックスめがけ、槍で突く。 

 しびれが切れて立ち上がったヒノックスめがけ、再び槍を投擲――――槍は破損。

 

 一連の流れは、驚くほどまるで「示し合わせたかのように」、少年の動きに符号している。

 だが、当然これがおかしいと気づく兵士もいる。ショーとして見ている大半の彼らは気づいていない、この「緊急回避的に代用するような形で」「動揺すらせず確実かつ効率的に」敵を殺しにかかる様は。

 

 そう、それこそ正しく、騎士アッシュが抱いたようなそれ。恐怖心すら抱くほどに、洗練された動きだった。

 なるほど、これなら連携など必要あるまいと――――少年の本心とは別に、そう解釈されるだけの力を、見せつける結果になっていた

 

「――――っ、でや」

 

 そして最後に剣を一度振り、顔の左横で構え、溜め――――回転斬り。

 剣の破損と同時に「始点」と「終点」での二連撃。

 

 これを前に、ヒノックスはその場で倒れ、舌を伸ばし目をあらぬ方向に向けていた。

 

 

 

 もはや起き上がる気配のない魔物を前に、兵士たちのボルテージは最高潮に達していた。

 賭けに勝ったものは当然わき、負けたものは嘆き。

 

 そして試験場の入り口においては、唖然とした様子の貴族と門番の兵。

 

 騎士団長は一言「うむ、見事」のみ。

 

 

 

「…………下手に小細工したところで、結果は変わりませぬよ。ソデッツ殿」

「っ!? 貴様、インパ執政官っ」

 

 ふと、背後から声をかける少女。彼女の背後にはまた別な騎士たちがおり、すぐさま二人の貴族を取り囲む。

 

「研究所のスポンサーを買って出ようという流れからの見学と言いつつ、何を企んでいたのかまでは知りませぬが……」

「し、証拠はあるのか!」「我々は貴族だぞっ、たかが『蛮族』ごときに」

「――――これは心外じゃ。我らは太古の昔より、女神ハイリアの影に従う一族なり。現在ではともかく、格で言えば貴殿らなど足元にも及ばないものと、自負して居るがの」

 

 蛮族、の一言と共に視線を細めるインパ。このあたり、冷静に受け流せない程度には彼女もまだまだ子供だということか。売り言葉に買い言葉ではないが、さらに激昂する貴族たちに、インパは告げる。

 

「今回の件での証拠についてはありませぬが、別件がございます。具体的に言えば『軍事費の商業的横領』とか。

 事情聴取にちょうど良いので、しばらくその牢屋にでも入っていてもらいます」

「「っ!?」」

 

 手早く指示を出して、わめく二人を連行するお付きの騎士たち。

 この手際を前に、思わず「騎士団長、知ってましたね?」と聞いてしまう騎士であった。

 

「――――、…………」

 

 一方でリンクは、上方をちらりと見る。

 そこに、騎士アッシュの姿はなかった。

 

 

 

 

 

 

 




【ハイラル城地下のヒノックスについて】
・100年後においてはスタルヒノックスと化していますが、今作では「生きてるヒノックスを持ってきていた」という風に取り扱ってます。
・このあたり、闘技場などを見るに生きている魔物を連れてくる程度の戦力とかは当時ハイラルに存在したのでは? と考えられるので、そのあたりが解釈元です。きっとたまりにたまったヒノックスの怨念が、100年後の英傑を襲ってるはず・・・?
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