『結婚は人生の墓場』という言葉がある。
人々は結婚という幻想に夢や理想を膨らませ、そして儚く散ってゆくのだ。故に、俺は結婚相手に幻想など抱かない。あるのはビジネスライクな関係のみ。相手が俺を養ってくれる代わりに、俺は家事全般をこなす。俺は社会に出て働かなくていい。相手は面倒な家事をしなくて済む。完璧なWIN-WINの関係。
それこそが、俺が描く将来設計である。
だから神様、こういう出会いはあんまりじゃないでしょうか──
「ひ、比企谷……?」
「……どもっす」
これは、大学生になった俺と高校時代の恩師とのある日の物語。
* * *
大学生といってもまだまだ単位取得のために忙しい毎日を送っている俺に、ある日、お母上から声がかかった。
「……婚活パーティ?」
「そう。もう登録しといたから」
「え? なに……母ちゃん再婚すんの? てか親父とは離婚? おい、小町の親権どっちだよ。俺もそっち側につく」
「なに馬鹿なこと言ってんの、あんた」
呆れたような眼差しを俺に向け、溜息を吐く母ちゃん。
どうやら、比企谷家終了のお知らせは俺の早とちりだったらしい。
「八幡、あんた将来の夢は?」
「専業主夫」
「それよ」
「どれだよ」
要領を得ない親子の会話。
スッと目を細めた母ちゃんが、テーブル越しに俺を睨みつける。
「結婚舐めんなってこと」
「いや、別に舐めてるつもりは……」
「舐めてなきゃ、将来の夢が専業主夫なんて発想にはならないわよ。この馬鹿息子」
「ええー……」
俺の将来全否定である。
まあ、母ちゃんの気持ちも分からなくはない。自分の息子が『将来、働きたくないから専業主夫になるでござる!』と声高に宣言しているのだ。俺が母親の立場なら今すぐ親子の縁を切って、家から放逐している自信がある。
え? そう思うなら考えを改めないのかって? ……それでも働きたくないでござる! 絶対に働きたくないでござる!!
「あんた、また何かくだらないこと考えてるでしょ?」
「しょ、しょんなことないじょ……」
「……」
「……」
「真面目に聞け。アホ毛引っこ抜くわよ」
「……うっす」
ふぇぇ、この母親、目がマジだよぉ……。
「兎に角、一度婚活パーティでも行って現実をみてきなさい。四十近くなって今更焦りだした男と、三十過ぎて勘違いを拗らせた女をみたら、あんたも結婚に対してちょっとは危機感持つでしょ」
「つっても、そう言う場に俺みたいな学生が紛れても誰にも相手されないだろ。冷やかしだと思われて叩き出されるだけじゃね?」
「それならそれでも良いのよ。とにかく、あんたなりに考えた条件で婚活してみなさい。そして、現実を知って悔い改めろ」
「言いぐさ」
そんな経緯でもって俺は、婚活パーティへと参加することとなったのだった。
* * *
今回、俺が母ちゃんから参加させられた婚活パーティは二部構成となっている。
第一部は、パーティションで区切られた部屋の中で、男女が番号順に一対一でお話しするというスタイル。言ってみればお見合いと同じである。お互いが自己紹介をしたり、趣味を聞いたりなんだりして、婚活相手の目星を付ける。
そして、第二部はフリートークタイム。会場内で気になったお相手へ話しかけ、更に親睦を深めるという流れだ。
で、いまの俺はと言えば絶賛第一部の真っ最中。今も、俺のプロフィールカードを読んでいるお相手(三十八歳:家事手伝い)が顔を引き攣らせている。
うーむ……。我ながら良くかけていると思うのだが……。
【お名前】比企谷 八幡
【年 齢】18歳
【血液型】A型
【職 業】大学生
【自分の性格】孤高
【休日の過ごし方】自宅警備
【好きなタイプ】養ってくれる人
【家族構成】親、妹
【オススメ映画・本】『よだかのほし』『ごんぎつね』
【趣味・特技】人間観察
【デートで行きたい場所】自宅待機
【年 収】350万円未満
etc.
「……ねえ、君。もしかして冷やかし? それとも結婚舐めてんの?」
「いえ、別にそんなことは……」
すんごいガンつけられてる。あれだ、高校時代に受けたサキサキのガン飛ばしが可愛く思えるレベル。
ちなみに今のところ一〇名中七名がこの女性と同じような台詞とともにガンを飛ばしてくる。残りの三名は、俺を見た途端にプロフィールカードも見ないで制限時間までずっとスマホ弄ってた。もちろん会話も無し。
「君、こんな条件で結婚なんてできると思ってるの?」
「はぁ……」
あ、この人めっちゃ説教するタイプの人だ。おめでとうございます! 本日、俺に説教を垂れた人は貴女で五人目です!! ……いい加減、現実逃避するのも辛くなってきた。
それからも俺は目の前に座る女性たちから代わる代わるキレられ、嘲られ、蔑まされ、無視されるの一時間だった。……なんの拷問なんですかねぇ、これ。
『それでは、次で本日最後の対面となります。この後は休憩を挟み、フリートークタイムとなりますので、皆さんお楽しみください』
ふと会場にそんなアナウンスが響き、俺はようやく終わるのかとグッタリしながら本日最後となる罵倒を受け止めるため、席に着いた相手の女性へ目礼し……ようとして固まった。
「ひ、比企谷……?」
「……どもっす」
本日最後のお相手は、高校時代の恩師であり、婚活に心血を注ぐことウン十年「まだ十年も経ってないわ、この戯けがッ!?」 ちょっと、どうして俺のモノローグに割って入れるんですかねぇ……。
とにかく、俺を涙目で睨みつけてくるこの人、平塚静が最後の対面相手だった。
* * *
その後、俺が書いたプロフィールカードを読むなり鬼の形相で尋問してきた平塚先生へ、俺は事の経緯を説明した。
「……なるほどな。母親に現実を知るために参加させられた、と」
「うっす」
「……それで?」
「それで、とは?」
「何か成果はあったのかね?」
「うーん……」
平塚先生の問いに対し、答えに窮する俺。そんな俺を眺めながら平塚先生が面白そうに小さく笑う。先生はふぅーと一息吐くと、椅子の背もたれに背中を預け、煙草を一服しようとして『室内禁煙』の張り紙を見て軽く舌打ちした。
その一連のやり取りが何だかかつての生徒指導室を思い起こされ、ひどくむず痒い。まるで高校時代に戻ったような気分だった。
「……ふむ。ならば比企谷。私とも真面目に婚活してみるかね?」
「……はい?」
「今日の君はここへ勉強しにきたようなものだろう? 私は教師で、君は元とは言え教え子だ。なら、ここはひとつ実習授業といこうじゃないか」
「そう言われましても……」
言葉を濁して難色を示す俺に構わず、平塚先生はコホンとひとつ咳払いすると、その居住まいを正す。
「っ……」
突然の変わり身に、俺は思わず息を呑んだ。それはまるで世界そのものを再構築するように、彼女の一挙手一投足が緩く弛んでいた空気を張りつめたものへと塗り替える。
しなを作るように髪を耳に掛ける仕草が、伏し目がちな目元から覗く艶めかしく光る瞳が、蠱惑的に薄く伸びた淡い色の唇が、俺の知っている平塚先生という存在と食い違い、ごくりと生唾を呑みこんだ。
「平塚静です。今日はよろしくお願いしますね?」
いつもよりワンオクターブ高い先生の声音に、目の前に座る女性が俺が知っている”高校の恩師”ではなく、俺の知らない”妙齢の女性”なのだと強制的に意識させられる。
「……名前」
「え?」
「君の名前。これ、ヒキ…ガヤ、ハチマンって読むの?」
「あ、はい」
「ふふ…。変わった名前だね? あ、でもちょっと可愛い…かも。ね、八幡君って呼んで大丈夫?」
「あ、ああ…。はい」
彼女の楚々とした雰囲気に気後れして、俺は吃るような返事とともにただただ頷く。
もしこの会話が陽乃さんや一色のような相手だったらここまで緊張なんてしていなかったかもしれない。たとえ同じ台詞だったとしても、陽乃さんであれば強化外骨格のような仮面が、一色であればあのあざとさが、俺のなかの自意識を引っ張り出してくれたから。
けれど、まるで迷子の幼子を安心させるように、柔らかい笑みを浮かべて人懐っこく話しかけてくれる彼女のその姿が、俺がこれまでの半生で必死になって築き上げた防壁をするりとすり抜けた。
「ふーん。八幡君は妹さんがいるんだね」
「あ、はい」
「八幡くんより年下ってなると、いま高校生か中学生くらいかな?」
「あ、そうです。今年で高校二年生になりました」
「そっか。なら、妹さんはいまが一番可愛い盛りで、生意気盛りなお年頃だねぇ……」
「あー、そう…ですね。生意気なのはずっとですけど、まあそれは永久不滅ポイントみたいなものなので、あと今も昔もウチの妹は可愛いです」
「……このシスコンめ」
「あ、いや…違いますから。そんなんじゃないです」
気がつけば自然と会話は続いていた。なんか枕詞の如く『あ、』って言っちゃうのを自覚して軽く死にたくなるけど。でも、そんなコミ障全開な俺を気にするでもなく、彼女は楽し気に会話のキャッチボールを続けてくれる。何故だかそのことが、そんな程度のことが、どうしようもなく嬉しくて、自分の単純さ具合にやっぱり死にたくなる。
中学生のときに痛いほど経験した筈だ。何度も同じ失敗を繰り返して、そんな自分に失望して、戒めて、省みた筈だ。俺に向けられるその優しさや好意といった感情は、他の誰かにも向けられるもので、自分だけが特別なんかじゃないってことに。それなのに、どうして今になって彼女の言動にこれほど振り回されてしまうのか。まるで中学生時代に戻ってしまったような自制心の無さに戦慄して、ひどく嫌悪した。
「八幡君はさ、休日は『自宅警備』ってあるけど、外には出ないの?」
「あ、はい。基本は家で本読んだりとか……」
「そっか。読書家さんなんだ。ならさ、この間、直木賞とった作家の新作は読んだ?」
「あ、あのミステリーものですよね。ちょっと伝記っぽいやつで……」
「そうそう。私はまだ半分ぐらいまでしか読めてないんだけどね。なんというかさ、主人公の生い立ちと現在との対比がちょっとずつ事件と絡んでいく様がドキドキさせられるというか」
「あ、分かります! しかも、最後には主人公が幼少の時に……」
だからそんな気持ちを誤魔化すように、俺は不用意にも話題に挙がった本のネタバレをしそうになってしまい──
「わーっ! 私まだ半分までしか読んでないっていったでしょう! ネタバレは無しにしてよ、八幡君!!」
「んぐっ」
「あっ……」
俺の口を塞ぐように添えられた彼女の掌と、口づけを交わすことになった。
「……っ」
「ス、スマン!」
いっそ体中の血液が沸騰してしまったんじゃないかと錯覚するほどに、体が熱を帯びていく感覚に戸惑い、動揺する。たぶんきっと俺の顔は漫画やアニメのチョロインよろしく真っ赤に染まっているんじゃないだろうか。ふわふわと風船のように宙を浮いてどこかへ旅立ってしまいそうにる夢心地な意識とは対照的に、唇から伝わる彼女の掌の温もりだけがひどくリアルで、だからこそ彼女の手が俺の唇から離れようとしたとき、俺は咄嗟に彼女の手を掴んで縋ろうとしてしまった。
「……え?」
「あ、あれ?」
ほんのりと頬を赤らめて戸惑う彼女と、無意識にとってしまった自分の行動に固まる俺。
『──ご歓談中、失礼します。時間となりましたので、参加者の皆様は一度会場から退出し、控室へご移動してください。用意が整い次第、フリートークタイムを開始させていただきます』
そんな止まってしまった二人の時間を動かしたのは、無機質に会場へ響くスタッフからのアナウンスだった。
「……んんっ。ふむ。まあ、こんなものか」
「え、あ……はい」
「どうだね? 私の演技も捨てたものじゃないだろう」
「……そうっすね」
演技と、そう言葉にしてはっきり言われて、いま俺が抱いているこの感情は安堵なのだろうか、それとも──
「言っておくが、好条件の男を前にすれば今の私以上の演技を平然とやってのけるのが女という生き物だ。そのこと、努々忘れるな」
「……っす」
演技だと始めから分かっていた筈なのに、それでも惑わされた自分が何だかひどく情けなくて、平塚先生の言葉に項垂れるように相槌を打つことしかできなかった。
そんな俺の様子が可笑しかったのか、先生は苦笑するように眉尻を下げると俺の頭を乱暴にわっしわっしと撫でつける。や、やめてよね! もし俺がヒロインだったらうっかり惚れちゃうんだからね! ……陥落早過ぎませんかねぇ、俺。ナデポ程度で堕とされるとか俺マジでチョロイン。
「さて、特別授業はここまでだ。後は自習にしてやるから、私の婚活テクニックを見て覚えたまえ」
「見て覚えろとか、あんた職人かよ」
俺はフハハハと笑いながらポケットから煙草を取り出して咥える先生を眺めながら、本当にどうしてこの人結婚できないんだろうと黄昏れる。
「悩めよ、比企谷。君はまだ、いくらでもやり直せるんだから」
「……はい」
平塚先生はそう言ってからからと辺り憚らずに笑い、そしてスタッフから喫煙を咎められて平謝りしていた。そんなんだから結婚できねぇんだよ、あんた。
* * *
『フリートークタイムは一時間となります。より親睦を深めたいと思う相手に積極的に話しかけていきましょう』
そんなアナウンスを右から左へ聞き流して、俺は配られたドリンク片手に会場の隅で立ち竦む。
会場ではあっちで如何にもITベンチャー企業の社長ですっといった風貌のそこそこ若いイケメンな男に説教臭い中年女性たちが群がり、そっちでは保育士二十代玉の輿希望といった雰囲気の若い女性にスカした中年男性がウザったく絡んでいた。
俺はと言えば、そんな会場をなんともなしにボーっと眺めながら、手に持ったドリンクになんとなく口を付ける気にもなれず、背景に埋もれる様にただただ時間が過ぎるのを待っている。
「やあ、平塚さん。よければ少しお話しませんか?」
「ええ、よろこんで」
ガヤガヤと騒がしい会場のBGMに紛れ込む様に、ふとそんな話し声が耳に届く。
見れば、会場の中央付近で平塚先生に一人の男性が声を掛けるところだった。この会場内にいる男性陣の中では比較的若く、それでいて顔も整っており、尚且つ全身から醸し出される年収高いよオーラが、彼が今日一番の有望株であると教えてくれる。
傍から見たらお似合いな美男美女の組み合わせに、俺は『平塚先生うまいことやったなぁ』とか『そこよ、静! そこでボディタッチするの!!』と適当に心の中でエールを送りつつ、二人のやり取りに耳を傾ける。
「……へえ、高校教師とは聞いてましたが、あの総武高校で教壇に立っていたんですか? 県下でも進学校として有名ですよね」
「ええ。と言っても、昨年に別な高校へ転任となってしまいましたけど」
「ああ……。確かに、公立校の先生となると数年単位で転任されますもんね。僕が高校生のときも部活の顧問が突然転任になって…あのときはひどく驚いたのをよく覚えてますよ。理不尽なっ! って……」
「それは、人気があった先生なんですね?」
「そりゃもう。なんというか、変わっているというか面白いというか、変な先生だったんですけどね。でも部活の仲間からはすごく慕われてて、僕も好きだったなぁ……」
懐かしむように天井を仰ぎ見る男性と、それを優しく微笑み見守る平塚先生。そんな二人の会話を聞きながら、俺もふと在りし日の奉仕部を思い浮かべ、そしてあの日、唐突に終わりを告げた俺たち三人の居場所について想いを馳せた。
今でも鮮明に覚えている。絶句して取り乱す雪ノ下と、泣いて縋る由比ヶ浜。そして、そんな二人を眺めながら、ただ茫然と立ち尽くすことしかできなかった自分。そんな俺たち三人に、先生は心底申し訳なさそうに、ただただ無念そうに、それでも決定事項として奉仕部の廃部を告げたのだった。
「平塚さんが転任されたときはどうでした?」
「そう、ですね。私が顧問をしていた部活…と言っても部員も三人だけで、同好会みたいな小さな部活だったのですが、私の転任を機に廃部となってしまって……。今でも、彼と彼女たちには申し訳ない気持ちでいっぱいです」
「それは……」
「仕方のないことだと、最後には生徒たちも理解を示してくれました。けれど、やはり感情では納得してしなかったでしょう。大人の都合で彼らの居場所を壊してしまったのですから」
そうだ。あの時の先生は、いつもの凛とした姿からは想像もできないほどに弱々しいものだった。思わず感情的になってしまった雪ノ下や由比ヶ浜の責めるような言葉に反論することもなく、甘んじてその言葉を受け止める先生の姿に、俺はどんな声を掛けたのだったか。きっと当たり障りのない言葉で雪ノ下たちを諌めて、けれど平塚先生のフォローをするでもなく、お茶を濁して場を掻き乱して、ただただ有耶無耶にしただけだったのではないだろうか。
ああ、そうだ。俺はあのとき、そうなることを予期してしていた筈だったのだ。学校を訪れていた陽乃さんと職員室で邂逅したときに、その可能性を指摘されて、そう遠くない未来に訪れる終焉に思い至っていたのだから。それでもどこか楽観視していた。きっとどうにかなると、なんの脈絡もなく、なんの根拠もないのに、そうやって見ない振りして目を背けて、耳を塞いで口を閉ざしたのだ。そんな自分にどうしようもなく嫌忌して憎悪して、何もかもが面倒になって、そして俺は全てを放り投げて逃げ出した。
「在り来たりなことしか言えませんが、辛かったですね。その教え子さんたちも、そして平塚さんも」
「ええ……。けれど、私の教え子たちはそれでも立派に前へ進んでくれました。躓いて、這いつくばって、それでも少しずつ前へと進んでみせてくれた。そのことが、私は教師としてとても誇らしい」
「……なんだか、平塚さんの教え子さんたちが羨ましいですね。僕も高校生のときに、先生からそう言ってもらえるだけの青春を過ごしてみたかった」
和やかに話す二人を他所に、俺は自問自答する。
果たして今の俺は、本当に平塚先生が誇れるような生徒になれたのだろうか。卑屈に卑怯で陰湿な、そんな最低の俺が、彼女たちと同じように堂々と胸を張って並んで歩いてもいいのだろうか。
ぐにゃりと、微かに視界が揺らめいた。どうしてか自分の立っている床が今にも崩れてしまいそうなハリボテのよう気がして、なんとも心許無く感じる。それはきっと自分の中で確固たる答えがないからで、やっぱり俺は、あの時から何も変わっていないのだと再認識する。確かに平塚先生の言う通り、前には進んでいるのだろう。けれど、俺は未だ自分の足で立ち上がれてはいないのだ。惨めに無様に這いつくばって、匍匐前進よろしくズリズリと、どうにかこうにか足掻いている。それが今の俺だ。
そうやって俺が鬱々と自分を省みているときだった。
「……ほら見て。あそこ、またあの残念女きてるわよ」
「あー、見た目すごい美人なのにねぇ……。あのルックスでまだ結婚できないとか、もうその時点で地雷だよねぇ……」
会場の隅から僅かに聞こえる……いや、違う。わざと聞こえるように囁かれた悪意の言葉。
俺がキョロキョロと辺りを見渡せば、そこ彼処で婚活パーティに参加している女性たちが平塚先生のネガティブキャンペーンを展開している。これはあれだ。平塚先生といい感じなあの男の人を狙ってる女性たちが先生の足を引っ張ろうとしてるんだ。……リアルでバチ○ラーとか流石に引くわ。ああいうのってヤラセとか仕込みなんじゃないの? リアル女の戦いとか、ドロドロというかおどろおどろしいだけだと思うんですけど……。
八幡ですが、会場内の空気が殺伐とし過ぎて最悪です。
「あ、わたし聞いたことある。あの人、前も婚活でイイ男ひっかけて、初デートの待ち合わせに外車で乗り付けたらしいよ」
「うわっ、そんなことされたら男の方は堪ったもんじゃないよねぇ。面目丸潰れじゃん」
「あれ? ラーメン二郎坊で大豚ダブル頼んだ挙句、ドヤ顔で天地返ししてドン引きされてたんじゃなかったっけ?」
「……なにそれ。女辞めてんの?」
いやいや、いくら平塚先生だって結婚を意識してる相手にそんなことするはず…………どうして先生はそこで目線泳がせて額から滝のように汗ダラダラ流してるんですかねぇ……。ほら、さっきまでにこやかに会話してた男性も頬引き攣らせてるじゃん。違うんです! これはちょっとした手違いというか、先生は本当にいい人なんですよ!! ちょっと漢気がドバドバ溢れ出ちゃってるだけで、根っこは乙女なんです!! いろいろ拗らせちゃってるけど乙女には違いないんです!!
「友達から聞いたけど、『合コンクラッシャー』としても有名なんだって。酔っぱらって管を巻いた挙句、『グラスじゃまどろっこしい! 樽で持ってこーい!」とか暴れ出してお店から出禁になったとか噂あるしね」
「あたし、前に休日の真昼間から駅前でワンカップ片手にぶらついて、カップル相手に絡んでるあの人見たよ?」
「確かホストクラブでドンペリ開けてやるから婿になれとか迫ってたって話も聞いたことあるような……」
「……ねえ、近所の小学生にお菓子を貢いで、逆光源氏計画を企ててるって噂ホントかな?」
も、もうやめたげてよぉ!
瀕死ぃ! 先生もう瀕死だからぁ! それ以上はオーバーキルになっちゃうのぉぉぉ! だから死体蹴りするのは止めてあげてぇぇぇ!! 五百円あげるからぁぁぁ!!
「……あ、それじゃ僕は他の人とも話してきますね」
「え、あ…待って!?」
「アハハ、オハナシタノシカッタデスヨー」
もうやめて下さい! 泣いてる先生だっているんですよ!!
去っていく男性の背中を茫然と見送りながら肩を落として項垂れる先生の後ろ姿が哀愁漂い過ぎててヤバい。なにがヤバいって同情心から思わず先生を抱きしめて俺が貰ってあげたくなっちゃうくらいヤバい。誰かぁー! 誰でもいいから早く先生を貰ってあげてぇぇぇ(嗚咽)!!
「ぷっ……逃げられてやんの」
「どうせすぐボロが出て失敗するんだから、いい加減に結婚なんて諦めたらいいのにね?」
俺が先生の将来に悲観しながらひっそり涙していると、先ほど先生の悪評を囁いていたグループのひとつから嘲るような笑い声が風に乗って俺の耳まで運ばれてくる。
「あー、笑った。いい気味だわ」
「ほんとほんと。あの人が婚活に参加する度にあたらしら迷惑被ってんだから、本当に勘弁してほしいわよね」
「それね。それあるわー」
「それよりも、あんなのが高校教師って千葉県大丈夫なの? 絶対生徒に手とかだしてそうなんだけど」
「うわっ、確かにやってそうだわ! どうする? 教育委員会とかに通報しておこうかしら?」
「そうねー。将来、あたしたちが結婚した時に子どもが通う学校にあんな教師がいたら嫌だものねー」
ニヤニヤと嘲笑を浮かべる女性たちを眺めながら、俺は母ちゃんや平塚先生から忠告された内容を反芻する。
確かに、女の戦いとは実に恐ろしきものだと実感することができた。所詮この世は弱肉強食、強ければ結婚し、弱ければ未婚のまま。だから彼女たちのように他人の足を引っ張るのだって立派な戦略だし、むしろ簡単に足を引っ張られてしまう平塚先生にも問題があるのだろう。
「転任になったとか言ってたけど、本当は不祥事で飛ばされたとかじゃないかしら?」
「あんな教師に教わる生徒も可哀相よね。碌な大人にならないわよ」
「っ……」
どうも、碌でもない教え子代表の俺です。
まあ自覚はしてるのでその評価は甘んじて受けますよ。事実だし。ただ、俺以外の教え子は割かしマトモ……まと…も? なんだか若干不安になってきちゃったけど、それでも俺なんかとは比べ物にならないほどに、先生の教え子だと胸を張って誇れる、そんな奴らばかりだ。
「あー、手が滑ったー」
だから平塚先生、その殺気は仕舞ってください。振り上げた拳も下ろして。そんなんだから出禁とか喰らうんだよ、アンタ。ちょっとは慎めよ。
「だ、大丈夫ですか!?」
「スミマセン。コップを落としてしまって……」
俺が落としたコップが重力に従い床と激しくぶつかり、盛大な音を立てながら砕け散る。コップに入っていた烏龍茶とガラスの破片が辺りに飛び散り、会場の床に茶色い染みをじわじわと広げてゆく。思わず『砕けろ、鏡花水月』とか言いたくなる衝動を堪えながら、音に気がついて駆けつけてきたスタッフさんにペコペコと頭を下げる。いや、コップ割っちゃったのは本当にごめんなさい。弁償はしないけど。マジ反省してます。
「お怪我はありませんか?」
「ええ、大丈夫です。幸い、ズボンの裾が少し濡れた程度だったので」
「そうですか。いま、代わりの飲み物を……」
「あ、いえ。自分で取りに行きますよ。いやーもう、なんていうか……会場内の結婚できない女どもの陰湿な空気が息苦しくて、思わず手が震えてコップを落としちゃいました」
瞬間、スタッフさんも会場内の参加者も、もちろん平塚先生も含めてビシリと音を立てたように固まった。
「え、あの……?」
「それにしても、歳を重ねても結婚できない女性の執念って恐ろしいですよねー。ドロドロした女の戦いって言うんですか? ぶっちゃけドン引きっすよね」
「は、はあ!? このガキ! あんた喧嘩売ってんの!?」
よっし、一匹釣れた。フィィィィイッシュ! ……あ、よく見たらこの人あれじゃん。今日、俺に説教垂れた五人目の人だ。まあ、どうでもいいか。
ふふふ……、人をイラつかせる仕草や態度や物言いは誰よりも心得ていると自負する俺である。ここは煽る。圧倒的に煽る。倍プッシュだ……!
「え? 別に俺はアンタのことだなんて一言も言ってないんすけど……。あれっすか、自分だって思い当たる節でもあったんすか?」
「……っ! ちょっと! なんでこんな奴がここにいんのよ!! 明らかに冷やかしじゃない、追い出しなさいよ!! 私たちは真剣に婚活してんのよっ!?」
そうだよな。真剣だよな。だから結婚するためならどんなに金がかかっても自分磨きに余念がないし、ライバルがいればどんな手を使ってでも蹴落としにかかる。その姿勢と貪欲さは称賛に値するし、自他ともに認める捻くれ者の俺だって素直に敬意を表するレベル。
だからこそ、俺も本気で応えてやるよ。
「ほーん、真剣だったんすか? いや、てっきりアンタら冷やかしで来てるもんだとばっかり……」
「ど、どういう意味よ?」
ほら、よく言うだろ? 『人を呪わば穴二つ』『撃ってもいいのは、撃たれる覚悟がある奴だけだ』って。これも同じだよ。
アンタら、他人の足を引っ張るなら自分も一緒に最底辺まで引き摺り下ろされる覚悟はいいか? 俺はできてる。
「だってアピールしたい異性がすぐ傍に居んのに、他の参加者の陰口叩いてせせら笑ってるとか、男からしたらガッカリどころか百年の恋も冷めるレベルっすよ」
「なっ!?」
「だからてっきり、この人たちは婚活じゃなくて、真剣に婚活してる人たちを嘲笑うために参加してんのかなぁって……ねえ?」
「そ、そんなこと……」
俺の矢面に立たされた女性は咄嗟に反論しようとするも、しかし言葉は途中で尻つぼみになり、やがて俯き口を閉ざしてしまう。
そんな彼女を尻目に、俺はニヤリと笑いながら会場をゆっくりと睥睨し、他の参加者たちへも視線を巡らせた。さて、いま何人の参加者たちが俺から目を逸らしたでしょう?
なんだかもう本当にさっきまでワイワイガヤガヤと婚活パーティが賑やかに行われていたのかと疑いたくなるほどに、今この会場の空気はひどく重苦しいものとなってしまった。それに会場のあちらこちらから向けられる『もうその辺にしておけよ』『空気読めって』という名の無言のプレッシャーが俺に圧し掛かってくるが、スマンね、もうちょっとだけ続くんじゃ。
「だいたい、三十八歳にもなって家事手伝いって、ようはアンタ無職っすよね?」
「う、うるさいっ!!」
「どうして今まで結婚しなかったんすか? そこそこ綺麗なんだから高望みしなきゃ幾らでも結婚するチャンスなんてあったでしょ? あ、そもそもその年齢で職業『家事手伝い』って時点で地雷が──」
「……そこまでだ」
俺がトドメとばかりに三十八歳@家事手伝いさんを貶めようとしたところで、それまで固まっていた平塚先生が俺と女性の間に割って入った。
その表情は苦虫でも噛み潰したかのように顰められ、眉間にはこれでもかと皺が寄っている。どうしたんですか、平塚先生。加齢で皺寄っちゃいました? ……ヒェ!? ちょ、だからなんで俺のモノローグに殺気向けられるのこの人!?
だがまあ、これで収拾はつくだろう。先生の苦々しい表情から俺のやりたいことは察せられてるみたいだし。あとは先生に任せればいいだろう。
「なんすか? アンタだってその人に色々言われて腹立ってんでしょ? 何で止めるんすか?」
「黙れ小僧っ!」
……おい。どうしてそこで山犬チョイスした。
「お前にこの女の不幸が癒せるのか? 若いときにモテたのを勘違いして、高身長・高学歴・高収入にこだわって妥協しないままアラフォーになってしまったのがこの女だ! 結婚もできず、独身を貫くほどのキャリアウーマンにもなりきれぬ、哀れで醜い、この会場にいる女たちの末路だ! お前に三十路過ぎの独身女を救えるか!?」
ええー……。ちょっとなんでこの人泣いちゃってるの? あと会場内の至る所からすすり泣く声が聴こえてくるんですけど。あ、先生に庇われた女の人が膝から泣き崩れた。
まあそれはともかくとして、さっきから先生の右手に黒くて禍々しいオーラみたいのが集まってるのは気のせいですか? なんかタタリ神を殺して呪われちゃった主人公みたいになってますけど。……あれ? これもしかしてこのまま殴られるパターン? 大丈夫だよね? 映画みたいに弓矢で敵を首ちょんぱしちゃうような超人的な膂力とかないよね? ……ヤヴァイ、これ。ちょ、顔をやばいよ! ボディにしな!?
「……私たちに寄り添い、共に生きる覚悟もない奴は、ここから出ていけぇーっ! 抹殺のぉ……ラストブリットォォォ!」
なぜ…途中で……ユニコーン混ぜたし…………ぐふっ。
* * *
あの後、婚活パーティから追い出されて仲良く出禁を喰らった俺と平塚先生は、先生の車で場所を移すことになった。
というか、先生まで出禁にさせてしまった後ろ暗さからさっさと帰ろうとした俺の襟首を掴み、ちょっと顔貸せとばかりに強制的に連行されたのだ。……なんか前にもこうやって拉致られたな。最近こんなんばっかり。
道中の車の中は無言、無言、無言のオンパレード。マジ空気重い。やだこれ先生もしかしてご立腹!? ……まあ、元教え子に自分の婚活邪魔されたとあってはそりゃ怒るか。
「……着いたぞ、比企谷。降りたまえ」
「うっす。……あ」
車に乗っている間は気まずい空気から逃れる様に、ずっと下ばかりを見ていたから気がつかなかった。けれど、先生に促されて車を降りてみて、ここが何処だかすぐに思い至る。
『美浜大橋』
かつて、クリスマスイベントの依頼で俺が思考の袋小路に陥っていた時に平塚先生が連れてきてくれた場所。
図らずも、時刻もあのときと同じような時間帯で、橋から海浜幕張方面に映る夜景も変わらない。
「なあ、比企谷」
「……はい」
風に乗って鼻についた煙草の匂いに、懐かしさが込み上げる。あの時も、先生はこうやってかっこつけていた。それが実に様になっていて、男としては少しばかり悔しくもあり、無性に憧れた。
「……君はあれだな。まるで成長していないな」
「なんすかそれ。基礎を疎かにしたままアメリカにバスケ留学でもしに行けばいいっすか? ついでにヒゲも生やします?」
「くくっ……。死亡フラグを建てるのはやめたまえ」
先生は僅かに笑うと、戒める様に俺の頭を軽く小突いた。
「比企谷」
「……はい」
「ありがとう。そして、すまなかった」
それは、何に対してのお礼なのだろうか。そして、何に対しての謝罪だったのだろう。
あれこれと答えは思い浮かぶけれど、何となく気恥ずかしくて、俺は誤魔化すように少しおどけてみせる。
「俺は別に褒められるようなことは何もしてないっすよ」
「当然だ。君のやったことは到底褒められたもんじゃない。今も昔も、な」
「……そっすね」
呆れたような先生の言葉に、俺は苦笑で返した。
先生が燻らせる煙草の煙だけが、二人の間でゆらゆらと揺らめいて、それはまるで距離感を図りかねている俺と先生の在りようを表しているようにも思えた。
「あれから雪ノ下や由比ヶ浜とは?」
「……この間、会いましたよ。と言っても卒業から二カ月近く経ってた上に、材木座絡みの依頼で他に一色とか雪ノ下さんとか、あと戸塚や葉山たちも一緒でしたけど」
「それはまた……あの二人、怒っていただろ?」
「ええ、怒られました」
「一年近く心配かけたんだ。その位は甘んじて受けたまえ」
「……うっす」
諭すような先生の声音に、俺は素直に頷く。
雪ノ下や由比ヶ浜だけじゃない。きっと俺は色々な人に心配をかけたのだろう。そして、それは今も続いている。
もし中学生や高校一年生のときの俺が、今の俺を見たらなんと言うだろう。弱くなったと、そう嘲るのだろうか。騙されていると、そう憤るのだろうか。それとも……羨ましいと、そう妬むのだろうか。
「私は、君や彼女たちが一番辛いときに、その傍に居てやることができなかった。いや、むしろ君たちが苦しむきっかけを作ってしまったとすら言えるだろう」
「……」
「だが君は…君たちは、私なんかが居なくても、きちんとその苦境を乗り越えてみせた。……多少、時間はかかったかもしれんがね」
「……え?」
そう言って一瞬だけ寂しそうな表情を浮かべた平塚先生は、けれど次の瞬間には柔らかく微笑んで、そっと俺の頭を抱き寄せた。ぽすりと、間抜けな音を立てながら俺の頭が先生の胸元に抱かれて、その柔らかい感触に頭がパニックを起こして真っ白になる。
「……比企谷」
「ちょ、先生!? なにやって……」
「確かに君は躓いたのかもしれない。けれど、こうしてきちんと前に進んでいるんだ。たとえ独りで立ち上がれなかったのだとしても、そんなこと気にするな。それよりも君が立ち止まってしまったとき、傍で支えてくれる人がいたことを誇るべきだ」
「……先生」
そっと包み込むような先生の優しい声に、気付けばほろほろと涙が止め処なく溢れては、先生の胸元へと染み込んで消えてゆく。
「胸を張りたまえ、比企谷。たとえ誰がなんと言おうと、君は私の自慢の教え子だよ」
平塚先生のその言葉が耳に届いたとき、俺の涙腺は崩壊した。
* * *
改めて今日一日を振り返ってみると、平塚先生と再会してからの情緒不安定っぷりはなかなかのものだったのではないだろうか。
「……すんませんでした」
「なに、気にするな」
もしかしたら、俺は怖かったのかもしれない。全部投げ捨てて、逃げ出してしまった俺のことを先生がどう思っているのか。それを知るのが嫌だったのだろう。
この人に失望されることを恐れて、見限られることに怯えて、そんなことはないと強がって……。
「……やっぱ先生、かっこいいっすね」
「かっこつけてるからな」
あのときと同じようなやり取りに、お互いにクククッと小さく笑い合う。
そうすると、徐に腕時計を覗きこんで時間を確認した平塚先生が顎を使って車のドアを指し示す。
「……さて、もういい時間だ。どうだ? 久しぶりにラーメンでも食べにいくか?」
「いいっすね。俺は別に気にしないんで、存分に天地返ししてドヤ顔してください」
「それは忘れろ」
殺気交じりの物騒な低音ボイスに、俺は思わず「ヒャイッ!?」とか情けない返事をして助手席へと回ろうとする。
その間際、ふと空を見上げた。
あのときは雲に隠れて見えなくなっていた月が、今日はそっと夜空に佇んでいて、それはまるで俺と先生の再会を静かに見守ってくれているような気がした。
「どうした比企谷、空なんて見上げて……女の子でも落ちてきたかね?」
「……いえ、残念ながら。……それより肉団子は二つでいいっすか? 二番のバルブはしめときます、親方?」
「誰が親方だ。……四〇秒以内に乗らないと置いていくぞ」
楽し気に笑う彼女に促されて、俺も車に乗り込み、数年ぶりに一緒に食べる先生とのラーメンの味に思いを馳せる。そのとき、ふと窓から見えた月に、俺は祈るように願いを込めた。
願わくば、先生が幸せな結婚ができますように、と……。
これは、そんな俺と平塚先生のある日の物語。