【自由ノ地平線】Oath of Promise   作:暁月 輝路

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どうも多分お久しぶりです。
前いつ投稿したか、忘れましたが何とか7話分は書き終えたので、投稿します。


※第6話にて『バトルロワイヤル』表記でしたが、今話『バトルロイヤル』に変更してお送りします。


第7話「ファースト」前編

 冷たい烈風が輸送機内を駆け抜け、このゲームの開始を感じさせ、身を引き締まる感覚に追い込まれます。

«………»

もうこの時点で任務は始まりました。

無駄口を叩かず、ただすぐに訪れる降下時間に意識を向けます。

そうして、たった数秒で

«ゲームスタート。降下を任意のタイミングで(おこな)ってください»

バトルロイヤルが始まりました。

「お先に」「オラァ!」「行くぞ」

 外側に居る人間からズラズラと外へ向かって出ていき、機内から見える範囲で視界から消えました。

«ユウト、タイミングをお前に譲渡(じょうと)する。良いな»

«了解。俺のタイミングで飛ばせてもらう»

5秒の間に10人以上ずつ降りていき、輸送機内は瞬く間に人が減っていきます。

1分後にはもう数えられる程度しかいませんでした。

«降りるぞ»

«了解»

2人は両側のハッチから同時に飛び降りました。

 

 外はあまりに真っ暗で、どこに地上があるのか分かりません。

しかし、パワードスーツ性能により視界は確保され、地上に生える木々達の存在を確認できました。

故に体勢を変えて、抵抗を軽減し一直線に真下へ降りて行きます。

1秒1秒の間に輸送機から離れ、地上が近づいていきます。

木々の風に揺れる状態を確認出来る距離になったと同時に、

«ユウト、着地体制!»

2人は再度体勢を変えて、地面に足を向ける形で降下し、速度を落とします。

速度が落ちたとは言え、あまりに早い降下速度は逆に地上が自分に迫っているかのような錯覚にも陥りました。

 そうして木々達に呑み込まれ、勢い良く地上に着地しました。

地面や木が揺れ、止まっていたであろう鳥達も羽ばたいて行きました。

 

«………»

ユウトは地上に着地した際の衝撃が体全体を軽く潰しました。

足、手は痺れ、体は重く起き上がりません。

脳は呼吸だけを続けさせ、意識や麻痺感覚の回復を急いでいました。

«………»

その点、夜冬は無事に着地し、ユウトがすぐに起き上がらない事に対して駆け寄りました。

«まぁそうなるよな…あの高さは絶対的に安全なものを装備してないと確実に死ぬ。慣れてないのに麻痺で済んだだけマシか»

夜冬は膝を着いて硬直しているユウトを足で押し倒し、楽な体勢を取らせました。

«休んでろ、周囲の情報は探っておく»

夜冬は配布された端末を起動し、周囲の情報などを確認します。

《残り123人》《チャンピオン健在》

《────死因────、────死因────、────死因────………》

 文字による残り人数とチャンピオン生存、死因等のログが映されていました。

«もう121人か、そしてこの死因の数よ»

ほとんどの死因が落下死でした。

全員が同じパワードスーツを着ているかと言えば違い、それぞれ技術、性能、外観、耐性等が異なりました。

ほとんどの人はまず戦闘面での強化を施し、チャンピオンになる為に強くなろうとします。

それが仇となり、対策を怠って降下に対する絶対的な命綱を手放します。

チャレンジして参加までは強者。

降下で生き残れば勇者。

その中で戦い生き残れば英雄になります。

そんなゲームがこのバトルロイヤルなのです。

«全員が平等じゃないバトロワなんて久々だな。他のとこなら地面に着地するまでは安全を確保してくれるぞ»

夜冬は端末を操作し、マップを閲覧します。

そこにはマップ全体地図と参加部隊毎に点が打たれてありました。

«チッ…思ったより近くに居るな。先に潰すか»

«う…うぅ……»

移動開始と同時にユウトの声が耳に入りました。

«なんだ早かったな。だがまだ寝てろ»

そう言って夜冬は景色に溶け込んで消えてしまいました。

 

 

「おい大丈夫か?」

「何とか……」

「体の所々、枝とか地面にぶつかって痛え…」

 20歳ぐらいの男3人組が降下地点で休んでいました。

降下対策が施され、扱いに慣れている3人はユウトよりもダメージは少なく、スーツの性能を上手に使っていました。

「暗いからそうそう見つかる事は無いだろうし、音立てずに休もう」

「先に端末確認しない?それの方がいい気がする」

「それもそうだね」

 一番ダメージが少ない青のパワードスーツの男は、端末で周りを確認し始めました。

「ん…1部隊が近くに居る」

 端末を見ている男以外の2人は飛び起きるように立ちました。

 しかし、まだ打撲のダメージが残っており、フラッと安定しない立ち方でした。

「おいおい…無理するな。相手もナイトビジョン持ちじゃ無ければ、見つからない」

「だけど、相手が何人かも分からないし…」

「性能も分からないから………」

 台詞が途中で切れたことに違和感を感じ、問いただす。

「どうした?」

「いや……何か揺れた気が…」

「揺れたって…風だって吹いてるからそりゃ揺れるだろう?」

「???」

「まぁ、とりあえず移動しよう。視界が明瞭な分こっちは有利なはずだから」

「そうだな…」

 そして2人は周りをキョロキョロとして、簡易な索敵をしてるともう1人の男が木に背を預け、俯いていました。

「何してるんだ。行くぞ~」

「え…あぁ…」

「うたた寝でもしてたか?気楽だな」

 男が木から離れた瞬間、その背後が揺れました。

 男の顔の横から拳が現れ、その拳は頭を吹き飛ばしました。

「!?」

「おい!」

 瞬きをした時にはその拳は消えていました。

けれど、もう殴られた男は助かりません。頭はまるで空気の抜けたボールのようにへこみ、何より胴と繋がっていないからです。

その惨状に少しビビった青のスーツの男は、反応が鈍り判断も遅れました。

しかしそれでも分かるのは敵が見えない事、攻撃の瞬間のみ姿を現す格上の存在としか分かりませんでした。

当然、脳が動いていると体は鈍くなります。

故に、すぐに襲われました。

「ぐっ…」

 胸の丁度中心に何かがめり込み、同時にその正体も露わになり右腕が露わになりました。

その右手がスーツを貫通して中身まで達してました。

その腕を掴もうと手を伸ばした時に、もう1人の男が素早く反応し攻撃しました。

 "ガンッ"

景色が揺らいでいる所に攻撃し命中した重く響いた装甲の音は、攻撃した男にダメージが返ってきました。

「硬っ…!」

その反動で怯んだ男に、胸を抉られた男が投げつけられました。

「ひっ…!?」

「ウッ…」

 木に打ち付けられた2人に血に濡れた右腕がすぐに近づき、2人の腹部をその腕は貫通してめり込んで行きました。

「ぐ……はっ……」

"メキメキ"と2人の背後で音がします。

2人を越えて奥の木にまで先端は到達し、透明化している部分も肩まで見えてきました。

「気持ち…悪ぃ……」

「…………」

 腹を貫いている腕が脈を打つように内臓へ圧迫を繰り返していました。

1秒1秒があまりに長く苦しい感覚でした。

それが1分続きました。

 

 攻撃、反撃、防御を何もする気が起きずに、『今すぐ楽になりたい』という思考しかありませんでした。

"バキィ!"と大きな音がすると同時に腹から腕が引き抜かれ、2人は地面に倒れ伏し、血塗れた腕は消えていきました。

1人はもうとっくに力尽き、眠っていました。

 そうして辛うじて生きているもう1人も虚ろな目をして、何もせずただ亡骸となった友人の上で口をパクパクとさせていました。

そして、音の正体は木が折れた音でした。

ゆっくりと重い塊が速度を上げて2人に向けて落ちていき、その2人をそのスーツごと押し潰しました。

本来この衝撃でスーツは破損しませんでしたが、腹部に空いた穴から亀裂が走り、そして割れた装甲が体に刺さり木の重さで深々と刺さります。

 最後に生き残った1人も間もなくして、その人生を終わらせられました。

 

 

«夜冬…大丈夫か?»

«あぁ、手際が悪かったが何とか3キルだ。さっさと移動するぞ。チャンピオンの居場所は端末で分かる»

«了解…»

ユウトは起き上がると、体を馴らすように揺らし力を入れます。

すると、2m程先の正面に《クローク》を解除した夜冬が立っていた。

«この暗闇でクローク使われたら、相手は反撃も出来なかっただろう?»

«いや、軽く一撃貰った。痛くも無いが癪だった»

«相変わらず、戦闘し始めるとお前性格変わるよな»

«まぁ、その分苦しんで死んだから俺は良い»

«どうせ攻撃する瞬間だけクローク解除してたんだろ?性格悪いな、本当»

«言ってろ、行くぞ»

 そうして2人は、夜冬は再度《クローク》を使用し、ユウトは体を馴らしながら移動を開始しました。

 




お疲れ様です。
7話は前後半と分かれているので、後半も直に投稿します。
気長にお待ちください。

※追記
《クローク》は光学迷彩機能の事。
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