「いらっしゃいませー。」
皆は覚えておいでだろうか。僕がファーストフード店でバイトをしていたという設定を。でも最近気になることがある。店に来る人に知り合いが多すぎる!!最新何かとバンドの人達と仲良くなってからと言う物の、知り合いが意外と多くてびっくりする。そう.....
「ねーねー優希、ポテトまだー?」
「ちょっと日菜、ここにいては迷惑よ.....すみません、白鷺さん。」
こんな風に。
「いえいえ、今の時間帯は空いてますのでそこまでですよ。ポテトはもう少し待ってください。」
「なんかよそよそしくてるんって来ないなー。彩ちゃんならいつも面白い反応するのに。」
「丸山さんは何かと緊張しがちですからある意味店内の名物になってますね。」
「それで白鷺さん.....何故レジを1人で2つ担当しているのですか?」
「え?皆休憩に行ってるから代わりに2つやっているんですよ。この時間帯は殆ど人が来ないから大体この時間帯は僕だけです。」
「そうなんですか.....まぁそれで成り立っているのだからいいのかしら.......」
「まぁその分僕の時給上げて貰ってますからWinWinですよ。」
「今日彩ちゃん来るのー?」
「丸山さんは.....うん、今日の夕方からですね。」
ピロリピロリ
「あ、ポテト出来た。」
「はやくはやくー!!.....少ないよー!!!」
「これはLにしては少なくないですか.....?」
「いえ、この量で合ってますよ。おそらく他の店員が氷川さんたちに贔屓にしているだけかと......」
「そうだったのですか.....」
.......え?何でそんな悲しげな目をしているんですか?氷川さん、あなたそういうキャラじゃないでしょ?というかポテトどれだけ好きなんだ.....
「ねえねえ優希、増やしてよー!!」
「さすがにそれは.....追加料金払うなら。」
「では200円増やすのでM分増やしてください。」
「ここはラーメン屋ですか.....というか200円ならSサイズの値段ですよ。」
「そうですか.....ならSでお願いします。」
「分かりました、Sと同じ分追加しますね。」
「すみません、我儘を聞いてもらって。」
いやいや氷川さん、あの表情は絶対に狙ってたよね?普段クールな人がしおらしくなるとなんか魅力出る.....のかな。千聖も僕から見たら可愛いだけど世間じゃクールみたいな感じのイメージがあるみたいだし.....1回しおらしい千聖、見てみたいなぁ.....
「ねえねえ優希、人来ないなら一緒に食べない!?」
「日菜、いえお客様、私は仕事中ですので.....」
「ちょっと待ってください白鷺さん、今日菜と呼びましたよね?」
「え?それは日菜が僕に『ストップ!!ストーップ!!』むぐっ.....」
ジーッ
(隠すことでもないのに.....)
(おねーちゃんには言わない方がいいよ。おねーちゃん風紀委員だから男女交際とかそういう雰囲気醸し出すのあんまり好きじゃないんだよ...,)
(でも日菜が僕を優希って呼んでも何でもなかったじゃん)
妹のこと大切に思ってるんだなぁ.....その気持ちホントよく分かるよ。
「ゔゔん.....よろしいですか?」
「は、はい.....」
「白鷺さん、あなたが日菜のことをどう呼ぶかはあなたの自由ですから構わないのですが、日菜だけ呼んで私だけ呼ばれないのは少し不公平だと思います。」
「そっち!?」
「そのそっちがどういう意味かは知りませんが.....とにかく、日菜と呼ぶなら私も氷川さんではなく、紗夜と呼んでください。」
「ううん.....分かりました、でもまだ丁寧語は抜けないと思いますよ、紗夜。」
「はい、それはそちらのペースで構いません。」
あれかな?前に妹にコンプレックスを感じてるとか言ってたけど.....それが原因で今回のようなことしたのかな.....僕も幼い頃、千聖は皆から千聖ちゃんって呼ばれてたけど、僕は大人たちから白鷺くんって呼ばれてたかな.....当時は特に気にしなかったけどよくあの時に闇堕ちしなかったな.....僕。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
3時間後
「あわ、あわわ優希さん助けてください!!」
「丸山さん何したの......ああ、というかよくトレイ割ったね。」
「割ったわけじゃないですよ!?割れたんです!!ど、どどどうしよう!!」
「うんまぁとりあえず処理はしようか。やっとくから丸山さんはレジ頼むよ。」
「え!?ありがとうございます!!」
丸山さん、バイト結構歴があるけどこういうドジはあんまり減らないのかな.....というかガラスコップとかならともかく、トレイ割るミスを見るのは初めてだな。逆にすごいよ.....
「お待たせ、次は気をつけてね。」
「は、はい......ごめんなさい。」
「彩ちゃん何したのー?」
「裏でトレイ割ったんですよ。」
「トレイ!?ガラスコップとかじゃなくて!?」
「う、うん....というか優希さんも気軽にばらさないでくださいよー!!」
「そうなの.....なんかごめん。」
「でもバイトでも彩ちゃんは彩ちゃんだねー。」
「そ、そんなことないよ!!これでも優希さんよりは先輩だよ!!」
「うん、バイト歴だけは丸山さんの方が上だね。」
「それで、あぁ.....とても儚かったんだよ。」
「意味がまるで分からないわ、薫。」
「いらっしゃ.......」
「あら?兄さんじゃない?今の時間バイトだったの?」
ど、どうしよう....愛する妹が客で来た。隣に丸山さん.....斜め前に日菜....この状況で家と同じ反応は出来ない。し、仕方ない.....頑張ろう。(とっくにバレてます。)
「はい、ところでお客様、ご注文は何になさいますか?お二人纏めて伺います。」
(あら.......?家と違うわね.....もしかしてバレまいとしているのかしら.....ふふっ、面白いわね。普段ドキドキさせられてるぶんのお返し、ここでしようかしら.....)
※この人もとっくにバレてます。
「薫はどうするの?」
「私は特に小腹は空いていないから、紅茶を頼むよ。」
「お客様、申し訳ありませんがお客様が想像している紅茶は当店ではご提供出来ません。」
「そうかい、ならオレンジジュースでも頼むよ。」
「はい、では合わせてお伺いします。」
「ねえねえお兄ちゃん♪」
「おに.....ご注文は何になさいますか?」
おのれ千聖.....家での反応が出来ないことを分かってて普段より可愛く甘えてきてる.....というか家でもこれがいい。というか、こんな上目遣いで注文頼む人いる.....?現在、目の前で愛しき妹が両肘をメニューの上に置いて僕を上目遣いで見つめています.....さすが女優。因みに今の千聖は、帽子とメガネをかけていて変装状態なので、分かるのは1部の人だけ。
「おすすめって何があるのかしら?」
「おすすめは.....現在お客様が肘置きにしているメニュー表に乗っています。そちらを見てお選びください。」
「あら?教えてくれないのね.....」
なんでシュンとするんですか.....なんか僕が悪いみたいな感じになってるけど.....
「じゃあ.....このバーガーセットを頼みます。」
「畏まりました。合計580円になります。」
「あ、あと.....」
「追加のご注文でしょうか?」
「ええ、.....私の手をあっためてください♪そして、私にとびっきりの笑顔をください♪」
.........え?
「少し手が冷えてしまって.....お兄ちゃん♪寒いのでお願いします♪」
どうしよう.....まさかこんな合法的に至近距離千聖を見つめながら手を握れることが出来るなんて.......でも恥ずかしい。それにもしこれをプライスレスでやれば.....店員の対応が良いってことでお客さんも増えるかな.....
「ん?どうかしましたか?」
首傾げて可愛い顔を向けないでください撫でたくなるから.....下心はなし。ちゃんと店員としてサービスを....
「はい.....これでよろしいでしょうか?」 ニコッ
「!?......はい、ありがとうございます♪」
「ではご注文が出来次第お持ちしますので席でお待ちください。」
危なかった.....危うく素が出るところだった.....
「ち、千聖ちゃんすごいね....優希さんをここまでいじるなんて.....」
「でも面白かったよねー。優希も頑張って店員さんやってたし!!彩ちゃんもやってみたら!?」
「わ、私は.....緊張して言葉が出ないかも.....」
「そうかもねー。」
「そこは少しはフォローしてよぉ.....あれ?千聖ちゃんは?」
「どうしたんだい、千聖。そんなに顔を赤くして。」
「いえ、なんでもないのよ。(からかうつもりが....やられたわ。あんなに可愛い兄さんの笑顔を間近で....危うく鼻血が出てくるところだったわ。あ....写真撮っておけば良かった.......)」
「まぁ大体想像できるよ。兄さんの笑顔が素晴らしくて返り討ちにされた、というところかな?」
「あなた.....こういうところは本当に鋭いのね。」
「私は兄さんや千聖の幼なじみだからね。それくらい分かるさ。」
「薫.....兄さん呼びは私の専売特許よ。」
「それくらいいいじゃないか。私も10数年兄さんには世話になっているからね。」
「はぁ.....せめて優希って呼べばいいのに。」
「優希、か。その響きも悪くない.....でも、兄さんの方がしっくり来るみたいだ。あぁ.....儚い。」
「儚くはないわよ.....ゆっくり変えていきなさい。」
イニシャルが何故フルコン出来ないんだ.......手が凍えているからだろうか.....
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