【自由ノ地平線】Oath of Promise 作:暁月 輝路
だいぶ時間掛かったけど、やっとだよ。
16話は挿絵さえ出来れば、サクッと投稿出来そうです。
今回は少し情報過多な文章です。
ふと気づいた時には暗い視界の中で、微かに光が射して明るかった。
「──さん」
そして柔らかく優しい声が届いて来た。
「イアさん」
私の名前をその声で呼んでいた。
なんだか、何度でも呼ばれたいと思える優しい声色で、何となくその声に聞き入っていた。
「ご飯だよー?もう夜だし寝れなくなっちゃうよー?」
その時台詞にちょっと違和感があった。
え、もう夜?嘘?
それに何かを察した私の脳は急速に目覚めて、それと同時に暗い視界からとても明るい視界に移り変わった。
イアが目を覚ますと、目の前にはしゃがんでイアの顔を覗き込んでいる暁月が居ました。
「おはよう、イアさん。僕の辞書でも読んで疲れちゃった?」
「おはよう…暁月くん」
イアは目を何度もパチパチと瞬きしながら、なぜ眠ったのかを思い出しましたが、暁月の話に合わせる為に起きていない頭で返答します。
「美雪さんが部屋を掃除してる間、少し暇だったから手に取って読んでたんだ…ははは」
「でも読んでなかったでしょ?」
「え?」
「だって僕がこの部屋に来た時、一番後ろの表紙で本が落ちてて、手には写真を持ってたから、写真を見てたんじゃない?」
「──…」
イアはまだ周りをしっかり確かめておらず、手にはもう写真と辞書はなく、それはもう本棚に戻っていました。
「ごめんなさい……勝手に見ちゃって………」
「大丈夫だよ!それにイアさんずっと緊張してたと思うし、ちょっと寝てスッキリしたんじゃない?」
暁月は勝手に写真を見た事に責めることはなく、イアがちゃんと眠れたかを気にかけました。
「え…うん、ぐっすり眠れたよ。ベッド占領しちゃってごめんね」
「それなら良かった!イアさんの部屋はもう美雪姉さんが掃除終わらせたし、いつでも部屋に入れるよ」
「もう終わったんだ…美雪さんにお礼言わなくちゃ…」
暁月は部屋の扉を開けると、イアもベッドから降り部屋を出ようとしました。
「部屋行く前にご飯出来てるから下に降りようよ、美雪姉さんもルナ姉もみんな居るからさ!」
「みんな…」
イアにとっては初めて会う人もいれば、先程意識を失った人、恐怖を覚えた人も居るということです。
「怖がらなくていいよ、美雪姉さんが皆に説明してくれてる。襲われたとしても僕がいるよ」
イアは暁月の後ろに付いて行きながら、部屋を後にして、賑やかな笑い声がする空間へ向かう階段に向かっていきます。
階段を降りた先には、とても美味しそうな匂いが充満しており、その匂いの元には一部の机が中心の円卓に集められ、そこには料理が並べられていました。
「………え?」
確かに料理は並べられていますが量と数は範疇を超え、そして品々はあらゆる文化の料理が混ざってるようにも見えます。
その中心にはメインディッシュであろうものが置いてありました。
軽く味付けと処理をして、動物丸々焼いただけの肉の塊が2つ、人の顔よりデカい大きく厚切りのステーキに骨が付いたものが12個あり、3つに比べ優しい色合いと匂いの野菜スープが鍋で丸々置いてありました。
その周りを囲むものには種類が様々で、魚を主軸とした刺身や焼き魚や魚卵、魚肉を練った団子もあれば、肉を小さく切って炒めたり、臓器を焼いたり、薄い衣を纏った揚げ物、野菜や果物を織り交ぜたさっぱりしたサラダと口直しの甘酸っぱいフルーツ達に、麺を使った様々な料理達、あまりに多い数はビュッフェを思わせるものでした。
イアにとっては初めて見るもの、似た料理が混在していましたが、ほとんどが初めて見るものでした。
それらを囲むように5人がいます。
「お?イアちゃん。おはよう!よく眠れた?」
「─はい」
「とりあえず座って食べちゃって!私とルナさんの間に来なよ!」
イアはゆっくりと美雪に招かれて、美雪の隣に座ると横にはルナが居て、その隣には暁月がいました。
ルナは真ん中に置いてあった骨付きステーキを繊維の方向に噛みちぎり、口の中で噛み呑み込み続けながら口からはみ出ている肉をどんどん短くしている最中でした。
暁月は合唱をした後、それを真似しようとしますが、それを横目に見ていたルナが手の甲で暁月の額を小突き、その動作を辞めさせます。
暁月はそれを受けてナイフとフォークを持って、肉を綺麗に食べやすい大きさに切っては口に運ぶのでした。
「──」
イアはそれを見て、暁月がルナのことを姉と言うのを少々分かったようでした。
自身の真似をしないように、それを注意し、正しくちゃんとした食べ方をさせているのは、とても気に掛けている証拠なのだとそう感じていました。
「ほら!イアちゃん!」
美雪の声に思わず、びっくりします。
「2人を見るのもいいけど、まずは自分が食べないと。美味しそうなものを皿に取って食べて良いからね」
美雪も色んな所からバランス良く品を取り、食べていました。
「あ、イアちゃんはパンが主食かな?」
「え、はい。そうですけど…」
「やっぱり!光くん、パン取ってくれる?」
「ん〜、はーい」
肉の塊の壁で髪が揺れているのしか分からない光から手が美雪の方に伸びて、パンが渡ってきました。
外はサックリしていて中はモチっとした絶妙に焼かれたパンでした。
「すごい……」
「豪華でしょ〜。久々かもしれないね、こんなに並べたの。お肉は寝起きのアウロラくんに他世界に出向いてもらって、捕獲して調理して持って帰ってきて貰ったもの。魚はちょっと手間が掛かるから、他世界から詰め合わせを買って来て、サラダとか麺料理は在庫でなんとかつくったの。あとはちまちました物は私と光くんで調理して並べてある。選り取りみどりだよ!」
美雪の説明と相まって、それらを眺めていたイアはお腹が自然と"グーッ"と鳴りました。
「ッ──いただきます」
そこからはイアは黙々と食べ始めましたが、それと同時に周りを見て皆の様子を見ていました。
どの料理も少しずつ食べたけれど、とても美味しかった。
初めて食べるものも、私の知るものと近いものも、全てが美味しかった。
ただちょっと感じたのが味が繊細過ぎて、私には分からない事だった。
明らかに今まで食べたことのある食べ物の質よりは高いし、味もいいけれど、それがどう質が良いかはいつも少し貧しい食事をしていた私には、分からなかった。
「お腹いっぱいになった?イアちゃん」
「はい…こんなに多くの食事を取ったのは初めてで、どれも美味しかったです。ありがとうございます」
「それは良かった!まぁこれは歓迎を含めての量だから、いつもは普通の量だよ。ね?光くん」
お肉の塊があった中央の皿はもう移動していて、その人の顔はしっかりと見えていた。
「そうだな。イアさんが要望を答えてくれると献立を考える時は助かるからいつでも言ってくれ」
「あっ、はい。ただ私ここまでちゃんとした料理はあまり食べた事ないので…要望は少ないかもしれないです」
「ん?あぁ…話は聞いてはいたけど、あの集落だしまぁそんな感じか…」
「ちょっと光くん!その言い方は誤解を招くよ!」
光さんは少し固まると手で口を抑えた。
「…悪い失言だったよ。イアさん、申し訳ない」
「いえ、別に誇りがある訳でも無いですし…思い出深い訳でもありませんから」
「──そうか…」
少し気まずい空気が漂ったけれど、それを打ち払うように美雪さんは光さんに話しかけていた。
その光さんの隣では赤髪の人と青髪の人が静かにお酒を飲みながら、ボソボソと喋っていた。
赤髪の人は軽く笑ったりしているけれど、青髪の人は表情を全く変えず淡々と答えてるようだった。
そして暁月くんはいつの間にか居なくて、私の隣に居るルナさんは中央にあったお肉の塊の皿を寄せて1人で食べている。
食べ方は豪快で、お肉の塊は指をねじ込んで骨を折って、そこから捻り切って両手で持って食べていた。
けれど、これだけ豪快なのに、全く床や机に落としてなくて、それどころかルナさんの周りにある皿は綺麗だった。
焼き魚を食べてる時はお箸を指先で繊細に操り、頭としっぽと骨だけにして身だけを綺麗に食べて、ソースのついた品もパンで残りのソースを拭きとって、ほぼ真っ白な皿になっていて、豪快さとは真反対な丁寧さと綺麗さがあった。
大きいお肉の時だけは素手で掴んで食べていたみたい。
「───」
ルナさんが私の視線を感じてか、目を向けてきた。
──いや、目は見えないけど、でも明らかにその眼帯の下の左眼はこちらを見ている気がする。
私は咄嗟に美雪さん達の方を見た。
イアが改めて美雪の方を見ると美雪もイアを見ていました。
「イアちゃん、お風呂入ってきたらどう?着替えは私のお古になっちゃうけど…」
「お風呂…はい、入らせてもらいます。着替えもそれで大丈夫です」
「よし、えっとお風呂場はキッチンの奥の廊下の先にあるよ。下着は新品のやつ置いとくからね。一番風呂行ってらっしゃい!」
「はい、ありがとうございます」
イアは席を立って、風呂場へ向かいました。。
美雪は光達と再度会話に戻って、イアが奥に消えていったと同時に光が何かに気が付きました。
「あれ?今暁月入ってなかったか?」
「え?そうなの?でも脱いである服があったらイアちゃんでも気付くでしょ!大丈夫大丈夫」
そう言って呼び止めに行くこと無く、喋り続けました。
お疲れ様です。
後編は来週程度に出すとします。
少々お待ちください。