究極生命体カーズ 襲来   作:僕は悪いスライムじゃないよ

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 この作品は初めて書く小説となるため、感情表現・描写などでかなり拙い部分があると思いますが、どうかよろしくお願いします。


第一話  違和感

 雲一つ存在しない大空の中で、地球が誕生した時から全生命に暖かな光を届ける存在を我々は知っている。それは日常的な光景であり特に珍しくないものと言えだろう。

 しかし、それをこの上なく感慨深く見つめる一人の男がいた。

 

 なぜこのように男は感慨にふけているのだろうか? その理由は、この男が空気に含まれる酸素・窒素・二酸化炭素などの濃度、温度、重力などを瞬時に把握、分析し地球にいることを確実に実感したからであるッ!

 

 「まさか地球に戻り、再びあの美しい太陽を眺める日が来ようとはな…… フフフッ。どうやらJOJOに味方していた運がこのカーズに向いてきたようだな!今度こそ、貴様を死という暗黒の淵に突き落としてやるぞッ!!」

 

 

 ——だが、先ずは自分がいる場所を把握しなければならないようだな。おそらく、ここがイタリアである可能性はとてつもなく低いであろう。都合よく同じ国に落下したとは到底考えられんからな。

 やはり、情報を集めるために近くの街を探すのが手っ取り早い。そこにいる人間や町にある文字さえ見れば、とりあえずは自分のいる国や地域は把握できるはずだからな。 

 

 そして、おそらくは私が地球を離れてから、いくばくかの年月は経過しているはずだ。2000年の眠り程ではないにしろ、車や航空機などの機械が発明されていたことから推測すると、人間社会はさらに機械が発達し、今までの常識が通用しないところが表れるかもしれん……

 

 

 あの時の機械人間はさほど脅威ではなかったが、技術の発達でさらに面倒な輩が存在しているかもしれんな。一応、警戒もした方がよかろう。

 人間は短命で脆弱な生き物であるが、その分生への執着が強く、思いもよらぬ方法で痛手を食らわてしてくる可能性が有る……

 苛立たしいが、あのJOJOとの戦いで嫌という程このカーズは理解させられてしまった。その点だけは認めようJOJO!

 

 「だが、今はこのカーズの帰還祝いが先だ! 究極としての生命をこの上なく味わおうではないかッ!!」

 

 カアアア――――ッ!!! 

 

 耳をつんざくような咆哮をあげ、大気を震わせる。手の甲から鋭い鎌のような鉤爪(かぎづめ)を蜂起させ、同時に筋骨隆々な両腕から数え切れぬ程の羽毛を生やす。

 

 それは、ほんの一瞬であった。コーラを一気飲みした時に出てくる無自覚のゲップくらいの刹那の瞬間で変わったのだ! 

 カーズの両腕は、褐色の肌をまったく覗かせない程の羽毛で包まれる。

 

 だが、その色は黒ではないッ!!

 

 淡い白と紺碧がうまく調合している蒼天と一体化するようなものである!

 その変化に伴い、カーズの総身も同じ色合に彩られた。

 

 「これならば、姿を晒されることもないか」

 

 誰にも見られないためのカムフラージュを行ったのだ。

 自然界を生きる動物の中には、敵を欺くために擬態するものや自然光に当てられて皮膚の色を変える生物などが存在している。それらの遺伝子情報を有するカーズにとっては造作もないことであった。

 

 「いや、まだ不足だ。とどまっている状態であれば、これで足りる。だが、動いている状態では、背景と微妙なズレが生じてしまう。ならば……」

 

 固い何かが皮膚を貫き通すような音と合わせて、骨のように角ばった管を胸から四つ作り出す。やがて、風のような音を立てながら、カーズの姿は消える。

 肺からの水蒸気を体表にある管から噴出し、それらを纏う事により、全身の光の屈折で姿を見えなくしたのだ。

 

 「擬態と風のプロテクターの両方ならば、飛行している航空機にも見つかることはなかろう。では、行くとしよう」

 

 脚を弦のように曲げ、力強く大空へと羽ばたく。

 人間に対する警戒心を胸に抱きながら……

 

 

 

 

 しかし、これらの予想が全て外れていた事を後に思い知らされるのであるッ!!

 

 

 飛び始めて、一刻もせずに眼下に町を捉える。情報を集めるために天体望遠鏡並みの目を駆使し、町の様子をはるか上空から窺う。

 

 

 「町の大きさは、そうだな。スイスのサンモリッツよりも規模が大きいな。木造の建築物や街を歩いている人間の顔や髪の色から判断すると、やはりここはイタリアではなかったか。いや、それどころか私がいる地域はヨーロッパでもなさそうだな」

 

 街の大通りは行き交う人々でごたごたしており、道の両端では店を構え商いをする者たちが見て取れる。

 その姿は多種多様であり、着物や野良着を着用している者、学生服を纏う者、稀に全身を洋服で包む者もいる。

 だが、そこには共通点がある。それは、髪や眉毛が黒く染まっている点、カーズの顔と比較して少し平面的な顔立ちであるところだ。

 

 「ここから見える人間は、かつて訪れた中国にいる人間と同じ色の髪や特徴を持っている。おそらく、ここは中国もしくはその周辺のどこかの国であろう」

 

 かつての仲間と訪ねた地を思い浮かべてそれらを考察する。その顔には、ほんの少し哀愁が込められ、目はどこか遠くを移しているようであった。だが、それらを頭から振り払い、目的を見詰める。

 

 「この地域に来るのも約2000年ぶり…… 情報収集も兼ねて、人間社会の変化ぶりを存分に見学させてもらおうではないかッ!」

 

 その気配を誰にも悟られる事なく、土埃をわずかに立て、地上へと舞い降りる。そこは、道幅が狭く、かつ薄暗い裏通りであったので、人目は全くない。

 

 己の現状を再確認するカーズ。その視線は自分の足から、胴体へと移る。

 

 「現在の状況を把握する為に、人間との接触はおそらく避けられん。だが、さすがにこの姿のままで接触したらまずかろう…… 確か上空から見えた人間の姿は、今までに見たことのないような服を着ていたな。どこかで服を早急に調達しなければ」

 

 そう。カーズはJOJOと戦った時の服装のままであったのだ。つまり、マフラーとフンドシだけを体にまとった状態なのであるッ! 

 この状態のまま街の大通りに入ってしまえば、人からの第一印象は変態となり、人間との最初の接触が警官による職務質問という屈辱的なものとなってしまうだろう。そのようなことは究極生命体としてあるまじきことッ!

 

 羽の生やした腕をもとの逞しい腕へと戻し、表通りへと進む。もちろん、完璧な迷彩の姿のままでだ。

 最小限の風を纏ったプロテクターと擬態により、行きかう人々に存在を認識されることはない。

 

 

 約半刻後。

 自分に合う服はすぐに見つかるだろうと考えていたカーズ。だが、そんな思いとは裏腹に、自分の体に合いそうな服はいくつもの店を訪れても見つかることはなかった。

 

 

 「ちっ、この店もこの国の人間にあわせた服しか見当たらんではないか。このままでは擬態を解くことが出来ぬ!」

 

 

 この時代の日本人は、食生活の影響などにより、成人男性でも平均身長は約160cm前後である。そして、日本への外国人の観光もまだ非日常的な事であった。

 特注品でなければ、カーズに合う服はほぼ見つかることはない。

 だが、カーズの苛立ちが頂点に達する前に、この辺りでは珍しい洋式の建物を発見する。

 

 その建物の扉から、見た目が豪奢な洋服を纏った夫妻が現れ、自分たちが今買った服について語り合っていた。その様子を眺める。

 

 

 「ここならば、私の求めているものがあるかもしれん」

 

 扉を誰にも気づかれぬよう静かに開き、中を見渡す。

 

 中は三階建ての構造であり、天井には豪華なシャンデリアが掲げられ、かなりの種類の洋服が商品として置かれている。そこには、西洋の服だけに留まらず、店の看板である『世界ノ宝石箱』の名に恥じぬジャンルの服——中東やアフリカで着られる衣服なども並べられていた。

 全部を見て回るには相当な時間が必要なほどであったが、服を必要としているこの男は、それらをくまなく調べまわる。

 

 

 そして、見つけたのである。あの服をッ!

 

 

「ほぉ。まさか、スイスで着ていたものと同じようなモノが置かれているとはな。この店は品ぞろえが素晴らしいな。背丈もほぼあっている。とても気に入ったぞ」

 

 胸の部分を二つのボタンで止める黒のロングジャケットと黒の衣服。そして、服と同じ色を持つズボンとベルト。それらは、とあるドイツ兵と戦った時の格好とほぼ一致していたのだッ!

 その二つが置かれている横には、カーズの到来を待っていたかのように、ツバが長い黒の中折れ帽子も鎮座している。

 

 「後は…… あれが、必要だな」

 

 西洋の衣服が陳列している部屋を抜け出し、別の部屋へと向かう。そこは、先ほどまでとはまったく違うものが並べられている。

 中東で着られる白いカンデゥーラ、花の模様が描かれている黒のアバヤが目に移り込む。

 

 「やはり、ここにあったか。この滑るようになめらかな生地——かなり良い素材を使っているな」

 

 カーズが手にしたもの。それは、黒のターバンである!

 

 「フハハハッ。人間もたまには良い物を見繕ってくれるではないか。このカーズが存分に使ってやろうッ!」

 

 ターバンを頭に巻き、選んだ衣類を音を立てずに粛々と着こなす。最後に、帽子を手に取り、頭へとはめる。もちろん迷彩も事前に解いている。服が勝手に街を歩いているとなれば、大騒ぎになるからだ。

 

 やがて、自分に見合う服がなかった店に対する腹いせ——ではなく活動資金として盗んだ金を誰もいない所を見計らってカウンターに置き、買い物を終える。

 誰にも姿を見られぬまま、クールに店を去るのであった。

 

 このようにカーズは人間社会の見学だけを楽しんでいるように見えるが、もちろん情報収集も怠ってはいなかった! 人間では到底持ちえないIQ400を使って周りの細かい状況もしっかり観察していたのであるッ!

 

 

 ——店にある看板などを見るに漢字などを使っている所もあるが、それ以外にも違う言葉が頻繁に使われているな。

 

 「この文字は…… そうだ。確か極東にある日本という国が使っていたはずだ」

 

 聡明な諸君らは、なぜカーズがこの言葉を知っていたのか疑問に思っているだろう。それは、目覚めた時には、居場所のわからないエイジャの赤石を探す際に必要だと感じていたからだ。

 人間社会を見学した際にその天才的頭脳をもって、あらゆる言語を会得したのである!

 

 「まさか、イタリアからこれ程までに離れている国にいようとは……」

 

 自分が、宿敵とどれだけ離れているのかを実感する。必ず復讐を誓ったあの男と。

 

 深呼吸をし、辺りを見渡すカーズ。考察を終えたかのようであったが、観察はそれだけでは終わらなかった。それは、ある違和感を覚えたからであるッ!

 

 

 「確か我々が目覚めた西暦1939年の時点では、日本は戦争に突入し、工業に力を注ぎこんでいる国のはず。つまり、イタリアやスイスと同じくらいの車が街で日常的に見られてもおかしくないはずだ。

 だが、実際はどうだ。車がほとんど見当たらない。私が追放されて、かなりの年月が経っているはず。だというのに、あのような使い勝手の良い機械が人間社会で普及していない……」

 

 道幅のある大通りにいるというのに、人は徒歩で目的地へと向かい、車が走っていればいやでも目に付くほどであったのだ。

 

 カーズは、()()()()()を除いて人間を弱い生物だと見なしている。

 だからこそ、それらを補うために人間は発明を繰り広げ、より多くの、より優れた性能を持つものを作り出すと考えていたのだッ!

 

 前方から、灰色の煙を吐く自動車が近づいてくるのに気づくカーズ。

 その車は、人混みを避けながら己の隣をゆるりと通りすぎる。

 

 

 自分の視界の横を通る車を見やり、一瞬だけ手のひらを車に置く。

 そして己の聴覚、視覚、触覚を使い、車の性能を分析する。エンジンの振動や自動車の表面を伝わる熱で、内部の構造が設計図を見ているかのように明瞭になる。

 

 

 それに、今見えている車もどうだ? 見た目や中身もより簡素であり、速度も燃費も私が知っている車よりも数段劣っているように感じるではないか……

 車以外にも違和感がある。当然技術が発達するほど、より優れた機械が作られ、それらの影響で街などにも大きな変化が見られてもおかしくないはず。

 だがこの町を見渡すと、逆に場所によっては古めかしいと思わせる場面もある……

 

 カーズが思い描いた未来、街の通りに溢れんばかりの電光掲示板や車が交差する世界。航空機は音速に到達し、街をけたましい轟音で揺らす世界。文明の利器がひしめき合う世界は存在しない。

 

 

 「まさかな。だが、ありえん……」

 

 

 そう! カーズはくだらないと思っていたが、一つの仮説を導き出してしまったのだ。しかし、それは宇宙の法則を度外視して辿りつく結論であったのだ! どんな生物も決して逆らえない宇宙の法則ッ!

 

 

 「結論を下すには、まだ早いが。何か年代を知る手がかりはないのか…… む?」

 

 

 視線を泳がせ、あたりを見渡す。

 

 カーズの視線がある一点に止まる。そこには一人の少年が新聞を配っており、周りに大人の人だかりができていたのだ。

 これを見逃すはずもなく、すぐにそこへと足を向かわせる。

 

 人だかりは雑多な声に包まれ、大の大人が我先に新聞を得ようと必死でいた。しかし、突然表れた巨漢に言い知れぬ威圧感を感じ、蜘蛛の子を散るように自然と道を譲る。

 

 

 「おい、小僧! その新聞を一部渡してもらおうか」

 

 

 性格のよさそうな少年は、六尺を優に超える大男の異人に驚くが、『ほら号外の新聞だよ。どうやら、えらい事件が起きたらしいよ』と言い、快く渡してくれた。

 

 カーズの行動は素早く、新聞を受け取るやいなや緊張した面でそれを眺める。もちろん記事の内容には興味を示さず、すぐに目を移したのは発行年月が書かれている欄である。

 

 

 そこには……

 

 

To be continued>>>>

 




*Q&A

①なんで、カーズは風のプロテクターを纏えるの?

 カーズが地球に帰還しようとした際に背から管のようなものを生やして、高圧の空気を排出していたから、ワムウの風のプロテクター擬きはできるのではないかという発想から来ました。
 本当は擬態だけでも良かったのですが、それだけだど人に見える可能性が有るので苦肉の策としてこの方法も採用しました。


②なんで車の構造を触っただけで分かるの?

 柱の男の時点で、温度差でドイツ軍がいた室内の様子を正確に読み取った場面があったからです。(ジョジョのアニメ18話参照)
 触覚以外の五感も向上したカーズなら、瞬時にわかるのではないか?という発想からくるものです!


③自動車って、そんなに珍しいものなの?

 詳しい年代はまだ言えませんが、当時車を乗りこなしていたのは、一部の上流階級のみだと思われます。それも輸入車をメインに。カーズが時代を知る良い手がかりだと思いこれを採用しました。

 日本初のガソリン車 1907年
 自動車工場の設立 1911年(乗用車第一号の完成は、その三年後)
 日本初の本格的な自動車生産 1925年

④カーズって中国に行ったことあるの?

 ジョジョとエシディシとの戦いで、エシディシが孫子について語り、訪れたことがあるような発言をしました。ですので、カーズも同様に行ったはずです。

*筆者の余談

 次回の話は長めとなっております。金曜か土曜の投稿となります。
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