「お店のお手伝いをして欲しいんです!!」
「ええ、それは構わないのだけれど.....私、一応女優兼アイドルだから手伝える日はそう多くはないわよ。」
「受けてくれるんですね、ありがとうございます!!」
「でもつぐみちゃんも大変ね、何かあるの?」
「はい.....千聖さんも知ってると思うんですがあのバンドの合同イベントなんですけど、機材なり照明なりを運んだりするのが大変で.......おまけに今回千聖さんに出てもらうのに事務所にも行ってきました。」
「事務所!?私が個人的にoffで出演する分には大丈夫だと思うのだけれど.....事務所が納得しなかったのね。」
「そうなんです。日菜先輩もお願いしたんですけどどうしてもダメとのことで.....」
「おそらく兄さん達が出るからよ。」
「あの人が?どうして?」
「以前つぐみちゃんには話したか覚えてないけれどうちの兄さんのバンドが1回私の事務所に喧嘩を売って.....それ以降事務所の上の方々も兄さんたちを少し敵視することになって、おそらく今回は日菜ちゃんが大方『えー!?優希も出るんだよ!?』って言ったからあっちも少し嫌がらせというかそのつもりでやったんでしょうね.....いくらかかったの?」
「い、いえさすがに受け取れません!!まだ払ってもいませんし。」
「なら後で請求されたら言って。私がちゃんと話をつけるわ。」
「.....アイドルって大変ですね.....」
「仕方ないわ。こういう業界だとそういうお金絡みの話は出てきてしまうものよ。それで、他には?」
「後はですね.....各クラスの予算申請書の決済をちゃんと見るのも私の仕事なんです。一応会計さんがちゃんと見てOKを出したものを最終的に見る仕事をやってるんです。日菜先輩は理事長にそれを出したり内容に関して許可を取ったりしてるんですよ。」
「そう......日菜ちゃんもちゃんと仕事をしているのね。つぐみちゃんに殆ど任せてそうで心配だったわ。」
「日菜先輩、ちゃんとやってますよ。おそらく紗夜さんも言ってくれてますし。」
「ふふっ、そうね。日菜ちゃんは紗夜ちゃんの言うことはちゃんと聞くものね。さて世間話もこれくらいにして.....どう手伝えばいいのかしら?」
「ホールの仕事をお願いしてもいいですか?イヴちゃんのおかげでうちも沢山のお客さんが来てくれるんですけど....多くて捌くのに時間がかかっちゃって.....中にはイヴちゃんを引き止めて長時間喋る人もいらっしゃいますし....」
「大変ね.....でも私が参加したら余計に人が増えるというのはないかしら?」
「一応軽い変装はしてもらうってお父さんが言っていました。これです!!」
「つぐみちゃん.....そんなに眩しい笑顔でメイドの服を出しても反応は同じよ。」
「でも、これしか家に無くて....だめですか?」
「(.....つぐみちゃんにこんな顔されたら断れないわね。)分かったわ。恥ずかしいけれど.....やってみせるわ。」
「.....!!ありがとうございます!!」
「これでごまかせるかしら.....?」
「大丈夫だと思いますよ!!多分.....」
私は一応、髪型をおさげにして眼鏡をかけて雰囲気は変えたけれど.....
「足りない分は演技で補えばいいのだけれど....兄さん達にだけは絶対にバレるわ。」
「千聖さんって眼鏡をかけるだけでも雰囲気変わりますよね.....」
「そうかしら?でもいつも通りの髪型にしてたら眼鏡をかけても一瞬でバレるわよ。過去に経験したことあるから。」
「そうなんですか.....じゃあ早速お願いします!!今からお手本を見せますので、分からなかったら気軽に聞いてください!!」
「ええ、お願いするわ。」
「こんにちは!!あれ?ツグミさん、チサトさんを雇ったんですか?」
「お手伝いとして今はいるのよ。イヴちゃん、私はできる限り他人を演じるからイヴちゃんも気軽にチサトさんとは呼ばないでね?」
「はい、分かりました!!まるでくのいちみたいですね!!」
「ふふっ、そうかしら。」
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「意外と料理を片手で持っていくのって難しいのね。」
「そうですか?私は小さい頃からやってたから慣れてますよ!!」
「つぐみちゃんは偉いわね。」
「えへへ.....そうですか?」
「今のところバレてはいないし.....順調ね。」
「チサトさん、お客さんが来ました!!」
「ええ、行くわ。」
「いらっしゃ.....」
「2名です。テーブル席がいいんですけど、空いてなかったらカウンターでお願いします。」
「あれー.....うーん、千聖ちゃんに似てるなぁ.....」
どうして兄さんと日菜ちゃんが一緒に来てるのよ!?しかも日菜ちゃんに関しては少しも変装をしてない!!珈琲店にアイドルが3人もいたら騒ぎが大きくなるわね。
「ひ、人違いですよ.....私は白鷺千聖じゃありませんから。」
「(千聖.....ごまかして一体何がしたいんだろう.....買いたいものでもあるのかな?)」
「じゃあご案内しますね。」
「(ねぇ優希、あれ千聖ちゃんだよね.....?)」
「(うん.....なんか普段と全然雰囲気違うけど.....何してるのかな?)」
(ちょっと兄さん?どうして日菜ちゃんとそんなにくっついているのかしら.....?特に日菜ちゃんはアイドルのイメージもあるんだから疑われるわよ....)
「こちらメニューになっていますので決められましたらお呼び下さい。」
「あの、店員さん?僕のつま先を踏んでいるのですがこれは何故ですか?」
「では失礼しますね。」
「なんで怒ってるの.....?」
「さぁ.....ところで持ってきた?」
「あの用紙?うん、持ってきたよ。」
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『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ....』
「ち、千聖さん!?何かあったんですか?」
「いえ、何も無いわよ。」
「目に光がありませんよ.....あれ、千聖さんのお兄さんですよね?」
「ええ、そうよ。」
「とっても仲が良さそうですね♪」
「あっ.....」
「ふふっ、そうね.....」
「イヴちゃん!!そろそろコーヒーの追加注文来る時間帯だからホール回ってきて。」
「はい!!分かりました!!」
「なら私も行くわね。」
「は、はい.....」
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「とりあえず、生徒会の承認印は貰うよ。」
「うん、ドーン!!」
「豪快に押したね.....というか変装大丈夫なの?」
「大丈夫だよ!!だって優希と歩いてても何も言われなかったし。」
「それもそうか.....うちはくじ引きライブやるからその候補曲のどれになるかは分からないからそこは了承しておいてね。」
「うん、分かってるよ。ねぇ聞いてよ、この前おねーちゃんがさぁ.....」
「うんうん....」
「お客様、コーヒーです。」
「ありがとう千聖.....ねぇなんで怒ってるの?」
「私は白鷺千聖ではありませんよ、ふふっ。」
「こ、怖いよ.....」
「ねえねえ千聖ちゃん、ポテトある?」
「すみませんがポテトはこの店にはありません。」
「えー、じゃあいいや。じゃあ.....優希に膝枕してもらおう!!」
「ちょ!?勝手に乗らないでよ.....」
「あら、お客様、随分と良い身分ですね♪」
「ひ、日菜ちゃん!?千聖を煽るようなことは辞めて.....僕の命がいくつあっても足りないから.....」
「ここに来る時も恋人繋ぎしたもんね♪」
「.....は?」
「いやしてないよ!!捏造しないでよ!!」
やばい.....このままだとフタエノキワミどころかキボウノハナされるのが目に見えて分かる。日菜ちゃん、千聖をからかってるんだろうけど僕の体が後々ボコボコにされるのを考えてからやってね.....
「へぇ.....これはお説教、いや調教が必要みたいね?」
「こ、こっわ.....」
「おい見ろよあれ、あのメイドさん!!めっちゃドSだぞ!!」
「やべぇ、興奮してきた。」
「あの、すみません!!俺も見下してください!!」
「え、ええ!?」
「なんかこの流れゲームセンターの時もあったよねー。」
「でもおそらく千聖ってバレてないよ。」
「千聖ちゃんはやっぱり凄いね!!」
「元はと言えば全部日菜ちゃんが起こしたことなんだけどね.....」
「あわわ.....」
「ほら、つぐみちゃんも困ってるし.....」
「凄いです!!まるで本物のようです!!」
「あなた達、ここは珈琲店よ。ぎゃあぎゃあ騒がないで。全く、ここは無能の集まりですか?」
「ひ、ひぃ.....」
「千聖、なんとか場を収めたね。」
「そうだねー。あれ?優希誰に電話かけてるの?」
「ん?.....ああもしもし、紗夜さんですか?あの妹さんが少しばかり騒ぎを起こしちゃったので来てもらえますか?」
『日菜がまた何かしたのですか.....ご迷惑をおかけして申し訳ありません。日菜には後で厳しく言っておきます。ところでどちらに?』
「羽沢珈琲店です。」
『.....今すぐ行きます。』
「というわけで紗夜さんに電話かけてたよ。」
「うう....絶対怒られるよぉ.....」
「ここが家ならともかく飲食店だったからね.....断らなかった僕も悪いから後でちゃんと一緒に頭を下げるよ。」
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夕方
「本当に申し訳ありませんでした。」
「僕も年上でありながら行動をちゃんと止められませんでした。すみませんでした。」
「あ、別にいいんですよ!!とくに怪我とか無くて安心しました。」
「まぁ騒ぎが起きたのはもういいですよ。最近店が静かでしたから少しうるさくなってくれてむしろ嬉しかったからね。でもあんな風にはもう騒ぎは起こさないでね。いい?」
「はい.....」
「うう.....おねーちゃん、ごめんなさい。」
「.....もう過ぎたことだからあまり言わないわ。でも日菜、まずはそういうことをやめなさい。あとは自分が有名人だということをちゃんと分かって行動して。」
「はぁい.....」
「兄さんも、何笑っていたのかしら?」
「す、すみません.....まさかあんな騒ぎまでなるとは.....」
「違うわ、日菜ちゃんが膝枕を要求して動いた時にどうして辞めなかったのかしら?」
「そっち!?」
「それに今日は随分とお楽しみだったじゃない。」
「うっ....言うことはありません。」
「もう.....気をつけなさいよ。」
「ところでどうして今日変装してたの?」
「つぐみちゃんにお願いされたのと、私が素でメイドをやっていたらある意味あれより大騒ぎになるのよ。SNSも現実も。」
「そうなんだ.....」
「兄さんは日菜ちゃんと何をしてたの?」
「羽丘の文化祭のエントリーシートの提出だよ。セトリとメンバーの名前書いて提出しようと思ったけど僕が羽丘に入ると色々不自然だし友希那さんに捕まるのは確実だから個人に渡した方がいいかなぁって.....」
「そうだったのね....でも私に教えてくれなかったのかしら?」
「特に言う必要もないかなぁって.....それにあんなに長時間話すつもりもなかったし。」
「へぇ.....これは友希那ちゃんにも、報告ね。」
「勘弁してよぉ.....」
どうでもいい豆知識①
巴ちゃんが苗字で呼んでいる(先輩付き)人は、千聖さんと薫さんと友希那さんしかいないんですよね。巴ちゃんから千聖さんはやっぱり大人っぽく見えるのかそれとも単に会う機会が少ないのか.....
間違ってたら教えてください。
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