最近感じたことがある。私と兄さんの時間が少なすぎる!!どういうことかって?最近兄さんは何かと外に行っては他の女の子と友達になったり、さり気なく相談に乗ったりと.....私にはいつも事後報告ばっかり!!
兄さんとの時間が欲しい。でも、言い出すのがどことなく気まずい。どうすれば.......こういう時だけは日菜ちゃんの行動力を分けてもらいたいわ。
「あ、あの....兄さん、少しいいかしら?」
「ん?どうした、千聖?勉強か?」
「いえ......その.....」
「.......どうした?」
言い出せない.......今まで様々な舞台をこなしてきたのに。いいえ、勇気の出すのよ、私、たった一言「お茶しに行かない?」と言うだけ!!それだけよ!!
「その.....今度花音とお茶しに行くのだけれど、良かったら兄さんも一緒にどう?その.....兄さんも忙しそうだし。」
どうして上から目線になるのよ!!来て欲しいのこっちじゃない!?
「うーん、気持ちはありがたいけど、お茶しに行くのなら2人の方がいいんじゃないかな。千聖も花音さんも気を使う必要ないし。」
しかも兄さんはどうしてそこで紳士モードを発動するのよ!!もう!!.......そういう優しい所も好きだけど。
「その、花音が兄さんとお茶したいそうなの。バイトでどうしても先輩後輩を意識してて、あんまり打ち解けれてないんじゃないかなって。だから、この機会に仲を深めたら?」
ごめんなさい、花音.......今度ケーキかお茶をご馳走するわ。
「僕は別にそんなこと気にしてないんだけどなぁ.....でも人間関係があればバイトとかも行きやすいしなぁ.....分かった。いつ行くんだ?」
「よし!!!」
「え?」
「あっ.....なんでもないのよ!!なんでも!!」
「う、うん.....で日時はいつなんだ?」
「今週の土曜の昼間よ。午前中は仕事だから羽沢珈琲店で集合しましょ。」
「うん、分かった。なぁ.....花音さんは大丈夫なのか?」
「あっ.....兄さん、申し訳ないのだけれど花音の家まで迎えに行ってくれないかしら?1人じゃ迷うと思うし。」
「いいけど.....僕花音さんの家知らないんだ。」
「あとで携帯に送るわ。それ見て行ってね。」
「ほいほい、了解。」
やった.....!!ついに、ついに兄さんを誘えた!!二人きりで、と言えなかったのは残念だけれど、これも進歩よ。.....今日は眠れないわね。週末が楽しみだわ。
「まさか千聖の方から誘ってくれるなんて。理由はともかく久々だ.......!!」
僕は非常に喜んでいる。花音さんとの親睦を深めるという目的だけど、千聖から直接誘いがきた。今日くらいは千聖に嫌われていないと自惚れてもいいんじゃないかな.......?
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「さて.......花音さんの家を探すか。地図見てるんだけどあんまり分からないんだよなぁ。」
そう、千聖が電車の乗り換えが苦手なように、僕は路線図や地図を見て動くのが大の苦手である。方向音痴とかではないが、全く分からない。あんな複雑なのを見て動ける人ってすごいよね。
「ここ.....かな?あれ、でも表札に奥沢って書いてるけど.....」
どこなんだ?一体.......
「何やってるんですか?人の家の前で。」
「えっと.....奥沢さんだっけ?その.....花音さんの家を探していて。」
「え?.....ストーカーとかじゃないですよね?」
「違うよ!?えっとね.....千聖がお茶するから花音さんを連れてきてとのことで探してるんだけど。」
「あっ、そういう.....なら案内しましょうか。花音さんのところに行くのは慣れているので。」
「慣れてる.....?あっ、そうか。同じ花女だからか。」
「私、花音さんより年下なんですが.......」
「え?じゃあなんで.....?」
「前に言ったじゃないですか。バンドやってるって。花音さん、メンバーなんですよ。というか前は薫さんのことも言ってましたよね?自分で。」
「そうだったっけ?.....じゃあ案内してもらっていいかな?」
「本当に忘れやすいんですね.....はい、いいですよ。」
「ここですね。」
「ほんとだ、松原って書いてある。」
「あれ?美咲ちゃん?どうしてここに?」
「あっ、花音さん。白鷺さんが家が分からないって言うから連れてきたんです。」
「.......それよりもなんで美咲ちゃんが白鷺くんと知り合いになってるの?」
「あれ?言ってませんでしたっけ?この前勝手にどこかにいったこころとはぐみを探してる時に会ったんです。その時に少し話しまして。」
「あっ.....そうだったね。」
「では、私はこの辺で。お互い迷わないようにして下さいね。」
「大丈夫だよ、道は覚えたから。」
「地図をまともに読めない人に言われてもなぁ.....」
あの....さらっと心に来ること言わないでくれるかな!?結構気にしてるんだよ!!それ!!
「しゃあ、行こっか。白鷺くん。」
「あの、花音さん?そっちじゃないような.....」
「あれ?アプリだとこっちになってるんですが.....」
「ん?.....僕達どこにいるんだ?少なくともこっちじゃないよ。逆かと。」
「ふぇぇ.....どうしよう。」
「うん、本当にどうしよう。とりあえず動くとあれだしここで待とうか。」
「はい.....」
こうなったら千聖にお願いするしかないか.....
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ピロリン
「あら?メッセージがきてる。って!?兄さん!?」
YU『千聖へ。道が分からず花音さんの家の前で右往左往しています。助けて。』
「はぁ.....兄さんがマップとか全く読めないの忘れてたわ。でもよく花音の家の前まで行けたわね。奇跡かしら?」
もしかして.....兄さんって花音よりも酷いのかしら。
前後編分けて書きます。次回は千聖さん回です。(アンケートでめっちゃ言われてました。)
あと、投稿ペースですが早める努力はします。が、毎日とかそこまでは期待しないでください。
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