【自由ノ地平線】Oath of Promise   作:暁月 輝路

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こんにちは。
久々なので、調子が悪いですが、暖かい目で見てくれると幸いです。


第1章Encounter of Fate
プロローグ


この世界は不思議だ。

文化や文明が統一されず、様々なものが入り交じり、それでいて互いに干渉もしない。

諸人(もろびと)にとっては、それは過ぎ去った過去。

諸人にとっては、それは来るべき未来。

諸人にとっては、それは空想の産物。

それらが全て同じ世界に存在する。

ならば、共通するものだってある。

単純な話だけど、幸福もあれば、不幸もある。

この世界…

──いや、『同じ星』に生きていればそうなる。

■はそう感じる。

 

 

─────────────────────

夜に1人の男は立ち尽くす。

その土地にしては珍しく雨の天気で、少し薄気味悪い雰囲気が漂っていた。

男の手には異形の剣、男の周りには地面に倒れ伏している者が5人、そして男の目の先には1人の女性と赤子。

女性は何も言わずにただ赤子を抱え、男を見ていた。

そして、静かに頷くと男は身に纏っている黒いコートのフードを被り、暗闇に消えていった。

男は静かに呟いた。

「あぁ─またなのか──」

 

 

*   *   *

 

 

満月が海上を照らし、キラキラと輝きを放つ。

その海の上空を1つの軍用ヘリが回転翼を回して、ブレることなく真っ直ぐ進む。

バラバラバラと連続した一定の騒音は、静かな海の上ではとても騒がしく、うるさい存在だ。

そんな中で、パイロットと3人の兵士、1人の少年が居た。

パイロットと兵士は胸に所属している部隊のエンブレムが刺繍されたタクティカルベストを着用し、アサルトライフルであるM4A1を前に吊り、少年を監視していた。

「現在僚機(りょうき)は海上上空を南下中、機体、航路共に異常なし。まもなく基地に到着する」

パイロットは通信相手にうんざりした様子で、報告をする。

「一体どうしたんだ?離陸した時には応答してたのに、向こうでなにかあったか?」

「それなら向こうから報告されるだろう。回線の調子が悪いんじゃないか?」

対面に座っている2人の兵士がパイロットに話しかける。

「さぁな、海上だからたまに繋がりにくい時はある。その時が偶然来てしまっただけかもな。はぁ…さっさと帰りたいものだな」

パイロットはため息をつく。

「でもまぁ夕方に出た割には早く帰ってきたんじゃないか?あっさり終わったからな」

「あっさりだと?お前、すぐ死ぬぞ」

少年の前に座っている髭面の男は、対角に座る比較的若い兵士に憎まれ口を吐く。

若い兵士は下唇を噛み、髭面の男を軽く睨んだ。

実際、実績も年季もある髭面の男は、精鋭中の精鋭であり、1番信頼を置かれる人物でもある。

偵察や運搬、戦場でも活躍する、まさに最強の兵士だ。

「しかしだ、坊主。可能な限り今喋ってくれると時間も取らずに済む。一応俺にも拷問をする権利はあるが、そんな事はしたくない。一体、なぜあの基地を狙ったんだ?」

髭面の男は前屈みになり、頭に布を被せられた少年に問いかける。男が言った基地は、拠点と同等の存在になるはずの別地域の基地だが、まだ物資も足りず完成していない中途半端な拠点だった。

特別狙われるものも無く、あるのは警備に派遣された多くの兵士と物資だけだった。それが全滅したのだから、損害こそあれど目的が不明だった。

──しかし、少年は答えない。

ただ布の下でニコニコとしているのが逆に不気味である。

「ふむ…」

髭面の男は姿勢を戻して、考え事を始めたその時だった。

「なんだあれ…?」

パイロットが困惑したように呟く。

「ん?おいどうした。何かあったか?」

「何か見えたのか?」

髭面の男と隣の兵士は振り向き、パイロットの方向を見る。その先に見えたものは、ヘリに乗っている兵士の拠点から黒煙が立ち上り、地上では炎が点々と燃え盛っている。

しかし、中央の施設だけは炎上せず無事のようにも見える。

「…急いで向かいます!全員準備を!」

「「「了解!」」」

 

 

拠点上空にて停空し、再度状況を確認する。

戦闘機等を停めている格納庫は爆破、炎上し、兵舎も中から燃えている。

中央の施設には生存した兵士たちが集まり、警戒をしてる。

しかし、攻撃をしたであろう人影や機体が見えず、敵が定かではなかった。

そんな中警戒してると、

「あのー、このベルト外してくれません?」

この状況には似合わない、明るく気の緩む声がヘリの中で聞こえた。

それは、布を被せられた少年だった。

「坊主、ここから落ちたら即死だ。安全と拘束の為にベルトがしてある。大人しく座っておけ。」

少年はただを捏ねる子供のように落ち着かない様子。

「えー、まぁ確かに高いですね。うーん、ベルト外して貰えないなら仕方ないか…壊しちゃうけどごめんなさい」

その発言をした瞬間、バキッと音がしたと同時にヘリが少し傾いた。

少年は何をしたのか、ベルトを抜け外から扉を掴んでいた。

「なんだぁ!?」

パイロットは突然の出来事に機体のバランスを崩して、ヘリ全体がフラフラとし始める。

「おい、大人しくしろ!撃つぞ!」

反対側の扉にいた若い兵士は、すぐさま銃を構えて照準を合わせた。

「送ってくれてありがとうございました!」

少年はフッと自然に飛び、同時にヘリの扉を剥ぎ取って落ちて行った。

「……この高さだ。怪我では済まないが、あの少年何か秘密があるな。だから平然と飛び降りられる。」

髭面の男は、何かを察するように言葉を発した。

「あぁ!クソっ!」

若い兵士は状況が混雑しているせいで悪態をつき、機内の壁をガンっと殴る。

「今から、施設屋上に着陸します。戦闘準備…!」

ヘリは徐々に高度を落とし、黒煙を避けながら巧みに屋上に近づいていく。

 

* * *

 

──『……ヘリから飛び降りたな。』

──『あの高さ、私なら無理だなぁ…』

──『ステルス解除してそっちに戻っていい~?そろそろエネルギー切れそうなんだけど~』

──『良いぞ。行動制限用の炎も十分だろうし、俺もやめる。あとは…ルナさん。やってくれ』

──『了解…』

 

* * *

兵士たちは屋上に着陸し、現場の仲間達とも遭遇した。

「…精鋭部隊か。敵に襲撃を受けて、攻撃が突然止んだから今は警戒中だ。」

現場の指揮を執っていたであろう軍服を着た上官が、簡潔に今の状況を説明をする。

髭面の男は上空からの索敵の報告もした。

「上空から索敵したが、見当たらない。何に襲われたかも検討がつかない。相手はなんだ?」

上官は認めがたい顔で言う。

「5人だ。炎を撒いた男、機械スーツ、スナイパー、刀を所持していた男2人、これらが今分かる事だ。」

「5人だと?5人でここを追い詰めたのか?」

「あぁ…別拠点の援護は精鋭部隊の君達が行ったから分かると思うが、要請が出来なかった。まさかをあれだけの警備を派遣して全滅とは…」

「……なるほど、あの少年の仲間か」

髭面の男はさっきまでヘリにいた少年を思い出す。

「そう言えば、向こうで捕まえた奴はどうした?殺したのか?」

「いや、さっきここの上空を停空中に飛び降りた。どうなったかは知らん」

「そうか…ひとまずここでの警戒を頼む。任務終わりで悪いがな」

「あぁ…ん?」

髭面の男だけでなく、他の兵士たちもそれに気づいた。

南の方角で一筋の真っ白な光が天を穿つように地から伸びた。

夜だというのに、その光は昼間を思わせるかのように明るく眩しい存在だった。

それは徐々に太くなり────

 

* * *

 

(ひかり)の刃が振り下ろされる。

光が奔る。

光は中央の施設を呑み込む。

中央の施設にはその軍隊全ての兵士が居た。

光は悉く灼熱で、その先の海を瞬時に沸騰させ蒸発させるのと同じように、兵士たちも蒸発させた。

兵士達はその白く眩い光に魅入られたまま、殲滅の刃で消え去った。

 

「あれで全員だ。上手く纏まっていたな。……夜桜は巻き込まれてないだろうな?」

通信機を通して、元気な声が届く。

『ルナ姉、大丈夫だよー!衝撃波は凄かったけど、何とか無事だよ!』

「なら、良かった。アウロラ、撤退するのか?」

うちのリーダーに次の行動を聞く。

『撤退と言いたいが……暁月。多分今の光でほとんど消滅したと思うし、他の施設もほとんど焼けてるが、軽く確認してから帰ってきてくれ。』

『了解~』

元気な声で返事する夜桜。

「久しぶりだな。この技出すのも、全員で来るのも」

『やっぱり圧巻だね~!私はチマチマと銃撃ってたから、一気にこう…ドカーン!って感じになるのを見ると楽しい!─アイタタ…首が痛い…(ひかる)くん助けてー』

スナイパーでずっと伏せて撃っていたからだろうな…美雪。

『はいはい、今から行くよ…』

ご苦労な事だ、逆浪。

『イチャイチャしやがって!羨ましい!』

いつも通りだな、夜冬。

『はぁ…』

後でヤケ酒なら付き合ってやる。ユウト。

『もしもーし!生存者確認出来ず、以上!』

仕事が早いな…

『よし、これにて【ノーネーム】の任務終了とする』

 

 

これは1つの組織の物語。

いや、もしかしたら誰かの物語かもしれない。

それが今ここから始まる。




お疲れ様でした。
次回もまた書き上がればよろしくお願いします。
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