魔法少女リリカル未婚の母(シングルマザー)   作:那智ブラック

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次の話まで間が空くのと、あとなのはちゃんヒロインポイントを溜める為の話


閑話:男の夢

 目が覚めると知らない部屋だった。乱雑で、狭くて、ベッドには天井が付いていてその天井が低いのだ。

 寝惚けた頭でそこから顔を出してみると、なるほどベッドは二段ベッドだったと気付く。そうして見渡せばそこにいるのは

 

「ん、おぉタロー。起きたか」

 

 着替えている途中なのか、上半身が裸のザフィーラさんだった。筋肉質なその身体は、実用的な面から見ても肉体美的な面から見てもレベルが高い。尊敬できる身体である。見事な逆三角形だ。

 下半身は何やら見慣れない黒一色のスラックス。俺が観察している間にも、ザフィーラさんは手慣れた様子で白いシャツを羽織りボタンを次々留めていく。礼服、なんだろうか。

 

「ザフィーラ、さん?」

 

「なんだ、堅苦しいな。先輩、でいいと言ってるだろう」

 

 そう言ってワイルドに微笑むザフィーラさんは、なんだかいつもより距離が近い気がする。

 最後に、シャツの上にザフィーラさんがもう一枚重ねて着たそれを見てようやくピンと来る――それは詰襟。ブレザータイプのものを着用する軍学校に通っていた自分には馴染みのない、一般的な詰襟の学生服であった。

 

 そうして朝から情報を集めた所によると、俺は凛々駆(リリカル)高校に通う高校二年生であり、今は寮暮らしで部活の先輩であるザフィーラさんと相部屋だという事だ。鏡を見てみれば、ご丁寧に顔の印象が若くなっている気がする。それほど自分の顔を見る機会がないので定かではないけれど。

 訳が分からないが、とにかく今の俺はごく一般的な、魔法の存在しない世界の高校生らしい。釈然としないものを感じるが、まぁこうなってしまった原因を探るにもこの世界について知らなければならない。なのでザフィーラさんについて学生生活をしてみる事にした。

 まずは朝食だ。学生寮から少し離れた所に食堂があるらしい。

 

「おーっほっほっほっほ! 生徒会長のお出ましやでー!」

 

 道すがら、なんだか聞いた覚えのある関西弁と聞いた覚えのない高笑いが聞こえた。

 なんだかあまり見たくないものが見えそうだったのでぐりんと顔を別の方に向けたが、否応なく周囲の声が耳に入ってくる。

 

「あぁ! 生徒会長のはやてさんだ!」

「リンディ理事長やクロノ先生らとの黒い噂もある、一年にして生徒会長になった八神はやてさんだ!」

「友達と三人並ぶとおっぱいがないはやてさんじゃないか!」

「ついでに身長も!」

「あと色気!」

 

 野次馬が好き勝手言っていた。初めはきらきらと髪をなびかせてスルーしていた八神さん(見てしまった、まごう事なき八神さんだった)だが、言葉を重ねるごとにぷるぷると下を向き、最後にはずどんと落ち込み立ち止まってしまった。

 はぁ――と。溜め息を吐くのはその隣に並んでいたヴィータさん。

 

「お前らなぁ、本人を目の前に何好き勝手言ってんだよ……あたしも、生徒会会計として怒るぞ?」

 

「YEAAA! ヴィータさんだ!」「ちっちゃくて可愛い! ヴィータさんだ!」「守ってあげたい! ヴィータさんだ!」

 

「ちょ、待てモブ共! 私の時となんでそんなに対応違うんよ!」

 

 怯えてぷるぷるなってるヴィータさんをモブ男達から庇いながら叫ぶはやてさんは、なんというか見ていて痛々しかった。

 次の溜め息は俺の隣のザフィーラさん。

 

「場を収めてくる。悪いが朝は一人で先にいってくれ」

 

「大変ですね……」

 

「まぁ、こんな時の為に俺も生徒会にいるんだからな」

 

 どうやら八神家は生徒会らしい。なんとなくこの世界が楽しみになってきた。

 さて、場所さえ分かれば俺だって食事ぐらいはとれる。財布も、この制服に着替えた時にきちんと用意出来ている。

 同じ制服の群れで賑わう食堂を抜け、なんとか食券を買って食事を手に入れる。特に何が何なのか分からなかったので朝の定食という奴だ。白米にミソシルに魚の丸焼きかこれは……中々珍しい食事。

 

「あ、おーい!」

 

 どこか座る場所はないかと探していると、喧騒の中それを超えるぐらいの大声が耳に届いた。

 その声を聞き間違えるはずがない。目を向ければ、控えめに手を振るなのはちゃんとフェイトがいた。彼女らもまた学生服、セーラー服という奴だ。白く清楚な雰囲気のそれを、とりあえず目に焼き付ける。

 ふぅ、眼福。という事で彼女らの方へと向かった。幸い、隣の席はまだ空いているようだ。

 

「ありがとう、助かったよ」

 

 隣席を譲ってくれた事にまず礼を。微笑むなのはちゃんの前には俺と同じメニューが並んでいた。見れば、フェイトもそうだ。流行っているのかもしれない。

 腰を下ろし、そこでなのはちゃんが微笑む。

 

「今日はザフィーラ先輩と一緒じゃないんですね、タロー先輩」

 

 ――椅子から滑り落ちた。

 

「だ、大丈夫ですか先輩!?」

 

 ――プレートをひっくり返した。

 

「ひ、ひいいぃい!?」

 

「な、なのはは何か拭くもの借りてきて。私が何とかするから」

 

「わ、分かった!」

 

 先輩、と。その程度が何だと思っていた。先輩、後輩という言葉には学生生活の中での階級を表す意味しかない。そんな無味無臭なものだと――そう思っていた。

 彼女の口から紡がれる先輩という言葉。そして視線に籠もる、いつもと同じく目上の人間に向けるものなんだが少し気安くもまたそこから一段下にいるような今までにない距離感。仲が良いんだけど、埋まる事がない小さな小さな段差がある。年齢、学生だから気にするたった一つの年齢差。その分だけ、なのはちゃんの心の視線が俺を見上げる形となる。それが結実した、甘さと遠慮の入り混じった――先輩、という響き。

 も、萌えっ。

 

「慣れてください、先輩」

 

 声をかけてくれたのはフェイトだ、こちらの「先輩」には何とか耐える事が出来た。やはりなのはちゃんだから俺の心にクリティカルヒットするのだ。

 だがしかし、慣れてとはどういう意味だろう。なんとか自分の身体を持ち上げて彼女を見れば、何故か眼鏡を掛けていた。先ほどから掛けていたのだろうが、俺の目はなのはちゃんに釘付けだったのだから仕方がない。

 しょうがないな、という目でフェイトは言う。

 

「なのはが部活のマネージャーになって近くで話せるようになって……舞い上がるのは分かりますが、他のファンクラブの人への示しがつきませんからね」

 

 その言葉で察する事が出来た。恐らく、俺とフェイトの関係は元の世界と同じなのだ。俺がなのはちゃんの事を好きだという事を知っている、ファンクラブの元締め。

 彼女に助け起こされる。眼鏡を掛けているが、力がないという訳ではないらしい。まぁ眼鏡を掛ければ文化系というのも偏見が過ぎるかな。

 

「あ、う、うん。気をつける」

 

「……言って、おきますけれど」

 

 フェイトが俺の身体を支えたまま――後ろから囁く。

 

「なのはと付き合うんなら、私に一声かけてくださいね」

 

「ブフォ!?」

 

 なのはちゃんが雑巾を持って走り寄ってくる中、俺はもう一度床を汚してしまった。

 

 とりあえず聞き逃していた訳だが、フェイトはなのはちゃんが「部活のマネージャーになった」と言っていたのだ。

 つまり。

 

「はーい、まずは柔軟からって先生言ってましたー! 私はここで見ているので、何かあったら言い付けてくださいね!」

 

 暑苦しい男ばかりが集まったグラウンドの隅、整列する筋肉の前に女神が光臨した。

 勿論、なのはちゃんである。袖をめくり上げた安っぽい学校指定のジャージ、その健康的な姿。輝く笑顔にに気合いが入っているのは、フェイト曰く最近入ったばかりだからなのか。

 とにかく、頑張らない訳にはいかなかった。ザフィーラさん達先輩とは別れた場所で二年が纏まって柔軟をするのだが、顧問が先輩方にかかりきりなのでこちらはマネージャーがついてくれるのだ。至福。

 全員で声を合わせていつもの柔軟運動。……なんでいつもの動きというものが出来るのか、それは分からないがとりあえず運動を続けていたのだが。

 

「タローさん、いつもより身体固くないですか?」

 

 なのはちゃんが近づいてきた。健康的な二の腕まで見えようかという所まで袖をめくった、いつもとは違う雰囲気のなのはちゃんが近づいてきた。学生らしい、ある種無防備ななのはちゃんが近づいてきた!

 後ろに回った彼女にされるがまま、その両腕で背中を押される。掌の形の体温が、確かに伝わってきた。

 

「い、いつもって」

 

「私が前に見学に来た時は、もっと凄かったと思うんですけども……」

 

 手に取るようにわかる、その時の俺は絶対になのはちゃんに良い所を見せようと頑張っていただけなのだ。特に意味のない柔軟にまで気合いを入れて!

 ぎゅっと押される身体。痛みはそれほどない、元々そこまで無理はしていないのだ。

 

「む……」

 

 それを察したのか、なのはちゃんは手どころか腕を押し付けて体重をかけてきた。

 

「こ、これぐらいで……」

 

「うん、そろそろ限界かな」

 

 と、俺としてはもういいよという合図のつもりだったのだが。

 なのはちゃんは、まぁ俺の声に余裕があったからだろうか、ムキになったようでさらに体重をかけてくる。ぐっと押し込み、そしてそろそろ痛みを感じようかという所で、両腕の間の間隔が開き

 

「ふ、ぅんっ!」

 

 掛け声とともに、なのはちゃんは俺の背に身体ごとのしかかった。全面から、身体ごと。

 つまり、胸が、背中に、当たって

 

 

 

「いてて……」

 

 首が痛い、ベッドから転がり落ちたのだ。無理もない、この大時化なのだから――海は魔物だ。いつこの命を奪おうと牙を剥くか分からない。

 いい夢だった。つかの間の、とても幸せな夢。もうなのはちゃんと分かれて一年ほど経っているのに未練な事だ。

 なのはちゃんの写真などは持っていない。だが、頭に刻み込まれた彼女の顔は片時も忘れた事がない。そう、俺はあの子に釣りあうような男になって、きちんと告白するのだ。振られる事になろうがなんだろうが、やってやるのだ。

 

「よし」

 

 だから、その為にも自分の技術を磨いて仕事の出来る男にならなければ。

 待っていろよ、デビルダイオウイカ――貴様を釣り上げ、俺は男として一段上のステージへと昇ってやる。




 オリ主はこんな風にあらゆる次元世界で過酷な修行を積んでいます。ところでデビルダイオウイカって何なんでしょうか。
 以下今回の設定という名のネタ、無駄に長い

『ギャルゲー:凛々駆高校設定集』
「高町なのは」
 主人公の所属する部活のマネージャー。チャレンジャーであり中学時代までは女子サッカー部で活躍していたのだが、それがない高校に進学したのでマネージャーを始める事になった。その実力は折り紙付きで、男子でも中々敵わない。
 朗らかで素直な性格なので、彼女と共に切磋琢磨していけば自然とルートは確定する。

「フェイト・T・ハラオウン」
 理事長の義理の娘。なにやら辛い過去があるらしいが、それを感じさせない穏やかで綺麗な少女。友人であるアルフが図書委員をしていて、よく図書館に入り浸っている。その際は眼鏡を掛ける。
 友人としては親しくなりやすいが常に他人に一線引いているため、彼女の親友であるなのはとの関わりが攻略のカギ。

「八神はやて」
 障害を負っていたが、奇跡的な回復をし高校生活を楽しんでいる少女。底抜けに明るく時に独善的に見えるが、その実一歩引いた視点からいつも皆を見守っている女神である。はやてちゃんかわい(ry
 実力で勝ち取った生徒会長の座、しかし疑念は尽きない。生徒会に入り彼女をサポートしてあげよう。

「ヴィータ」
「シャマル」
「シグナム」
 生徒会に所属する、はやての脚が動かない頃からの友人。その時の事を引きずっているのか、皆一様にはやてには過保護気味。おい年齢に無理がある奴一人いるよねって言った奴出てこい。
 生徒会ではやてをサポートしていると彼女らと関わる機会も自然と出てくる。その中で交流を重ねよう。

「中島スバル」
「ティアナ・ランスター」
 中学生であり、選手としてのなのはに憧れている二人。スバルは今のなのはを応援し、ティアナは選手を止めて高校進学したことを「逃げ」と感じている。大の仲良しの二人だが、最近は溝が出来ているらしい。
 なのはと仲良くなると二人とも知り合う事が出来る。彼女らの仲直りに一肌脱いでやろう。

「アルフ」
 図書委員をしているフェイトの友人で幼馴染。その溌剌とした見た目からは想像も出来ないほど本の虫で、図書委員長であるユーノを尊敬している。
 彼女もまた素直なので、フェイトと仲良くし彼女の話をきちんと聞いてあげれば距離は縮まっていく。

「カリム・グラシア」
 お嬢様学校に通うはやての友人。カリムはインターネット上でのカリスマで、はやてともネットで知り合った。自分の言葉が他人に影響を与える現状に戸惑いを覚えると共に、本心が中々伝わらない事にもどかしさを感じている。
 はやての友人として出会う事が出来る。彼女の世界に対する思いと真摯に向き合う事が重要だ。

「ザフィーラ」
 主人公の部活の先輩であり、生徒会の一員。武骨な武人気質ではあるが交友関係は広く、彼と共に歩くだけで交友関係は広がってゆく。そのたくましい筋肉はゲームを始めてすぐにCGで拝む事が出来るぞ!
 基本的に彼を攻略する選択肢はないが、部活を真面目に続けることで実は……?

 こんなん書くのに深夜に船漕ぎながら一時間ぐらいパソコン触ってました。俺は何をやっているんでしょう。
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