白鷺家のお兄さん   作:面心立方格子

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オートライブが実装された(というかプロセカから輸入したんだろうけど)ので、デイリーがめちゃくちゃ楽になりましたね


子供と化したお兄さん②

前回のあらすじ

 

薬を飲まされたよ。

子供になったよ。

玄関前に鼻息荒い歌姫がいたよ。

 

今北産業で説明はしてみたものの、状況は混沌とし過ぎている。というか最後の鼻息荒い歌姫ってなんなのほんと。

 

ガチャガチャガチャガチャ.....ピンピンピンピンピンピン

 

友希那さんの荒々しいドアノブを引く音と、連打しすぎてもはやどこかのチクッとやりそうな蜂みたいな音がリビングにまで響き渡る。

 

「随分と興奮してるみたいね。」

 

「......呼んだの、千聖じゃないの?」

 

「えぇ、本来なら私だって兄さんを一日中甘やかしたかったのよ。たださっきこんな無粋なメールが来たのよ.....」

 

千聖が提示してきた画面を見ると『配役オーディションのお知らせ』と書かれており、事務所が予定を空いている俳優をどんどん入れているらしい。

 

「意外だね....もう各自受けるオーディションが入れられてるし。」

 

「この映画の監督さん、業界ではすごく有名なの。だからこそ、事務所の俳優を起用してもらおうと躍起になって次々入れてるのよね......今日はその打ち合わせと練習が入ったってところよ。だから仕方なく呼んだのよ....ほんと、本当に仕方なくよ!!」

 

千聖がまるで辛酸を舐めさせられたような顔をしながら台パンをする。その勢いでレオンがあくびをしながら起き上がる......レオン、これが我が家の日常茶飯事と分かっているのか、妙に肝が据わってる。

 

「まぁ、友希那さんは盲目的になると危ないけど....ちゃんと一線は引いてるし、大丈夫だと思うよ。」

 

僕は、この発言を後悔しないことを願いながら荒れ狂ってるドアを鍵を開けた。

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しかし現実は非情であった。

 

「皆見て、先輩が子供になったのよ!!」

 

「湊さん.....遂に手を染めてしまいましたか.....」

 

「あはは....友希那、大人しく自首した方がいいんじゃないかな.....?」

 

「待ちなさい2人とも。私は別に犯罪をした訳では無いわ。白鷺さんが何かを飲ませた結果生まれた先輩の幼少期を連れてきただけよ。」

 

見事にCiRCLEに連れていかれ、Roseliaの面々の前で色々言われてる。ちょっと待って今日平日だよね?皆当たり前のようにここにいるの何なの......?

 

「ねぇ、君ら高校どうしてるの.....?」

 

「.....それはこれから検討しようとしてるのよ。写真で興奮し過ぎてつい名乗りを上げたのはいいものの、今日が平日だということをうっかり忘れていたわ。」

 

「うっかりってレベルじゃないよねそれ。」

 

「でも実際どうしましょう.....花咲川には、子供を預かれる場所は無いですし......」

 

「羽丘もそうかなー。学童とかあるのって小学校くらいだし。」

 

「ねー、なんで連れていくの?」

 

そこにドラムの子.....あこちゃんが鋭い質問を投げかける。なんか不思議に疑問に思わなかったけど、何故か話が僕を連れていく前提で進んでいる。そうだあこちゃん、もっと言ってやってくれ....

 

「よく聞きなさい、あこ。こんな愛らしい子供を放置していたら、誰かしらに必ず襲われてしまうわ。」

 

(1番襲いそうな人が近くにいるんですけどね、.......友希那さん。)

 

「でも、家にいたら大丈夫だよ!」

 

「私は先輩の家に何回もピッキングをして入ってるから分かるのだけれど、あの家の鍵って、比較的古いものなの。ただちょっとやり過ぎて.....最近は鍵としてあんまり機能して来なくなってきたの。なんか鍵の付け方が緩いというか......」

 

「なんか段々鍵がおかしくなっていってると思ったら、犯人は友希那さんだったのか.....あとで新しくつけてもらお。」

 

「だからこそ、先輩を先輩の家に置いておくのは非常に危険なの。おまけに今日は平日だから私たちは皆学校に行かなければいけない。そうなれば....連れていくしかないの。」

 

「なるほど!」

 

納得してしまうあこちゃん。

 

「でも大丈夫....?女子高にこんな子供連れていったら、後々面倒なことになるし変な噂立つよ?」

 

「うっ.....ならこうしましょう。先輩、花咲川でも羽丘でもどちらでもいいわ。生徒会室に居てもらいましょう。」

 

「生徒会室?なんで?」

 

「花咲川では白金さんが、羽丘では日菜が生徒会長を務めています。教職員側の反応は分かりませんが、少なくとも生徒側では融通はいくらでも利きます。......私は、花咲川の方がいいと思います。日菜に任せると、また羽沢さんに迷惑がかかってしまいますし.....」

 

「あはは.....日菜も、そこら辺は分かってると思うけどなぁ。」

 

「私は断固として羽丘以外の選択は許さないわ。理由はいたってシンプル。私が先輩を可愛がりたい。」

 

「それは後ですればいいじゃないですか......」

 

「それと、花咲川に行かせたら、その対応を燐子にさせることになるわ。」

 

「でもそれって、どっちに行っても避けられない事態じゃないの?」

 

「.........」

 

僕の質問でその場が一気に静まり返る。やっぱり家にいるのが1番安全策だよね。何故かその話はここの女子高生達には通じないらしい。そして数秒、友希那さんと紗夜さんの間で目線による会話が始まって、紗夜さんが頷く。

 

「......分かりました。今日は羽丘で預かってもらって、翌日花咲川で引き取りましょう。」

 

「.....えっと何が分かったのかな?」

 

「今日白鷺さんが私たちのところに渡されたのは白鷺さんの予定によるものです。今メールで聞いたところ、オーディションは今日だけらしく、明日は特に何も予定が無いようです。」

 

「うん...それで?」

 

「それでしたら、明日は白鷺さんの下にいた方が色々都合は良さそうですし、今日の間に白金さんや市ヶ谷さんと協力して花咲川の教職員に事情を説明して許可を取り付けます。」

 

「もう、家にいるという選択肢は無いのかな.....?」

 

「そんな物、私が預かった時点で最初から無いわよ先輩。でも安心して。さっきは色々欲のままに言ってしまったけれど、学校ではちゃんと一定の距離は取るわ。」

 

「それホント....?僕の高校の門前で待ってて注目浴びてたの何処の誰だっけ......?ほんとに大丈夫?」

 

「人は成長するのよ。それに私が仮に先輩にべったりして変な印象を持たれたら、それはRoseliaのイメージダウンに繋がる恐れがあるもの。私情がどれだけ大きくとも、私の1番の目的は音楽と先輩だから。」

 

「うん、抜け切ってないよ....?」

 

色々理由を上げるより「Roseliaの為」と言ってくれた方が信用できるのほんとなんでなんだろうな......僕、バイアスかかってるかな。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

羽丘高校 生徒会室

 

「えー!?どうしたのそれ!?可愛い!!るんってくるよ!!」

 

「それは....大変でしたね。」

 

友希那さんと今井さんに連れられ、生徒会室までやってくる。入ってくる時にすごく注目を浴びたけど、友希那さんが睨みを効かせたことで変な噂が立つことは無かった。

 

「氷川さん、先輩を今日1日でいいからここにいさせてあげられないかしら?」

 

「うん!いいよ!!行ってくる!」

 

「あ、ちょっと待ってください!!」

 

勢いよく扉をバンと開けて走っていく日菜ちゃん、とそれを慌てて追いかける羽沢さん.....確かに紗夜さんの言う通り、大変だ.....

 

「....これなら、電話で先に伝えた方が良かったかしら。」

 

「普通こういうのって、事前に言うのが普通なんだけどな....」

 

「あはは....とりあえず優希。お昼ご飯はあたしが持ってきてるからそれ食べてね♪」

 

そう言ってカバンの中から、丁寧に包まれたお弁当が出てくる。でもいつ作ったんだろ....これ。

 

「羨ましいわ.....先輩、それはリサが先輩と会えそうな日にはいつも作ってるものよ。私も味見したことあるけれど、美味しいわ。ちなみに会えなかった日は私の胃袋に行くのよ。」

 

「ちょ、友希那!?」

 

「そっか....じゃあ今日初めていただく形になるのかな。ありがとう。」

 

「・・・ずるいってば。そういうの。」

 

今井さんが照れると共に、隣から氷のような冷たい視線が届く。背中に冷たいものが流れる。

 

「....とにかく、今日の昼食は心配いらないわ。私たちは今から授業があるから、先輩は大人しくここで待っていてね。」

 

「ちょ、ちょっと待って。まだ許可取りに行った人が戻ってないけど.....」

 

「あら、寂しいのかしら?不安なのかしら?そういう先輩を見るのは新鮮ね。それに羽沢さん達ならきっと大丈夫よ。」

 

そして僕の抵抗も虚しく、友希那さんと今井さんは生徒会室を後にする。この子ら、肝の座り様が凄い,.....さすがFWF出場者。

 

 

 

 

昼休み 生徒会室

 

午前中は特に何も無く、生徒会室で1人だった。てっきり友希那さんが授業を抜け出して来ないか心配だったけど.....良かった。けれど...

 

「はい、あーん。」

 

何故か、食べさせられている。今井さんの作った弁当、美味しい.......でもなんで、食べさせられてるんだろ。

 

「....先輩との子供が出来たら、こんな感じになるのかしら。」

 

「千聖も似たような事言ってたよ今朝....」

 

「先輩、今は私と一緒にいるのよ。あの女の話はしないで。」

 

「僕の妹なんだが?あの女呼ばわりは酷いよ。」

 

「1度言ってみたかったの。気分を害したなら謝るわ。」

 

そうやって他愛の無い話をしながらも友希那さんは僕の口に弁当具材を次々と運ぶ。小さくなって初めて見るけど、友希那さんってこんな顔もするんだ.....ほんとに表情豊かになったなと孫を見る爺じみた感想が出てくる。Roseliaの子達には感謝しかない。

 

「へぇ....友希那ちゃんってあんな柔らかい顔するんだ....」

 

「日菜も知らなかった?友希那って優希の前だと色んな表情出すんだよ。」

 

「先輩は私が家族以外で初めて気を許した異性だもの。それに私と先輩は知り合ってあれこれ数年は経つけど.....日に日に愛情が増すばかりよ。」

 

「だったらやっぱり、中学時代にあんなツンケンしないであたしにも色々話して欲しかったなぁ。あたしの方が優希より付き合い長いんだし。」

 

「そうだよー!あこが友希那さんと会った時、あんなに厳しかったし冷たかったよ!」

 

2人からブーブーと苦情が出る。まぁ本気でそう思ってるというより、仲間だからこそ言える軽口みたいな感じなんだろうな。そして当の友希那さんは少し深刻そうな顔をする。空気が少し重くなる。え?これ仲間同士の掛け合いじゃないの....?

 

「焦っていたのよ.....先輩達と一緒にいて、バンドを組むことと研鑽していくことがどういうことか分かったの......けれど、先輩達と別れた後、私は父の音楽を証明しようと、あの人を超えようと、躍起になっていた.....先輩達と一緒にいて経験を積んだから、きっと出来るはずだって。」

 

「........」

 

すごいシリアスなセリフと共に、友希那さんがこっちに移動してきて僕を膝に乗せて撫で始める。あ、これ雰囲気に乗じてやってるな....

 

「結局それはただの思い込みだって気づいたのはRoseliaを結成してから少し経った頃。今はもう大丈夫、あの頃の私はもういないわ。Roseliaと共に歩む決意をしたから。」

 

「友希那....!!!」

 

「あの.....いい感じに盛り上がってるところ失礼なんですけど、なんで僕が友希那さんの膝の上に乗せられているの.....?」

 

「何か変かしら?ただ子供を可愛がってるだけよ?」

 

「んーー、変というか雰囲気に乗じてやったよね?確信犯だよね?」

 

「先輩、あまり察しのいい男性は嫌われるわよ。私は先輩が私の本心を分かってくれているという嬉しさがあるからいいのだけれど。」

 

そしてなんやなんやあって昼休みが終わり、皆が授業へと向かった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

放課後 帰り道

 

「さて、どうしようかしら.....?このまま家まで行ってもいいけれど、今日くらいはいいかしら?」

 

放課後、迷っては行けないと無理やり言いくるめられ、今僕は友希那さんと手を繋いで帰っている。ただ、孤高の歌姫がそんなほのぼのとした事をやっているせいか、羽丘を出て数分は周りがひたすらザワついていた。

 

「ちょっとぉ?僕帰りたいんだけど.....!!!」

 

力を入れてなんとか振りほどこうとるも、小さくなってるせいで力で押し込まれる。待って友希那さん、こんなに力あったのか。

 

「あら?どうしたのかしら?そんなに私の家に行きたいのかしら?」

 

「今行ったら絶対タダじゃ済まないからやだ!離し....ちょ、なんで指絡めてくるの!?」

 

「いいじゃない。こんな事できる機会もそうそう無いもの。」

 

「あはは....優希も大変だねー。」

 

「大変だと思うなら助けて.....」

 

そしてその状況を隣で見ている今井さん。なんなら今井さんにもう片方の手を繋がれている。

 

「そう言えば友希那、さっき言ってた『あの人』って友希那のお父さんの事?」

 

「?違うわよ。.....そうね、リサは会ったことないかしら。」

 

「へー、誰誰?」

 

僕の背中に悪寒が走る。その人は僕も知っている。というか何なら僕がこの世で最も恐れている人......殺気を出してる千聖やキレてる時のオーナーとはまた別ベクトルで恐怖を感じていた.....

 

「どうしたの優希?なんか震えてるけど....」

 

「僕あの人やだ.....別に嫌いじゃないけど、怖い....」

 

「その人の名前は......ミシュリーヌ・ニケ。全世界を震撼させた元ストリートシンガーよ。」

 

名前が出た途端、鳥肌が立つ。

 

「ミシュリ.....その名前見たことある!前友希那が買ってた雑誌に載ってた!!」

 

「そうだったかしら。まぁそれは置いておいて、ニケさんは私と豪さんの師匠にしてライバル、そして.....私と白鷺さんに拘束技術とピッキングを教えてくれた人よ。」

 

そう...千聖と友希那さんが時々強行突破を測ろうとし始めたのは.....全部ニケのせいだし、なんならヤンデレ気味になったのもニケのせい......諸悪の根源である。

 

(さ、災難だね....)

 

(ほんとそうだよ.....)

 

数十分後

 

「どこに行くつもりかしら?友希那ちゃん?」

 

「どこって....家に帰ってる途中よ?」

 

僕の家の前に着いて帰ろうとするも絡まれた手が離れない。そして家の前では仁王立ちをした千聖が鬼神の如き雰囲気を漂わせながらこちらに話しかけてくる。

 

「兄さんの家はここよ?湊家じゃないの。」

 

「いずれ先輩が住む家になるのだから、別に大丈夫よ。」

 

「どんな理屈だよ....!!!!」

 

その後一進一退の攻防が続いて、なんとか解放された。普段なら普通に解けるのに子供になって弱体化してるなら力技をかけても押し返される....




ぼちぼちやってもしょうがないし、今回か次回終わったあたりから本格的にEXTRAの過去編をやろうかな.....と思います。ただそれだとタイトル詐欺になるんでまぁ、うん。これの裏作品的な感じで作るか分かんないけど

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