千聖(はぁ....もっと早く生まれたかった。出来れば白鷺家に産まれてなかったら.....)
普段は忙しくて充実しているからこそ、ふとした瞬間に忘れていた心のわだかまりが浮かび上がる。妹だから、血の繋がった兄妹だからこそ.....結ばれない虚しさが存在する。法律の壁って偉大ね。
千聖(もし....そうなったら....)
兄さんが通っていた共学の都立高校にたまたま入学して、たまたま同じクラスになるか、廊下でのふとしたやり取りで知り合って......仲良くなって.....兄さんたちのバンド活動を手伝いながら.....告白して結ばれて......結婚して......
千聖(友希那ちゃんやミケさんには.....その権利があるものね.....はぁ。)
ピンポーン
千聖(.......何かしら?)
玄関を開けると、郵便配達の人がいた。郵便配達の人から荷物を受け取る。宛先は私.....発送元は、アメリカ合衆国ワシントン州キング郡レドモンドで、発送者は........ニケさん。
千聖「ニケさんから私に何かしら....?」
少し疑いながら中身を確認すると、据え置き型のVRゴーグル、おそらくゴーグルと接続するであろうゲーム機、取扱説明書、そして手紙が入っていた。手紙を開いてみる。
To: チサト☆
From: みしゅりーぬ・にけ
知り合いのengineerにちょっと特殊なVRgameと据え置きを作ってもらったよ!!私だけ独占してもいいけど、ちょっとずるだからチサトにもあげる!!チサトもきっと気に入るから!!!じゃあ!!ダーリンにもよろしく言っといて!!
P.S 対等な条件になった上で、ダーリン貰うから!!よろしくね!!
千聖(相変わらず私の名前とダーリン以外のカタカナ書けないのね......へぇ....ふぅん。)
途中まではニケさんらしいなと思いながら読んでいたが、追記で思わず手に力が入って手紙をくしゃっとしてしまった。ダーリン呼びは相変わらず、そして堂々と奪う宣言......しかも質が悪いのが、この人の場合これが冗談で済む人間じゃないということ。警戒しないと.....
千聖(それはそれとして......)
部屋に荷物を持って上がり、取扱説明書に従って設定を開始して調整を行う。有線の接続に慣れておらず存外時間がかかる。一通り終えた頃には1時間近くが経っていた。
千聖(これでよしっ.....と。でもなんのゲームかしら?)
何となく設定はしたものの、未だになんのゲームかは見ていなかった。表紙を見ても『VRタイムスリップ』という文字しか無く、結局何なのか分からない。
千聖(まぁ悩んでも仕方ないし....やってみようかしら。)
ゲーム機を起動して、ゴーグルを付ける。しばらく読み込み画面が入り、周りの景色が見えてくる。.....見覚えのある光景だった。
千聖(あれ...ここって....)
周りを見渡してみると....やっぱりそうだった。目の前に映っている学校は、兄さんが高校時代に通っていた学校だった。しかも私の体を見てみると、セーラー服とスカートを着用していた。
千聖(これってつまり兄さんと同級生になれた.....ってこと?)
しばらく状況が読み込めず、立っていると近くを見覚えのある人が通る。
豪「よ!眠そうだな!」
豪さんが通り際に声をかけてきた。今よりも若干青臭いところが残っていて、好青年って感じが残っていた。そして説明が出てくる。
『あなたは、都立躑躅ヶ崎高校の88期の生徒です。そしてあなたは今は訳あってEXTRAのお手伝いをしている、16歳の高校2年生で彼らの同期です。そして紆余曲折を経て様々な未来があなたを待ち受けています。どんな未来になるかはあなたの手次第!!展開次第では誰かと結ばれることも.....!!?』
ポップアップを読み終え、自身の鼓動が速くなっていることを実感する。実際に自分も数年前、兄さんたちの手伝いをしていた。つまりこれから先に何があるかなんて全部分かってるし、兄さんたちがどう選択したかも分かっている。攻略本が既に頭に入ってる状態でやれる。やり方次第で.....兄さんと結ばれる。
千聖(絶対に.....絶対に兄さん一択。それ以外有り得ない。)
『操作説明。本ゲームでは基本的に視線とボタンのみで操作され、狭い部屋でもプレイできるようになっています。移動先や選択肢の選択は基本的にゴーグルが視線の先をポインタで示し、そのポインタを選択肢に数秒当てることで出来ます。設定画面や移動先の表示はゴーグルに付属させたボタンを押して開くことが出来ます。』
試しに左側のボタンを押すと色々と出てくる。設定も細かく、ちゃんとセーブ機能と中断機能、トップ画面に戻れるようにもなっている。面白いのは自身のスペックをいじれるということ。性別、身長や体重、スリーサイズも設定でき、試しに身長を180cmにすると本当にデフォルトより視点が上になる。
千聖(....しばらく、身長は165くらいでやってみようかしら...)
紗夜ちゃんや薫に比べたら私は背が低い。ちょっと身長が高い人の気持ちも味わってみたいし。設定を変えてみて、教室に行ってみる。
千聖(兄さんは確か2年2組だったかしら.....)
2年2組に入ってみると、兄さんは真面目に机に向かって予習、蒼生さんは周りの女の子やクラスの一軍男子と輪を作って話していた。他のメンバーは別クラスだったから、見当たらなかった。そして扉の前で立っていると蒼生さんと目が合い、小さく手を振ってくる。
蒼生「悪ぃ、ちょっとだけ抜けるわ。......よ、今日の練習なんだけどさ。」
そして輪を作っていた蒼生さんが皆にちょっと行ってくるわ、と言ってこっちに寄ってくる。でっか.....身長165cmにした筈なのに、普通に少し見上げる形になっている。これでもまだ目線を上げないといけないなんて.....
蒼生「ちょっとバイト入ってるから、開始時間には間に合わなくてさ。紅蓮達にも伝えてはあるから、よろしくな。」
そして選択肢が出てくる
▶うん!分かった!バイト頑張ってね!
じゃあ、練習メニューの順番と内容を相談しておくね。
そんな事を私に言ってどうするの?
3個目の選択肢が少し辛辣で笑ってしまうけれど、良くも悪くもヒロインの多様性を確保する為の物よね。
千聖(まぁ紅蓮さんに伝わってるなら練習メニューは調整されてるだろうし....ここで好感度稼いで兄さんルートへ行く確率を減らす必要無いわよね。)
とりあえす3番目の選択肢を選択する。
蒼生「お前もEXTRAの一員だから、言っとかなきゃなって。それに他のメンバーが合わせてる感じがどうとか後で聞きたいから。ま、そゆことでよろしく」
.....あれ?そんなに悪く取られてない?というか、好感度僅かに上がってる。設定画面を開き、トピックを見てみる。
『EXTRAのメンバーの好感度:今回のゲームでは好感度を下がることはありません。しかし、選択肢次第で好感度の上がり幅は大きく異なります。』
千聖(つまり....選択肢自体に間違いは無いけど、仮に1番下の選択肢を選び続けた場合は、TRUE ENDにたどり着くことは出来ないって感じね。)
大体のゲームシステムを把握し、兄さんの方へ移動する。ノートを見ると、古典の現代語訳と文法の整理をしていた。
千聖(やっぱりこの頃の兄さん、少し暗いわね。)
目元を見てみると、少し目の色が暗い。ちょっと横から眼鏡をいじってみる。
優希「ん.....ごめん気づかなかった......どうしたの?」
ちゃんと反応した。しかも「ん.....」っていう子供っぽい声を聞けた。何このゲーム.....最高じゃない.....!!!
そしてまたもや選択肢が出てくる。......もしかして、これ起こせるアクション全部に選択肢があるのかしら?それだとゲームが中だるみするわよ.....
▶︎ちょっといじってみたくなっちゃった♪
ごめん、ホコリを取ろうとしたら.....
朝からしけた顔してるからからかっただけよ。
.....やっぱり3番目の選択肢が、毒舌系のキャラというか、理不尽なキャラになってる。でも兄さんって外では結構人に気を遣うタイプだから、ここは気さくな事を言えてる1つ目か3つ目......かしら。セーブをして、1つ目を選んでみる。
優希「えっ.....あっ.....うん。面白かった?」
千聖(.....え?)
よそよそしすぎる。一応知り合ってるのよね.....?兄さんって私や友希那ちゃん以外の女性だとここまで閉塞的なの.....?すごく心配になってきた。大学上手くいってるのかしら......?
千聖(さすがに....リセットしようかしら。)
心が折れそうなのでリセットをして、選択肢前に戻って3番目の選択肢を選択する。おそらくさっきのが1番好感度の上がり幅が少ないやつだから.....これは
優希「そうなんだ....暗いしてるつもりは無かったんだけどね、ありがとう。」
ありがとう.....?割と理不尽な事を言ったのにOKなの....?好感度もちゃんと上がっている。このゲームの基準がよく分からなくなってきたわ.....
千聖(とりあえず、今回はこの毒舌ルートに行こうかしら....)
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5時間後
千聖「はぁ.....はぁ.....心臓に悪いわ....」
毒舌ルートを突き進み、無事兄さんとのエンディングを迎えた。結果はGoodルート。TRUEとNORMALの間だけど......
優希『どうしてかな.....僕は、君にずっと隣にいてほしいんだ。EXTRAを解散しても.....ずっと.....』
表に出ている独占欲、兄さんらしからぬ甘え、そして弱弱しくも色気のある声......私を射止めるだけなら充分すぎるくらいで、鼓動が速くなり顔が熱くなる。このゲーム.....いい。
千聖(ふぅ....休憩がてら、外そうかしら。)
長時間ゲームをしていた為、目が少し疲れる。そしてゴーグルを外すと.....対面におもいっきり兄さんがいた。
千聖「に、ににに、兄さん!?なんでここに!?」
優希「予定が速く済んでね。千聖にケーキ買ってきたから渡そうと思ったらVRゲームしてたから....」
千聖「......いつからいた?」
優希「1時間前くらい。途中、凄い興奮したり息切れしてたりしてたけど大丈夫?」
千聖「!!!!!!!!!!」
思いっきり見られていた。というかなんで勝手に部屋入って見てるの!?
千聖「バカーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」バチィン
優希「い、痛いれす....」
実際、VRとか熱中したら現実世界の変化に気づかなそう。音で分かるのかな.....?
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