白鷺家のお兄さん   作:面心立方格子

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バレンタインですね。あちらこちらでカップルがうようよいます。でも知ってます?バレンタインでチョコレート渡す習慣あるの日本くらいですよ?まぁこの理由は、サンタクロースが赤いのと少し似てます。(あれは世界共通みたいなところありますけど....)


少女たちのバレンタイン

「さて、始めましょう。」

 

「おおー!!」

 

「そういえば薫は来てないの?」

 

「薫は自分の分を貰うのが忙しいからというのと、もし薫から貰うと羽丘の薫ファンから色々恨まれるから心配だ、って薫が言ってたのよ。」

 

「そっか、薫凄いもんね.....」

 

「リサ....私は料理出来ないのよ。」

 

「じゃあ友希那は今まで優希にあげたことなかったの?」

 

「いつもは.....といっても2回だけだけれど、市販のものを選んでいたの.....先輩に不味いものは食べさせたくないから。愛情を注げなかったのは本当に悔しかったわ。」

 

「でも....優希さんってどんなのが好きなのかな?」

 

「うーん、まずチョコいけるのかな?」

 

今ここに集まっているのは、私、友希那ちゃん、リサちゃん、彩ちゃん、ひまりちゃん。かなり女子力が高くて、兄さんにお世話になった人が集まっている。そして私がいるのは....

 

 

「じゃあ始めるわよ『白鷺優希セミナー』、これで兄さんを知ってね。」

 

「私はある程度知っているわ。」

 

そう、リサちゃん達に作り方を教えてもらうことと、私が兄さんの情報を教えることで契約が成立した。リサちゃん達にも兄さんの魅力は知っていて欲しい......

 

「まずは端的にね、白鷺優希(しらさぎゆうき)、大学生で高校時代はバンド『EXTRA』のメインキーボードを務めていたわ。スペックはある意味私とは反対で、運動は出来る方で、子供っぽさがどこかあるの。それが母性をくすぐるから可愛いのだけれど.....基本的には子供舌なのだけれど.....チョコレートは苦手なの。食べられないわけではないのだけれど.....」

 

「え!?じゃあ千聖ちゃんは今まで何をあげていたの?」

 

「基本的にはお菓子よ、クッキーとか。さっきも言った通り兄さんは子供舌だからお菓子は基本的に全部好きよ。でも友希那ちゃんと同じでお菓子作りは苦手だから、気持ちは込めたいから毎年手作りはあげているのだけれど.....とても申し訳ないレベルなの。」

 

「仕方ないよ!!お菓子作りとかはやっぱり経験がものを言うし。私も慣れるまでは苦労したなぁ.....」

 

「じゃあどんなのをあげようかな.....リサ先輩、どんなの作りますか?」

 

「うーん.....クッキーでもいいんだけどそれだと特別さが無くなるし.....どうしようかな?」

 

「じゃあ皆違うものを作るのはどうかな!?それだったら優希さんも色々な味を楽しめるし.....それぞれ想いを込めて!!」

 

「それいいじゃん!!」

 

「チョコが苦手ってビターが苦手とかそういうのじゃなくてチョコ全般が嫌いなの?」

 

「そうね.....甘いのならまだいけると思うわ。兄さん曰く、小学生の時に食べたチョコレートが苦くて無理ってところからチョコレートが嫌いになったって言ってたし.....」

 

「ならホワイトチョコならいけるかも.....あたしはそれでいこうかな?」

 

「リサ先輩がホワイトチョコなら.....私はいちごチョコでいきます!!あれならチョコレートの抵抗も少なそうですし!!」

 

「友希那はどうする...?」

 

「そうね...私は手の込んだことは向かないからシンプルにクッキーを作りたいわ。リサ、手伝ってちょうだい。」

 

「勿論♪でも友希那も頑張るんだよ。」

 

「勿論よ、手を抜くつもりは無いわ。」

 

「凄いわね.....ステージと同じ気迫ね。」

 

「千聖ちゃんはどうするつもりなの?」

 

「私は.....」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

現在、私たちはそれぞれの家で作業をしている。私と彩ちゃんは彩ちゃんの家、リサちゃんと友希那ちゃんはリサちゃんの家、ひまりちゃんはつぐみちゃんと一緒に作ってるらしい.....つぐみちゃんはお父さんへの日々のお礼として作ってるらしい。本当にちゃんとしてるわね。私たちは一応グループ通話をすることでもし分からない時に意見交換出来るようにしてある.....大丈夫よね?

 

「友希那、大丈....って、なんでお湯にバター溶かしてるの!?」

 

「あら?湯煎とはこういうものじゃないの?」

 

「お湯に溶かすんじゃなくて、お湯で溶かすんだよ。それだとバター水だよ.....」

 

「そうなの.....でもお湯に付けずにどうやって溶かすの?」

 

「溶かすというよりかは柔らかくするの方が適切かなぁ.....えっと....こうやってボウルをお湯の入ったボウルに入れるでしょ....それで....」

 

「なるほど、そうやってやるのね。分かったわ。」

 

「また分からなかったら聞いてねー。」

 

「友希那、心配だなぁ.....」

 

「でも友希那さんってこういうのにも手を抜かなそうだから大丈夫だと思いますよ!!」

 

「でも心配でさ.....ひまりはどこまで進んでるの?」

 

「結構順調ですよ!!今コーティングチョコレートでいちごをコーティング出来たから、完成はもうすぐですよ!!」

 

「へー、ところでつぐみは何作ってるの?」

 

「つぐはチョコレートケーキを作ってますよ!!すごい張り切ってますよ!!」

 

「ひまりちゃん!!恥ずかしいよ.....」

 

「すごく手が込んでいるわね、感心するわ。」

 

「そうですか?ありがとうございます!!でもお父さんを美味しいって言わせたいので頑張らないと.....」

 

「ふふふっ、つぐみちゃんのお父さんもきっと幸せね。でもやっぱり難しいわね.....泡の状態がどれくらいならいいのかしら?」

 

「まだじゃないかな?もう少し待ったら多分いい感じになると思うよ!!でも別にそこまで問題じゃないよ。千聖ちゃん、練習したことあるの?」

 

「いえ、前にリサちゃんに教えてもらっただけよ。だから自分の感覚がいいかどうかが分からないの。彩ちゃんのサポートには感謝しているわ。」

 

「ち、千聖ちゃんに褒められた!!えへへ....」

 

(彩ちゃんは本当にこういう場面でも活躍出来るのね.....私も負けていられないわ。)

 

「そういえば友希那ちゃんと兄さんってどういう出会い方をしたの?」

 

「あたしもそれ、気になるなー。優希ってそんなに積極的じゃなさそうだし。」

 

「確かに.....どんな感じだったの?」

 

「そうね.....教えてあげるわ。あれはRoseliaを組むよりもかなり前の話なのだけれど.....」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「......こんな感じかな。」

 

(この時間に1人で練習....?技術的にはあまり褒められるレベルではないけれど.....打ち込んでいるのが分かるわ。)

 

「....あっ!!時間じゃん!!早く出ないと....わぁ!!」

 

「....何かしら?」

 

「ご、ごめんなさい!!だからせめて延滞料金だけは勘弁してください....」

 

「延滞料金?なんの話かしら?」

 

「.....え?次ここを使う人ですよね....?」

 

「ええ、そうよ。もう少しさっきの続きを聞かせてくれるかしら?」

 

「続き.....下手だけどいいんですか?」

 

「構わないわ。色々言いたいこともあるし.....」

 

「じゃ、じゃあ.....」

 

(.....あれ?何かしら、この感じ.....)

 

「ど、どうですか.....?」

 

「あなた.....さっきのぎこちなさが嘘のような演奏をするわね。」

 

「え?そうですか?ただ単に間違えたところを直そうとしただけなんだけど....」

 

「それでも全体のミスを1発で直すのはかなりすごい事よ。あなたは...?」

 

「僕は白鷺優希.....君は?」

 

「私は湊友希那。1部では孤高の歌姫なんて呼ばれているわ。」

 

「孤高の歌姫.....ごめん、聞いたことないよ。」

 

「別に構わないわ。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「.....え!?最初は友希那の方が立場が上だったの!?」

 

「それは意外だわ。てっきり最初から兄さんが上にいたと思っていたわ.....。」

 

「でも友希那さんって白鷺先輩には弱いって以前あこちゃんが言ってたのは....?」

 

「それも聞きたいの.....?」

 

「うんうん!!すごく気になる!!」

 

「あの後ライブハウスで何度か先輩のライブを見たの。その時かしら....」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「よっしゃあああ!!いくぞぉぉぉ!!」

 

(このバンド.....いっけんふざけた雰囲気でやっているけれど.....技術は確か。とくにあのキーボード....前にあった白鷺さん?に似ているわね.....一度話してみたくなるメンバーね。)

 

 

 

 

 

 

「ん?どうした、紅蓮。」

 

「いや、お前たちに会いたいという女の子が来たからどうするかって.....孤高の歌姫だぞ。」

 

「孤高の歌姫?何だそりゃ?」

 

「聞いたことないね。サクサク」

 

「あれだろ?歌唱力がめっちゃ高い人だろ?有名だぜ。」

 

「俺とどっちが上だ!?」

 

「間違いなくあっちだな。」

 

(´・ω・`)

 

「とりあえず通そう.....追い返すのも可哀想だし。」

 

 

 

 

「失礼するわ.....あなた達の今回のライブ、練習時間はどれくらいだったの?」

 

「練習時間?.....どれくらいだ?」

 

「さぁ.....軽く4ヶ月近くはやったと思うよ。なにせ8曲もやることになったんだし。」

 

「なるほど.....。!!あなた、ここのバンドにいたのね。」

 

「うん、久しぶり.....」

 

「え!?優希お前知り合いだったのか!?」

 

「そうみたい.....ねえねえ

 

「何かしら....?」

 

「唐突で申し訳ないんだけど....一緒にバンド、やらない?」

 

「え!?俺クビになるの!?」

 

「違うよ....ツインボーカル?っていうのやってみたいし....何より。」

 

「.....何かしら?」

 

「以前に練習した時あったでしょ?その時さ.....声が悲しそうだなって。1人でやろうが皆でやろうがそれは個人の自由だから一概にとっちが良いかなんていうことは決められないけど.....君は誰かと一緒にやったほうが絶対にいいと思うんだ。」

 

「....そんな曖昧な理由で私を誘うの?」

 

「言われてるな、優希。」

 

「うっ.....じゃあ君は何故孤高の歌姫としてライブをしてるの?」

 

「.....あなた達には関係ないでしょ。」

 

「1人で閉ざしたら誰も開けてくれないよ。」

 

「.....え?」

 

「君のことを見るに何か復讐というか.....何か感情にかられてるように見えるんだ。その気持ちが君である為に必要かもしれない。だから一度、一度でいいからそれを抜きにしてライブしてみない?本気だけど楽しい.....歌うことだけに集中できることを.....」

 

「.....あなたはおかしなことを言うわね。でもあなた達と私は釣り合わないわ。」

 

「だったら釣り合えばいいんだね?」

 

「そう.....え?」

 

「歌姫さんよ、俺たちがそんな不釣り合いって理由だけで折れるとは思わない方がいいぜ。こいつら、そう言われたら追いついて追い抜くまで必死こいて練習するからな。」

 

「豪はもう少し技術を身につけなよ。」

 

「うっ.....うるせ!!今いいこといっていい感じにしたところだろうが!!」

 

「うるさい、黙って。サクサク」

 

「.....なんか悪い。」

 

(歌うことだけ....どういうことかしら....?私はいつも歌うことだけに集中してるというのに.....)

 

 

「分からないなら、一緒にやろうよ。そしたら何か見えてくるよ。」

 

「分かったわ.....一度試すわ。それで合わなかったら.....抜けさせてもらうわ。」

 

「勿論、それは自由にどうぞ。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ということがあって、先輩のバンドに仮加入したの。」

 

「優希らしいなー。でも友希那に手を差し伸べたのは凄いよね...。」

 

「あの時あの経験をしたから....リサやみんなの言葉を受け止められたのだと思うわ。でもそれと同時にあのレベルにしないとって必死になって結局前と同じだったわ.....それにリサは私のことをずっと隣で支えてくれているのよ。何も考える必要は無いわ。私にはあなたが必要なの。」

 

「友希那.....」

 

「それで、その後は?」

 

「あの後、今のRoseliaとは違って先輩たちは練習して.....私が許せるレベルになって.....超えていったの。私の歌で引っ張るはずが先輩たちの演奏で輝かされたのだから....白鷺さんは分かるでしょ?」

 

「ええ、豪さんとのツインボーカルは凄かったわ。会場の人がライブが終わっても席を離れなかったのだから。」

 

「その後、私はまた自分の歌を磨くためにグループを抜けたの.....そしてリサ達と組むことになったの。」

 

「そんなことがあったんだぁ.....そろそろ時間だね。友希那、味見してみて♪」

 

「ええ.....美味しいわ。これを本当に私が作ったの?」

 

「あたしも手伝ったけど.....友希那が殆ど自分でやったから胸張っていいよ!!」

 

「リサ.....やったわ!!」ニギッ

 

「うんうん!!よく頑張ったね!!」

 

「私たちも.....そろそろかしら。」

 

「うん!!千聖ちゃん、味見してみよう!!」

 

「ええ.....いい出来ね。これなら兄さんも....」

 

「じゃあ皆出来たみたいだし、渡しにいこう!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「えっと....どうしたの?千聖、それにみんなも.....」

 

「兄さん.....今日が何の日か分かる?」

 

「今日.....あぁ、ふんどしの日でしょ?」

 

「合ってるけど違うわよ.....ふんどしであると同時にバレンタインよ。」

 

「というわけで皆で作ったんだ!!」

 

「じゃあまずはあたしと友希那から....あたしたちの気持ち、込めて作ったよ♪美味しく食べてね!!」

 

「先輩.....今回はリサの手伝いがあったとはいえちゃんと自力で作ったわ.....受け取ってくれるかしら.....?」

 

「うん....ありがとう。ホワイトチョコとクッキーか.....ありがたく頂くよ。」

 

「次は私がいきます!!白鷺先輩、ハッピーバレンタイン!!これ、いちごチョコです!!チョコが苦手でも美味しく食べられると思いますよ!!どうぞ、私の気持ちです!!」

 

「うん.....こんなチョコもあるんだ....初めて見たよ。」

 

「また食べたら感想下さいね!!」

 

「うん、約束するよ。」

 

「次は私と彩ちゃんね....」

 

「じゃあ私から。優希さん、いつもお世話になってます!!その感謝とこれからもよろしくってことで....どうぞ!!」

 

「これは?」

 

「ブラウニーっていうんですよ。聞いたことないですか?」

 

「名前は聞いたことあるけど.....こんなんだったんだ。」

 

「はい!!結構自信作なんです!!だからおいしいと思いますよ!!チョコレート多めですけど.....」

 

「食べてみないことには分からないからね.....ありがとう。」

 

「最後は私ね.....あれ?皆どこに.....?」

 

「皆、グッジョブみたいなことして帰っていったよ。何でだろ?」

 

 

 

一方裏側

 

「やっぱり千聖は優希と1対1で渡さないとねー。」

 

「良かった....千聖ちゃんには申し訳ないけどこっちの方が優希さん喜ぶだろうし....」

 

「千聖さんも想いを伝えられそうですしね!!」

 

「しっ、静かに.....」

 

 

 

 

 

「兄さん.....いつもありがとう。私を1人の人間として見てくれて....そして私の我儘も聞いてくれて....兄さんのことは大切に思っているのよ。とても大切に.....これは私の気持ちを形にした、と言えばいいのかしら....?兄さんのチョコレート嫌いは知っていたけど許してちょうだい....はい...///」

 

そして私は....ハート型のチョコレートとキャンディを渡した。キャンディは彩ちゃんに教えてもらって作った.....やっぱりこうやって正面から気持ちを伝えるのは.....役でもない限り緊張するわね。

 

 

「千聖.....ありがとう!!嬉しいよ.....ちゃんと食べるからね.....」

 

「ええ、みんなの分もちゃんと食べてね。」

 

「勿論だよ.....こんなに気持ちのこもったものを渡してもらえるのは嬉しいよ.....それに千聖、このキャンディ.....」

 

「兄さん、小さい頃から好きだったでしょ?だから作ったのよ。結構自信をもって勧められるわ。」

 

「本当にありがとう.....」

 

「何泣いているのよ.....こっちも安心して涙が出てくるわ.....。」

 

ありがとう.....兄さん。これからも私のことをだいじにしてね.....

 




全員分書ければ良かったのですが.....小説の進み具合を考慮した時に親しいメンバーに限定した方がいいかなと思い書きました。(EXTRAもまだ全員妹が判明していないので書けませんでした.....)
リサさんはアプリでは紗夜さんと共同制作して自信作と言っていましたが、この二次創作では友希那さんと作ってもらいました。悪しからず。

不定期更新リクエスト

  • 優希くんと千聖ちゃん
  • EXTRAと千聖ちゃん、友希那ちゃん
  • 他の妹との交流

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