教師生活も段々と慣れ、噛むことももう無くなった。最初は緊張してたから丸山さんのようなこともあったけど.....ま、まぁ慣れたしいいよね。
だが、この学校はそこで終わらせてくれるつもりは無かったみたいで
「家庭訪問、ですか?」
「うん!!一応1年生だから保護者に顔見せするのと、授業は普段の佇まいとかも含めて保護者と話し合うんだよ!!」
紫吹さんがやけに元気そうに言っているが、こっちからしたらお金もちの家に行くということになるから緊張感が半端ない。それに僕は何故か犬(レオンを除く)から嫌われやすいから家に犬とかいたら怖いなぁ....
「一応事前にアンケート取ったけど、スーツで来ることと、親御さんの子供自慢は最後まで聞くようにだって。」
「子供自慢?」
「うん、この学校の生徒ってさ、お金持ちとかコンクールで優勝したりとか色々ハイスペックだからねぇ.....親御さんも自慢したいんじゃないの?」
「随分と適当な.....」
「明日からだから頑張ってね!!」
まぁでもお茶とか出してくれたら嬉しいなぁ.....
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翌日 放課後
「えっと.....初っ端は八潮さんか。いきなり山場来たなぁ.....」
結構不安である。おそらく八潮さんの性格からして親御さんも案外似ているところがあるんだろうなぁ.....バンドの話とか出されたらきついな。
「...あれ?優希くん?」
「こんにちは二葉さん、どうしたの?」
「うん、ちょっとお使い行っててさ。さっき荷物家に置いてるいさんの家に行く予定だよ。」
「八潮さんの?どうして?」
「この前合宿の話したでしょ?だから改めてリーダーとして親御さんにちゃんとお礼を言っておきたいんだ!!先生もるいさんの家に行くの?」
「うん、家庭訪問あるからさ。良かったら一緒に行く?」
「え、それって行って大丈夫なのかな.....?」
「まぁ別件だったら大丈夫じゃないかな?」
という訳で僕と二葉さんで八潮さんの家に行くことになった。八潮さんの家ってどれくらい広いんだろ.....?
「着いたよ!!」
「あれ.....案外豪邸っぽくない?」
もっと庭があってぇ.....みたいなのを想像してたけどそういうのではなかった。だが分かる、明らかにこの一軒家はお金持ちだ。あれかな?
「入らないの?」
「一般人は入るのを躊躇うんだよ.....」
二葉さんは何の躊躇いもなくベルの前まで行った。こういうところはやっぱりお嬢様らしいなって思うこともある。
ピーンポーン
「はい、八潮です。」
「あ、どうもすみません。月ノ森女子学園1年C組の白鷺です。家庭訪問で伺わせてもらいました。」
「あぁ....どうぞ、入ってください。」
意外と物腰柔らかく受け入れてくれた。そこは意外。
「あ、あとMorfonicaの二葉つくしです!!合宿の件で....」
「分かりました、家庭訪問がありますからしばらく別室で待ってもらっていてもよろしいですか?」
「はい!!分かりました!!」
「んん.....初めまして、八潮瑠唯の父です。娘がいつもお世話になっております。」
「こちらこそ初めまして.....お忙しい中お時間取っていただきありがとうございます。」
挨拶ってこれでいいよね?多分。
「それで.....娘はどういった感じですか?」
「そうですね.....クラスでは非常に優秀な立ち位置にはいますし、バンド内だとバンドを抑える役割も果たしてくれています。」
「なるほど.....他には何か、例えば思い詰めているところとかは....?」
「特には無いんですが.....何かきがかりなことがあるんですか?」
ちょっと気になる。でも話してる感じこの人はスパルタのようには見えない。
「その.....なんと言いますか、私も妻も、瑠唯に期待をし過ぎている部分がありまして.....昔でいうとヴァイオリンのコンクールも私たちが始めさせたようなものですし。」
「あぁ.....そういう。でもバンドの調子を見る限りは何かに追いかけられているといった様子はありません。」
「そうですか.....それなら良かった。 ....先生。」
「は、はい。」
そう言って八潮さんの父親は窓際に行って、並べられているトロフィーに手を当てながらどこかを眺めるようにして言った。
「過度な期待は時に災いを招くもの.....覚えておいてください。」
「は、はい.....」
なんか知らないけど重い雰囲気になった。もしかしてあれかな.....自分が娘にやってきたことを少し後ろめたく思っているのかな。
「では、私はこの辺で.....妻が話したがっているようなので。」
ん?なんか第2Rみたいな感じになったけど母親も来るの?
「初めまして、八潮瑠唯の母です。」
「初めまして、白鷺優希です。」
なんか初っ端から敵意むき出しなんですが.....というか威圧感半端ねぇな。
「先程主人とお話したようですが.....娘にバンドを辞めさせるよう言いましたか?」
「い、いえそういうことは言っていません。」
「そうですか、では改めて。娘にバンドを辞めさせて下さるよう言ってくださいませんか?あのような時間の無駄になる事をしていては将来に傷がつきますので。」
あれ?これで別荘借りれたの?え、どういうこと.....
「主人はあれを認めていますが.....あんな事ではいけません。」
.....大体察した。さっきのあの言葉はきっとこれがあるからって事か。
「すみませんが.....娘さんにどういったことを期待しておられるんですか?」
「期待ではありません。できて当然の事です。まずあのような事に現を抜かしていたは.....」
そこからは長々と理想論が語られた。確かにこう育てられたら八潮さんの性格がああなってもおかしくはないのか.....
「ですから、お願いします。いえ、してください。」
「残念ながらそれに関してはお断りします。」
「何故ですか?あなたは教師でしょう!?」
「まぁ正確に言うと実習生なんですけど.....まぁいいや。バンドをやるというのは八潮さん本人が決めたことです。」
「だからこそ間違っているから大人が正す.....」
「まず何故無駄だと断定できるのですか?そこを教えてください。」
「それは当たり前でしょ?あんな馬鹿でただ騒ぎたい連中がやりそうなことを.....」
.....どこの業界もどうしてこういうことがあるんだ.....千聖も周りから色々圧力あったし、八潮さんも色々ありそうだし.....
「あのすみません....ご冗談ですよね?」
「冗談な訳が無いでしょ!!」
母親は激昂していた。おそらくこういうお金持ちだからこそそういう道が、生き方が正解とかそういう教えられ方をされているのかな.....
「少なくとも、その時間が無駄になるかどうかは八潮さん次第です。お義母さんが決める事ではありません。」
「じゃあバンドをして、一体履歴書に何か効果があるんですか?バンドをやっていることが一体何に有利になるんですか!?」
「そもそもその考え方がおかしいんじゃないですか?バンドをやろうがやらなかろうが八潮さんの自由ですし、それを決める権利は僕にもありません。」
「だからお金持ちというのは.....」
「さっきからしつこいですよ!!なんでお義母さんが勝手に枠作るんですか!?」
「だって子供は間違う.....」
「間違いの何がいけないんですか?そうやって失敗したとしても成功したとしても、その経験が、そこから得られた物がより人を良くしていくんじゃないんですか?」
「う、うるさいわね!!口答えするつもりかしら!?実習生の分際で!!」
「相手の立場がどうかは関係ない事です。それにさっきから無駄無駄言ってますけど.....そりゃあその考え方じゃ無駄になりますよ?」
「な、何が言いたいのよ.....」
「八潮さんがバンドを始めたのには何か理由があるはずですし、それを決めたのは八潮さんです。なら親なら、それを応援してあげてくださいよ.....」
「さっきから偉そうに.....」
「周りからそうやって期待という名の圧力をかけられる子供の気持ちが、分かりますか!?おそらく八潮さんはそこまで苦しんではいないかもしれません.....でも、個人なりに葛藤はしていると思います。」
そこに関しては僕もよくわからない。結成当初からいた訳でもないから。
「....ちょっと話が反れましたが、さっきの無駄についてです。無駄かどうかを決めるのは八潮さんです。そういう考えで生きていれば確実に無駄になります。」
「で、でも結果論で考えればやらない方がいいに決まってるでしょ!!」
「では結果論で話をしましょうか?勿論今の社会は成果主義が大きいですし、当然結果論にたどり着くのは当然です。ですが.....成功した、失敗したということよりも、その成功や失敗を活かせない方が失敗だと思うんです。」
「な、何を言って.....」
「勿論先程仰っていたようにバンドをやったからといって履歴書に色がついたり、将来コネができたり、そういったことは殆ど無いでしょう。ですが、バンドをやっていくうちに培われる他人との協調性、個性。そして色んな経験をします。その時間は、考え方1つで貴重な物にもなりますし、同時に無駄なものにもなるでしょう。でもそれは本人次第です。だから.....親御さんが勝手にレッテル貼って、娘さんの意志を曲げようとするのは辞めてもらえませんか?娘さんを慮って動くのと子供のためにと規制するのは似ているようで全く違いますからね。」
なんか.....どっかの3年B組の担任の先生みたいな展開になったかな.....まさか実習期間に親御さんにこんな意見する展開になるとは....
「.....」
そのまま、八潮さんの母親は無言で部屋を出ていった。後ろから二葉さんと八潮さんの父親が見ているのが見えた。
「もしかして.....見てました?」
「うん!!かっこよかったよ、優希くん!!私もああいう風に言えるようになれたらいいなぁ.....」
「よく妻に向かってあそこまで怖気づかずに言えたね.....尊敬するよ。」
「もしかしてかかあ天下なんですか?」
「あぁ.....そうなんだ。因みに別荘の件は快諾したよ。ここまでやって貰ったんだから自由に使ってくれたまえ。」
「あ、ありがとうございます。」
「顧問として一役頑張ったね、優希くん!!」
「二葉さんもリーダーになるなら、あれくらい堂々と言ってね。僕も言ってる時内心超緊張してたから.....」
さすがに怖かった。他人の親が相手だからね。ま、まぁ怒った時の千聖のあの雰囲気に比べたらへでもなかったな.....
「因みにさっきのところ、録画したんだ!!」
「.......え?」
笑顔で二葉さんがカメラをだした。いや、そんなドヤ顔されても.....
「これ今度モニカの皆で見るね!!」
「辞めんかい!!」
月ノ森女子学園のモデルって慶応女子なんですかね.....休校もあと2週間ちょっとですね.....
これは皆さんに提案です。一応この二次創作はタイトルとは反して千聖さん回が少ないという状態です。というのもメンバー全員との日常も書きたかったが故なんです。なので.....シリアス、日常、戦記ものと来たので、オリ主の千聖さんヒロインの純愛小説とか書いてみる、という考えです。ただし、並行するのは難しいですし、一応教育実習編が終わったら『白鷺家のお兄さん』を終わろうかなと思います。ちょっとしたEXTRAの過去編とかもたまに投稿する感じにして。そこら辺のご意見とかアンケートとかもやっていけたらなと思います。(今のアンケートがある程度投票してくれたらやります)。
不定期更新リクエスト
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優希くんと千聖ちゃん
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EXTRAと千聖ちゃん、友希那ちゃん
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他の妹との交流